放送番組審議会

4月(第57回)

概要

 岩手朝日テレビの第57回番組審議会(委員長 増子義孝県立大学教授)は4月25日(木)、盛岡市盛岡駅西通の同本社で開かれた。

 今回は「メディア規制法案について及び放送全般について」について審議した。その中で、放送全般については

  • 「隠れ家ごはん」 今の時期に総理を出演させた意味は?ゲストの選択と生かし方を考えるべき。
  • 「旅の香り、時の遊び」 取り上げ方に新しさがない。
  • 「現代進行形TVイマジン!」 優れた情報ドキュメント。今後に期待できる。
  • 「やじうまワイド」 アナウンサーの落ち着いた進行ぶりが良い。
  • スポーツ番組はアナとゲストが喋り過ぎる傾向がある。
  • 「大相撲ダイジェスト」 朝日系列ならでは番組で好感。番組を盛り上げる工夫が欲しい。
  • ドラマが全体的に暗い。もっと前向きで明るいものに出来ないのか。

などの意見が、メディア規制法案については

  • 三法案とも行政の関与には反対。あくまで自主規制にすべき。但しメディアの取り組み方に問題もあり配慮が必要。またこの問題に対する取り組みが遅い。もっと前から視聴者へアピールすべきであったのでは。
  • 規制する行政側の表現や言論の自由への認識レベルが信用できない。
  • 放送局にも新聞の社説のようなものが必要。視聴者へ局の姿勢を打ち出すべきである。
  • この法案は憲法違反の恐れがある。戦前の時代に逆戻りしてはならない。表現や言論の自由は民主社会の基本ルールである。
  • メディアも自分の足を引っ張るような報道協定はやるべきではない。
  • 法案の一部には妥当性もあるが、基準の目的や内容が明確でなく、包括的で危険性を含んでいる。メディアも報道の仕方や情報公開にもっと力を注ぐべき。近視眼的報道は問題あり。
  • 法案には問題点もあるが良い点もある。より幅広い意見を集約し改正すべき。一般人の人権はメディアも守るべき。
  • メディアの自主規制機関の具体的な活動が見えない。もっとわかり易くPRすべき。
  • 三法案の目的がメディア規制に変化したことが疑問。表現の自由が無い世界とはどんな世界なのか知らせる必要がある。
  • メディア規制がこの時期に議論されることに、政治的な意図を感じる。法案の本質を見極める必要あり。内部告発こそ正義の旗手である。言論統制の社会の悲惨さを知らせるべき。
  • 三法案は、廃案の方向に進ませるべき。

などの意見が出た。

出席委員は、増子 義孝委員長、及川 和男副委員長、石井 三郎委員、小川口 柳太郎委員、笠川 さゆり委員、松本 直子委員、宮野 裕子委員の7名、欠席委員は、植本 花子委員(レポート提出)、大坊 忠委員、松尾 正弘委員の3名。

議事録

1.    平成 14年 4月 25日(木)午前11時~

2.    岩手朝日テレビ本社3階会議室

3.委員の出席   

委員総数 10名

出席委員数 7名

委 員 長       増 子  義 孝 

副委員長       及 川  和 男

委  員       石 井  三 郎

委  員       小川口  柳太郎

委  員       笠 川  さゆり

委  員       松 本  直 子

委  員       宮 野  裕 子

欠席委員数 3名

委  員       植 本  花 子(レポート提出)

委  員       大 坊    忠

委  員       松 尾  正 弘

会社側出席者名

代表取締役社長    蓮 見  博 民

専務取締役      桑 折  勇 一

取締役        横 舘  英 雄

取締役業務局長    河 邊    喬

報道制作局長     星 井  孝 之

技術局次長      山 口    孝

番組審議会事務局長  佐々木  瑞 夫

番組審議会事務局員  佐 野    尚

4.議   題

(1)5月の番組編成について

(2)合評

「メディア規制法案について及び放送全般について」

(3)その他

(4)次回の審議会

開 催 日:平成14年5月31日(金)

合評番組:「現代進行形TVイマジン!」

(5)閉 会

5.概    要

《放送全般について》

* 「隠れ家ごはん」 今の時期に総理を出演させた意味は?ゲストの選択と生かし方を考えるべき。

* 「旅の香り、時の遊び」 取り上げ方に新しさがない。

* 「現代進行形TVイマジン!」 優れた情報ドキュメント。今後に期待できる。

* 「やじうまワイド」 アナウンサーの落ち着いた進行ぶりが良い。

*  スポーツ番組はアナとゲストが喋り過ぎる傾向がある。

* 「大相撲ダイジェスト」 朝日系列ならでは番組で好感。番組を盛り上げる工夫が欲しい。

*  ドラマが全体的に暗い。もっと前向きで明るいものに出来ないのか。

《メディア規制法案について》

* 三法案とも行政の関与には反対。あくまで自主規制にすべき。但しメディアの取り組み方に問題もあり配慮が必要。またこの問題に対する取り組みが遅い。もっと前から視聴者へアピールすべきであったのでは。

* 規制する行政側の表現や言論の自由への認識レベルが信用できない。

* 放送局にも新聞の社説のようなものが必要。視聴者へ局の姿勢を打ち出すべきである。

* この法案は憲法違反の恐れがある。戦前の時代に逆戻りしてはならない。表現や言論の自由は民主社会の基本ルールである。

* メディアも自分の足を引っ張るような報道協定はやるべきではない。

* 法案の一部には妥当性もあるが、基準の目的や内容が明確でなく、包括的で危険性を含んでいる。メディアも報道の仕方や情報公開にもっと力を注ぐべき。近視眼的報道は問題あり。

* 法案には問題点もあるが良い点もある。より幅広い意見を集約し改正すべき。一般人の人権はメディアも守るべき。

* メディアの自主規制機関の具体的な活動が見えない。もっとわかり易くPRすべき。

* 三法案の目的がメディア規制に変化したことが疑問。表現の自由が無い世界とはどんな世界なのか知らせる必要がある。

* メディア規制がこの時期に議論されることに、政治的な意図を感じる。法案の本質を見極める必要あり。内部告発こそ正義の旗手である。言論統制の社会の悲惨さを知らせるべき。

* 三法案は、廃案の方向に進ませるべき。

6.議事の内容

佐々木事務局長

只今から第57回番組審議会を開催いたします。本日は植本委員、松尾委員が欠席でございます。それでは弊社社長、蓮見よりご挨拶申し上げます。

蓮見 社長

おはようございます。お忙しい中ご出席頂きましてありがとうございます。本日の番組審議会はいつもと内容を変えて頂きまして、番組に直接意見を頂くというよりも、放送界及びメディアにとって問題になっておりますメディア規制三法案について、皆様方のご意見を充分にお聞かせ頂いて、これからIATがこの法案に対してどのような方向付けをするかのご参考にさせて頂きたいと思いますので、よろしくお願い致します。先ごろ、民法連の氏家会長が各社の番組審議会に対しまして、この三法案についての検討を呼びかけられました。放送各社は、今月の番組審議会の議題を変更しまして、三法案についての議題を優先的に取り上げるようにしております。ご存知のようにこの三法案、個人情報保護法案、人権擁護法案、青少年有害社会環境対策法案なるものでございますが、このうち個人情報保護法案と人権擁護法案が昨日、今日の国会で審議入りしました。民放連は以前からこの法案に対しては断固反対してきておりますが、国会で審議入りしましたので時間がございませんので、至急各社の番組審議会で先生方のご意見をお聞きするようにとの通達が来ております。この法案は、憲法で定める表現の自由に抵触し兼ねない問題だけに、放送界にとっても、取材活動や言論の自由、それらが行政から制限される可能性がある、または国民の知る権利を著しく脅かされる恐れがあると見ております。勿論、メディアに於いても個人情報や人権の保護自体には異論があろうはずはありませんし、またメディア側にとってこの問題が無いと申し上げる訳ではございません。ただ過剰な取材や個人情報の取り扱い、所謂報道被害に対する規制は、行政に管理監督されるものではなく、あくまでもメディア自体の自主規制に任せられるべきものであると考えておる次第でございます。各社には番組審議会がございます。また放送界には民法とNHKが協同で設置しております「放送と青少年に関する委員会」「放送番組向上委員会」「放送と人権等権利に関する委員会機構」、それから民放連の中にも「放送番組調査会」所謂放送倫理を厳しく見つめる組織機関があり、常に改善すべき点は改善すべく努力をしている次第でございます。岩手朝日テレビはこれからこの三法案に対してどのような対応をしていくのか、本日先生方のご意見を頂きながら、私達の見解をまとめていきたいと思いますので、どうぞよろしくご検討下さいますようお願い申し上げます。

佐々木事務局長

ありがとうございました。それでは増子委員長、議事の進行を宜しくお願い致します。

増子委員長

それでは5月の番組編成からお願いします。

河邊業務局長

それでは5月の単発番組について説明させて頂きます。お手元の資料をご覧下さい。6日(月)「ウィーン少年合唱団 拝啓神さま素顔の天使たちはこんな顔です」。

テレビ朝日系列では2年置きにウィーン少年合唱団を招聘致しまして全国公演をしております。今年は4月12日の東京公演を皮切りに全国をまわります。岩手公演は6月26日に水沢市文化会館で公演がございます。それに先駆けてのウィーン少年合唱団の紹介番組を編成いたします。同じく6日「みちのくレース競馬ステーション」がございます。12日にも編成しております。8日早朝4:06からは「サッカー レアルマドリットVS日本」の生中継がございます。このVTRを同日19時から放送致します。それから23日深夜には「チュニジアVSガンバ大阪」の試合の模様をお送りします。それから27日(月)15:00からの「ザ・スクープ」では、先ほど蓮見社長からお話がありましたメディア規制に関する番組を放送致します。是非ご覧頂きたいと思います。それから30日(木)「ワールドカップ事前特番~いよいよ明日開幕!(仮)」。5月31日から予選ラウンドが始まりして、6月15日から決勝トーナメント、6月30日が決勝というスケジュールでワールドカップが開催されます。以上で説明を終わります。

増子委員長

ありがとうございました。それでは早速合評の議題に入らせて頂きます。まず始めにメディア規制法案に関連しないことについてのご意見をお持ちのかた、それを伺ってから集中的にメディア規制の問題について議論したいと思います。一般的な問題についてご意見をお持ちの方、どうぞ。

及川副委員長

4月から新番組がいろいろスタートしました。前回の番組審議会で私は、企画性に富んだものとして期待の思いを表明しました。隠れ家ごはんと現代進行形TVイマジン!、旅の香り時の遊びをちょっと見たのですが、隠れ家ごはんには4月7日に小泉首相が登場して、21日は黛まどかでしたが、小泉首相の場合は意外性や話題性があって彼自身の気さくな一面も見せていましたし、黛まどかの場合、俳句はあまり上手じゃないのですが美人さんで新感覚で新季語の提唱なんかをしていて、どういうゲストを起用するかという企画性という点では分かるのですが、小泉首相を起用するということは、本日合評しますメディア規正法の関連で考えますと、これを通そうとする側の“かしら”な人ですし、人気が落ち目でもある。そうするとこういう場で人気の回復にも繋がり兼ねないわけで、こういう人を今の時期に登用することは、いささか能天気ではないかと思いました。ほかの政治家とのつり合いの問題も発生しますので、企画の新しさを追及するだけではない態度が求められるのではないのか、一考を要することではないかと思います。それからスポンサーとの関係で、恐らく全農さんだと思いますが、お米・ご飯をテーマにしているのですが、ゲストとのトークの時間が熱血ご飯道や体と健康ゼミで分断されて少なくなる。30分という枠を思えば、例えばこの2つを隔週ごとにするとか、ゲストを生かすようにされてはいかがかと思います。オーナーを演じる西村雅彦は非常に面白いので、番組全体としてはより充実させていって欲しいと思いました。

次に旅の香り時の遊びは4月23日の湯河原温泉の回を見ました。個性的な旅の発見という謳い文句があって、そういうポイントをもっと強めて欲しいという気がしてなりません。良い宿、良い温泉、おいしい料理、美しい風景、そして適度の経済性というか。似たような番組が沢山ありますから、それだけでは独自性を発揮できないと思います。もっと旅人の主体性、旅の名人や達人を起用するなどして、ヒントに富んだものにしていって欲しいと思います。

そしてこの3番組の中で私は現代進行形TVイマジン!を一番高く評価したいと思います。4月16日のミシュランの一つ星を取ったシェフを追った「星を取った男」は大変面白かったし、韓国の一般庶民の福島空港から始まる日本ツアーを追った映像も大変に面白かったです。23日は不妊症の問題で九州の病院のドキュメントもありましたし、ネパール人の吉野葛の菓子職人修行などもあり、情報ドキュメンタリーとしては良い出来ではないかと。「WA風が来た!」よりはずっと良いと思います。新しい発見もありますし、ヒューマンドキュメントの要素もあって面白いので、今後期待して行きたいなと思います。新企画の企画性をポイントにして見た雑感ですが、そんな感じを持ちました。以上です。

増子 委員長

ありがとうございました。一般的な事について、ほかにございませんか

小川口 委員

同じ職場で働いている20代の女性職員に、朝は何の番組を見ているのか尋ねましたら「やじうまワイド」と答えまして、理由を尋ねると、アナウンサーが静かだからだそうです。私も最近スポーツ中継を見ておりまして、司会者やゲストの言葉が多すぎてうるさく感じます。スポーツ中継は映像をゆっくり見ていたいと思います。ニュースにしても早口ではなくて、ゆっくり伝えて欲しいと思います。

蓮見 社長

おっしゃいますように、スポーツ番組の余計な声といいますのは、突き詰めますと放送局のアナウンサーのレベルが低いからだと思います。ですからゲストや解説者の力を借りなくてはいけなくなってしまう。外国のスポーツ番組ではそういった人達は居ないで、アナウンサーだけで放送しています。その状況に合わせた臨場感を出しながら、ゲームに溶け込んだアナウンスコメントが多いので、見ていても面白いわけです。しかし日本のスポーツ番組は画面と違った話をベラベラとしていて、興味を削がれる場面が多いですね。あれはアナウンサーの知識が低いからだと思います。確かに残念なことだと思います。

石井 委員

今のスポーツの延長の話ですが。テレビ朝日系列で大相撲ダイジェストがありますね。これはまさにテレビ朝日ならではの番組で、他局との差別化が出来ていると思います。非常に特色ある番組としてそれなりの評価をしておりますが、最近大相撲そのものの人気に陰りが出ているという中で、この大相撲ダイジェストの番組の作り方もずっと変わらずに来ていますね。大相撲をもっと面白く見られるような工夫があると、この番組自体、ひいては大相撲の活性化に貢献できる面があるのではないかと。日本の国技である相撲を大事に取り扱っている、この姿勢はこのまま続けて欲しいと思いますし、ただし番組の作り方にひと工夫して付加価値を付けられないかなという点を、感想として述べさせて頂きました。記録としては価値がありますが、やや平板な番組ですね。“つう”はあれでいいのでしょうが。

蓮見 社長

あの番組は相撲協会映画部というところが作っておりまして、テレビ朝日が独自であの番組を作れない。相撲協会が権利を持っているわけです。私は昔、この番組を制作していたことがあるのですが、相撲協会はもの凄く保守的ですから、なかなか局側には任せてもらえません。ですが、多少は変えていかなくてはいけないと思います。局側がしっかりした話を相撲協会側にしていけばいいのかも知れませんね。

増子 委員長

私のゼミの学生に、どういった番組を見ているのかランダムに聞いたところ、黄金伝説が上がりました。ここで合評した番組なんかも番組名を言うと、「ああ、そんな番組もありましたね。見たことあります。」とはいうものの、見ているとは言ってもサーフィンしながら見ていて、きちんと見ているという者は殆どいないんですね。ですから視聴率というのは、泡沫のようなものだなと思いました。

宮野 委員

今回から始まったおみやさんという刑事ものドラマがありますが、渡瀬恒彦が好きで見たのですが、テレビ朝日は刑事ものが得意だと思いますし、1話完結なので面白いかなと思って見ました。その後の眠れぬ夜を抱いてというドラマですが、やはり暗いというイメージを払拭できませんでした。時節柄といいますか、今の空気に合ったもう少し明るいものを作って欲しいかなという感じがしました。

増子 委員長

ありがとうございました。それでは、メインテーマでありますメディア規制法案についてのご意見をお伺いしたいと思います。それでは笠川委員からお願いしましょうか。

笠川 委員

本当に難しいテーマですね。一昨日あたりから新聞やニュース等で取り上げていますが、それ以前はあまり取り上げが少なかったので情報の収集が出来ませんでした。国会で審議されるからといってメディアが取り上げるのではなくて、ワイドショー等でも常に取り上げて国民にも知らせてくれていたら、国民みんなが興味を持てたのかなと思います。すべて行政が関与することに関しては、簡単に言えば反対です。個人情報保護法案にしても、内部告発があった場合疑惑の説明や承諾を得てからでないと取材が出来ない、放送が出来ないということ自体に疑念を持ちます。行政が関与することで、政治家自身の力関係によって取材の可否、放送の可否が決まりかねないということは、国民にとってマイナスだと思います。人権擁護法案については、宮崎つとむ事件の時、報道による厳しい追及が加害者の家族親族に及び、自殺者や家族離散ということを引き起こしたので、メディアがそこまでしていいのかと思ったことがありました。かと思えばカレー事件の時は、メディアの取材や追求が事件解決の助けになったということを思えば、取材というのは追求していくことが必要なのかと思ってみたりもします。しかし先月、盛岡で10歳の子どもが乳幼児の世話をしていて、泣きやます為にどうしたらいいのか分からずに、乳幼児の口をふさいでしまったということがありましたが、結局は事件の当日と翌日にその報道があっただけで、何故その10歳児が、乳幼児が死んでしまうほどしてしまったのかという点についての報道がなく、興味本位での報道が結構強かったです。センセーショナルな「10歳児が」ということがあったので。報道したからには、事実関係をもっと明らかにすることによって、この10歳児のような青少年またはそれより幼いこどもたちの人権擁護に繋がるのかなと感じました。

それから青少年有害社会環境対策法案については、数年前にいじめを題材にしたドラマの内容を子ども達が真似をすることがあったので、放送する側がある程度抑えるべきだと思いますし、いじめを助長するようでは駄目だと思います。

メディアを監視する第三者機関は必要だと思いますが、行政が管理することについては反対です。以上です。

小川口 委員

三法案には基本的には反対です。今の行政や国家議員、警察、検事まで違法行為をしているという国家的危機の時に、その当事者たちが言論の自由の範疇にまで立ち入ることは任せきれないと思います。国家権力をかさにかけた時、危険性が出ると思います。彼らのレベル、社会性が下がっており、何が良心か、何が正義かということを分かってない人たちがこの問題に関わること自体に反対です。ただ、新聞には社説があって、毎日社の主張をしております。しかし民放には社説的なものがあるのでしょうか。論説委員の養成をして社の顔を作り、自分たちの姿勢を訴えていけばいいと思います。この三法案についての異議を民放、NHK、新聞が共同で声明を出したとは言いますが、新聞の一面を眺めてみますと、それぞれに取り組む意気込みが違うと感じます。テレビ業界から一般視聴者に向けて訴えることを常日頃からやっておくべきだと思います。局としての姿勢はニュースステーション等で出ているとは思いますが、もっと違った形で局の姿勢を話す機会があっても良いと思います。以上です。

及川副委員長

このメディア規制三法案についてはお送り頂いた日本民間放送連盟の資料の中の問題点の分析と法案に対する態度、これを私は全面的に支持したいと思います。このメディア規制三法案は、憲法にも表された言論表現の自由を侵害する内容を含んでいると思います。そもそも21条に保障された言論表現の自由は、他の自由の権利の基、根幹をなす優越的自由と呼ばれている、肝心要なところなわけです。表現の自由が保障されていなければ、それ以外の人権行使が不可能になってしまいます。また言論の自由は民主社会に不可欠な批判の自由であり、それを成立させる為に不可欠な知る権利、これらは分かち難く結び付いております。それを国家権力によって規制したり侵害する危険がある法律や法案に、強い危惧を覚えます。ことに人権擁護法案は、他の問題と並べて、報道による人権侵害救済という名の下に、国家権力に都合よく規制したり監視をし得る、そういう危険性を含んでいると思います。いろいろなチェックはあると云われておりますが、どんなに小さな危険性であっても見逃してはならないと思うのです。私は、小学6年生まで軍国主義教育を受けて、大防衛発表を信じさせられた世代の者として、また現在はノンフィクションを中心とした作家活動をしている者として、報道機関のみならず個人の取材表現活動にまで権力の干渉の危険がある法律を認めるわけにはいかないというのが、私の態度であります。主文の中にありました、放送の持つ問題点との関連では、言うまでもないことですが表現の自由、報道の自由というのは、その自主性、自立性に於いて貫かねるものであります。それから広範な言論活動、これは社会的な討論であったり世論という形であったりするわけですが、そういう広範な言論活動に於いて、自主性自立性も確保されていくことが、基本ルールでなければならないと思います。それが日本の民主主義を成熟させていく道のりでもあると思います。確かに自主性自立性の点では報道機関側にも問題があるわけでして、私が申し上げたいのは1993年の皇太子妃決定をめぐる問題で、1993年1月6日付けのワシントンポスト誌が“婚約の相手”というスクープをやりました。この時のワシントンポスト誌極東総局は“当社は報道協定に縛られていない。お妃が決まったからには報道すべきだと確信した”と語ったことが、2日後の1月8日の朝日新聞で報道された訳です。それで、そういう報道協定があったことが私達庶民にも分かってきたのです。報道協定はその1年半前の1991年6月21日に、当時の藤森宮内庁長官が日本新聞協会に、加熱する取材に対しての報道自粛を申し入れました。これに協会側が応じて、マスコミ全体が追従したというものなのです。この申し合わせ事態が言論報道の自由を自ら放棄したものと言わざるを得ないと思います。海外の報道機関からヒンシュクをかったのは当然な訳です。取材の過熱によって、当事者の生活の平穏や静穏が侵害されることと対になって、こんなことがなされている訳です。これは、誘拐事件に於ける報道協定とは全く性質を異にする範ちゅうのものだと思います。こういうことは批判を受けて反省してきている、克服してきているとは思いますが、報道機関側は自らが自主性自立性を失っていくということは、国家権力の介入を許すことに繋がっていくわけでして、現代のメディア規制法案に反対する立場、その態度の根本には言論表現の自由を死守するという理念があると思います。そうであれば尚更、自らの自主性自立性をより一層強めていく努力が同時に求められていると私は思います。番組審議会の一員として感じることを最後に申し上げますが、テレビ朝日系列全体の番審の委員長でもあります、桂先生が書かれた“あるべき番審と放送の自主自立基盤の強化”という論文の中で指摘されている、次の箇所を私は注目して、発せられている示唆を生かすべきだと思います。“不当なメディア規制に対して”という文脈の中で桂先生はこのように言っております。『放送の側が、行政や政治よりも先に進んで前に出て、視聴者市民を放送の本当の味方、友人として獲得していくことが、大きな鍵となるのではないか』『特に地方局に於いては、住民視聴者との交流が重視される。デジタル化に伴う多メディア化、多チャンネル化は視聴者参加型のフォーラム機能、地域情報交流機能を持った番組コンテンツの重要性を浮かび上がらせるが、地域住民視聴者会議はそうした番組作りの重要な拠点、パートナーとなる可能性がある』という指摘です。実際にどう生かしていくかという点で努力する必要があるのではないだろうか。更に青少年有害社会環境対策法案への対処に於いても、メディアリテラシーあるいはテレビリテラシーといった運動との連帯、または当社としての独自性のある企画を立てて、視聴者県民と結び付いていくことが非常に大事じゃないかということも、併せて申し上げておきたいと思います。以上です。

増子 委員長

ありがとうございます。それでは石井さんお願いします。

石井 委員

結論から言うと反対せざるを得ないと思います。法案の中には妥当性があるものも含まれているとは思います。今回の法案は包括的で基準が明瞭でないという部分に於いて、非常に危険性があります。そして何よりメディア、報道を含めてしまっている点に於いて適切ではないという感想を持ちました。個々の法案を見ますと、個人情報保護については高度情報通信社会の進展に伴いということが目的としてあるはずなのですが、それがやや包括的に規制しようとする内容に変化してきていることに違和感、危険性を感じます。私は消費生活アドバイザーという資格を取得しまして、一時、消費者保護問題等の勉強をしましたが、現在の消費者保護という観点から見た場合、携帯電話のメール等といった規制するべきだという問題があることは事実だと思います。人権擁護については、当初は同和問題等を含めた本来の意味での人権擁護からスタートしており、現在の日本でも人権侵害は無くなっておらず、擁護は必要であると思います。しかし何故か擁護の対象が政治家や官僚等を含めたものになっており、マスコミも規制の対象になりかねない状況だという意味に於いて、本来の趣旨から逸脱したものになりつつあると思います。それから青少年有害社会環境対策は、現在の視聴率第一主義や販売第一主義に陥っている社会に問題が無いとは言えませんが、これも最終目的はメディアの規制のようで気になります。これも冒頭申し上げたようにかなり包括的で基準が曖昧だという点に於いて、問題が大きいと思います。世界情勢を見ますと、一般的に日本は情報公開が遅れており、メディアがもっと積極的に情報公開に取り組むべきだと考えております。笠川委員のお話にもありましたが、メディアが然るべき報道を必ずしも的確にしていない部分もあると思います。いわゆる秘書絡みの問題ばかりを報道して、有事立法やこのメディア規制三法案といった、日本の将来を左右する重要な問題についての報道が疎かになっています。各局横並びで、一つのことを集中報道をし、重要な事柄を忘れてしまっているというメディアの在り方の問題も取り上げざるを得ないと私は思います。テレビ局を含めた現在のメディアの在り方は必ずしも充分に機能しているとは思わないし、不完全な部分もありますが、報道という重要な事柄を担っているのはメディア以外にはありません。報道の自由を確保した上で、尚且つ具体的な分野に特定した規制という形で限定的に行うべきだと思います。以上です。

松本 委員

この法案には、問題点もあるけれども良い点もあるのではないか。これをたたき台として、メディア側の意見を吸い上げながら、より良い方向にこの法案が整う方法はもう無いのだろうかと、そればかりが心配です。問題点として目に付きますのは、民間人と、政界や芸能界といったそれ以外の人の扱いの違いをどうするのかという点。表現の自由や報道の自由の中でも、一般人は当然守られるべきだと思いますし、公人でも罪を犯した人なら当然摘発して裁くきっかけになり得るので、評価すべき点もあると思います。このすみ分けとか区分さえはっきりすれば、もっと良いものになるという期待も少しあります。BROにしても放送と青少年に関する委員会にしても、テレビや新聞で見聞きするというよりも、私の場合はラジオで聞いてその存在自体も分かっておりました。メディア側も自主的な規制をするすべを持っていますと存在は充分にPR出来ていますが、申し立てがあった場合に最終的にはどういった対応を取るのか、またどのようにして名誉の回復に努めて下さるのかといった結末が見えないので、せっかく自主機関を作っても私達には仕事ぶりが見えないので、果たしてこの機関で充分なのかという心配があります。子どもを持つ立場からすると、青少年有害社会環境対策法案が一番気になります。増子先生がおっしゃったように、若者のテレビ視聴の仕方はサーフィンするように次から次へとチャンネルを変えてしまう。例えば“いじめ”をテーマにしたドラマを作ったとして、いじめに対して強くなろうとかやめようとか良くないといった結論に持っていく番組の作りになっていたとしても、サーフィンのようにテレビを見る子どもや若者達には、結末まで見ないで、いじめや暴力のシーンだけを見てチャンネルを変えてしまう人も多いと思うんです。作り手の良いメッセージは受け手に充分に伝わらずに、いじめを招いてしまった事件もあったと笠川先生もおっしゃっておりましたよね。私はこの法案の全部が駄目だとは私は思っておりません。問題点はあるけれども、良い点を拾い上げて摺り合わせながら、メディア側の言い分も充分に取り上げて頂きながら、より良い法案になっていけば良いのになと期待しております。

宮野 委員

個人情報保護法案や人権擁護法案を作ろうと思った基本理念と、メディア規制が何故関係があるのかというのが、一番大きな私の疑問です。岩手県にも個人情報保護条例がありまして、個人情報はある程度保護された方が良いという方向になっておりますが、それは本当にその個人が持っている情報、生年月日などのことであって、犯罪暦や云々までは保護する必要は無いのではないでしょうか。あまりにも大まかに法案を作ってそれを通そうとする行政の趣旨は一体何なのか不思議です。人権保護法については、同和等といった差別は東北にはあまりありません。むしろ関西に多い思想で、私達は差別といった問題は特別に意識をせずに大きくなりました。それを守らなくてはいけないというのならば、人権委員会を中央にだけ設けるというのはおかしな話で、これは各地区で考えるべき問題であって、各地区で考えが違うはずなのです。それが日本であるから皆同じであるという考え方はおかしいと思います。今の行政そのものが中央集権的になりすぎていて、東京の一部でしか考えられていないことが全てであると考えられては困る事もあると思います。人間性も考え方も地域によって違うということをもっと加味しなくては、曖昧な法案を様々な意味に捉える人がいるのは当然だと思います。果たして、そういう法律を作って良いのでしょうか。その時々によって考え方が変わるような法律であれば無いほうが良いという意見が朝日新聞に載っておりましたが、私も同感です。本当に法案にするのであれば、もっと細かいところまで入っていくのか、またモラルを法律にして良いものなのか、そこをもう少し摺り合わせて、いけない駄目だとお互いに平行線の議論をするのではなくて、接点がどこにあるのかを話し合わないと、これから進むべき方向が誰にも見出せないのではないかと思います。結論としては、私はメディア規制に関しては反対です。これはやはり行政がするべきことではないと思います。ただモラルはメディア同士できちんとしたものがあればいいと思います。勿論、表現の自由が無ければ民主国家では無いと思います。私達の世代は表現の自由が無い時代に育たなかったので、表現の自由が無いということの意味が分からない。国民の殆どがそういう人だと思います。テレビや新聞は自分達に不利だと言うだけであって一方的なことであるし、行政側の言っていることも一方的である。誰の意見を聞くべきなのか分からないので、もっと分かりやすい言葉で、人々が分かるような言葉で説明して貰いたいです。分かりにくい言葉が新聞に並んで、それが法案として通っていくことは怖いと思います。それは有事法案も郵政の民営化もそうですし、普通の人があまり関心のない事柄から法案が決まっていって、あなた方が選んだ人が決めたことだから守って下さいよという、それも怖いと思います。最近は、モラルの面でもっと考えるべき問題が多いと思います。それから青少年有害社会環境対策法案については、子を持つ親としてはテレビでは確かにこんなものを流して欲しくないと思うものは多いのですが、子どもには自浄効果というか良し悪しを考える能力がありますから、そこを教えるのは親であると思います。私はマスコミが全て悪いとは言いません、これは家庭の問題でもあると思います。メディア規制については、みんなで本当の意味での正しいことを考えると言いますか、モラルの改善を望みたいと思いました。結論を言いますと基本的には反対、方向性は別にあるのではないかと思います。以上です。

増子委員長

ありがとうございました。私は違う角度から考えてみたいと思います。宮野委員がおっしゃったように、第一に何故今メディア規制なのかという問題。報道によるとメディア規制が議論されるようになったきっかけは、98年7月の参院選で自民党が惨敗した辺りから、メディアはけしからんという議論が出てきたということですが、現在の状況を見ても政治家の不正や官僚の腐敗等の様々な問題が噴出している。その権力の座におる人達から見ればメディアはもの凄くうるさい存在なんですね。それで何故今メディア規制なのかという、そこの説明が充分でない点が一つですね。それから非常に巧みな形で出してきている、つまり個人情報の規制それから人権、青少年問題、これらは誰も否定できないもっともな話で、反論を述べにくいテーマについて、しかも報道のごく一部の部分である過剰取材、メディアの活動の中で過剰取材はどの位の部分を占めているのかを、我々はもっと冷静に考えてみなければならないと思います。テレビニュースで映る場面は、過剰取材が最も誇張されて映っていますが、実はメディアは非常に広範な活動をしておって、例えば様々な規制が敷かれて政治家の不正が全く報道されなくなったらどうなるであろうか。例えば外務省の機密費の問題を国民は知らずに過ごしていて良いのか。もっと身近な問題では狂牛病についての報道が全くされない、外国産の食肉が知らないうちに我々の食卓に入り込んでくるといった問題が、もしメディア規制が進行すると我々は知らずに過ごしているという事態が日常的に出てくるわけです。それから内部告発という問題、私もメディアの中にいた経験があるので申し上げたいのですが、メディアは強制的な捜査権を持っていませんから、普通の人たちの協力が無いと多角的な報道は絶対に出来ません。今、非常に内部告発が多いですね。内部にいて、自分の良心に照らしてこういった行動は許せないという人たちが報道機関に様々な形で告発してくる訳です。それが縛られてしまう、つまり告発者とメディア側の両方を萎縮させてしまうことになったら、我々が知らないうちに様々なことが行われるという由々しい事態が起こると思います。私は、言論統制が行われている国で何年も暮らしておりましたが、本当に酷いものです。新聞を見ても何も分からないしテレビを見ても分からない、国民は何も分からないのです。そして分からない内に様々なことが進行している、そして人権の抑圧が至るところで起きている。メディアが規制されることによってどういうことが起こるのか、本当に恐ろしいものです。これは決してメディアの問題ではなくて、今申し上げたように普通の人たちの問題なのです。つまり普通の人たちが困るという、そこを我々は深く認識していくべきだと私は考えております。皆さん他にご意見はございませんか。

佐々木事務局長

委員長、植本委員からレポートの提出がございましたので代読させていただきます。

『放送全般について SMASTATIONは毎週楽しみに見ております。ゴールデンタイムに移っても違和感なく見ました。石原慎太郎氏が出演されるなど注目度が増し、番組も香取君のファンとして嬉しい限りです。ニュースステーションは、最近ではサッカー関連の話題の豊富さが他局を抜いているように思います。特に川平氏とアナウンサーの熱い語り口には好感を持ちます。

メディア規制法案について 三法案のいずれに対しても反対です。情報は発信者から受け手に直接伝わるのが望ましい。介入や操作があっては真実は伝わらない。また公人に対してマスコミが追求を行うことは当然だと思う。疑惑がある限り取材をし明らかにすべきです。テレビの影響力の大きさが脅威となっているが、マスコミ側は断固として戦うべきだと思います。但しワイドショーでの報道は事例が脚色される傾向がある。この辺は解決して欲しいと思う。またこの件に関する一連の報道を通じて思うことは、マスコミ側にも不正があるのではないかということです。もし疑いを持たれているのであればマスコミ側にも明らかにして、知る権利、表現の自由など我々の権利を断固として守るべきだと思います。青少年有害社会環境対策法案について少し意見を述べさせて頂きます。青少年の健全育成に有害であるかどうかを行政が検閲するという話、これは表現の自由を侵害しているし、行政指導を縮小する流れと逆行している。有害かどうかを行政が介入する点は断固反対。市民から選ばれた民間組織等が基準を設けるのならば、少しは歩み寄れる話だと思います。テレビの審議会で他の媒体について言及するのは場違いかも知れませんが、インターネットという媒体は辞書機能や参考資料検索など、私にとっては無くてはならないものですので取り上げます。掲示板や書き込みのページを開くと、様々な話題がある。欲しかった最新の情報だけではなく、非難中傷から下品な話題まで、インターネットをどう使うのは本人のモラルの問題である。他の媒体と同じことで、インターネットが特に悪いわけではない。例えば相手のパソコンに侵入し情報を盗むこと、これは犯罪であり取り締まるべきことである。つまり鍵がかかっている他人の家に窓を割って侵入するのと同じである。インターネットの有害性と犯罪とを単純に結び付けてはいけない。インターネットという媒体への理解と認識が、行政側にあるのかどうかが疑問である。健全性は行政介入ではなく、モラル教育によって保たれるべきだと思う。ゲームというメディアについて、ゲーム関係に詳しい同世代の知人からの意見です。私はゲームというメディアにはそれほど詳しくはありません。ただ、若年世代には身近なメディアですからあえて他人の意見を参考までに添付します。表現の自由を行使した結果として少年犯罪が増えるリスクより、行政が表現の自由に介入して民衆が受ける損害のほうがはるかに大きいと思います。そもそも犯罪の抑制は、表現の自由の規制によってではなく、教育やモラルの向上によってなされるべきだと思います。例えばゲーム、メタルギアソルトⅡサンズオブリバティというゲームだそうですが、基本的には敵を倒しながらミッションを達成するアクションゲームです。プレイヤーは銃などの武器を使って敵を倒す、敵を殺さずに麻酔銃で眠らせて先に進むことが出来る。実際、スナイパーライフルにも実弾と麻酔銃と2種類があるが、実弾を使って敵が血を吹きながら倒れていく様子をスコープ越しに見ると、凄い嫌悪感に襲われる。敵を殺して進むか眠らせて進むかはプレイヤーの選択に委ねられている。ゲームをクリアすると、クリアにかかった時間とアイテムの使用数の他に殺した敵の人数がでてくる。当然、これが少ない程評価が高い。登場するキャラクターが持つ生き方や考え方など、精神的なことも理解しながら進む、このゲームには魂や生き方を後世に伝えることという、深遠なメッセージが込められている。しかし役人がゲームに込められたメッセージを理解するとは思えない。役人は単純にもっと残酷な方法でゲームを進める状況を見て、残虐性を助長する恐れがあり、青少年育成にとって不適切であるというレッテルを貼るであろう。』以上でございます。

増子 委員長

ありがとうございました。皆さん言い足りないこともあろうかと思います。ご意見をどうぞ。 

松本 委員

素朴な疑問ですみませんが、数日前の新聞でキャスターの方々がこの法案に対して反対しているという写真と記事が載っておりましたが、朝日系列からはどなたが出たのですか。

桑折 専務

蟹瀬さんと俵さんが出ておりましたね。

松本 委員

もう一つ。岩手県の先生の大きな問題が2つありましたね。黒沢尻北高校の理科の実験の問題と、盛岡市内の高校の陸上部の先生の問題と。不思議だと思うことは、黒沢尻北高校は校名が公表になったのに、盛岡市内の高校は校名が公表されていなですね。その違いは何なのでしょうか。

桑折 専務

今、県教委が情報を取得していたことが問題になっていて、積極的に出すようになっていますので、その時点の問題ではないのでしょうか。黒沢尻北高校の事案にしても問題が起こったのは去年の話ですから。

増子 委員長

ですから出していないということですよね。情報を出したものを新聞やテレビが報じない、書かないということは通常考えられませんからね。

人権擁護法案の報道による人権侵害については、『つきまとい』や『待ち伏せ』『押しかけ』などといったかなり酷い表現がありましたね。テレビ関係者がシンポジウムで「我々はストーカーではない。」と怒っておりましたように、いくら何でもそういった表現はないと思います。反復取材というのは記者であれば当然やることで、記者であれば誰もが経験していることです。一度行って駄目だった人には何度も訪れて、その間に相手との間に人間的な関係が出来て、相手も本当のこと、新しい事実を言うという経験は、大抵の新聞記者、放送記者なら持っているのです。こちらもどうしても知りたいという気持ちがあって、しかも礼儀に適った形で何度も行けば、自ずから相手も心を開いてくれるというケースは物凄く多いのだけれども、この法案だと、何回行ったからもう駄目だとか、中味を考えずに外形だけで色々と問題にされるという、本当に基本的な記者の取材を抑制する部分を含んでいるわけです。その辺りが物凄く危険な規制だと思います。

桑折 専務

石井委員がおっしゃったように、しかもその基準が曖昧で包括的すぎて、どこまでが合法でどこからが違法かという境界が曖昧ですよね。

蓮見 社長

それはそういった問題には、線を引けないと思いますよ。

及川副委員長

過激な言い方かも知れませんが、取材が過熱して体がぶつかったりマイクがぶつかったりといったことは如何かなと思いますが、シャカリキに重要な問題について記者なりジャーナリストが一生懸命追求することは全く自由だという前提を、我々はまず認識する必要があると思います。ですから多少過激になっても過熱しても良いのであって、過熱してはいかんとか、この程度ではいかんという条件を付けると、原理原則がおかしくなってくるのです。過熱して人の生活を乱したり何か起きた場合は、社会的に批判されてそれが解決されていくという道筋を辿るべきだと思うのです。様々なチェック機能が働くとは言っても、法案として立法府に出されている段階では、原理原則に関わる危険な内容を含んでいるものは、やはり廃案にする以外に無いと私は思います。その上で必要な社会的規制を何らかの形で法律化するというのは、また考え直すということで。今の政治的な状況の中で出されている法案を巡る話し合いで、肝心要のメディア規制の部分を完全に取り払うことは出来そうにないのですが、継続審議になったものもありますし、これはやはり廃案の方向でしか現実的には解決する方法は無いと思います。近代民主主義はフランス革命のモットーになっております、自由・平等・友愛あるいは博愛、この3つのモットーでイメージしてきたと思うのですが、あれはブルジョアジーの市民社会実現の革命の結果でして、この3つだけではなくてもっとあるんです。その中には私有権や抵抗権、革命権などもあるのです。ところが自由・平等・博愛だけになってしまっているんですね、しかも自由だけを我々が強く受け止めて、また戦後教育されてきた気がするのですが、考えてみると力の強い人やお金のある人、権力を持っている人は大いに自由だけれども、私らは非常に不自由な関係にあるわけです。強い者が自由で弱い者は不自由で、本来なら平等のモラル価値観を大事に考えていく。そうすればまだ被疑者は無罪なわけですし、取材される側のことも同じ人間として考えるということで、単なる自由の振り回しではない、弱者と強者との関係全て、今の社会の様々な歪を解決する上でも、自由よりも平等の意識を押し出して行く必要があるのではないかと思います。原理原則に関わってくることについては妥協の余地はない気がします。

蓮見 社長

こんな法案は民主主義国家にはありませんでしょう。

増子 委員長

少なくとも、官が判断する国はないと思います。

桑折 専務

今ある法律の中で充分に自主規制なり抑制が図られるはずですよね。名誉棄損があれば損害賠償も出来ますし、それからメディア自身が自主的に向上委員会や放送と青少年に関する委員会を設けていますからね。新聞にもありますよね。

増子 委員長

ありますね。ですからテレビも新聞も本気で作り出していますよね。

蓮見 社長

ただ一つはどなたかがおっしゃったように、確かにメディアが後手にまわっているということは感じられます。やはりこういった問題が提案される前に何故それをもっと強く打ち出していなかったのかと言われたら、弱い部分はありますね。

佐々木事務局長

松本委員がおっしゃったように、放送局も委員会を設けるなど様々なことはやっているのですが、それを強くPRするというか、視聴者には上手く伝わっていないということは事実あると思いますね。

及川副委員長

一般視聴者とどう繋がっていくかということは、この法案がもし通ってしまったら余計に大事なことだと思いますね。

蓮見 社長

先日の参議院で審議された後、小泉首相に取材をしたら、メディアは個人に迷惑をかけているじゃないかというようなことを言ったそうですね。そういう観点で彼らはこの法案を通そうとしているんじゃないですか。

増子 委員長

これは皆さんのための法律なのですよと出してきているでしょう。ですがよく考えてみると違うわけですよ。そこをどう説明するかというと、なかなか面倒な事ですよね。相当辛抱強く噛み砕いて、一般の人たちの共感を得るようにもっていかないと、抵抗は相当難しいという気がします。

蓮見 社長

何故今この法案がなのかというと、やはり政治家の今時のスキャンダルでしょう。

増子 委員長

整理された文章にはそういったことは出てこないのですが、実際の委員会等でも議論ではもっと激しいことがあからさまに出ているのですよね。マスコミはけしからんとか叩けとか。

蓮見 社長

テレビ朝日は特にニュースステーションなどは睨まれていると思いますよ。政治家にとっては憎い番組だと思いますよ。しかし、ああいう番組が無くては今回の問題は出てこないわけだし。

及川副委員長

この場合、電波が国家に管理されてしまうことが民放にとっては特に危ないと思うんですね。

蓮見 社長

むしろメディアが行政を監視しなくてはいけないのに、逆の立場になってしまうわけですよ。

増子 委員長

それと大事なのは、基本的にメディアの一番大きな役割の一つは、権力を批判することだと思います。他に誰も出来ないことですから、これが出来なくなってしまったのならば、メディアではないし、世の中真っ暗になってしまいますよ。

横舘 取締役

新聞は自由ですが、周波数には限界がありますので総務省が管轄してテレビは自由には流せないということにはなっておりますが、行政が介入してくるということは、行政にとって都合が良いから介入してくるのであって、自民党には全てのテレビ局の番組を一日中見ているという部署があるそうですが、それを現実的に法律でそうしてしまおうということだと思うんですよね。ですから、ニュースステーションも録画をしながらしっかりと見て、何かあればすぐ電話が来たという時期がありました。それから汚職事件の場合に、本人の家や関係する家に行って“こんにちは、汚職に関係する資料があったら下さい”といって“ハイ”と出す所は無いと思うんですよ。その場合、先ほどおっしゃいました調査報道というのは成り立たない訳ですから、欧米にもこういうものは無いですし、かなり深刻な事態だと思います。

石井委員

この問題については、テレビの世論調査やこの法案に対する国民の支持率といったデータはまだ無いのでしょうか。

横舘取締役

そういった大々的な調査データはまだありません。

石井 委員

非常に重要な事柄であるにも関わらず、つまらないと言うと語弊がありますが、集中大量報道の影でメディアが報道してこなかった部分が相当あると私は感じるのですが。

蓮見 社長

今度、5月27日に放送いたします「ザ・スクープ」という番組があるのですが、これをご覧になって頂ければ、いわゆるメディア規制三法案についてご理解頂けるかと思います。先ほどおっしゃっていた取材者側の繰り返しの取材、これがいかに大事なのか、それが国民にとって非常に大事であるということが、実例として挙げられていますので、是非見て頂きたいと思います。

及川副委員長

やはりちょっと遅かったですよね。もっと早くに上程出来ないくらいの社会的連結を作らないと。

蓮見 社長

5月27日の放送では少し遅いですね。

それでは色々なご意見を頂きましたので、岩手朝日テレビとしての見解をまとめさせて頂いて、民放連へ当然フィードバックしなくてはいけない時がきますので、提出させて頂きたいとおもいます。よろしくお願い致します。

増子 委員長

それでは、事務局長へお返しします。

佐々木事務局長

ありがとうございました。次回は5月31日にお願いしたいと思います。

合評につきましては、先ほど及川副委員長からもお褒め頂きましたが、「現代進行形TVイマジン!」についてお願い致します。これは青少年に見て貰いたい番組としてスタートしております。よろしくお願いします。

増子 委員長

それでは終了いたします。ありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

特になし

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎ 5月度単発番組編成予定表

◎ 視聴者応答記録(3月)

◎ BRC「委員会決定」事案と判断内容

◎ メディア規制関連法案・資料