放送番組審議会

5月(第98回)

概要

 岩手朝日テレビの第98回番組審議会が平成18年5月26日(金)、盛岡市盛岡駅西通の岩手朝日テレビで開かれた。

合評番組はIAT「スーパーJチャンネル」。特に、開局10周年記念企画「残したい岩手の光景」について合評を行い、

  • 時代背景について、もっと時系列を整理して紹介すべき
  • 映像の美しさがすばらしい
  • 自然の美しい映像に、そこに住む人々の営みも映し出され、好印象だった
  • 地元の方にまだあまり知られていない場所を、これからも紹介頂きたい
  • 何年か後に、同じ場所を紹介してもらいたい
  • 紹介する場所の、現在抱えている問題なども絡めて紹介すべき

という意見が出た。

出席委員は、増子義孝委員長、石井三郎委員、笠川さゆり委員、高橋真裕委員、松本直子委員、宮野裕子委員、村田久委員の7名。欠席委員は、小田島利昭委員、松尾正弘委員の2名。

議事録

1.開催日時 平成 18年 5月 26日(金)午前11時~

2.開催場所 岩手朝日テレビ 3階 会議室

3.委員の出席

委員総数 9名

出席委員数7名

委員長 増子 義孝

委員 石井 三郎

委員 笠川 さゆり

委員 高橋 真裕

委員 松本 直子

委員 宮野 裕子

委員 村田 久

欠席委員数2名

委員 小田島 利昭

委員 松尾 正弘

会社側出席者名

代表取締役社長 川崎 道生

取締役 小倉 潔

報道制作局長 小椋 和雄

技術局長 佐々木 正樹

編成業務局長 渋谷 知行

番組審議会事務局長 佐藤 祐介

4.議題

(1)6月単発番組について

(2)番組合評

IAT「スーパーJチャンネル」

特に、開局10周年記念企画「残したい岩手の光景」

(3)次回審議会

 開催日:平成18年6月29日(木)11時~

合評課題:IAT学びの旅倶楽部スペシャル「斎藤純 岩手を愉しむ二人旅」

放送日時:6月10日(土) 14時~14時55分

5.概要

* 時代背景について、もっと時系列を整理して紹介すべき

* 映像の美しさがすばらしい

* 自然の美しい映像に、そこに住む人々の営みも映し出され、好印象だった

* 地元の方にまだあまり知られていない場所を、これからも紹介頂きたい

* 何年か後に、同じ場所を紹介してもらいたい

* 紹介する場所の、現在抱えている問題なども絡めて紹介すべき

6.議事の内容

佐藤事務局長

 第98回放送番組審議会を始めます。

増子委員長

 それでは、川崎社長一言お願いします。

川崎社長

 皆様、本日も大変お忙しい中、ご出席賜りまして、ありがとうございます。

 当社の株主総会が、来月6月26日にございますが、昨日、それに向けての決算取締役会を開催いたしました。

 お蔭様で営業収益は、僅かながらではございますが前年を上回る結果となり、当社開局以来初の33億円台に乗せる事ができました。

 一方、営業費用等はデジタル化に関連した経費が相当増加し、経費の圧縮、コスト削減を念頭に、様々な取り組みを重ねてまいりましたが、それでもやはり、営業費用は前年を上回る数字となりました。結果、経常利益が前年比79.2%の約4億2千万円、また当期純利益が約2億2千万円という成績となりました。

 また、6月26日の株主総会で正式にご承認を頂く訳ですが、役員の一部の変更を決めております。

 先ず、小倉取締役を常務取締役に昇任、また、新任の取締役として、小椋報道制作局長と宮総務次長のお二人を起用する他、非常勤の取締役については、テレビ朝日内での人事異動に伴って、お一人の変更を、株主総会にご提案することといたしました。

 それから、10月1日のデジタル本放送に向けて、現在、大詰めの段階に来ておりますが、5月の連休時期をピークに、様々なレベルの総合テストを編成業務局を中心に、これまで3回にわたり試みてきましたが、お蔭様で特に大きな問題も発生することなく、クリアしてきております。

 今後、6月1日の早朝に予定される、現行のアナログからデジタルマスターへの切替を行い、今秋10月1日の本放送までの期間、様々なデジタル放送へ向けての体制を更に整えていくという状況でございます。

増子委員長

 それでは、6月の単発番組についてお願いします。

渋谷編成業務局長

 それでは、6月の番組についてご説明いたします。

 先ず、皆様ご存知のように、今月は6月9日からドイツで行われます、サッカーFIFAワールドカップに関連した番組が多々入ってまいります。順を追ってご説明いたします。

 6月3日、15時からは、童謡ふれあいコンサートin岩手の放送がございます。これは、5月21日に盛岡市民文化ホールにて米良美一さんをお迎えし収録したコンサートの模様や、出場した子供達の練習風景などを紹介した番組でございます。

 4日、14時からはIATワイド枠で「赤井英和の美食王への道 九州編」を、6日、19時4分からは、「ソフトバンク対巨人」の野球中継を放送いたします。10日、14時からはご好評頂いております「IAT学びの旅倶楽部スペシャル」の放送がございます。今回は小説家、斎藤純さんご夫婦がバイクでツーリングをしながら、岩手の魅力と、そこに住む人たちの暮らしなどを紹介していく番組でございます。また同日19時からは、「ロッテ対巨人」の試合を放送いたします。

 11日深夜、24時40分からはワールドカップ「メキシコ対イラン」の試合を、また、15日、20時からは、ワールドカップドイツ大会のデイリーハイライトとウィークリーハイライトを約2時間の枠で放送いたします。16日早朝5時からは、全米オープンゴルフの模様を、19日の最終日まで4日間連日で放送いたします。

 また、17日、16時からはYOSAKOIソーラン祭りに参加した、3組のチームに密着したドキュメンタリー番組「よさこいソーラン」を放送いたします。

 そしていよいよ、18日、21時35分からは、日本中が注目する「日本対クロアチア」の試合をお送りいたします。この放送は67%の視聴率を目標としております。どうぞ皆様も最後まで熱戦の模様をご覧下さい。

 25日、16時からはプロミスレディースゴルフ大会の最終日の模様を、また19時58分からはワールドカップドイツ大会のデイリーハイライトを放送いたします。

 以上、6月の単発番組のご説明を終わります。

 続きまして、5月の視聴率につきましてご報告いたします。

 全日では6.8%、またゴールデンは11.0%と共に第5位、プライムでは11.5%の第4位となりましたが、プライム2では7.1%で第1位の成績となりました。

 なお、視聴者からのお問い合わせに関しましては、特段ご報告する内容はございません。お配りした資料をご覧下さい。

以上です。

増子委員長

 それでは、IATスーパーJチャンネルと番組内企画「残したい岩手の光景」の合評に入ります。

石井委員

 今回の合評番組は、2週分拝見いたしました。

 一つが「岩手公園の百年」もう一つが「山吹の棚田」でした。

 「岩手公園の百年」は、紹介した時代背景が、前にいったり、後にいったりと、内容が分かりづらかったように思えました。

 もう少し時系列を整理して、歴史についての説明をした方がよかったと思います。

 それから、現在議論されております「公園の名称変更」なども絡めて取材ができなかったのかと感じました。

 「残したい光景」という企画ですが、残したいというより、変えたい部分も有るように思えました。私は常々、岩手公園には石垣しかなくて何故お城が無いのか、と言っておりますが、そのまま残せば良いという保守的な考えではなく、変えるべきものは変えていくということをしないと、地元の方の関心や、観光地としての魅力が薄れてくると思っております。本論とは関係がないことかも知れませんが、そのような視点に立っての問題喚起といいますか、提起といいますか、そういう企画があってもいいのではないかと思います。

 それから二つ目の、「山吹の棚田」につきましては、私は西の生まれで段段畑は見慣れておりますが、「棚田」が東北にも存在することを今回初めて知りましたし、また、それを維持する苦労など、番組の中で詳しく紹介されていたと思います。

「棚田」のように、今後残していくための課題、維持していくための後継者等の問題なども含め、更に掘り下げた作り方を期待し今後の放送を楽しみにしております。

 一方、スーパーJチャンネルですが、拝見した週の企画で温泉シリーズがありましたが、知名度の高い温泉ではなく、あまり知られていない温泉で、且つ素敵な温泉を紹介しており、大変興味を持って見させて頂きました。

 ローカルのニュースや話題が中心となり、とてもよく作られております。これからもこの路線で頑張ってほしいと思います。

 以上です。

笠川委員

 私は、4月27日の「徳清倉庫」、そして18日の「山吹の棚田」、25日の「川井村のタイマグラ」の3週分を拝見いたしました。

 「徳清倉庫」は、日頃、特に気にも留めず、車で通っておりましたが、放送を見て、この建物にはこのような歴史があったことを知りましが、それ以外はあまり記憶に残らない番組でした。

 「山吹の棚田」と、「川井村のタイマグラ」は、見終わった後、心に残るものがあり、「徳清倉庫」とどこが違うのか考えてみました。そこで感じたことは、棚田にしても、タイマグラにしても、自然の風景の中に、その土地で生きている方の語りが重なり合い、自然と人々が一緒に映し出されており、一方、「徳清倉庫」は、建物の歴史の話で、建物を保存するために移動する工事過程の説明が後半を占め、全く違うニュアンスの作りとなっており、この差ではないかと感じました。

 また、スーパーJチャンネルにつきましては、二人のキャスターの語りがとって感じが良く大好きな番組です。

 北上市の白鳥の産卵の放送では、結構時間を取って白鳥が卵を大事にしている映像が流れ、ただ「卵を産みました」という事実を伝えるだけではなく、親子の愛情までも紹介され、大変心温まる放送でした。

以上です。

高橋委員

 今回の合評番組を拝見し、昨年秋、福島で開催されたセミナーの際、東大の西村教授が話された、論語の「近きもの喜びて、遠きもの来たる」という言葉を思い出しました。

どういう意味かと申しますと、「住んでいる人が喜ぶような所には遠くから人が来てその町が栄える」という意味があるそうです。

 「一関山吹の棚田」と「川井村のタイマグラ」の放送は、この論語の一説が頭に浮かび、特に印象深く、光景、風景の美しい映像に、そこに暮らす人間の営みも映し出され、これこそが「残したい光景」なんだと感じました。

 今回の企画は、神社、仏閣、史跡とかを単に映し出すのではなく、そこに人間の営みが絡んでくることで、初めてその光景や風景が生きてきて、見ている者を引き付けると思います。

 一方、私はこの番組を見て、岩手県内には未だ地元の方にも知られていない素晴らしい場所や光景、景観があるのだろうと、思いました。今後も大変でしょうが、このような場所をたくさん紹介して頂きたいと思います。

 最後に、「棚田」の放送はテロップとBGM中心の映像でしたが、とても印象深く感じました。この企画の場合、人の声が入らない方が、説得性があるのではないかと感じました。

 以上です。

松本委員

 昨日の放送以外全て拝見させて頂きました。

 開局10周年の記念で取り組んだ企画と知りましたが、イベント的な事、または何かを発行するとかより、大変良い企画だと思いました。

 特に、映像の美しさが光っておりましたし、風景、光景だけではなく、そこに歴史を加えていることで、記憶に残る番組に仕上がっていると思います。最近では時代の要求かも知れませんが、風景や光景がブームとなり、岩手県としても残したい景観を県民に募集してデーターベースに残したり、NHKでは写真を集めたりしているようですが、IATでは映像という形で残しているのは大変価値のあるものだと思います。

 質問ですが、タイトルを風景、景観とせず、「光景」としたのは何故なのかお聞きしたいのですが、また、来年3月までの企画ということですが、今後この映像をどのように活用していくのか教えていただけないでしょうか。

小椋報道制作局長

 ご質問にお答えいたします。

 この企画は開局10周年記念番組として、来年3月まで全40回の放送を予定しております。

 タイトルを何故、風景や景観にしなかったかと言いますと、先程も、他の先生がおっしゃっていたように、風景だけではなく、そこで生活をしている方の日々の営みも紹介し、その土地の有り様を伝えることを主眼とし企画しておりますことから、「光景」といたしました。

 また、今後の活用方法といたしましては、全編ハイビジョンで制作しており、オンエアーされた映像以外にもたくさんの映像を収録しておりますので、今後のデジタル化に備えての貴重な資料として活用する予定です。

松本委員

 分かりました。

 最後に要望ですが、将来「残るもの」と「無くなるもの」に分かれると思いますが、また折りを見て同じ場所を定期的に紹介して頂きたいと思います。以上です。

宮野委員

 先ず、「スーパーJチャンネル」についてお話いたします。

 過去には、アナウンサーの声のトーンは低いのが主流という中、岩手朝日テレビのアナウンサーは当時から非常に高いトーンでニュースを話されておりました。

 現在は、声が高いほうが主流となり、違和感も無く、夕方のニュース番組としては非常に良い番組と思います。

 次に、特集の「残したい岩手の光景」ですが、一番頭に残っているのは「山吹の棚田」で、こういう場所が岩手にあったことを知りましたし、また反面、登場した方の話しを聞きながら、この場所は後何年維持できるのか?という疑問も生じました。

 番組は6~7分の放送ですが、これを収録する費用や手間など、相当苦労があるかと思いますが、そうした日々の積み重ねが、視聴者から見れば「良く頑張っている」という放送局のイメージアップに繋がることだと思います。

 大変でしょうが、頑張って続けて下さい。以上です。

村田委員

 私も、「スーパーJチャンネル」からお話いたします。

 ニュースは単なるおしゃべりではなく、ストーリー性を持たせることにより、視聴者から好感を得ることができます。

 そういった視点で拝見しましたが、この番組は、地元の方の話を分かりやすく解説したり、温泉の企画では現地の様子お丁寧に取材しておりましたし、また天気予報のコーナーでは、田植えの風景をバックに映し、ちょっとした季節のスパイスも加えるなど、他には無い良さが出ている番組だと思いました。

 また、「残したい岩手の光景」につきましては、私は4週分拝見いたしましたが、「山吹の棚田」と「川井村のタイマグラ」は非常に心に残りました。「日高火防祭」は、人々の愛情も伝わり、分かり安い内容で紹介されておりましたが、「岩手公園」の企画は、歴史の流れが、あっちいったり、こっちいったりと、分かり難い気がしました。

 今回、この企画に対しては、私もリストをお渡ししており、取材先の選定が一番大変だと思いますが、全体的には良い流れで放送されていると思いました。

 今後も、皆さんで議論を重ねながら制作して頂きたいと思います。以上です。

増子委員長

 今回、4週分を拝見させて頂きました。

 感想としましては、大変良い企画だと思いました。

 しかし、「徳清倉庫」と「岩手公園」の企画は、もう一つ物足りない気がしました。それが何なのか考えながら、本日を迎えましたが、先程、高橋委員の発言で「人間の営みがそこに絡んでいるか、いないかで、伝わり方や、人を引き付けるものが違ってくる」という発言があり、「あー、そうだ」と思いました。

 「徳清倉庫」の場合は、当主の方や建築家の方が出て、更にアナウンサーを含め全員が解説者になっていて、肝心の、現在そこに暮らす人達の話や、今どのようにこの建物が使われているのか、などの説明も無く、もう一つ違う作り方があったような気がしました。

 それと、「岩手公園」については、名称変更の問題など、今の状況が絡んでこないのが残念でした。また、戊辰戦争や日露戦争の話を簡単に説明しておりましたが、現代の人にはよく分からなかったと思いましたし、昔の人でも歴史を勉強していないと判らない内容だったと思いました。

 しかし全体的には、良い企画だと思いますので、今後も続けてほしいと思います。

増子委員長

 その他、何かございますか。

 それでは、次回の開催についてお願いいたします。

佐藤事務局長

 次回は6月29日(木)です。

 合評番組は「IAT学びの旅倶楽部スペシャル・斎藤純 岩手を愉しむ二人旅」です。宜しくお願いいたします。

増子委員長

 それでは終了します。ありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

特になし

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

6/1付 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎ 6月単発番組編成予定表

◎ 5月岩手地区視聴率

◎ 4月視聴者応答記録