心のアーカイブ 伊波伴准

今、できること

IATの「Go!Go!子育て応援宣言!」で続けてきた絵本の読み聞かせは、東日本大震災後、大きく内容が変わりました。

 沿岸の子どもたちに元気を届けることが重要なテーマとなり、4月から延べ15カ所の幼稚園と保育園を回っています。元気になるような絵本、楽しい絵本を選び、子どもたちの笑顔を目標にしています。

 沿岸にお邪魔すると、目の前にがれきが山となっている園がありました。やむなく移転して懸命に子どもたちと向き合っている保育園もあり、その姿に頭の下がる思いです。

 地域によって園児の反応に大きなばらつきがあることに気づきます。同じ絵本でも、大笑いする園と全く笑わない園があります。ひょっとすると、笑わない子たちは震災で大変な大人たちに遠慮しているのではないかと感じて胸が痛みました。

 また、園の関係者の方が震災の体験を熱心に伝えようと話をしてくれるのが印象的でした。どのようにケアしていくかという悩みを抱え、想像を絶する苦労を背負っている方々に、「元気を出して」とは軽々しく言えないと感じつつ、私ができることはなんだろうという自問自答が続きます。

 絵本の読み聞かせで子どもにも大人にも少しでも元気を届けること。明確な答えではありませんが、今できることなのかもしれません。5年、10年と続けていきたいと考えています。

(2011年11月18日 朝日新聞岩手版「心のアンテナ」に掲載されました)

2011 年 11 月 18 日 19 時 53 分 04 秒