放送番組審議会

9月(第61回)

概要

 岩手朝日テレビの第61回番組審議会が平成14年9月26日(木)、盛岡市盛岡駅西通の同社会議室で開かれた。

今回は、「素材もオリジナル 北の自然派レストラン」について合評した。

委員から、

  • 各県ひとつの店にポイントを合わせ、主人や奥さんの人柄に触れている。
  • 全般的には面白かったが、季節的な工夫がほしい。つまり、夏だけでなく、冬の食べ物も見てみたい。
  • テンポが速くて、どんな料理なのかいまひとつ分かりにくいものもあった。
  • 福島のイワナは本当においしそうだった。それぞれの県の食材についてそれぞれ工夫されていたが、岩手については、工夫がほしかった。
  • 天然のイワナをああいう焼き方で食べたらおいしいと思った。
  • 見ているうちにひきつけられて、あっという間に1時間が過ぎた。素材もよかったし、レポーターの会話もよかった。
  • 一店一店の特徴をよくつかんでいた。そして、東北の食文化の紹介につながっていた。
  • 総体としては、さわやかな感じを与えてくれた。しかし、レポーターの言葉使いが少し乱暴なのではないかと思った。
  • レポーターが、まず「がぶっ」と食べて「うまいだろう」という、あの場面はレポーターのキャラクターがよく出ていてよかった。
  • レポーターの激しいほどの態度、おっとりしたアナウンサー、このコンビがよくてどれもおいしく感じられた。
  • なんで面白かったのだろうかと考えた時、登場した人物がそれぞれの哲学をもっていて、生き方につなげていたためだろう。

などの意見が出た。

出席委員は、増子 義孝委員長、及川 和男副委員長、大坊 忠委員、宮野 祐子委員、松本 直子委員、笠川 さゆり委員、松尾 正弘委員の7名、欠席委員は、石井 三郎委員、小川口 柳太郎委員、植本 花子委員(レポート提出)の3名。

議事録

1.    平成 14年 9月 26日(木)午前11時~

2.    岩手朝日テレビ本社・会議室

3.委員の出席

委員総数 10名

出席委員数 7名

 委員長 増子 義孝

副委員長 及川 和男

  委員    笠川 さゆり

  委員 大坊 忠

  委員 松尾 正弘

  委員 松本 直子

  委員 宮野 裕子

出席委員数 3名

  委員 石井 三郎

  委員 植本 花子(レポート提出)

  委員 小川口 柳太郎

会社側出席者名

代表取締役社長    川崎 道生

取締役営業本部長補佐 横舘 英雄

取締役業務局長    河邊 喬

報道制作局長     星井 孝之

技術局長       山口 孝

常勤相談役      桑折 勇一

番組審議会事務局長  末吉 正憲

4.議題

(1)10月の番組編成について

(2)番組合評

  「素材もオリジナル 北の自然派レストラン」

(3)放送番組全般について

(4)次回の審議会

開 催 日:平成14年10月31日(木)

合評課題:「相棒~警視庁ふたりだけの特命係」

(10月9日スタート)

(5)その他

5.概要

<合評番組 素材もオリジナル 北の自然派レストランについて>

*各県ひとつの店にポイントを合わせ、主人や奥さんの人柄に触れている。

*全般的には面白かったが、季節的な工夫がほしい。つまり、夏だけでなく、冬の食べ物も見てみたい。

*テンポが速くて、どんな料理なのかいまひとつ分かりにくいものもあった。

*福島のイワナは本当においしそうだった。それぞれの県の食材についてそれぞれ工夫されていたが、岩手については、工夫がほしかった。

*天然のイワナをああいう焼き方で食べたらおいしいと思った。

*見ているうちにひきつけられて、あっという間に1時間が過ぎた。素材もよかったし、レポーターの会話もよかった。

*一店一店の特徴をよくつかんでいた。そして、東北の食文化の紹介につながっていた。

*総体としては、さわやかな感じを与えてくれた。しかし、レポーターの言葉使いが少し乱暴なのではないかと思った。

*レポーターが、まず「がぶっ」と食べて「うまいだろう」という、あの場面はレポーターのキャラクターがよく出ていてよかった。

*レポーターの激しいほどの態度、おっとりしたアナウンサー、このコンビがよくてどれもおいしく感じられた。

*なんで面白かったのだろうかと考えた時、登場した人物がそれぞれの哲学をもっていて、生き方につなげていたためだろう。

<番組全般について>

*北朝鮮による拉致問題などが多く取り上げられている。その事実から徹底して批判、追及する姿勢は大切と思うが、冷静に深く、多面的に見る視点も必要ではないか。

*今年はじめに放送された「緑の大地に夢馳せて」のような、地域に根ざした制作番組を多く作ってほしい。

*子供が遊具で遊んでいて死亡したが、親の責任、子供の危険回避の自覚などの点も見落としてはいけないだろう。

6.議事の内容

末吉事務局長

 ただ今から第61回番組審議会を開催いたします。今回から第7期に入るのにあたりまして、委員の皆様に委員長、副委員長を互選して頂きました。その結果、今まで通り増子先生に委員長、及川先生に副委員長を務めて頂くことに決まりました。どうぞよろしくお願い致します。それでは弊社社長、川崎よりご挨拶申し上げます。

川崎社長

 おはようございます。前回の審議会は欠席いたしまして、申し訳ございませんでした。6月末の株主総会取締役会で新しい体制になりまして、ちょうど3カ月が経過しました。出来るだけ多くの方々にご挨拶と思いまして、東京、大阪、名古屋のスポンサーを含めて、多くの方にお目にかかってお話を伺って参りました。株主さんも殆どの方にお目にかかりました。様々なお話を伺う中で改めて痛感いたしましたのは、正直申し上げて、当社の存在感がいささか希薄であることです。県内の最後発4番手の局ということもあると思いますが、それだけではなくて何か足りないもの、欠けているものがあるのではないかと感じます。規模の大小がございますから、先輩局と同じようなことを今すぐ出来るとはとても思いませんが、私は日頃、小ぶりは小ぶりなりの相撲の取り方があるだろうと話しております。小ぶりな相撲でどうやって当社の存在感を出していくのかを一生懸命考えよう、ということを今言っているところであります。とにかく社員自らがどういうテレビ局を目指すべきなのか、当社はどうあるべきなのかということを、職場を超えて議論して行こうということで、管理職を除く若手が話し合いをしている様子を、本日お配りした社報にも掲載しております。今、若手社員が何を考えているのかを率直に掲載させて頂きましたので、後ほどご覧頂ければと思います。若い局でございますから、明るく爽やかにということが何よりの武器だと思いますので、これをテコにして、自らがどういうテレビ局を目指すかについて議論に議論を重ねて、社内で論議する風を巻き起こしていこうということを始めております。時々お越し頂く外部の方に「だいぶ、雰囲気が変わってきましたね」というお声も頂戴しますので、社員もそういった意味でやる気を前面に出し始めてくれていると考えております。この線を更に強く押し出して行こうと考えております。それから番組についていくつかお話させて頂きます。今年の夏の高校野球は、一関学院の甲子園での大活躍が記憶に新しいです。当社でも県営球場を中心とした県大会を決勝まで中継等で放送しました。県大会に先立ちましてIATスーパーJチャンネンル内で毎年放送している、高校生による学校紹介番組「純情応援歌」に賞を贈ろうということになりまして、5作品を表彰しました。表彰は今年1回目ですが、来年は更にブラッシュアップしていけたらと考えております。それから、これはつい最近ですが、朝日放送制作の「新婚さんいらっしゃい!」の盛岡公録の回が2週連続で放送されました。通常は大阪のABCスタジオで録っておりますが、年に数回、このように地方で公録いたしますが、同じ地域から2週連続というのは極めて珍しいと思います。そして、良い新婚カップルを探すのにスタッフ一同、大変努力をいたしまして、今回の放送からこぼれてしまったカップルもいたそうでして、もったいないというABCさんが大阪のスタジオに呼んで録ることになった新婚さんもいるそうで、ABCさんもとても喜んでおりました。こういった具合にスタッフのがんばりが徐々に出てきていると思います。それから今年で7回目になります「小学生30人31脚」。今時の子供たちがクラス一丸となって競技し、悔し涙を流したりする姿は今ではあまり見ないことではないでしょうか。東京あたりでは生きた人間教育になっているといった評価もあります。岩手県では19校34チームが参加して、今度の日曜に大会がございます。去年に比べて大幅に出場チームが増えたということです。やはり岩手朝日テレビならではの独自のカラーを今後どうやって打ち出していくかという事が、大きな課題であろうと認識して頑張って参りたいと思います。どうぞ先生方も引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

末吉事務局長

 それでは議事に入らせていただきます。増子委員長、議事の進行をお願いいたします。

増子委員長

 それでは10月の番組編成からお願いします。

河邊業務局長

 10月の秋の改編から説明させて頂きます。ゴールデンでは6枠が新番組に変更します。月曜19時「子連れ狼」今回は北大路欣也主演で30年ぶりの復活です。水曜21時「相棒」。この枠は現在、はぐれ刑事とはみだし刑事のヒットシリーズがございますが、それにもう一つ追加となります。木曜20時「オヤジ探偵2」。21時「逮捕しちゃうぞ」。これは人気コミックのドラマ化です。土曜19:30からはアニメが1本増えまして、映画でもヒットしております「釣りバカ日誌」、そして20時「土曜の奇跡!TVのチカラ」。人生を前向きに生きようと頑張る人々をテレビのチカラでサポートしようという趣旨の番組です。これがゴールデンの主な新番組です。ゴールデン以外では「スーパーモーニング」も9月30日から司会者変更を含めましてパワーアップしてリニューアルしてスタートします。それから「IATスーパーJチャンネル」は現行18:19スタートですが、10月7日から2分繰り上げの18:17スタートとなります。内容も刷新し新バージョンでスタートします。これにつきまして報道制作局長よりご説明させて頂きます。

星井報道制作局長

 2分繰り上げということですが、東京からのネットニュース後の2分間のCMがなくなって、ネットニュースに直結してIATスーパーJチャンネルがスタートするということで、これは報道制作としては長い間お願いしていたことでして、やっと実現出来たと喜んでおります。とにかく視聴率を取りたいと思います。リニューアルのポイントをご説明いたします。現在、4月からスタートしたミニコーナーとして月曜日に三橋アナウンサーが担当している「週刊千円ショッピング」がございましたが、「スポーツアイ」という企画に変更します。これは他局のローカルニュースを見ても、岩手県や東北のスポーツ記事が少ない点に注目して、日刊スポーツとのメディアミックスという形で新たにスタートいたします。また火曜日「今からもう一品」は新人アナウンサーの矢部が新たに担当いたします。水曜日「旬な人」は現在加納アナウンサーが担当しておりまして継続します。また当社にはトラストネットワークというカメラマンの集団がございまして、彼等も意欲的になっておりまして自分たちも「カメラマンスケッチ」というものがやりたいという意見がでまして、これも随時10月からスタートしたいと考えております。いずれにしましても、この2分間のCMでも視聴率の落ち込みを改善し、良い数字を出したいと考えております。

河邊業務局長

 それでは続きまして、10月単発番組のローカル制作部分について説明させて頂きます。10月12日16:30から「小学生クラス対抗 30人31脚岩手大会」の模様をオンエアします。それから10月26日10:15から「八幡平ツーデーマーチ」。これは10月5、6日に八幡平温泉郷で開催される大会の模様をお送りします。是非ご覧いただければと思います。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。それでは番組合評「素材もオリジナル 北の自然派レストラン」に入りたいと思います。松尾委員から合評をお願いします。

松尾委員

 まず泉谷しげるがレポーターとなって東北各県のうまいものを紹介するという番組ということで、昨年「恵みの楽園」というやはり泉谷さんがレポーターの番組がありまして、それを思い出しました。好評だったためにその続編という形なんだろうと良い方に考えました。昨年の「恵みの楽園」のすぐ前にも「これが北のうまいモン」というラッシャー板前さんがレポーターというのもあったりして、この類いの番組が多いなと思いました。その昨年の二つの番組と比較しながら見ました。番組のポイントとなるのは、まず各県一つの店だけに焦点を当てるということと、その店のご主人や奥さんのポリシーとか人柄に触れる、そして食材の紹介ですがこれは肉や魚介、野菜、フルーツ、川魚というふうに食材が重ならないように配慮されていました。そしてその食材を使った料理を出して試食してもらうというパターンで、昨年の番組とも多少違いが見られました。まず、オープニングでバッと泉谷しげるが出て何種類かの食材をガブッと食べて「どうだ、これ旨いだろう」というようなところから入りますが、これは非常に泉谷さんのキャラクターを上手く生かしていて良かったと思います。これは福島放送の番組でしょうかね。ナレーターと、泉谷さんと一緒に歩く方は福島放送の方でしたが、その方々もあまりうるさくなくて良かったと思います。あくまでも主役は泉谷さんで、出しゃばらずに良かったと思います。紹介されたそれぞれについてですが、まず福島のイワナは派手さはあまりないのですが、おそらくこれは美味しいのだろうなと思いました。近くにあれば行ってみたいと思わせるものでした。次に仙台秋保の農家のレストランは、これは考えようによっては一番贅沢な食べ物だと思いました。無農薬野菜を使った野菜メーンの料理でしたが、料理に説明が欲しかったです。お膳全体や料理一品一品を何カットかで見せてくれましたが、どんな料理なのかが分からないので、テロップで入れて欲しかったと思います。それから秋田のモロヘイヤ麺ですが、それが蕎麦なのかうどんなのか、中華麺のようなものなのか、またつけ麺でしたが、どんなタレの味なんだろうか、見ていてさっぱり分かりませんでした。モロヘイヤは最近出回っていますが、まだ皆に認知されていないと思います。また聞くところによると、とても栄養価が高い食材なんだそうで、その辺の説明をもっとしても良かったと思います。山形は番組中でも触れていましたが、サクランボにしてもラフランスにしても、取材時期の7月がちょうど中間で旬ではなかったことが気の毒だと思いました。ただこれは紹介された店の人の面白さで救われたかなと思います。それから皆さんからもお話があると思いますが、岩手はまたしても前沢牛だったんですね。去年の「恵みの楽園」ではマツタケがメーンでしたが、その付け合わせとしての登場でした。「北のうまいもん」でも前沢牛だったんです。このあたりが何とかならなかったのかなというのが非常に残念です。ただ泉谷さんが食べて一番旨そうな表情をしていたのはこれでしたね。これは確かに僕もちょっと食べてみたいなと思いました。そして青森は魚介類でアワビ、ホタテ、ウニというのは我々にとってはそれほど新しい食材ではないのですが、これを実際に採ってくる若い船長さんがお洒落なバーでそれを出しているというところが話題としては面白かったのかなと思います。審議会ですのであえて注文をつけましたが、番組全体としては1時間あっという間で面白かったです。去年やった2本の番組と同じような時期なので、今度は冬など違った時期に取り上げて欲しいと思います。以上です。

増子委員長

 ありがとうございます。それでは宮野さんお願いします。

宮野委員

 私も「恵みの楽園」が頭にありましたので、似ているなという感じがしました。個人的に泉谷しげるさんが好きなので興味をもって見ました。前もそう思ったのですが1県10分もやっていないので番組の流れが早くて、見ていて非常に目まぐるしくて、表面をさっと流して見る分には良いのかも知れませんが、あっという間に終わってしまったというのが一番の感想です。泉谷さんと一緒に歩いていた立川さんは、初めは素人さんかと思ったらアナウンサーだったんですね。アシスタントの方は弱いのが良いのか、もう少し強い方が良いのか分かりませんが、もう少し話すことはないのかと思いました。紹介された6県の中で、福島は以前の番組では豆腐を紹介していましたが、今回はイワナということで、本当に素材を生かしたという感じがあったし、景色も良かったと思って見ました。それぞれの県の特徴は出ていると思いますが、6つのバラバラの素材を1時間番組にすることには無理があるという感じがしました。岩手県に関してはいつも前沢牛だなというのが強い印象です。前沢牛は全国的に有名ですが、もっと他にも色々あるんですよね。特産品だけでなく変わった料理も沢山ありますし。そういったものを出せたら良いと思いました。前沢牛は確かに有名なのですが、ちょっと強すぎて、弱いかなという印象がすごくあります。岩手県では様々な地域興しを今盛んにやっておりますから、その中から出せたら面白いかなと思いました。またこの番組は8月13日の夜の放送でしたので、帰省なさっている方が見るのにちょうど良かったと思います。以上です。

大坊委員

 私もとても楽しませてもらいました。見ているうちにどんどん惹き付けられて1時間あっという間でした。自然派レストランの素材もとても素晴らしいものをアピールしておりましたが、泉谷さんの会話も彼の特徴が生かされた素晴らしさがあったと思います。ベジタクラブでモロヘイヤ麺に対して「これを俺に食わせないつもりか」と言ってみたり、視聴者はそういうところにも惹き付けられただろうと思います。そしてそれぞれのお店の特徴を、泉谷さんが言葉と行動でテレビにぶつけてくるあたりも素晴らしく良かったと思います。番組の終わりのほうで、彼は東北の概念が変わったと言っておりましたが、私もこの番組を見て、東北には本当に色々なものがあるんだなと思いました。今、スローフードという言葉がよく聞かれますが、昔ながらの素材を生かした料理、いわゆる東北の食文化のいちスタートをこの番組でやっていたなと思いました。現代人は健康や安心に深い興味を持っていますから、テレビ局はもっとスローフードの食材や料理の文化といったことを取材しても良いのではないかなと思いました。

及川副委員長

 番組を見る前に3つほど柱を立ててみました。自然派レストランという着目にひかれてその選択と実質がどうなのかという点。第2点は味だけではなくてそれを作り出して頑張っている、健闘していることをどのくらい得たかという点。そして3点目はまた前沢牛かという点で、ここに何らかの審美があればという点。その3点を頭に置いて見たのですが、第1点については青森と岩手以外は、北の自然派にふさわしい選択だったのではないかと思います。青森は商売の新しいスタイルに過ぎないのではないかと思いましたし、岩手はあまりにもブランド商品だったと思います。第2点は、それぞれが地域起こし或は自分起こしといったモチーフがあって、とても自信に満ちた良い顔を見せていたと思います。ここは人を良く捉えていたなと思いました。第3点の前沢牛のことですが、オーナーの尾形さんの笑顔と牛飼いの哲学と言いましょうか、そういったことは良かったと思いますが、何かあの笑顔には成功者としての笑みも重なっているようで。総体としては、東北の可能性を感じさせる爽やかなものだったなと思います。時期的にも帰省者が一緒に見たり出来て東北の素晴らしさを見直す良い機会になったと思います。ただ、問題点を申し上げれば、リポーターの泉谷しげるは、気取らず野性味があって持ち味もあるのですが、態度や言辞で気になったことが多々ありました。イントロで焼きホタテを食べる時に「バカヤロウ、食っちゃうぞ」とこれは旨さに対する表現なのかも知れませんが……。ラフランスのシャーベットの時には舌で器を舐めていました。次に宮城のベジタクラブで小さなトマトをつまみ食いするわけですが、立川アナに注意されて「ヤベエ」と言いまして、このあたりまではまだ許せるというか良い方かも知れませんが。秋田では立川アナに対して「バカなこと言うな。オメエ、だったらそう言えばいいじゃねえか。」というような言い方をしているわけです。持ち味で済まされるのかという問題。それから岩手の場面で前沢牛のところですが、立川アナに「オメエも食べろ、バカヤロウ」と。そして美味しくて言葉にならない時にカメラに向かって「ここにテロップを入れとけ」と言っています。それから青森の場面で、立川アナがご案内するという形で夜の街を歩いてお店に行くのですが、立川アナに対して「オメエの口からナンパされるとは思わなかったよ」「チョロチョロチョロチョロ突っ込むんじゃねえよ」と。そういったものが持ち味と言えば言えるかも知れませんけれども、あまりにも品が無さ過ぎますし、広範な視聴者を考えればこれは要注意すべきところだと思います。私と一緒に番組を見ていた家内は、ひどい嫌悪感を示しておりました。「恵みの楽園」も泉谷しげるでしたが、この点では前の番組のほうがよかったと思います。今回は何か疲れているような感じもあって、態度が非常に気になりました。以上です。

松本委員

 まず質問させて頂きたいのですが、各県の食材を選んだのは各県からの推薦ですか、それとも制作サイドが決めたのですか。

河邊業務局長

 このプロジェクトの東北ブロックの制作者会議の席上で、制作担当局がリストアップしたものを詰めていくという形です。

松本委員

 どのくらい地元に精通しているかで食材の選び方も変わってくると思いますが、皆さんからたびたび出ている前沢牛に関しては、岩手県の別の食材を、是非今から目を皿のようにして見つけて頂きたいと思います。それからもうひとつ質問ですが、泉谷さんが足を引きずっているように見えましたが、あれは元々でしたか。

河邊業務局長

 はいそうです。以前からです。

松本委員

 そうでしたか。今回は歩くシーンが多かったので随分と気になりました。気の毒だなと思ったり、変にそこに気がまわってしまって一番印象に残ってしまいました。それから、泉谷さんの言葉遣いは乱暴だなと私も思って毎回見ます。よく捉えれば、次にどんな言葉を口にするのだろうという期待感半分、ハラハラ半分でいつも見ます。それから番組中に「この後とんでもない言葉が泉谷の口から出る」とか「とんでもない場面が」といったナレーションで随分と盛り上げてコマーシャルになったり、場面を切り替えたりしていましたが、良い意味で「とんでもない」のなら良いのですが、及川先生が先ほどおっしゃったように、不快感を与えるようなとんでもない事では困るので、「とんでもない言葉」とか「とんでもない場面」と煽って煽っておいた後に出てくるものは、やはり期待に適うものであって欲しいなと思いました。それから、青森県の平内町は「ひらないまち」か「ひらないちょう」か。番組の後で自分でガイドブックを見るにしても、ふりがなが出て欲しいなと思いました。以前にもこういった紀行もので指摘があったと思いますが、読みにくいものにはふりがなをふってあったほうが親切だと思います。以上です。

笠川委員

 以前に「恵みの楽園」を審議会で取り上げていまして、その時も30分の枠に3県を取り上げており、番組の展開が早く、落ち着きがないという印象を持っていたのですが、今回は1県1県といいますか1店1店と言うのでしょうか、丁寧に案内されていると思いました。リポーターの泉谷しげるさんの激しいまでの勢いの良さを、おっとりとした立川陽子アナウンサーが上手に受け止めていたと思います。2人の雰囲気も合っていましたし、2人の表情からも、どの店も美味しそうでした。私は特に、福島のイワナの天ぷらの音と、秋田のモロヘイヤ麺を食べる時の音、音からくる食欲を駆り立てるような、そういったところが上手に伝わってくるなと思いました。ただ疑問に思ったのは、タイトルが「北の自然派レストラン」ということで、前回頂いた番組紹介にも「自然豊かな東北地方の海や山の幸を知り尽くした人たちや、自家栽培をした野菜を使ってアイデア溢れるメニューのレストランを紹介していく」というコンセプトで作られた番組であるということなのですが、それなのにどうして岩手は前沢牛なのかなと思いました。オーナーのキャラクターや肉の美味しさはすごく伝わってきますし、確かに野菜があり魚介類があるから肉、となるのもすごく分かります。分かりますが、この番組で紹介されていた前沢牛のメニューに関してはアイデア溢れるものでもないですし、石焼きも今では珍しいものではないと思います。前沢牛もいろいろな研究のもとにこだわって作られているのは分かるのですが、自然派とうたっている以上は、飼料で育てられた牛を自然派と言ってしまって良いのか、ちょっと腑に落ちない思いで少し残念に思えました。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。私はこの番組はとても面白かったです。主役とアナウンサーが美味しいと絶叫して終わるのかなと思っていたら少し違っていて。実は私は渓流釣りをするものですから、最初のイワナに惹かれたせいもあるかと思うのですが、イワナで商売するというのは相当な名人でしょうね。しかも釣りの道具も今流行りのフライフィッシングと違って、伝統的な道具を使って釣っていましたね。そして養殖のイワナを食べさせる所は沢山あるけれども、天然のイワナ、これも放流だとは思いますが、ああいった焼き方をしたり天ぷらで食べるイワナは本当に旨いだろうなと、そのあたりからかなり入れ込んで見てしまいました。なぜこの番組が全体として楽しいのかなと考えてみると、人間がそれぞれユニークな哲学を持った人で、自分の哲学を自分の生き方に結び付けている。普通なら色々と考えてしまって、実際に商売したりという人はなかなか居ませんから。そういう人間という点で私はこの番組に惹かれたのだと思います。それから、泉谷しげるという人は確かに乱暴な人だなと思って見ていましたが、引きずっている足を見た途端に、この人は本当は優しい人で照れてこういった言い方をするのかなと感じてしまいました。それからアナウンサーは泉谷さんにあんな言い方をされたから畏縮しているわけではなくて、あれが自然体で、最後には絶妙のコンビに見えてきました。全体として大変に面白かったわけです。ほかにご意見がございましたらどうぞ。

宮野委員

 泉谷しげるさんのお話が及川副委員長から出まして私もなるほどなと思ったのですが、私たちの年代にとって泉谷しげるとは、ああいう人なんですね。教祖的というか教師的というか、何を言われても許せる唯三くらいのうちの一人なんです。ですから年代によって印象がかなり違うんだなと新鮮な気持ちでご意見を聞きました。確かに言動のひとつひとつを取り上げると乱暴だなと思いますが、番組の流れの中で聞くと、まるで彼のフォークソングを聞いているかのようなつもりになっていたので、今度は別の視点で見てみようかなと思いました。

松尾委員

 同じようなレポートをもし、久米宏さんがやったら抗議が沢山くると思いますよ。泉谷しげるさんだから、視聴者も「この人はこういう人だから」と思って見ていると思いますから。

川崎社長

 泉谷しげるさんを起用する場合は、好き嫌いが極端に別れるというのは確かにあるタレントですね。ラジオによく出ている毒蝮三太夫さんがおりますが、彼はお年寄りのところに行って「ババア」という言い方をしてひき付けますね。宮野さんがおっしゃるようにそういった方は珍しいキャラの方ですよね。

増子委員長

 確か、自分のイメージに合ったような言動を自分はせねばいかんと、番組内でも自分で言っておりましたから、彼は彼なりの演技をしていたのではないかという気がしますね。本当は違う人なんじゃないかと。でもそんな演技をしなくてもいいとディレクターが言えば、もっと彼の味が出ると思いますね。

川崎社長

 ただ彼はフォークで出てきた当時からあのキャラですから。粗野な部分を出しているという点は、明らかに他のフォークソングの人たちと違っておりましたからね。

及川副委員長

 前回、彼が東北6県を紹介した番組では、最後に秋田の能代の海岸で「東北ってスゲエな」と言って終わって、その言葉がとても印象的で良かったと感心しましたが、何か今回は体の調子でも悪いのか、ちょっと印象が悪かったですね。

増子委員長

 私もずっと酷いなと思って聞いていたのですが、あの足を見たら何か変わったと言いますか。他にご意見はございますか。

末吉事務局長

 委員長、本日欠席した植本委員からレポートの提出がございましたので代読させて頂きます。

 『東北6県にある、タイトル通り、自然派なレストラン情報とそこに携わり生活する人たちを取り上げていて、とても楽しく拝見しました。好感をもてる良質の番組だと思います。全体としては、前回に引き続き泉谷しげるさんが出演され、福島放送の立川陽子アナウンサーとの楽しい旅の様子が自然に描かれ面白かったです。泉谷さんの正直すぎる反応や言葉に負けず、雰囲気を壊さずに進行していた立川アナウンサーはなかなか良かったと思います。泉谷さんは独特のキャラクターのまま、地元の人たちになじむ様子が伝わっていました。前回より良かった点ですが、地名とレストラン情報のテロップが6県とも統一され、テレビを見て書き取れる程度に出ていて親切だったと思います。ナレーションも良かったです。音楽もずいぶん凝っていたと思います。ときに音楽がコミカルだったり、番組を盛り立てていたと思います。また、取り上げられた各地の名人、達人たちは、「これは本物だ」という人たちばかりで感心しました。実際のところ、この番組の中身が濃く、それでいて楽しい印象にまとまったのは、この達人たちに拠るところが大きかったと思います。

 福島・天栄村は、小山さんという釣り名人の釣りっぷりは圧巻だったと思います。川魚を生で食べられると知り、これには驚きました。ただ、川の流れの音、これはとても良かったし、欠くことが出来ないものですが、小山さんらの会話とかぶりよく聞き取れない所がありました。

 宮城・秋保町は、無農薬野菜にこだわり、作る経緯などが説明されていてよかったです。完全に無農薬で作るには大変な苦労もあるだろうと見ていて想像しました。その辺の見えない苦労についても突っ込んでほしかったです。

 秋田・雄和町は、モロヘイヤ。意外な食材を取り上げられたなと思いました。

 山形・上山市は、果樹園にある、デザート屋さんというか、喫茶店の可愛らしいこと、すぐに行ってみたいなと思いました。果樹園経営者と娘さんが、果樹園の四季を多くの方に見てほしいと説明していたところは特に印象的でした。

 岩手・前沢町は、期待通り前沢牛でした。よくある風に、高価な部分を食べて満足する様子も予想どおりでした。でも、牛博士のような小形さんが長年の研究によって美味しい牛が育った背景を説明されていたことは、お肉を堪能するだけに終わらせずよかったと思います。

 青森・平内町は、海の幸とお洒落なショットバー。この意外な組み合わせが興味をひきました。また実際に漁に出るなど、リアリティーもありました。

見終わってみると、ただの情報番組に終わらず、ためになったという印象も残りました。 「オーナーズ シェフ」という言葉があります。経営者のownerとフランス語のchefがくっついてレストラン経営者も兼ねている料理長を意味し、一般的には、規模は小さいけど本格派、こだわりのレストランというニュアンスが定着していると思います。今回の自然派レストランは、「オーナーズ シェフ」のレストランです。しかも原料(材料)から自家製、自己調達です。原料費ゼロ!共通するのは、主婦やレストラン経営は素人の方々、皆さんが既成概念にとらわれないアイディアと努力によって行っていることです。素晴らしいことだと思います。番組制作側が意図したことかどうかは分かりませんが、単なる情報番組の域を超え、自然と人間の英気を再認識させる、奥の深い番組になっているのではないでしょうか。』というレポートを頂戴しました。

増子委員長

 ありがとうございました。他にございませんようでしたら、放送全般についてのご意見を伺いたいと思います。放送番組審議会委員代表者会議がございまいして、今回は及川副委員長に参加して頂くことになっております。皆さんのご意見、よろしくお願いします。

及川副委員長

 今ホットなものとしては、北朝鮮の拉致、北朝鮮、朝鮮民主主義、ニュースを見ていますと、それを頭にしたものが多いですね。確かに全く許しがたい、しかもショッキングな事態だったわけです。週刊誌も含めて挙げて小泉をやっつける、金日成をやっつける、北朝鮮を犯罪国家的な捉え方をする。確かに家族や遺族の思いを代弁するという点では、しかもその事実から言って徹底して批判するという姿勢は、メディアとして大事だと思います。しかし、メディアとしては、あまりにも感情的になってはいけないと思う。国交正常化のもつ歴史的な意味あいや北朝鮮という国のありようなど深く、冷静で多面的な報道がのぞまれます。何かワーッとヒステリー状況になっているようなところが見受けられる。そんなことを最近のニュースから感じます。非常にホットな問題ですからやむを得ない面もあると思いますし、ああいった非道な事に対しては徹底して繰り返して追及する必要があると思いますけれども。もうひとつは、プログレス賞で東北・北海道の作品を増子委員長と私、事務局長でビデオで審査しました。特に東北・北海道ブロックの各社は、本当に地域に根ざして、例えば真冬の豪雪の時に鉄道がつつがなく動くように保線する様子を映したりと、各社とも力を込めてドキュメントを録っておるわけです。その中に当社の小岩井農場の作品がありましたが、全国的な審査の段階でも非常に優れていたと思います。キー局があって各ローカル局があるわけですが、キー局の放送をただ流すだけのテレビアンテナになってはならないわけです。放送の自主性や自立性を守っていく上でも地域の人にどれだけ支持されるかという、ローカル局の取り組みが大事な時に、ドキュメントやニュースがもっと地域に根ざし、しかも技術的にも磨いて良いドキュメントを作り出して行くことが、経費的面では大変なこともあるかも知れないけれども、局によっては長寿番組を作り出しているところもありますから、そういった点で更に力をつけてほしいと感じました。

増子委員長

 プログレス賞といえば、山形が制作した酒田短大の番組がありましたね。あれは問題がある番組だと思って見ました。というのは、教育の視点が全くない。商売として中国人留学生をどんどん集めて、授業料を払わせるためにアルバイト先を探してくるというとんでもない商売をやっているわけです。あたかも税関がいけないというようなコメントが至るところに出てきたり、つまり働きたいためにビザが欲しいためだけに来ている中国人留学生が沢山いる現状があるのに、それをさておき、短大の理事長やらの言動を表に出して、素晴らしい事業であるかのごとくで、見ていてハラハラしました。これはやはり企画の段階でもっと注意深くあらねばならないケースだったと思います。金儲けだけが表に出て、教育の視点が全くない番組でした。

及川副委員長

 去年の11月18日に山形テレビが放送していますね。その後また事態が変わってきて、かなり社会的批判も受けていますでしょう。これを山形テレビが応募してくることにも問題があると思います。

増子委員長

 他にご意見はございませんか。

松本委員

 昨日あたりからニュースになっておりますが、小学生がランドセルを背負って、雲梯で遊んでいて死亡したという事故が報道されております。これは遊具自体に問題があるだとか、遊具をそこに設置している行政の管理責任であるとか、泣きながら訴える家族の姿がニュースに映っております。これは考えようによっては子ども自身あるいは親が、こういう遊び方をしては危険だということを今まで教えてこなかった責任はどうなるのか、自分の安全は自分で守ることを教えないできてしまった結果がそこに出ているわけです。ですから片手落ちでない報道、伝え方というものを感じました。そういった別の視点から伝えてくれている局がどのくらいあるのかなという点に的を絞ってニュースを見ておりました。

及川副委員長

 千駄ヶ谷の東京体育館での催しを終えた都内の小学生たちが、引率の教師も含めてゾロゾロと千駄ヶ谷駅の方へ移動してきたんです。そのうちに改札口で狭まる所で将棋倒し事故が起きて何人か死んだんですね。そして徹底して引率した教師の責任追及ということのなったんです。その時にティーンエイジャーの写真を撮って歩いていた写真家が、なぜ現代の子どもたちは危険を動物的な勘で察知して、自らその危険から逃れないのかということを提起して、当時のマスコミの論調に対して反論したということがありました。ロックのコンサートなどに行っても、ちゃんと係員がいて枠の中でやっているんですよね。管理されることに慣れきっていて、そして生物としての危機感を感じて何か行動をとることが出来にくくなっている。確かに松本さんがおっしゃるような視点に立つことも、マスコミがやらなくてはいけないことだと思いますね。

松本委員

 その方が子どものためになると思いますよね。人の能力について考える良い機会になると思います。保育園の子どもでも分かりますよね、カバンを降ろしてからそういったもので遊ぶことは。なぜ小学生なのに分からなかったのかなという疑問のほうが先に出てきました。様々な角度から見て欲しいなと感じます。

川崎社長

 松本さんは、失礼ですが非常にオーソドックスに物事をおさえて、お考えになってやってらっしゃると思います。今その部分がものすごく欠けてきているのではないでしょうか。例えば、我々テレビ局がイベントをやろうという時に最初に考えることは、どうやって動員するかと、もし事故があった時にどうするのか。管理責任を問われた時にどうするのかを必ず一生懸命考えます。すぐそこに直結しますから。

宮野委員

 私にも小学生の娘がおりますが、この事件に関しては「これは死んだこの子が悪いんだよ」とはっきり言いましたね。テレビ局が報道する場合に、死んだ人を避難することは出来ないけれども、周りの意見を聞くことは出来る気がします。大人から見た視点と、同世代の子どもたちの視点とでは違う気がします。大人は悲劇を喜びますから悲劇へ肩入れするのは当然ですが、物事を多角的に捉えることが今出来ていませんよね。物事を一方通行でしか見ることが出来ないから話がおかしくなる。子どもたちだけではなく、大人である新入社員にも多角的な見方があることを教えないといけないですよね。学校でも「これはこういうものです」という教え方しかしないから、それ以外を認められない人間がすごく多いような気がします。でも実際は難しいですよね。

松本委員

 そうですね。子どもさんは、どちらに落ち度があるとはっきり言える判断力がありますよね。どちらかと言うと10代後半や20代あたりの価値判断が間違っているとすれば、小学生とかもっと幼い段階であれば軌道修正がきくと思いますので、そこにいろいろなことを教えるきっかけになるものをマスコミが与えてくれたらなと思います。親の価値判断が間違っていたとしても、子どもたちには良い判断をする力が素質として残っているかも知れませんから。

増子委員長

 ちょっと戻りますが、拉致問題について一言。学生と接していると全く歴史を知らないんですよね。突然けしからん奴らがけしからんことをしたという認識で、過去の歴史を知らないんですよね。 私も及川先生と同じでこの時期に言うのは難しいのだけれども、その歴史に少しでも触れて、しかし、さりながらという形で歩み寄っていけないのかなと思いますね。それと、小泉さんが叩かれていると言いますが、支持率は上がっていますね。つまり国民は冷静な判断をしたということですよね。むしろ歴代の政府や外務省に対して、今まで何をやっていたんだという批判が出ていますね。これは国民が冷静な判断をした、正しい考え方じゃないかと私は思います。それからこれは私が感じたのですが、日本という国は本当に我々を守ってくれるのかということです。外国に行くとよく分かるのですが、守ってくれませんよね。日本人は大使館とか領事館は元々頼りにしていませんから。今度の事件は何となくそういったものを我々の深層心理に思わせたところがあるのでは、という気がします。遺族や家族たちが拉致もけしからんが、政府の対応もけしからんと言っておりますが、つまり歴代の政府や外務省は外交のカードとしてしか使ってこなかったという事実があるわけです。そこを本能的に国民が感じとっていて、こういった事件が起きても政治的な使い道がなければ放っておかれるのかという、実は日本人の深いところに思わせた事件ではなかったのかと感じます。他にございませんか。

宮野委員

 少し前まで「IATスーパーJチャンネル」は他局のニュースに比べて浮いていましたよね。アナウンサーが若いことと、声のトーンが高いことで。他局は相変わらず落ち着いたトーンでニュースをやっていますし、以前は声のトーンが高いことはあまり良く評価されませんでした。ですが、今の沈んだ世の中で、少しでも明るくするためにはこういったことも良いのかもしれませんね。ですから、そういった意味でも「IATスーパーJチャンネル」には非常に期待をしております。元気が出る番組をローカルでは流して欲しいと思います。

笠川委員

 子どもを持つ父母たちから出た話ですが、夏休み中の子どもが家にいる時間に「傑作ワイド」や「特捜最前線」を放送していますが、子どもがテレビをつけて、仮に他のことをしながら見ていたとしても、殺人や男女のことといったことが映っていると、どうしても子どもには見せたくないんだよなという話が出ました。この番組はいつもこの時間帯にやっていますが、子どもたちの長期休暇にぶつかる時期だけでも、どうにかならないでしょうかという意見が多数あったのですが、いかがでしょうか。

河邊業務局長

 そうですね。この時間帯は過去に放送したものを再放送しているという時間帯なのですが、特に残虐シーンなどがあるものについてはテロップを入れて放送しておりますし、あまりにもそういったシーンが激しいものについては放送中止をしております。出来るだけそういったセレクトには十分注意をしているつもりではあるのですが。

笠川委員

 最近は共稼ぎの家庭も多いですから、子どもが昼間にどんな番組を見ているのか分からないですし、こんな番組を見ているのかと驚くことも多いですね。

河邊業務局長

 昼間はお子さまがテレビを見る時間帯ではないという前提で我々もやっている部分が往々にしてございますから、長期休暇にぶつかる時期の番組編成にはもう少し配慮すべきだと思います。

増子委員長

 他にございますか。それでは番組審議会を終了致します。ありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

特になし

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎ 11月度単発番組編成予定表

◎ 10~12月タイムテーブル