心のアーカイブ 伊波伴准

もう、戦争の話も聞けない

きょう、沖縄は「慰霊の日」です。

組織的な沖縄戦が終わった、とされる日です。

私も正午に沖縄に向かって黙祷を捧げました。

 

戦後70年、戦争を知る人たちが次々とこの世を去っています。

 

父方の祖父は、私が生まれる前に逝去。父方の祖母は、戦争中の銃弾に倒れた、と聞いています。

その意味で、私の身近にも戦争の犠牲者がいるのです。

 

母方の祖父・祖母は、終戦を旧満州で迎えました。

 

逃げるときに足手まといになる子供は「置いていけ」と言われていたとき、

私の祖父と祖母は、私の母と、母の兄(私から見て伯父さん)の2人を置いていかず、

ずっと一緒に逃げ、終戦を迎え、一緒に沖縄まで引き上げてきたそうです。

私は、可能な限り、祖父と祖母に戦争の時の話を聞くようにしていましたが、

沖縄から離れて暮らすようになり、その機会はどんどん減りました。

祖父の言葉で印象的だったのは「知らんふりして逃げた」という話です。

旧満州にいたとき、軍の命令で列車に”子供を置いて”乗らなければならなくなった時、

「子供がいるけど、知らんふりして、そのまま列車に乗ったさあ」と話していました。

それは命令違反になるんじゃないの?と聞くと「違反だけど、知らんふりして、逃げたさあ」。

おかげで、私の母は、離ればなれになることなく、沖縄まで帰ってくることができました。

 

とぼけた顔で説明していましたが、私はおじい(祖父)の大英断ともいえる行動に、とても感銘を受けました。

そのおじいは、2カ月前、天寿を全うし、沖縄の言葉で言う「ぐそう(あの世)」へ旅立ちました。

琉歌を愛し、花を育て、ゲートボールの上手なおじいでした。

もう、戦争の話を聞くことはできません。

おじいの言葉を一生忘れずに、戦争の愚かさ、平和の重要性を考えられる人間でありたいと、強く思います。

2015 年 6 月 23 日 17 時 28 分 35 秒