心のアーカイブ 伊波伴准

平和への祈り

いま、盛岡市民文化ホール展示ホールで「平山郁夫展ー仏教伝来の軌跡、そして平和の祈りー」が開催されています。平山郁夫さんは、シルクロードや仏教の伝来、平和をテーマとした作品を多く残しています。その多くが今回盛岡で見ることができ、さらに、平泉町の中尊寺の協力により普段は見られない中尊寺関連の作品も展示されています。

そしてきょうは小ホールで「記念対談『平山郁夫を語る』」が開催され、私はこの対談の進行を担当しました。

対談では、平山郁夫氏の奥様で平山郁夫シルクロード美術館館長の平山美知子さん、そして平山郁夫氏の取材旅行に長年同行した彌生画廊相談役の小川貞夫さんに登場頂き、様々なエピソードを披露していただきました。

小川さんは「平山画伯は150回も取材旅行に行き、私はたった30回しか行ってないからね」と謙遜しながらも、平山氏と一緒に旅行に行くようになった頃の話や、平山氏が取材旅行中に20冊ものスケッチブックを平山氏は誰にも任せずすべて自分で持ち歩いていたというエピソードを披露してくださいました。

印象的だったのは奥様の美知子さんのお話です。

今回の展示にもある「平和の祈りーサラエボ戦跡」。ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国の首都サラエボを訪れ、描いた作品です。

絵の中央には明るく優しい雰囲気を漂わせた子供たち。しかし、その背景に見えるのは戦乱の後に残されたがれきの山。言葉にできないようなコントラストです。

この作品解説に平山氏の言葉が書いてありました。「戦争の苦しみから生まれる芸術は、泥沼に咲く蓮の花だ」と。

平山郁夫というアーティストの「生きてきた道筋」を感じる言葉、そして生き様を感じる一枚の作品です。

奥様は、対談でこのように話しました。

「泥沼に咲く蓮の花というのは、戦乱のあとでも必死に生き抜いている子供たち。花や子供たちをスケッチすることは多かったが、

それは、子供たちに”大変だが生きて行かなければならない” ”なんとかがんばって生き延びて欲しい”という気持ちがあってのこと。

それが平山が伝えたい平和ということなのかもしれないー。」

 

私は、「平和の祈りーサラエボ戦跡」に描かれた子供たちの表情に胸をぎゅっとつかまれた感覚でしたが、

奥様の美知子さんの言葉に、一瞬涙があふれそうでした。

戦争や戦乱を「震災」に置き換えると、東日本大震災と同じ構造なのかもしれない、と。

平和についても、そして震災についても、いま平山氏が生きていたらどのように考えどんな作品で表現するのか・・・?

今回の対談や展示で、今の自分の生き方を、丁寧に、かつ見つめ直さなければと感じました。

関係者の皆様の協力で、有意義な対談になったと思います。感謝いたします。

2016 年 1 月 30 日 14 時 23 分 43 秒