心のアーカイブ 伊波伴准

年々変わり続ける古里

実家のある沖縄本島を回ってみると、風景が劇的に変わっているところがあります。
国際通りの東側の入口、安里に行くと大きな商業ビルが出来上がっていました。
以前は、家具販売店やバスの営業所、生花店があったところに、
コンビニや飲食店などが入った大きな建物が建ち、モノレールの安里駅と接続しています。

実家に戻ってみると、1週間前に直撃した台風の影響で、庭の木々がいろいろ折れて
大変なことになっていました。
以前より木が成長しているから、風の影響を受けるのは仕方ありません。

また、いつも心配の祖父と祖母にも会ってきました。
どちらも今年誕生日がくると94歳。かなりの高齢です。
祖父は耳が完全に遠くなり、大声でゆっくり話さないといけません。
玄関のチャイムを鳴らしても気付かず、玄関でずっと待たされることも多くなりました。(カギをかけるという防犯意識は大変高いのです。)

数年前、私が良かれと思って設置した電波式の簡単なドアホンも電池切れで動かず、
今回全て電池を入れ替えることにしました。
そのドアホンは、ボタンが1個に対して、スピーカーが4つあります。
ボタンを押すと、家のあちこちからものすごい音量で一斉に電子音が鳴ったのですが、
祖父は「・・・?」とほんの少し反応したあと「今、なにか鳴ったかねえ?」。

その後祖父は、テレビのニュースで岩手を心配していた、という話を始め、
「あんたのところは大丈夫か?」と言ったあと、
「昔は戦争があった。もうあんな事は起きない、と思う」と始まりました。
高齢なので過去の強烈な思い出を話すことが多くなっています。
これまでも戦争の話は何度も聞いていますが、
今回は東日本大震災が加わり、被害の光景と戦争のことが重なったようで
今まで話さなかった戦争の話も新たにトークに加わっていました。
ちなみにその話のまとまりはおよそ10分。1時間話をすると、概ね4~5回、繰り返しになります。
さらに「あんたの今回の休みは何日ねえ?」は5回質問され、5回とも同じ返事をすることになりますが、
それでも、まだまだ愛すべきおじいは、意識はハッキリしていると感じます。

一方の祖母。
耳が遠くなっているのは祖父と同じなのですが、
持ち前の神経質なところや、こまやかなところは健在でした。
今は指先や足がむくむので、近くの老人保健施設に週何度かデイケアに通っているそうです。
そこで理学療法士のトレーニングが「あの係のひとと、毎回が勝負だ!」と
負けん気前回で足を動かしている話などを、しっかりとした口調で訴えていきます。

それでも以前に比べると、首の筋が痛いそうで上を向くことができなくなり、
歩くのも、つかまり立ちでないとあるけません。
それでも頭の回転が至って健康なため、動かない体にも関わらず細かいことをいろいろとやっています。

料理も可能な範囲で作っているようですし、「かぎ針での編み物ができなくなって、くやしいさ」と言ったかと思えば
しばらくすると布きれを集めて「このソファーは座り心地がよくない」と手作りの座布団を作っていました。

そして祖父はあきらめて読まなくなった新聞も、祖母は毎日細かく確認しているようで、
東日本大震災の心配はもちろん「かけはし交流の会長が亡くなったでしょう?」と、
高橋洋介氏逝去のニュースまで知ってました。

さらにデイケアに行くと「周りの人たちがねえ、挨拶してくれないのよ、不思議ねえ」と話しているので、どういうことだろうと思ったら、
同居している叔母によれば「90過ぎて、認知症がまったくない人のほうが珍しくて、周りはハッキリ話す人はほとんどいないから、ばあちゃんはとても元気なほうなのよ」と解説してくれました。

私のおじいとおばあは年齢以上に元気なのだと実感することができ、安心しました。

街中でいろいろ移動してみると、バスやトラックなどで想像以上に「まけるな東日本」「がんばろう日本」の文字がいろいろとありました。

今高校の先生をしている私の大学の後輩は、教え子たちが募金活動をしてくれたことを教えてくれましたし、
私の出身集落の子供会が、太鼓演奏をした時に募金活動をして岩手を始め福島・宮城のためにがんばってくれていたことも親戚から聞きました。
久しぶりに会う人たちみんなが「あなたの街は大丈夫なの?」と心配してくれます。
多くの人が東北の人々を心配してくれていて、本当にうれしく感じます。

実家の甥・姪が大きくなって、話す内容も以前と全く違います。
子ども番組の話だけではなく、大人びた内容のこと、
そして「津波って大変?」と心配してくれたので、一生懸命津波被害の話をしました。
持っている被災地の写真も使って、一生懸命話しました。
この話を聞いて、少しでも沖縄の子どもたちが変わってくれれば。

沖縄では旧盆のほうが重要で、今回は新暦のお盆と日程が重なりました。
久しぶりの旧盆は、いろいろなことを多く感じる期間です。

2011 年 8 月 13 日 20 時 31 分 14 秒