心のアーカイブ 伊波伴准

がんばろう岩手 3ヵ月を考える

食卓に「ヒメタケ」と呼ばれるタケノコがのぼる時期になりました。
いつもの年と同じ味覚を、同じように味わえることは、本当にありがたいことです。

そして、盛岡市内に「チャングチャング」の鈴の音が響く「チャグチャグ馬コ(うまっこ)」が
今年も予定通り実施されました。


鈴や、奇麗な装束・馬具を身にまとった馬コ(うまっこ)たちが、
滝沢村の鬼越蒼前神社から、盛岡市の盛岡八幡宮までを行列して歩くお祭りです。

一時、開催を危ぶむ声もありましたが、予定通りの実施です。
盛岡市内では沿道に大勢の人が集まり、かわいらしい馬コたちの様子に目を細めていました。

3月11日の巨大地震から3ヵ月。
私自身も、大きな揺れ、停電、緊急放送、ガソリンがない、スーパーの棚に商品がない…
これまで部分的に経験したことはあっても、一度に全てを経験するなんて夢にも思いませんでした。
生活全てに不安を覚える状況に、身の回りの全ての人が追い込まれました。

地震発生から数日間、沿岸エリア担当の報道スタッフ全員の無事が確認されるまで
みんな涙をこらえて震災報道をしていました。

沿岸部の人々は、揺れの後に不安を抱え避難をしたひと、
想像を超える大津波に巻き込まれた人、命からがら助かった人、肉親を一度に奪われた人、
一言では表現できない、つらさ・苦しみと対峙してきました。

福島では、目に見えない放射能に今でも悩まされています。
私たちは、日常を奪われました。
誰のせいでもなく、一瞬にしてこれまでの当たり前の日常が奪われました。
大津波で人生の全てを奪われた沿岸部の苦しみは、当事者でなければ決して分からないものでしょう。

特に、大津波のあと、変わり果てた姿の家族と再会した人は、火葬すら出せなかったという状況でした。
さらに、6月10日現在で岩手県内で2787人が未だに行方不明者。
避難をしている人々も県内で2万人以上います。

その悔しさは、一体誰にぶつければいいのでしょう。
まさに「国難」です。
福島の人々のことを思うと、言葉も出ません。
天災という言葉ですまされない毎日を、今でも過ごしています。

みんなで心を一つに、日常を少しでも早く取り戻すことが、今、一番求められています。

震災について、決して忘れることはありませんが、
直接の被害が無かった地域は、徐々に日常に戻り、震災を忘れるかもしれません。
日常の重要ですが、震災については、少しでも心の中に留めて欲しい。
一方で、みんなが平和で幸せになるには、日常を早く取り戻すことも大切です。
ぜひ、今まで通りの生活をして欲しい。
もう一つ、お願いが出来るなら、岩手・宮城・福島をぜひ訪れて欲しい。
復興に何が必要なのか、ということはその土地で感じることが一番です。
今、テレビができることは何だろうか。答えを常に考えています。
伝えるべきことを報道していくことも必要ですし、
いつもの年と同じようにイベントをしていくことも必要だと感じます。
正しい答えは分かりませんが、
奪われた日常を取り戻すために、前に進むことを常に発信していくことではないかと思っています。

前に進むこと。前向き。とにかく前に向かっていくしか、いまはないのでは?そう思います。

震災を忘れず、前向きに。私たちIATだけではなく、岩手が、東北が、日本が
今、試されているのです。

2011 年 6 月 11 日 15 時 30 分 50 秒