放送番組審議会

6月(第69回)

概要

 岩手朝日テレビの第69回番組審議会が平成15年6月26日(木)、盛岡市盛岡駅西通の同社会議室で開かれた。

合評番組は、「サムズアップ」。

  • リニューアル前は番組全体が暗く、クドく、スピード感がなかったが、リニューアルによって改善された。ジャンケンのバリエーションも増え、ゲーム性も増した。
  • 優香はリニューアル後、存在価値がアップし、好印象である。
  • 金曜日の21時台というファミリー層向けの時間にしては内容が重く、20時台からの視聴の流れを断つことになる。再考の余地があるのでは?
  • 借金や生活苦など、エンターテイメントとして見ていられない挑戦者の選択は如何なものか。視聴者の共感を得られるような、積極的で明るく、未来に希望を持った挑戦者を発掘することを重要視すべきである。
  • ジャンケンで高額賞金を貰うという企画自体に共感が出来ない。視聴者が番組に知的に参加できないという弱点もある。
  • ジャンケンは偶然性を楽しむはずなのに、推理ケンなどで偶然と相反する要素が入ることで、番組が陳腐なものになっている。
  • みのもんたのキャラクターが良くも悪くも番組を支配している。視聴者は、彼が司会する他番組と比較してしまい、結果的にこの番組は不利になるのではないか。
  • ジャンケンをする時の、バックの音楽が軽々しい印象である。

という意見が出た。

出席委員は、増子 義孝委員長、及川 和男副委員長、笠川 さゆり委員、松尾 正弘委員、宮野 祐子委員、小川口 柳太郎委員、松本 直子委員の7名、欠席委員は、石井 三郎委員、大坊 忠委員、植本 花子委員の3名。

議事録

1. 平成15年6月26日(木)午前11時~

2. 岩手朝日テレビ本社・会議室

3.委員の出席

委員総数 10名

出席委員数 7名

委 員 長 増子 義孝 

副委員長 及川 和男

委員 小川口 柳太郎

委員 笠川 さゆり

委員 松尾 正弘

委員 松本 直子

委員 宮野 裕子

欠席委員数 3名

  委員 石井 三郎

  委員 植本 花子

委員 大坊 忠

会社側出席者名

  代表取締役社長 川崎 道生

  代表取締役専務 村上 昇

  常務取締役総務局長 伊東 正義

  報道制作局長 星井  孝之

  技術局長 佐々木 正樹

  番組審議会事務局長 辻 一成

4.議題

(1)6月の番組編成について

(2)番組合評

「サムズアップ」について

(3)次回の審議会

開 催 日:平成15年7月24日(木)

合評課題:「全国高校野球選手権岩手大会(中継)」

(4)その他

5.概要

◎ リニューアル前は番組全体が暗く、クドく、スピード感がなかったが、リニューアルによって改善された。ジャンケンのバリエーションも増え、ゲーム性も増した。

◎ 優香はリニューアル後、存在価値がアップし、好印象である。

◎ 金曜日の21時台というファミリー層向けの時間にしては内容が重く、20時台からの視聴の流れを断つことになる。再考の余地があるのでは?

◎ 借金や生活苦など、エンターテイメントとして見ていられない挑戦者の選択は如何なものか。視聴者の共感を得られるような、積極的で明るく、未来に希望を持った挑戦者を発掘することを重要視すべきである。

◎ ジャンケンで高額賞金を貰うという企画自体に共感が出来ない。視聴者が番組に知的に参加できないという弱点もある。

◎ ジャンケンは偶然性を楽しむはずなのに、推理ケンなどで偶然と相反する要素が入ることで、番組が陳腐なものになっている。

◎ みのもんたのキャラクターが良くも悪くも番組を支配している。視聴者は、彼が司会する他番組と比較してしまい、結果的にこの番組は不利になるのではないか。

◎ ジャンケンをする時の、バックの音楽が軽々しい印象である。

6.議事の内容

川崎社長

 おはようございます。ご案内の通り、6月18日の当社の株主総会および取締役会において役員人事が選任されました。常勤役員は従来の8名から5名になりました。末吉放送番組審議会事務局長は朝日新聞東京本社へ帰任し、山口技術局長はテレビ朝日に帰任、前編成業務局長の河邉はリタイヤされました。また監査役をしておりました伊東が、新たに常務取締役総務局長に、業務局長兼当番審事務局長に辻、技術局長に佐々木、ということになります。その他の人事につきましてはお手元の資料をご覧ください。若干の若返り人事になったなと思いますとともに、これからデジタル化の一番難しい時期に入りますので、スリムな体制で対応して行こうと考えておりますので、引き続き委員の先生方にはご支援いただければと思います。

増子委員長

 ありがとうございました。

 それでは新任の方々から一言ずつ頂いてもよろしいでしょうか。

川崎社長

 そうですね。辻からお願いしましょうか。

辻事務局長

 今、ご紹介に預かりました辻でございます。なにぶんにも若輩者でございまして、経験も浅く、皆さま方に今後ご指導ご鞭撻を頂戴しながら、力の限り頑張って行きたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

伊東総務局長

 伊東でございます。私は当社が創立しました平成7年から社に関係しておりまして、ずっと常勤監査役として、番組審議会には顔を出すことがございませんでしたが、今回は立場を変えてまた新たに取り組みたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

佐々木技術局長

 先ほど、ご紹介に預かりました佐々木です。よろしくお願いします。私は岩手県釜石市出身ですが、東京暮らしが長いものでして、残念ながらあまり盛岡のことは存知ません。今後、皆さまのお力添えを頂戴して参りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

川崎社長

 こういったメンバーでございます。明るくやって行こうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

増子委員長

 どうもありがとうございました。

辻事務局長

 それでは岩手朝日テレビ第69回放送番組審議会を始めます。

 増子委員長、司会をよろしくお願いします。

増子委員長

 はい。それでは社長のご挨拶は先ほど頂戴しましたので、系列番組審議会委員代表者会議の報告を簡単にさせていただきます。

 6月5日に六本木ヒルズのテレビ朝日で行われました。今年は南まわりの順番で発言をしましたので、私の発言は、だんだんに時間がおして3分の発言もきつい状況になって、あまりきちんとした発言も出来ませんでしたが、出来るだけ皆さんのご意見を集約して申し上げました。

 テーマは2つありまして、1つは外交問題、特にイラク・北朝鮮問題について。イラク報道については、何故日本はアメリカに協力しなければならないのか、その解説が不十分である。また、今後もきちんと報道して欲しい、といったご意見がありました。またイラク報道と対照的に拉致事件報道は、対極的視野にやや欠けるところがあるという指摘がありました。

 もう1つのテーマである地方の役割と地方制作番組のあり方については、地方局で制作した番組を積極的に取り上げて欲しいという意見が大多数でした。私も同じことを言っても仕方ないので、テーマに反発しまして、及川先生からもご意見が出たように、むしろキー局こそが地方の問題について大きな役割を果たすべきであるということを多角的に申し述べました。とにかく、地方の時代と言われる割に、キー局の地方の問題に対する関心が薄い。意欲的な地方自治体の首長が沢山いて、その元で現在、様々な行政改革が進められており、改革という点ではむしろ地方が国に先んじているという面があるのに、キー局の取り組みが薄い。平成の大合併で、地方自治体が大揺れに揺れているにも関わらず、報道のテレビ朝日としてはやや手薄ではないか。更には、地方の視点から中央の政治を見ると、かえってよく見える面があるので、そういったことも大事ではなかろうか、といったことを申し上げました。

 桂委員長も、地方から逆襲されたということで、ご自身のまとめの中でも私の発言を大きく取り上げて下さいましたし、広瀬社長も私の発言に言及して下さって、良かったなと感じております。

 ただキー局の反応は、いろいろと注文は出すものの、我々の思うようなものが上がって来ないということで、我々も逆襲を受けました。僕はそれにもう一度反発しようと思ったのですが、残念ながら時間でして、反発しておりません。これから皆さんに事ある毎に「そんなことはない」という所を見せていただきたいと思います。本当に雑駁なまとめになりましたが、そのような話しをして参りました。以上ですが、私の報告に質問がありましたらどうぞ。

 それでは7月の番組編成について、ご説明をよろしくお願いいたします。

辻事務局長

 それではご説明いたします。まず6月の岩手地区視聴率については、6月第1週、第2週のゴールデンの平均が12.9%と、岩手めんこいテレビと同率3位と健闘しました。また第1週に関してはゴールデン、プライムともに3位を獲得しました。調べましたところ、4月の第3週にプライムで第3位があって以来、久々の第3位獲得です。

 視聴率全般としては、視聴率一桁の番組がまだいくつかございます。月曜19時台、20時台、それから本日の合評番組であるサムズアップ、また最近、ニュースステーションが一桁のことが多く、それらについては勿論キー局に強化を申し入れると共に、弊局でも番組PR等々、もう一度考え直して行きたいと考えております。

 続きまして7月の番組編成についてご説明いたします。

 ネットゾーンに関しては3番組が改編です。月曜19時は7月7日から「子連れ狼」、木曜20時は7月24日から「京都地検の女」、21時からは「菊次郎とさき」が始まります。また第2プライム、金曜の23時15分からは「特命係長 只野仁」、主演は高橋克典で週刊現代に連載中の漫画が原作です。詳細はお手元の資料をご覧下さい。

 また7月の単発番組につきまして主なものについてご説明させていただきます。岩手朝日テレビのローカルの単発としては、7月12日から23日まで「夏瞬間2003」と題して、第85回全国高等学校野球選手権岩手大会の模様を放送します。県内89校の参加のもと、6球場で試合が展開されていきますが、開会式から決勝戦まで、岩手県営球場からの1元生中継で放送いたします。

 ネットでは主にスポーツの単発が目白押しです。7月4日~7日は「全米女子オープンゴルフ」、7月17日~20日は「全英オープンゴルフ」、またテレビ朝日系列で一昨年から取り組んでおります「世界水泳」がスペイン・バルセロナで7月16日~27日まで開催されますので、関連番組が数多く編成されております。7月はスポーツ目白押しでございますので、高校野球を中心に、7月は「スポーツ中継の岩手朝日テレビ」ということでPR展開等々も積極的にうって行きたいと考えております。説明は以上でございます。

増子委員長

 ありがとうございます。番組編成についてご質問はございますか。

及川副委員長

 12日から予定されている高校野球岩手県大会の中継は、県営球場からの1元中継ですが、他球場の速報的なものは当然流すのでしょうね。

星井報道制作局長

 その通りです。全球場に記者を配置しまして、実況中継中は速報をスーパーで流しますし、適時にアナウンスコメントします。それからホームページにもスコア等は展開しようと考えております。

及川副委員長

 今まで2元、もしくは多元中継をやったことはありましたか。

星井報道制作局長

 いえ、残念ながら1元中継だけです。

及川副委員長

 それは主にIATの制作体制の問題ですね。球場との関係は問題ないのですね。

川崎社長

 そうです。当社の人・物・金の問題です。

及川副委員長

 速報的なものは、映像としてとらえて入れますか。

星井報道制作局長

 映像は速報では入らないと思います。夕方のニュースでダイジェストという形でお伝えすることになります。

増子委員長

 ほかにございますか。それでは「サムズアップ」の合評に入ります。笠川さんからお願いします。

笠川委員

 前回の審議会以降、初めてこの番組を見ました。みのもんたさんが司会なので、他局の彼の番組にありがちな、挑戦者の人生模様などを含んでの番組構成だろうと思って見ました。まず思ったのが、重苦しい、暗い、クドい、尚更スピード感が無いという……。また次回見ようという思いを抱かせる番組ではなかったです。同じシーンを繰り返すので飽きるし、ジャンケンという簡単ですぐに勝負がつくもを何でクドクドとやるのだろうと思いながら見ました。

 しかし、今月に入ってから内容がリニューアルされて、まず明るい印象になりましたね。ジャンケンもスピード感が出てきましたし、選択するジャンルが増えたので飽きることがなくなりました。先月までは優香さんのキャラクターが活かされてないと感じていたのですが、今月に入ってからは、彼女の言葉に挑戦者の応援団的な要素が感じられました。みのさんも優香さんも、そして番組の内容も良くなったという好印象を持てました。内容が変わってとても良くなりましたね。

 ですが、挑戦者の現在や過去を取り上げたVTRは繰り返しがとても多くて、CMの度に映像や説明の言葉が流れるのが、やはりクドいなと感じられます。また毎回、挑戦者が選択したゲームの説明があるのですが、それもクドいなと思います。挑戦者の人生も背負っている番組なので、内容もクドいと凄くクドクドしく感じるので、もう少し軽くなると見易くなると思います。21時台は、やはり一息ついて見たいので、あまり落ち込むような内容ではなく、負けても明るい人生が送れるなと思えるような内容で続けて欲しいと思います。以上です。

松尾委員

 私もだいたい同じような印象を受けました。最初に見た時は、借金だとか事業が駄目になるのが目に見えているといった挑戦者同士が対決するので、どちらも応援したいけど必ずどちらかが負けるという、見るのが辛い番組だな、これを1ヶ月見るのかと思ったんです。そうしましたら、すぐにリニューアルされて、みのさんと対決するようになったし、またジャンケンのバリエーションも増えてゲーム性も増したなと思いました。

 漫画で「カイジ」というものがあります。内容はギャンブルで殺伐とした漫画ですが、ジャンケンの可能性を追求していして、ジャンケンだけでこれだけのストーリーが書けるのかと驚く内容で、数年前に出て話題になりました。おそらく、この漫画がサムズアップのヒントになっているのではないかなと思いました。

 みのもんたについては、良くも悪くも、その通りの個性を発揮していると思います。番組を見る前に、みのもんたの番組だから多分こんな感じだろうと思った、その通りの司会ぶりですね、良くも悪くもないという。優香が最初は飾り程度の存在で、みのもんたの毒を中和するのかな程度の存在でしたが、最近は役割も増えて良くなってきていると思います。

 挑戦者は、借金でどうにもならないから助けてくれというものと、商店街などで一発当てたいというもの、それから新たな挑戦をしたいという、だいたいこの3パターンありますね。このうちの2番目の宣伝効果をねらったものは、たとえ勝負に負けても、全国放送のテレビに出た時点で宣伝にはなったので良かろうと思えます。新たな挑戦をしたいという人も、負けても案外と爽やかで、あまり悲惨なイメージはないです。問題は1番目の借金でどうにもならないケースで、これはズシンと重く応えますね。エンターテイメントとして見るには辛い内容なので、選考基準にあまりこういったものは出演させないほうが良いと私は思います。

小川口委員

 私は番組がリニューアルされてからの6月13日と20日の回を見ました。みのもんたさんと優香さんは沢山の番組に出演されていますが、やはりみのもんたは番組の盛り上げ方が上手ですね。際どい言葉も使いますが、許せるかなと思います。また、なかなか1千万を獲得する人がいなくて、せいぜいいっても3百万くらいのことが多いので、番組的にもこの辺りを狙った構成にしているのかなと思いました。

 20日の元ヤンキーの回で、楽屋インタビューの時に家族愛や人間愛について語った時には、私もほっとしまして、それが良かったと思います。

 ただし、この番組の狙いは何なのか疑問です。金曜の21時という時間で、果たして自分がまた見ることがあるかも疑問です。視聴率を上げるためには、いかに視聴者の共感を得る挑戦者を選択するかに懸かっていると思います。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。及川先生、お願いします。

及川副委員長

 5月30日、6月6日、13日の3回を視聴しました。総体的には、ある程度楽しめるけれども、番組自体の制約や弱点もあるのではないかと。つまりジャンケンで高額賞金を獲得するという点で、ジャンケンですからかなり単純な仕掛けで、その為にジャンケンの種類を多彩にして、単調さを避けてはいますが、決勝戦になれば1対1の勝負で瞬間的に答えが出てしまう。知的な楽しみで参加する余地がないという点で、特徴であると同時に制約でもあり弱点でもあるのではないかなと思うんです。記憶ケン以外は視聴者として参加しにくいですね、あれは見ていて分かりますから興味が増幅されますが、それ以外はただ見ているだけだと思うんです。

 結局こうなってくると、どういう登場人物で、どういう願い・モチーフを持って参加したかという、映像による紹介でどの程度惹き付けられるかという問題だろうと思います。5月30日はトーナメント方式の最後の回でしたが、老母のために屋内トイレを作ってやりたいとか、寂れた商店街の活性化のために巨大モニターを設けたいとか、排ガス規制による新車を買わざるを得ないといった、いわば真面目に生きている庶民の生活に根ざした人生開運と言いますか、夢へのモチーフは非常に切実ですよね。 

 ですから逆に、ご意見が出たように、負ける側が辛くて気の毒だという印象を与える訳ですが、またそれも現実だとは思うのですが。ですから番組はちゃんとフォローしていて、負けても参加して良かったといったコメントを出したりと手は尽くしていますね。参加者の前向きな姿勢は、爽やかさを与えるのではないかと思います。司会のみのもんたは、彼でなければ務まらない役割をよくやっていると思うし、優香もそれなりの味を出していると思います。6月に入って新ルールになって、ジャンケンの種類は確かに増えますが。6日の場合は4人の出演者それぞれのエピソードを映像としてとらえている。特にスカイダイビングの実写は迫力があって、映像は多彩でまあまあ楽しく見られた気はします。

 13日の芸能人スペシャルは、夢をもう一度の「夢」の内容が、作り物の感じがしますね。つぶやきシローがラスベガスでライブやるとか、伊藤つかさがパリで時代劇をやるというような、本当にそう思っているのか、これに出演するためにとてつもない夢を作り上げたのか知りませんが、何か作り物で、前回、前々回に比べて、芸能人が出ていながら、こしらえ物の感じを持ってしまいました。そういう印象はありましたが、もはや過去の人間になってしまったタレントの現在が見えるというところでは、視聴者の興味を引いたのでないかなと思います。

 問題は、積極的でしかも明るく、未来を何とかしたいという切実なモチーフを持ったような多彩な出演者を、これからどう発掘して行けるのかということと、そこに潜む色々なエピソードをいかに良い映像で提示できるかということ、それ以外に仕掛けとしては改善するような点は無い気がします。

 ただ、敗者復活戦的なものとか、勝って賞金を獲得する訳ですが、例えばジャンケンで負けても獲得物があるような、つまり勝つジャンケンを選ぶか、負けるジャンケンを選ぶか。「負けるが勝ち」という言葉もあるわけで、何かそういったアイデアを捻り出せないか……。それ以外、この番組の視聴率を大幅にアップするような仕掛けは、私は考えられなかったです。そんな印象を持ちました。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。松本さん、お願いします。

松本委員

 及川先生もおっしゃっておりましたが、単なるジャンケンを色々な工夫で盛り上げることは、最初は目新しいと思いましたが、所詮、ジャンケンはジャンケンであって、大きな金額を賭けて競うには陳腐な印象を受けますし、これで本当に良いのだろうかと思いながら、どうも番組自体に共感できないまま見ております。

 例えば推理ケンは、相手によってみのもんたさんが手心を加えているようにしか見えないです。最初はなんて人情味があるんだろうと思いましたが、手心を加えていると思えば思うほど、今度は狡いなと思ったり、シラけてしまったりで、どんどん気持ちが離れていきます。残念です。

 芸能人が参加する回、一般視聴者が参加する回と様々ですが、特に一般視聴者が参加する回は、出場の動機や、人物そのものがよほど魅力的でないと飽きますね。それは、番組の構成にドキドキ・ハラハラ感が欠けているからだと思います。それにプラスして、登場人物に視聴者を惹き付けるエピソードや魅力が無いと、即、気持ちが付いて行かなくなる自分を発見しました。

 細かいことですが気になったことは、ジャンケンの時の音楽が軽すぎることです。ジャンケンで大きな金額を賭けること自体、如何かなと思っている中で、更に音楽の印象も非常に軽い。音楽は、大事なジャンケンの場面を盛り上げる、大事な要素であるのに、果たしてこれで良いのか、ますます軽くしてしまっていると感じます。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。宮野さん、お願いします。

宮野委員

 中学の娘がおりまして、金曜は20時からのミュージックステーションが好きでいつも見ています。そして余程の番組でない限り、21時以降も同じチャンネルの番組を見ますので、サムズアップも放送開始当初は見ておりました。その時にとても気分を悪くしたのは、挑戦者として奥さんが出場しました。その理由が、旦那さんが経営するレストランの借金を返したいというもので、応援団に旦那さんが出ました。そして一回勝つごとに旦那さんがもの凄く喜ぶんです。それを見たときに、奥さんがジャンケンで儲けた金で借金を返そうという男の馬鹿さ加減にむかついてしまったんです。そして一緒に見ていた娘も「こんな番組チャンネル変えて別を見よう。」と言って変えてしまいました。

 その次の回もそういった感じの内容でした。たかがジャンケンで借金を返すということが、今の世相なのでしょうか。番組ではなく、その考えが私は許せなくて、あまり好きな番組じゃないと思った時に合評になり、ビデオに録って見ました。

 というのも、金曜の21時という時間帯は、家族でゆっくりとテレビを見るのに良い時間帯で、ミュージックステーションを2時間やって欲しいくらいなのに、むかつく番組を見る気がしません。6月に入って確かに内容は変わりましたが、誰が出ても、ジャンケンでお金を稼ぐことが非常に不愉快です。従って私はもう見ません。

 もう一つ、みのもんたはテレビに出過ぎです。出る番組が全て同じに見えます。

 それから先ほど漫画の「カイジ」の話が出ましたが、私も高校生の息子から聞いて知りました。息子が言うには、漫画は作者が考えるからその通りに行くけど、サムズアップは何故ジャンケンで自分の人生を決めるのかな、みたいなことを言うんです。子どもでも分かることを全国放送で流す気が知れませんでしたので、今回は辛口ではありますが、この番組は頂けないなと思います。

 また、時間は流れるものですから、本当にテレビ朝日系列を視聴者にずっと見せたいのであれば、せっかく視聴率の高いミュージックステーションの後に、ガクッと落ちるのがあると悲しいなと思いますので、是非ご再考を願いたい番組であります。非常に今回は辛口ではありましたが、総体的な話をさせていただきました。すみません、以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。

 私はタレントとヤンキーの回を見ました。タレントの回ではつぶやきシローですか、何となく味のある人物だったのでそれはちょっと惹かれましたが、あとは誰も知らないので、随分しんどい番組だなと思って見ました。ヤンキーの回は、よくこういうケースを見つけてきたなと感心したのですが、仕掛けがどうも……。

 ジャンケンは基本的に全くの偶然で決まることにその価値があるわけで、それにみのもんたの意思のような、相手に応じて手加減したり同情してどうこうするといった、偶然と相反する要素が入る。仕掛け自体が単純すぎて面白くないのに、そこに更に水増しされた偶然に相反する要素が入って更に面白くなくなる。つまり、見ているとしんどいですね。

 これは堪らないと思って、僕の友人にものすごくテレビを見るのがいるので、彼に論評して貰おうと思って電話をかけて聞きましたところ、宮野さんと全く同じことを言いました。だいたい、頭も使わず体も使わずに一千万円を手に入れるなんてことがあってはいかん、額に汗して働きなさいと。やはり人生をもて遊んでいる感じがすると言って怒るわけです。それから、やはり宮野さんと同じで、みのもんたはもういいと。どのチャンネルにも彼が出ていて、もういい、ゲップが出ると。そんなことを言ったら、たけしだって出過ぎだろうと僕が言いましたら、たけしは違うジャンルで出てくるし、一つ一つが違う。たけしとみのもんたは奥行きが違うと言うんですね。みのもんたは同じようなジャンルで無分別に出ていて許せないと怒るんです。

 そう言われて見ますと、みのもんたはよく出ていますね。そして同じキャラクターで出てくる。やはりたけしとは違う。ですからそろそろみのもんたは考えなくてはいけないなと思います。

 つまり、普通の人の感覚として、かなりそういう部分があると感じたんです。以上です。他にご意見がある方はどうぞ。

松本委員

 先生のお言葉からすると、多分裏を返せば、みのもんたや優香といった、しょっちゅうテレビに出る人に頼らざるを得ないところがあるのでしょうかね……。

増子委員長

 しかもジャンルが一緒、同じような番組で同じような司会をしていますから。

松本委員

 そうですね。そうなるとどうしてもこの番組は不利になりますね。

 見る側は、みのもんたが司会をする他の番組と比べてしまいますから、どうしてもより陳腐に見えてしまう司会を持ってきたし、そういう番組を作ってしまったと思って見ました。

辻事務局長

 ご承知のとおり、サムズアップはABC朝日放送が制作の番組でございますので、今日のご意見は朝日放送さんにもお伝えして、今後の参考にして頂くことになります。

宮野委員

 西日本のほうでは、ああいった考え方は良いのでしょうか。東日本、特に北日本は考え方が閉鎖的ですし、相手を自分に巻き込むことは良しとしないものなのですが。別に非難するわけではありませんが、関西の方は自分の考えに相手をワッと巻き込むことがあります。ですから、西日本のほうではこういった番組が好まれるのかなと、ふと思いました。

辻事務局長

 先生方のお手元に、サムズアップの系列24局の視聴率をお配りしておりますが、各局平均視聴率は沖縄QABは10.8%と高いのですが、あとは軒並み一桁、テレビ朝日は5.5%、当該局のABCも6.2%と非常に苦戦している番組です。視聴率が全てとは申しませんが、やはり視聴者の反応の一つのバロメーターとしては、先生方のご意見が視聴者が考えているご意見でなかろうかと私は思います。

及川副委員長

 ジャンケンポンは日本独特の遊びで、それを訳す英語は無いそうですね。コイントス、裏と表しかない。しかも子どもの時からの遊びで年がとってからも郷愁がある遊びですね。

 日本独特の文化であり、しかも郷愁を感じさせるジャンケンポンをもっと別な形で生かせると思うんですね。不労所得の一千万円というのは、やはり頂けないので、賞金の額を高くすれば良いということもないし。ジャンケンポンを取り上げる、取り上げ方において、やはり基本的なところで顧みる必要があるのではないかと思います。

増子委員長

 ほかにご意見はございませんか。

及川副委員長

 宣言ケンというのは、1回で退いてしまわないようにする仕掛けとしては、なかなか考えていると思います。シャッフルとか記憶とか4種類ありますよね。ただのジャンケンだけではシラけるのかも知れませんね。しかし、視聴者が参加して行けませんよね、ただ見ているだけで。エピソードをいっぱいに背負っているタレントや何かを登場させるよりも、例えば鹿児島の人と青森の人といった、そこに賭けるものは高額賞金ではなくて、お国自慢や負けたほうが招待しなくてはいけないとか、何かもっと明るく楽しくなるような、そして全国各地を惹き付けるような仕掛けをしたら良いと思いますね。このままでは精神衛生上、悪いものになってしまいますね。課題番組だから見たようなものでして……。

増子委員長

 他にご意見はございませんか。それでは次回の開催についてお願いします。

辻事務局長

 次回は7月24日です。合評番組は「全国高校野球選手権岩手大会(中継)」です。

 編成時間に関しましてはお手元の資料をご参考下さい。よろしくお願いします。

増子委員長

 それでは番組審議会を終了します。ありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

特になし

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

6/29付 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎ 7月度単発番組編成予定表

◎ 7~9月タイムテーブル

◎ サムズアップ人生開運プロジェクト各局視聴率

◎ 7月クールドラマ新番組概要

◎ 5月視聴者応答記録

◎ 6月岩手地区視聴率

◎ 第85回全国高等学校野球選手権記念岩手大会日程・編成枠

◎ 役員の担当・委嘱と局長人事について