放送番組審議会

1月(第134回)

概要

 岩手朝日テレビの第134回番組審議会が平成22年1月27日(木)、盛岡市盛岡駅前通のホテルメトロポリタン・ニューウィングで開かれた。

 合評内容は「語り継がれる星に~菊池雄星18歳の真実」

  • インタビューの場面で、今現在の雄星選手か、甲子園に行く前なのか判りにくい映像がある。
  • 藤原竜也さんのナレーションは、話し方が静かで映像内容にもピッタリである。
  • 30分の短い番組の中で、野球選手として技術的にも優れているために有名になり生き方に継がる夢や志までも語らせられている。
  • 内容とタイトルが結びつかなく期待外れであった。
  • 雄星選手の内面まで踏み込む取材が随所にみられ、それに答えようとする選手の真面目さと真剣な口ぶりが痛ましく映った。
  • 過剰とも取れる報道は、これからが出発である18歳の心の負担になると思う。
  • ドキュメンタリーで評価の定まらない、現在進行形の人物を取りあげるのは制作者側からすれば、難しいのではないか。
  • ドキュメンタリーで雄星選手を題材にしたのは芸のない、無難なつくりで極めて安易なテーマでぼやけている。
  • 大リーグのスカウトマンに対して、涙を流すような、素直な好青年が生きていけるのか心配だ。

という意見が出た。

出席委員は、増子義孝委員長、小田島利昭委員、笠川さゆり委員、そのだつくし委員、弭間俊則委員、村田久委員、吉田政司委員の7名。

議事録

1.開催日時 平成 22年 1月 27日(水)午後4時~

2.開催場所 ホテルメトロポリタン・ニューウィング3階

3.委員の出席

委員総数  7名

出席委員数 7名

委員長 増子 義孝

委員 小田島 利昭

委員 笠川 さゆり

委員 そのだ つくし

委員 弭間 俊則

委員 吉田 政司

委員 村田 久

会社側出席者名

代表取締役社長 富永 健治

常務取締役 辻 一成

取締役報道制作局長 小椋 和雄

編成業務局長兼放送番組審議会事務局長

小林 直紀

報道制作部局長 佐々木 貴

報道制作部部長 鈴木 敦

番組審議会事務局 佐藤 清一

4.議 題

(1)番組合評

「語り継がれる星に~菊池雄星18歳の真実」

(2)2月単発番組について

(3)次回審議会

開 催 日:平成22年2月25日(木)11時~

本社 3階会議室

合評課題:「東北ふるさとCMフェスティバル」

放送日時:平成22年1月26日(土)

5.概要

◎ インタビューの場面で、今現在の雄星選手か、甲子園に行く前なのか判りにくい映像がある。

◎ 藤原竜也さんのナレーションは、話し方が静かで映像内容にもピッタリである。

◎ 30分の短い番組の中で、野球選手として技術的にも優れているために有名になり生き方に継がる夢や志までも語らせられている。

◎ 内容とタイトルが結びつかなく期待外れであった。

◎ 雄星選手の内面まで踏み込む取材が随所にみられ、それに答えようとする選手の真面目さと真剣な口ぶりが痛ましく映った。

◎ 過剰とも取れる報道は、これからが出発である18歳の心の負担になると思う。

◎ ドキュメンタリーで評価の定まらない、現在進行形の人物を取りあげるのは制作者側からすれば、難しいのではないか。

◎ ドキュメンタリーで雄星選手を題材にしたのは芸のない、無難なつくりで極めて安易なテーマでぼやけている。

◎ 大リーグのスカウトマンに対して、涙を流すような、素直な好青年が生きていけるのか心配だ。

6.議事の内容

小林事務局長

 それでは、只今より、第134回岩手朝日テレビ放送番組審議会を始めます。

 それでは、増子委員長、議事をお願いいたします。

増子委員長

 それでは富永社長、一言お願いします。

富永社長

 本日もお忙しい中、お集まり頂きましてありがとうございます。

 今年最初の番組審議会でありまして、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 昨年は、IATにとってよき一年でありました。

 また、視聴率にとっても、全日、ゴールデン、プライム、プライム2いずれもIBCを抜くことが出来ました。

 今年は地上デジタル放送が来年7月24日に完全移行に向け、中継局整備に力を入れ、沿岸中心に、約5000世帯で地上デジタル放送が視聴可能となります。4月以降には全て中継局を完成させ、ケーブルを使ってほぼ見られるようになるかと思います。

 我々も期待に応えるべく頑張っております。

 またIAT開局15周年に向けていろいろ企画を考えております。皆さまの意見をよろしくお願いいたします。

増子委員長

 ありがとうございました。

 何かご質問等ございませんか?

吉田委員

 これまで、県内で視聴できない地域があるのでしょうか。

富永社長

 はい。かなりの山間部や沿岸の入り組んでいる地域等では電波が届かない地域がありました。

増子委員長

 全国的に地上デジタルの普及率はどのくらいでしょうか。

富永社長

 85%しか電波が届いていない地域もあります。県民性、経済 状態や周知効果が足りない地域もあります。

増子委員長

 他に何かございませんか。それでは、2月の単発と視聴率についてお願いします。

小林編成局長

 バンクーバーオリンピックが始まり、民放、NHKと分け合って放送いたします。是非、デジタル放送で見ていただきたいと思います。

 さて、2月の単発番組ですが、まさにオリンピック一色な番組です。

 視聴率ですが、昨年1月から12月までの視聴率は民放で第3位でした。年末から報道ステーションの視聴率が伸び悩んでおります。4月以降の番組改編に期待しています。

増子委員長

 なぜ報道ステーションの数字が低くなっているのでしょうか。

小林事務局長

 他局で19時台から2時間ドラマの放送をしますとその流れで引っ張られてしまうようですね。

弭間委員

 めんこいテレビさんの数字が高いのは何故でしょうか。

小林事務局長

 19時台に放送している番組を2時間枠に編成して放送している手馴れた番組の放送が数字を高くしているようです。

増子委員長

 ありがとうございました。何かご質問ございますか。

 それでは合評課題に移ります。

小田島委員

 18歳の真実という題名に番組自体はとても綺麗に作られていました。雄星選手の素顔が見られる番組なのかと思い、真実というのはメジャーか国内かどうして国内に決めたのかという真実を伺える番組かと期待しました。しかし県内の私たちが見ていると、なんだか物足りない内容に思いました。

 気づいた点を2つお話したいと思います。花巻東高校が夏の大会で目指すのは日本一になるという期待がよく映し出されていました。

 もう一つはなぜ、雄星選手はあんなに立派なのでしょうね。こんなに立派にしたのは親御さんが良いのか、監督が良いのか、番組の中で、親御さんから彼の小さいときの話など聞けたら良かったと思います。

 メジャーに行くか国内にするか悩んだとき、監督が縦割りの社会で国内に決めたと言っていました。難しいところですね。

 たまたま今週日曜日の番組を見ていたら、雄星選手の対談が放送されていました。あのようなつくり方ならもっと良かったと思います。

 県内の方々が見ているシーンばかりだったので、私たちの知らない事をもう少し内容に盛り込んでほしかったです。

笠川委員

 30分番組で時間を感じないで見ることが出来ました。取材する側、される側がとても番組の内容に伝わっていました。

 監督にしても、選手とのつながりが強いところが映し出されていましたね。

 ナレーションの藤原達也さんも話し方が静かで内容と合っていました。また、18歳の青年の苦労さ、ドラフトやその際、どういう気持ちでいたか、苦悩などあったことと思います。

 その辺がうまく映し出されていました。

 しかし、18歳コンビはすごいですよね。石川僚君もすごいですしね。

 番組審議会として見ているからかもしれませんが、インタビューを受けているシーンで、今現在の雄星選手のインタビューなのか、甲子園に行く前のインタビューなのかどのあたりの時期のコメントなのかわかりづらかったです。

 全体的にCMを挟んで前半は内容が重たい感じに重いました。しかし30分番組としては飽きることなく見られたので良かったと思います。

そのだ委員

 気になるところもなく、起承転結がうまく出来ていたつくりになっていたと思います。

 ナレーションの語り方や雄星選手の名前の由来とても良かったと思います。もう少し雄星選手のプライベートを見たかったなと思います。

 インタビューのシーンはシンプルさが逆に良かったと思います。画面の雄星選手の後ろが真っ黒で、インパクトが強くなりとても良かったです。

 髪の毛も長くなって大人になっていくんだな。という思いで見ていました。

弭間委員

 30分の短い時間で中身の濃さ密度の濃い好番組だったと思います。

 野球選手として技術的に有名なになり、生きざまにつながる夢や志が引き出されていました。

 地元という感覚で見ていて、地元への思いなど素直に映っていました。

 報道などで、涙とは何だろう。と思っていましたが、ストーリー性で取材の中で本音が聞きだされていてすばらしいと思いました。

 監督や関係者が周りから固めて辛い涙で終わっていたら間違った意識で思われてしまいますが、番組を見て改めて涙の意味が良くわかりました。合評課題という意識で真剣に見て入団のコメントの中で愛されるピッチャー夢のノートに書いてあっったことが出てくれれば良かったと思いました。

村田委員

 先ず最初に、サブタイトルに期待はずれでした。

 いかにもミステリアスなタイトルにいったいどんな秘密が明かされるのか。どのように物語が展開していくのか。を興味深く見ていましたが、内容的にタイトルと結びつけるのは無理があって、少なからず期待はずれの感じがしました。

 大筋には、ドキュメンタリーとしてわかり易い構成になってはいましたが、タイトルに結び付けようという思惑からでしょうか、雄星選手の内面まで踏み込む取材が随所に見られ、それに応えようとする雄星選手の真面目さと真剣な口ぶりがかえって痛ましく映ったのは私だけでしょうか。

 日本球団への決意表明の後に見せた涙の訳を取材した場面がありましたが、そこまでやる必要さがあったのでしょうか。

 涙を流した雄星選手のアップだけで十分だったと思います。

 マスコミに大きく取りざたされ、雄星選手も自意識過ぎる部分も感じてなりません。取材の加熱、過剰すぎるのもあまり良くは思えませんね。自分は野球界に選ばれたという自意識が強すぎてこうしなければいけない。こうあるべきだ。といった考えが全体にあふれていました。それが取材陣の加熱振りにつながるのだと思います。

 20年に一度の逸材という前評判のせいでしょうか、過剰とも取れる報道は、これからが出発点という18歳の心に負担ではなかったのでしょうか。疑問に残ります。

 このドキュメンタリーに対する思いは、各自違うとは思いますがもう少し彼をそっとしてあげるぐらいの配慮を持っても良いのではないでしょうか。

 天性の才能をつぶす事になってはあまりにも悲しい事だと思います。

吉田委員

 いつごろからこの企画が上がり、番組が決まったのでしょうか。そして情報をどのようにして集めたのでしょうか。

 わたくしも自分の番組に対しての期待と実際の内容が違っていました。

 まず興味深い点は、新潟国体の時の取材陣の多さにはビックリしましたね。寮での生活も興味深く見たおりました。またナレーションの藤原竜也さんの声の静かさとても良かったです。若い世代には好感を持っていただけたのではないでしょうか。18歳の青年の気持ちの持ち方、また学校の紹介から始まる流れ。これは学校向けの作り方のようでしたね。

 全体的に見て感じたことは、ドキュメンタリーで現在進行形の彼のような選手を取り上げるのは制作者側からすれば、難しいでないでしょうか。

増子委員長

 雄星現象。20年に一度のスターのようで、このような現象が起こるのはどうしてでしょうね。

 朝日新聞を読んでいても、今の時代にヒーローが如何に少ないか。ドキュメンタリーでこの選手を取り上げたのは芸のない、無難なつくりで極めて安易なテーマでぼやけてしまう。そんな印象を受けました。

 村田先生が話していました、普通の高校生じゃないですか。取材されてテレビに出て、持て囃されて意識しちゃうんですよ。

 涙のわけ、大リーグのスカウトマンに対して涙を流して、こんなに素直な好青年ちゃんとこれから生きていけるのか心配です。

 20年に一度の逸材と言いますが、消えていった選手もたくさんいます。本当に痛々しいと感じました。

 これからどうなっていくのか。また監督の力もすばらしいですね。雄星選手はあの監督がいたから、この学校を選んだと言っていました。

 結論を言えば、取材は苦労が多かったと思いますが引き付けられる部分がありませんでした。このようなテーマはこのような番組では無理があったのではないでしょうか。番審として議論となると、もっと難しいと思いますね。

報道制作佐々木

 貴重なご意見をありがとうございました。ご質問の趣旨に沿ってお答えさせていただきます。

 そもそも、一年前から雄星選手へは目をつけて取材をしていました。このピッチャーは凄い。という目線で追いかけ、夏の大会前後から取材をしていました。

 その企画を提案したところ、通りまして、番組として包装となりました。

 しかし、ユニット取材が学校の管理の下でしたので、思うように出来ず、雄星選手の素顔に基づいた取材をさせて頂きました。山田アナウンサーと企画検討を重ね、18歳の素顔で良いと思いましたが、楽天を目指していたのもまだ知らない時期でしたし、雄星選手の素顔に基づいて差のような番組の構成になった次第です。

 作り方は時系列よりは、彼の心が左行ったり、右に行ったり、しかしこんな作りでも良いのではないかと考えました。

 また月日が表示されていなかったのは不親切でありました。

 雄星選手自体、彼自身石川遼選手が良いコメントを画面でしているので、それを突き破るのは難しいですね。

 取材の過熱で、一斉に一人の選手を取材陣が追いかけ、また、親御さんにも雄星選手の小さい頃のエピソード等、もう少し配慮が必要だったと反省しております。踏み込んだ取材にかけていました。

増子委員長

 このようなテーマを番組審議会の議題にするのは難しいと思いますね。

村田委員

 雄星選手を一スターとしてまつりあげてしまって、取材陣の加熱さが目に余ります。観客動員のせいもあるのでしょうね。

増子委員長

 NHKで、先日見たのですが、松井選手を2年間追い続けその番組を放送していましたが、何年も追いかけていろいろな画像やインタビューがないとこの手の番組は難しいと思いますね。

 何か他にございませんか。では次回についてお願いします。

小林事務局長

 では次回についてですが、「東北ふるさとCMフェスティバル」を合評課題にしております。是非ご覧になって貴重なご意見をお願いいたします。

増子委員長

 それでは終了します。ありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

ご指摘頂いた点を、今後の番組作りの参考とすることとした。

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

朝日新聞2月3日岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

  2月単発番組編成予定表

  1月岩手地区視聴率