放送番組審議会

5月(第58回)

概要

 岩手朝日テレビの第58回番組審議会(委員長 増子義孝県立大学教授)は5月31日(金)、盛岡市盛岡駅西通の同本社で開かれた。

 今回は「現代進行形TVイマジン!」について審議した。その中で、

  • 人間を対象としたドキュメンタリー番組で、感動した、勇気を与えてくれる番組である。
  • 新宿ラーメン戦争は、題材が月並みで不満が残った。
  • 感動的な番組である。タイトルのつけ方が疑問。コメンテーターはもう少し人生経験のある人のほうが良い。番組の頭の部分で献立がわかるようにしてほしい。
  • 動物への深い愛情。親子のふれあいに心打たれた。人を元気付ける番組である。
  • 題名と中味がアンバランス、題名でおおよその中味がわかるようにすべき、取り上げる素材に苦労するのでは。ナレーションは良い。
  • 前向きな生き方を伝える番組である。ドキュメンタリーとしては、重苦しくなく軽いタッチで見られる番組である。真中瞳はミスキャストではないか。
  • 期待通りの番組である。人間ドキュメントと情報ドキュメントの両面を兼ね備えた番組である。タイトルのイマジンはそぐわない。森本レオのナレーションは素晴らしい。

などの意見が出た。また、メディア規制法案に対し、

(メディア規制関連法案に反対する声明)

2002年6月4日

岩手朝日テレビ放送番組審議会

   (委員長 増子 義孝)

岩手朝日テレビ放送番組審議会は、今国会に上程されている「個人情報保護法案」「人権擁護法案」及び上程の準備が進められている「青少年有害社会環境対策基本法案」の、いわゆる「メディア規制三法案」に対し、全会一致で反対の立場を表明します。

三法案の掲げる「個人情報の流出防止」や「人権侵害からの救済」そして「青少年の健全育成」等の理念には異存はなく、きわめて重要な課題であると考えます。しかし各法案の内容は、本来の目的を逸脱し、放送を含むメディアの活動に公権力が深く関与し規制しようという意図が明らかで、民主主義の根幹をなす憲法21条「言論と表現の自由」を侵し、国民の「知る権利」を侵害するものと言わざるを得ません。

 そしてこの三法案は、放送法に基づき放送番組の適正化に自主的に取り組んでいる、放送番組審議会の役割とその存在意義を、著しく損なう恐れがあると深く憂慮するものです。

民主主義の根幹である「言論と表現の自由」を保障する為には、メディアの独立と自由が確保されなければならないと確信します。本来行き過ぎた取材等については、メディア側の自主、自立的な取り組で処理されるべきものであって、公権力が介入する事は許されるべきではありません。従ってこの「メディア規制三法案」に深い憂慮を込めて、強く反対を表明するものです。

との反対声明を全会一致で出すことに賛成した。

出席委員は、及川 和男副委員長、石井 三郎委員、大坊 忠委員、小川口 柳太郎委員、宮野 裕子委員、松本 直子委員、笠川 さゆり委員の7名。欠席委員は、増子 義孝委員長、植本 花子委員、松尾 正弘委員の3名。

議事録

1.    平成 14年 5月 31日(金)午前11時~

2.    岩手朝日テレビ本社3階会議室

3.委員の出席   

委員総数 10名

出席委員数 7名

副委員長 及川 和男

委員 石井 三郎

委員 小川口 柳太郎

委員 笠川 さゆり

委員 大坊 忠

委員 松本 直子

委員 宮野 裕子

欠席委員数 3名

委員長 増子 義孝

委員 植本 花子

委員 松尾 正弘

会社側出席者名

代表取締役社長 蓮見 博民

専務取締役 桑折 勇一

専務取締役 村上 昇

取締役 横舘  英雄

取締役業務局長 河邊 喬

報道制作局長 星井 孝之

業務局次長 末吉 正憲

番組審議会事務局長 佐々木 瑞夫

番組審議会事務局員 佐野 尚

4.議題

(1)6月の番組編成について

(2)番組合評

「現代進行形TVイマジン!」

(3)その他

   「メディア規制法案」に対する反対声明について

(4)次回の審議会

開 催 日:平成14年6月27日(木)

合評番組:「Yui」(土曜 9:30~9:45)

     「決定!これが日本のベスト100」(日曜 18:56~19:56)

(5)閉会

5.概要

「現代進行形TVイマジン!」について

* 人間を対象としたドキュメンタリー番組で、感動した、勇気を与えてくれる番組である。

* 新宿ラーメン戦争は、題材が月並みで不満が残った。

* 感動的な番組である。タイトルのつけ方が疑問。コメンテーターはもう少し人生経験のある人のほうが良い。番組の頭の部分で献立がわかるようにしてほしい。

* 動物への深い愛情。親子のふれあいに心打たれた。人を元気付ける番組である。

* 題名と中味がアンバランス、題名でおおよその中味がわかるようにすべき、

取り上げる素材に苦労するのでは。ナレーションは良い。

* 前向きな生き方を伝える番組である。ドキュメンタリーとしては、重苦しくなく軽いタッチで見られる番組である。真中瞳はミスキャストではないか。

* 期待通りの番組である。人間ドキュメントと情報ドキュメントの両面を兼ね備えた番組である。タイトルのイマジンはそぐわない。森本レオのナレーションは素晴らしい。

「メディア規制法案」に対する反対声明について

メディア規制法案への反対声明は全会一致で出す事に賛成する。

6.議事の内容

佐々木事務局長

只今から第58回番組審議会を開催いたします。本日は増子委員長、植本委員、松尾委員が所用のため欠席でございます。それでは弊社社長、蓮見よりご挨拶申し上げます。

蓮見 社長

おはようございます。さて、昨日の岩手朝日テレビの決算役員会に於いて、私は社長を退任することになりました。桑折専務も退任することになりました。大変長い間、先生方にはいろいろとご意見を頂戴致しまして心から感謝申し上げます。昨今、メディア規制三法案につきましては国会等で論議されておりますし、昨日、東北のテレビ朝日系列の社長会が仙台でございまして、社長会としてもこのメディア規制三法案には反対であるという声明を昨日出しておりますので、わが社もその一員であるということになります。各局の番組審議会の意見をまとめておりますので、岩手朝日テレビの番組審議会としての意見をまとめて頂ければ、大変に有難いと思いますので、本日もひとつよろしくお願い致します。大変に恐縮ではございますが、私は退任に伴いまして所用がございますので、今日はこれで失礼させて頂きます。また後ほど、皆様にお願いすることもあろうかと思いますので、その時はよろしくお願い致します。長い間、有難うございました。

佐々木事務局長

ありがとうございました。それでは及川副委員長、議事の進行を宜しくお願い致します。

及川副委員長

それでは、増子委員長が欠席でございますので、私が代わって進めさせて頂きます。

6月の番組編成からお願いします。

河邊業務局長

6月の番組は、レギュラーについての変更はございませんので、単発について説明させていただきます。今日からワールドカップが開幕します。6月4日に日本×ベルギー、6月9日に日本×ロシア、6月14日が当系列で権利を獲得しました日本×チュニジアを中継いたします。この3戦が予選ラウンドで組まれております。この結果、決勝トーナメントへと参りますが、6月いっぱいはワールドカップで話題が持ちきりになるであろうと思われます。その他でも単発番組はスポーツ関係が多くございます。15日からは「全米オープンゴルフ」と「ルマン」といった恒例の中継番組が放送されますし、野球中継もございます。17日からはIATスーパーJチャンネル内で「純情応援歌~生徒たちがつくった学校紹介~」が放送されます。これも毎年恒例ですが、7月13日から始まります夏の高校野球岩手大会に参加する高校の生徒達自身が制作した学校・チーム紹介ビデオを4週間ほど放送します。今年は参加89校中、72校が純情応援歌に参加します。昨年よりも5校ほど増えております。また、24日には恒例の「ネイチャリングスペシャル シンドバットの海」、今回は海から見えるアジアをテーマに、インド洋の大いなる謎と冒険を求めるという内容で放送します。30日のワールドカップ最終日には東京スタジアムで行われる「ワールドカップオフィシャルコンサート」を放送いたします。簡単ですが以上で説明を終わらせていただきます。

及川副委員長

ありがとうございました。それでは番組合評の議題に入らせて頂きます。4月から始まった「現代進行形TVイマジン!」ですね。この番組は、5月は野球放送で1回しかありませんでしたね。皆さんからご意見を伺いたいと思います。小川口さんからお願いします。

小川口 委員

今もお話がありましたが、5月に入ってから見ようかなと思っていたところ、5月21日しか見られませんでした。結果としてはのめり込んでみてしまいました。司会の大塚アナウンサーはもの静かな方ですし、番組もゲストが沢山出てワイワイとやる感じでは無く、静かに進む番組だと思って見ました。自然や動物、食べ物などをテーマにした番組も良いですが、やはり人間を対象にした人間ドキュメンタリー番組は良いなと思いました。世の中には様々な人がいて、色々なところで頑張っているんだなと感じました。私が見た回では、ます熊本の動物病院をとりあげていました。1日も休むことなくペットの治療にあたる獣医さんの素晴らしさを見て勇気を貰った気がします。次には全盲のランナーである父親と伴走者の娘さんを取り上げていましたが、私は娘さんに感動しました。親子のやりたいことが一致して、一緒にマラソンを走る姿は純心で、感動して見ておりました。最近の番組はラーメン屋対決とか順位を競うものが多い中で、人間をテーマにしたドキュメンタリーで、これからも様々な人を紹介していって欲しいと思います。ただ、この時間帯は夏場は野球中継が多くなりますし、サッカーもありますので難しい時間帯だとは思います。以上です。

及川副委員長

ありがとうございました。それでは松本さんお願いします。

松本 委員

新宿ラーメン戦争を見ました。気のせいでなければ丁度、「決定!これが日本のベスト100」でも5月中にラーメンを取り上げていて、それと非常にダブった感じがして、またラーメンかという印象がどうしても拭えなくて、ラーメンは取り上げられやすい題材ではありますが、身近な話題すぎて新しい事実や真実と言われても、そうかな?と思いながら見てしまって、新しい真実や事実を掘り起こす難しさを感じました。身近だけれども知られていないところにスポットを当てたい番組でしょうが、ラーメンに関しては苦しいかなと思いながら見ました。それだけに次の回を見ようと思っていたのですが、見る機会を得ることが出来なくて残念に感じました。

石井 委員

私も動物病院と盲人ランナーを取り上げた回を見ました。よくこれだけ感動的なテーマのものを2本揃えたなという気がしました。他の回を見ておりませんから全体的にどうかとは言えませんが、この回については良い番組だったなと思います。番組のタイトルがとっつきにくいので、視聴者が見る意欲が沸くのかどれだけ刺激されるのかが疑問です。もう少し適切なというか、内容が良く分かるようなタイトルが良いと思います。ナイターの裏番組的な位置づけになっているのが非常に勿体ない、土曜や日曜の落ち着いて見られる時間帯にこういった番組を是非設定して欲しいと思います。番組の内容は2本とも感動を呼ぶテーマだったのですが、大塚アナ以外のコメンテーターが若い、それとゲストも非常に若い。こういったテーマの番組でしたら、私の好みですが黒柳徹子さんなどがコメンテーターであれば、社会問題や動物愛護等で良いコメントが得られたのではないかと思いました。黒柳さんに限らず、社会的貢献の実績がある人があった方が良いと思います。それから、番組構成上、種あかしが後になるようで予告はしづらいかと思うのですが、良いテーマを2本も取り上げるのなら、イマジンボックスに拘らずに番組の冒頭で予めその日にやるテーマを教えて欲しいなと思います。以上です。

大坊 委員

ペット病院の先生の献身ぶりには、ほとほと参りました。私共のコンビニエンスストアも365日24時間営業しておりますが、先生はいつ寝ることが出来るのかな、ご夫婦で24時間体制やるということが素晴らしいなと感動しました。私も犬を飼っていて、エサを与えると擦り寄ってきて可愛いのですが、このペット病院の先生のような気持ちに果たして私はなれるのかな、ここまでペットに気持ちを込めることができるかな、と思いながら見ました。国際レースに挑んだ盲目の父と娘の話では、一本のロープで心が一つになっている、いわば二人三脚でゴールを目指すシーンに感動しながら、もし私がこの父親であったらどうであろうか、娘と一本のロープで結ばれて走れるのか、気持ちとしてはそうでありたいけれども、本当に行動として出るのかなと思いながら見ました。今の時世、暗いことが多い中で、人を感動させ元気付けるドキュメントを映像にしたことは本当に素晴らしいし、今後も続けて欲しいなと思うし、世直しと言うと大げさですが、くすんだ気持ちを元気付ける番組であって欲しいと思います。

宮野 委員

何点か感じたことを申し上げます。まず最初に感じたことは題名と内容がアンバランスだということです。5月7日のラーメン戦争は、こういったてあいの番組はよく見るし、それなりに面白いし、娯楽の時間としては娯楽になるかなと思いながら見ました。丁度、番組の後に上京する機会がありまして、紹介されたラーメン屋さんに行きました。味はまあまあでしたね。新宿の小田クリニックの赤ひげ先生も訪ねてみたいと思い探しましたが、見付けられませんでした。こういった意味では、テーマを提供することは面白いかなと思って、話題性もあっていいんじゃないかと思いました。ペット病院の回も見ましたがどちらの回を見ても、どこかで見たような番組だな、ネタ切れにならなければいいなと思ったのが一番の印象です。火曜の午後8時は、私の年代ですと他局に見る番組が無いので良い時間帯だとは思いますが、石井さんもおっしゃいましたが土曜の午後などゆったりした時間帯に再放送でもあると見たいなという番組です。これからもちょくちょく見て行きたいなと思う曜日と時間帯でした。ナレーションも付かず離れず、それほど自己中心的にならずにそれなりに良かったと思います。以上です。

笠川 委員

番組全体的に、夢に賭けるとか夢を達成するためにはどうしたらよいかという前向きな生き方が伝わってくる、好感が持てる番組だなと思って見ました。ドキュメントタッチな番組は他局でもありがちですが、司会の3人のキャラクターもあってか、ドキュメンタリーという重厚なイメージよりは軽いタッチで見ることが出来る番組だと思いました。4月に頂いた新番組の紹介にも、単なる情報ドキュメンタリーではなくてそこで懸命に生きる人間に目を向け、その人の考えや行動を克明に追い、その個々の心情まで描くヒューマンドキュメンタリーでもあると書いてあったのですが、その意味では上手にまとめられているのかなと思いました。ただ、全体的に軽い仕上がりなので、ワイドショーの中のコーナーのような感じも受けられたので、ちょっと軽すぎるのかなという感じも受けました。動物救急病院は、確かNHKで今回取り上げられた先生も勉強に行ったという、アメリカの動物病院の特集が先月でしたか流されていましたので、それを見てこういう病院が日本にもあればいいのになと思っていたところに、今回の番組があったので、こういう病院が少しずつでも日本に増えたらいいなと思って見させていただきました。それから個人的に、ニュースステーションや冬季オリンピックを見て思ったのですが、真中瞳さんの喋り方が、声のトーンのせいか口に力が入らない喋りのせいか、司会には向いていないと思います。どうして起用されたのかなと思いながら見ております。以上です。

及川副委員長

ありがとうございました。先月も私は発言をしましたが少しばかりお話します。4月に番組を2回見まして、情報ドキュメンタリーとしてなかなかの出来だし、ヒューマンドキュメンタリーとしても面白くて今後に期待したいという趣旨の事を申し上げまして、期待して見たのですが、全くその期待を裏切らない、なかなか良い作品だったと思います。ラーメン横丁は、長い行列が出来る有名店だけではなくて、夫婦や家族経営でやっている安さだけが売り物のような店も取り上げて、サバイバルの中で一生懸命になっている業者達の姿を追ったという、とくに八十番ですか、夫婦だけの小さなラーメン店の映像は、ヒューマンドキュメントとしても見る側に哀歓の情を与えるような、大都市の谷間の西部新宿の土地で一生懸命頑張っているという、何かそういうものが伝わってくる。新メニューを開発して美味いものを追及することでは表現できない、そういったところまで捉えている演出の目はなかなか評価していいんじゃないかと思いました。赤ひげ先生も、私の息子が新大久保の近くに下宿したことがあって新宿から歌舞伎町、職安通りを横切ってよく歩いたものですが、今はちょっと入りにくいような感じですね。国際化というかアジア化して犯罪の巣にもなっているような、そういう歌舞伎町の華やかさと暗部とが渦巻くという場で、ああいう良心的なドクターが診療を続けているということ。そこに来られる患者さん達もアジアから来ていたりして、体が悪くなっても仕事が辞められないような状況があるわけです。そういう中で一生懸命良心的に診療を続けている医者の姿、これは文句なく私共に感動を与えるものだと思うんです。“そこはかとなく”という表現を使いたいのですが、現代を感じさせる、そういうような映像だったと思います。21日のペット救急病院24時は、診療科目の多さとか診療体制がすごいですね最新設備でもって。それで24時間フルでというドクターの態度。そういう凄さ素晴らしさでまず圧倒されましたけれども、その後の映像がやはり単なる看板だけではなく実にドクターとスタッフが一生懸命やっているという。ペット病院というのは、ペットを愛する人につけこんで儲けちゃうみたいな所もあるのですが、この動物病院は本当によくやっているなと見えました。特にフィラリア症の手術の衝撃的な映像は初めて見たのですが、捨て猫を拾ってきた青年それがやがて5匹引き取りが現れる、というようなエピソードも挟んでなかなか良く構成していると思います。ここでも所謂情報のドキュメンタリーと同時にヒューマンドキュメンタリーであると感じました。父と娘の盲人マラソンは言うに及ばずです。番組の狙いとして、“現代進行型”ということはいいとして“イマジン”というのはプロがあまりにも捻って考えすぎた部分があると思うのですが、やはりここには“今”というものが被さっていると思うんです。番組の狙いとして“今”をよく捉えているんじゃないかと。発見とか感動を与えてくれるということと、ヒューマンドキュメンタリーとしても質の高さを見せているということです。総体を通じてどれも一生懸命生きる人間の姿を描いているからこそ、単に面白おかしく情報の切れ端を浴びせかけるという番組に陥らない、見ごたえあるものになっていると思いました。こういうスタッフの制作態度を大いに評価して、今後に更に期待を持ちたいと思って見たわけです。総じて好評のようですが、更に付け加えてお話になることがございましたらどうぞ。本当にアンテナを張って良いネタを集めるということは大変でしょうね。

小川口 委員

ナレーションの森本レオさんですか。ポツポツと静かに語る語り口が良いですね。

及川副委員長

“イマジン”とはどういう意味なのですか。

河邊業務局長

今の人という意味じゃないですか。

松本 委員

ジョンレノンの名曲のイマジンからとったのかと最初は思って、随分壮大なタイトルを付けたと思っていました。

宮野 委員

最近は捻った題名が多いですよね。もう少しダイレクトな方が分りやすいなと思うのですが。

及川副委員長

NHKのプロジェクトX、あれはかなり見られていると思うのですが。この1時間にテーマが2つという構成については、内容が軽くなってしまうのではという意見もありましたが。

石井 委員

2つのテーマの時間配分も微妙に違いますよね。その辺もバランスをとったら良いと思いますが。

及川副委員長

短いテーマの方が軽くなる、スケッチになってしまいますね。

宮野 委員

短い方に印象が残る場合もありますね、赤ひげ先生のように。

笠川 委員

午後8時からの番組ですから、あまり重いテーマのものより、家族で見る軽いタッチのものの方が見やすいのかなとも思いますね。ただ番組欄を見て、これは絶対に見ようと思って見るのではなくて、テレビをつけていたら流れてきて、何か良い話をしていたなという雰囲気を受ける番組かなと思います。

及川副委員長

今こういう時代の中で、こういう人もいるのか、こういう人生もあるのかという、いわばそれは文学的な感動なのですが、それは勿論大事な事だと思うのですが、情報ドキュメンタリーという情報の今という新しさにも力を入れないと、単なるヒューマンドキュメンタリーになってしまいますね。そこが難しいと思います。ラーメン屋さんが新メニューを開発して競っているというのは分りきった事ですよね。その中でこんな新しい事も、という所に欠けているんじゃないかと。この番組を見れば情報ドキュメンタリーいう新発見、新事実があるという。ネタ探しも大変でしょうが頑張って欲しいですね。ほかにご意見が無いようでしたら次へ入ります。メディア規制法について番組審議会としての反対の態度表明をするということについてですね。いろいろと動きがあり、また要請等もあるようですので事務局長からご説明を受けたいと思います。

佐々木事務局長

4月25日の番組審議会でメディア規制法に関して審議頂いた内容は、岩手朝日テレビの番組審議会の意見として、民放連に概要の報告はしております。概要につきましては、お配りした資料をご覧下さい。それを踏まえて民放連から、もう一歩踏み込んだ形で反対の声明文を出して頂けないかという要請がございました。これは強制ではございませんが、わが社の番組審議会としてもその方向でまとまるのであれば、声明文を提出したいと思います。参考までにテレビ朝日と青森朝日放送の反対声明を資料に入れております。東北6県で反対声明を出した系列局は山形と青森です。その他の系列局はわが社も含めて、今、審議されておられるようです。委員の皆様のご賛同が得られるようであれば、先月の審議会での審議内容を踏まえて声明文を作成し、また皆様の了解を得た上で提出したいと思いますので、皆様の率直なご意見を伺いたいと思います。

及川副委員長

前回の審議会での皆様のご意見に基づいて、今日欠席しておりますが増子委員長と私と佐々木事務局長とで実務的にまとめたいと思いますので、委員の皆様には信用して一任して頂きたいなと私は思いますが、どうぞ忌憚なくご意見を出して頂きたいと思います。個人情報を守る大切さについてはこの前もご意見が出ておりますし、これに関しては何も異論はありませんが、それに乗じた言論表現の自由に公権力が介入し得るという危険性を持っていることに我々の危惧があるわけでして、防衛庁の問題や、岩手県庁のホームページで開示請求者の名前が分るといったミスが起きておりますので、皆さんの前回のご意見以後の考え等をお聞かせ願いたいと思います。その上で最終的にまとめたいと思います。

宮野 委員

個人情報保護法案について定義付けが難しいと思ったのは、及川先生もおっしゃったように防衛庁の問題や岩手県の情報開示請求者の名前が分るといったような非常に考えさせられることが起こって、前回はメディア規制法に反対ですとは言ったものの、どこまで個人情報を流していいのだろうか、報道の一端を担う者として強く思います。例えば建設業界ではここ一ヶ月、多くの事がありまして様々な個人の経歴を知りたいという問い合わせがありました。我々もある程度の事を掴んでいても、どこまで話して良いのか、ある程度お話しすると「それだけですか?」と。もっと知りたいという「もっと」とは何なのか。どこまでを開示するのか、それが個人情報保護法案が通って保護されたら何も話すことが出来ない、通らなければ全て開示するべきだというのか。常識で判断できる、というか全てを言葉で定義しなければ法律にならないのか、ということをここ一ヶ月考えていることです。確かに個人情報は保護したほうが良い部分と保護せずに公的に出して良い部分があると思うので、その定義付けが分らなくなってきました。ですから、メディア規制関連法案と個人情報保護法案は分けて考えたら良いと思います。国会議員の皆さんも分らなくなっているんじゃないかと思います。自分達を守るためにメディアを規制すると言ったのかも知れないけれども、それが一般国民の個人情報となるとどうなのかと考えることが多いです。皆さんもそう感じているんじゃないかと思っての意見です。

及川副委員長

官の側が膨大な情報量を持っていますよね。そちら側が漏洩したり悪用したりすることに対する罰則に比べて、民の側が一生懸命調べたりする活動の中で得た情報の扱いについて公からの規制をし、しかも罰則が民の方に重い内容になってしまう。しかも拡大解釈されそうな点が沢山あるという点で、宮野さんがおっしゃったような心配があると思います。やはり、個人のプライバシーなり個人に関する総せい番号制になっていけば尚更、人権名誉を守るために個人情報を大切にし、特に官の側がしっかりと守るという法律であったら良いと思います。何でマスメディアや書き手を規制するものを一緒にくっつけたのかという所が疑問です。青少年有害社会環境対策基本法案についても、大切なことを法案化することは良いのですが、何故これにマスメディア規制が一緒になるのでしょうか。

石井 委員

前回も申し上げましたが、規制すべき一面も部分的にはあると思います。しかし現在提出されている法案は極めて問題が大きすぎるし、政治や経済に始まって文学や芸術に至るまで全ての目となり耳となっているのは、やはりマスコミの力による所が大きいので、メディアの規制だけはどうしても法案から100%外さなくてはいけない。そうなると現在の法案にまず反対をし、尚且つメディアについては完全除外ということを要求すべきだと思います。我々は法律の専門家では無いので、法案すべてに反対してしまって良いのか自信がありませんが、放送番組審議会としての意見であれば、メディアに規制がかかるのはよろしくないと思いますので、この部分の完全自由を目指すべきだと思います。しかし、メディア関係以外には無関心ということでは、かなりエゴイスティックな意見になってしまいますが。法案にはとにかく反対である、特にメディアに関する部分は絶対に認めることは出来ない、という声明を私なら書くと思います。勿論、委員長、副委員長に一任したいと思います。

及川副委員長

来月ございます系列局の放送番組審議会委員代表者会議に増子委員長が出席されますが、そこで出す声明の原案が資料にございますね。その中でも『個人情報保護、人権擁護、青少年健全育成は、それぞれ重要な社会的課題である。』ということは認め、その前提に立って「だが」ということで石井委員から憲法21条の保障する「言論表現の自由」の権利を脅かす危険を孕んでいるという意見がありました。ここに番組審議会として座視できない、あくまでもメディアの自主性自立性に於いてこそ貫かれるべきであり、我々番組審議会もその為にこそ法律に定まって設定されているわけです。

松本 委員

この先の事にも非常に関心があるのですが、反対声明がこれ程出て来て、恐らく廃案になるのではと思うのですが、その後はどうなるのでしょうか。前回も申し上げましたが、この法案を揉んでもっと良いものになる可能性があるのならば、廃案になっておしまいではなくて、廃案に追い込んだ後のことまで考えて行動して欲しいものだと思います。法律を作り上げていく為にマスコミ側の席も設けて貰いマスコミの意見を反映させて、将来的に理想に近いものが出来るような方向に進んでいかないと、いつまでも収拾がつきませんので。先の事も踏まえた声明文の出し方をして欲しいと思います。

及川副委員長

松本さんがおっしゃるように、国会で良識を発揮して修正をちゃんとして、憲法違反になるような条項はすっかり綺麗に取ってしまうのであれば良いのですが。会期延長をして、昨日今日のニュースでは小泉首相も修正にも応じて民主党あたりの意見も取り入れて、出来るだけ有事法制案とこれは通したいということは言っているようですが。そういう良い方向で通るのか、やはり廃案には提案者は絶対にしないと思うので、継続審議扱いになると思うのです。そうすると次の会で世論の中でどういう方向付けになるのか。結局は我々の国民世論が決していくことになるので、国民世論を形成していく上でも、現在はこのままでは反対であるという表明をきっぱりとしていくべきだと私は思いますね。その上で良くない所は取れるかどうか、ということになるかとは思います。今、声明文の中にそこまで踏み込まなくてもいいんじゃないですかね。

村上 専務

5月23日時点での民放連の各地の動きという情報では、すでに102社の番組審議会で議論が行われて、その内46社の番組審議会が反対の見解を発表しているという段階です。その他、放送、新聞の地元メディアとしての反対声明を40地区で発表しております。この内30地区は新聞と放送が共同で、10地区は民放社のみでまとめたという形で、この見解を発表したと同時にまた地元選出議員に対して手渡したり郵送したりという形で行われている状況です。

及川副委員長

岩手県もやりましたよね。

桑折 専務

そうですね。民放4局と岩手日報社が共同で行いましたね。

及川副委員長

それでは前回の論議と今のご意見を土台にして、とにかく現在出されている法案に対しては番組審議会として反対であるという趣旨で、しかし三法案の中のテーマである本来の大事さは当然前提としてまとめる方向で、委員長と副委員長、事務局長にお任せ頂きたいと思います。いかがでしょうか。

委員一同

賛成。 

及川副委員長

それではそのように進めさせて頂きます。事務局にお返しします。

佐々木事務局長

ありがとうございました。次回は6月27日にお願いしたいと思います。

合評につきましては、昨年も合評頂きましたが、我が社制作の県政番組「Yui」です。4月から新しいコンセプトを元にスタートしておりますので是非ご覧頂いてご意見を頂戴したいと思います。それと「決定!これが日本のベスト100」ですが、ワールドカップやスポーツ中継がございまして、6月2日と23日の2回しか放送がございませんが、よろしくお願い致します。

及川副委員長

それでは終了いたします。ありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

特になし

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

6/3付 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

6/4のIATスーパーJチャンネルの中で、岩手朝日テレビ放送番組審議会として「メディア規制関連法案」に反対の声明を出した事を放送。

民間放送連盟に「メディア規制関連法案」に関する反対声明文を送付。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎ 6月度単発番組編成予定表

◎ メディア規制関連法案資料