放送番組審議会

1月(第34回)

概要

 2月の番組編成について河邊業務局長が説明し承認された。

 続いて、1月4日からリニューアルされた「ニュースステーション」について審議があり、出席各委員から、「久米さんの髭やラフな装いは格別気にならない、女性キャスターも生き生きした感じを受けた」「久米さん一辺倒から問題提起型になり視聴者側になってきたようだ」などの意見が述べられた。

 反面、「ニュースインデプスのコーナーは、テーマのよっては掘り下げ不足である」「番組全体の新しいイメージづくりのあまり、演出過剰気味」「いつまでも道具建てに頼り切っていてはいけない」などの意見もあった。

 出席委員は、増子 義孝 委員長、植本 花子 委員、及川 和男 委員、荻野 洋 委員、斎藤 五郎 委員、松本 直子 委員、宮野 裕子 委員の7名。

 欠席委員は、照井 章夫 副委員長、松尾 正弘 委員、山川 清 委員の3名

議事録

1. 日時

平成12年 1月28日(金)午前11時~

2. 場所

岩手朝日テレビ会議室

3. 委員の出席

委員総数 10名

出席委員数 7名

欠席委員数 3名

出席委員の氏名

増子 義孝 委員長 植本 花子 委員 及川 和男 委員

荻野    委員 斎藤 五郎 委員 松本 直子 委員

宮野 裕子 委員

欠席委員の氏名

照井 章夫 副委員長 松尾 正弘 委員 山川    委員

放送事業者側出席委員

蓮見 社長 桑折 専務 村上 常務

河邊 業務局長 横舘 報道制作局長 菊地 技術局長

升谷 事務局長

4.議   事

(1)2月の番組編成について

(2)番組合評「ニュースステーション」について

(3)次回の開催日時および議題について

5. 議事の概要

 2月の番組編成について河邊業務局長が説明し承認された。続いて、1月4日からリニューアルされた「ニュースステーション」について審議があり、出席各委員から、「久米さんの髭やラフな装いは格別気にならない、女性キャスターも生き生きした感じを受けた」「久米さん一辺倒から問題提起型になり視聴者側になってきたようだ」などの意見が述べられた。

 反面、「ニュースインデプスのコーナーは、テーマのよっては掘り下げ不足である」「番組全体の新しいイメージづくりのあまり、演出過剰気味」「いつまでも道具建てに頼り切っていてはいけない」などの意見もあった。

6. 議事の内容

升谷 事務局長

 定刻となりましたので、第34回番組審議会を開催いたします。

12月度は休会でした。新年でございますので、会議に入ります前に、蓮見社長からご挨拶を申し上げます。

蓮見 社長

 おはようございます。遅ればせながら、おめでとうごさいます。

 2000年は、我々民放業界におきましても、ひとつの転機になる年でして、ご存知のように、テレビ朝日を始め東京のキー局5社が12月1日からBSデジタル放送を営業開始いたします。これは、4月末或いは5月の始めに5社共同で会社の内容をスポンサー・広告代理店に説明会を開く準備が整っております。そうしますと、営業活動も秋頃から始まり、12月から本放送を開始するというように、民放業界におきましては、たいへん画期的な年になります。従いまして、岩手県におきましても、NHKを含めまして地上波が5局あるわけですが、それにプラスしてBS放送が5社新たに参入してきます。既に、ディレクTVやスカイパーフェクTVといったCS放送はありますが、いわゆる民放のキー局がもう1波、衛星放送で始めることになりますと、いかにして地上波が勝ち残るか、生き残るかという大きな問題になります。それには番組、ソフトがいかに視聴者に受け、歓迎されるような時代になるか。そうならない限りは地上波の我々も生き残っていくのは難しいということに当然なると思いますので、番組に対するいろいろなご意見を先生方から頂戴して番組に反映していきたいと思いますので、今年も宜しくお願いしたいと思います。

升谷 事務局長

 それでは早速、議事に入りたいと思います。増子委員長、お願いします。

増子 委員長

 それでは、「2月の番組編成について」ご説明をお願いします。

河邊 業務局長

 それでは、説明させて頂きます。レギュラー番組につきましては特に変更はございません。1月からゴールデンで6枠ほど新番組がスタートしました。視聴率も前の番組を上回る数字を取りまして好スタートを切っております。視聴率の低い番組、特にバラエティ等につきましては、一部コーナーに変更がある番組もございます。2月はレギュラー番組については変更はございません。

 では、2月の単発番組についてご説明致します。ゴールデンタイムの単発はございませんで、土曜・日曜の午後帯あるいは深夜帯の特番編成ということになります。

2/5(土)16:00~16:55「すっぴんでイイじゃない!!~本キで!本ネで!女たちの談話室~(仮題)」。出演は松居直美、渡辺満里奈、ビビアン・スー、松本伊代。女性たちが美しくなるために本音で語る、美しくなるための情報番組です。17:00~17:30「子どもが減っていく!」。昨年の12月から4話シリーズで編成しております少子化シリーズの第3話です。「企業戦士からよきパパへ」というテーマでお送りします。それから25:10~25:40「SUPER RIDER伝説第4章~TOYOTA BIG AIR 2000~」2/27の同番組の事前番組です。

2/6(日)14:00~15:25「サンデープレゼント『倉敷・巴里 夢のあしあと モネを買ってきた画家児島虎次郎の生涯~大原美術館ものがたり~』」。児島虎次郎の生涯を追うドキュメントで一部再現ドラマで構成されています。それから15:30~17:25「日曜ワイド『高島礼子の美女三人旅 絶叫!感動オーストラリア珍道中!!』」。出演は高島礼子、七瀬なつみ、新山千春。オーストラリアの紀行ものでございます。

2/11(金)祭日でございますが、14:00~15:00「秘湯ロマンスペシャル」。出演は増田明美、ロバート・ネフほか。全国の秘湯を紹介する番組でございます。15:00~15:55「上信越道開通スペシャル 挑戦!ビッグエアジャンプ!!~遊・食満キツ!スノーパラダイス~」。系列の長野朝日放送が制作した全国ネット番組です。上信越中郷インターから上越ジャンクションが開通したのを記念して、その間のグルメや温泉も紹介する番組です。

2/13(日)14:00~15:25「サンデープレゼント『母・あぐり92歳!娘・和子63歳!恐いものなし!吉行母娘ネパール旅!!』」(仮題)。ネパールの食事やヒマラヤの美しい高山植物、そして現地の人々の生活に親しむという内容の紀行ものです。15:30~17:25「日曜ワイド『突撃!潜入!憧れの超豪華スターのお宅ガサ入れ大探検隊!スペシャル』。昨年放送したものの再放送です。

2/19(土)16:00~16:55「格闘クマさん 光のゲージツ~クマズ・ブルー・イン・四国~」。鉄のゲージツ家の篠原勝之が、ガラスに魅せられて、青いガラスのモニュメント作品「クマズブルー」の製作に取り組むという内容です。

2/20(日)14:00~15:25「サンデープレゼント『人間発掘スペシャル-盛田昭夫』」(仮題)。世界のSONYを築き上げた盛田昭夫の生涯を追う人間スペシャルです。15:30~17:25「日曜ワイド『志村けんの変なおじさん日本縦断地獄旅!!』」。出演は志村けん、辺見えみり、上島竜兵、肥後克広。北海道から沖縄、大阪、新潟、さらには韓国までかけめぐる旅企画です。

2/25(金)19:00~20:00「ドラえもんスペシャル」。

2/26(土)13:00~14:25「美しくやせたい女達の驚異の記録」。美しくなりたいという願いを実現した女性たちの驚くべき変身ぶりを紹介いたします。17:00~17:30先程お話ししました「子どもが減っていく!」。少子化シリーズの第4話です。「地域づくりは、人づくり」というテーマでお送りします。わが社制作でございます。

2/27(日)14:00~15:25「人間ビジョンスペシャル9 日高山脈を行く」。系列の北海道テレビ制作のネット番組です。出演は立松和平と樋口和生。日本最後の原始山岳境・日高山脈。野生のヒグマが棲息し、アイヌの伝説が今も生きるカムイの山々の魅力に迫る内容です。15:30~17:25「日曜ワイド『体当たり“楽園”紀行!最後の秘境・パプアニューギニア』」。出演は田代まさし、安西ひろこ等です。パプアニューギニアで超豪華なリゾート生活とジャングルでの部族との生活を味わうという内容のものです。24:30~25:25「TOYOTA BIG AIR 2000」。ISF(国際スノーボード連盟)公認のストレートジャンプコンテストとしてはアジア最大の大会。真駒内オープンスタジアムで2/19の大会の模様を収録して放送します。

2/29(火)25:35~26:28月1回放送しております「エキサイトボクシング」がございます。場所は後楽園ホールです。

以上で説明を終わります。

増子 委員長

 ありがとうございました。只今の説明のついて、質問や意見はございませんか。

斉藤 委員

 自社制作番組について、もっと詳しい情報が欲しいのと、「少子化シリーズ」も、もう少し説明して欲しいのですが。

桑折 専務

 12月スタートで4回完結のシリーズです。岩手県の提供で、高齢化の問題の前に少子化がどのように進行しているのか、子どもを産むということにはどのような問題があり、またそれをどのように克服しているのかということを4回のシリーズで伝えていくわけです。

斉藤 委員

 30分番組ですが、取材の裏話ですとか、どんな発想でシナリオ構成をしたのかとか。出来れば構成シナリオを拝見したいのですが。

河邊 業務局長

 この番組は、様々な問題や話題を、アンケートなども取り入れて、撮影にご協力頂いた素人のご夫婦間の会話を下にして、取材をしながら構成していくというものです。特に話題になったのは出産シーンでした。出演者の協力もあって、赤ちゃんが取り出されるまでの映像なども撮れました。『赤ちゃんを産むことは大変ではない。』という意味合いのものとか。今回も2話放送しますが、父親も子育てに参加しなくてはいけないとか、地域社会も少子化問題に真剣に取り組まなくてはいけないだとか、そんな問題提起をする番組です。

斉藤 委員

 私は番組を拝見していなかったのですが、周りからいい番組だったと聞いたものですから。この番組は再放送もするのですか。

河邊 業務局長

 毎回、オンエアの一週間後の土曜日の深夜に再放送しています。

斉藤 委員

 この番組に限らず自社制作番組はいかに大変かということ、PRが足りないのでないか、もっと市民、県民に知らしめて欲しいという事です。放送後に話を聞くものですから。

河邊 業務局長

 我々もその辺は気にしております。番組のある程度の取材ができないとPR素材も作れません。制作状況によってオンエアまでのPR期間が狭まってしまいます。その辺は検討しなくてはいけないと思っています。

斉藤 委員

 立松和平さんの「日高山脈を行く」は新聞でも取り上げられたこともあって、見たいと思いますね。そんなこともあるんですよ。

河邊 業務局長

 少子化シリーズにしても、岩手日報のラテ版には必ず載せるようにして頂いています。

斉藤 委員

 はい、ありがとうございました。

増子 委員長

 ありがとうございました。他にございませんか。

荻野 委員

 スノーボードの番組は、岩手県では他局でローカル的にやっているだけで、全国版で取り上げるのは画期的だと思います。スキーは認知していますが、スノーボードは社会的に認知されていないスポーツというイメージがありますね。今は、スノーボードが主流になりつつあるのですが、格好がおかしいとか衣装がおかしいとか特殊な目で見られていて、抵抗があるわけです。これからは、認知された良いスポーツという形で番組をやったらと思います。若い人の冬のスポーツは無くなってきています。スキーも高齢化して、スノーボード人口にも流入して来ない。今の若い人は、パソコンと携帯電話にお金がかかってスキーもスノーボードもしない。せめてスノーボードの社会的認知、我々の感じる抵抗感を払拭する時期に来ていると思います。そしてスノーボード人口を出来るだけ増やしたいと思っています。全国版のスノーボード番組がやっと出て来た、もっと早い時間帯にやって欲しいのですが。是非ともスノーボードについては先駆者的な意味があると思いますので、前面に出してもいいと思います。

河邊 業務局長

 我社でも1月に八幡平スキー場を会場に、IAT杯スノーボード選手権を主催しまして、事業も含めて番組を制作しました。

荻野 委員

 岩手県でも、スキー人口が減っていく中で、スノーボードで何とかと思っていますので、是非ともお願いしたいと思います。

斉藤 委員

 私も実は、スノーボードはウィンタースポーツの邪道だと思っていました。ところがNHKの6時のニュースで取り上げて講習をしていました。それで、スノーボードもスキーと同時進行で行われているのだと認識を改めました。

及川 委員

 スキー場によっては、スノーボード禁止の所があり、若者は行きませんね。規模の大きいスキー場でないとスノーボードは無理ですが、『スノーボード可』が増えてきていますね。

荻野 委員

 「TOYOTA BIG AIR 2000」のような公認の国際的な大会が開催されるのはいい事だと思います。これからも朝日テレビさん、放送して欲しいと思います。

増子 委員長

 ありがとうございました。他にございませんか。

 『天声人語』に永六輔さんが視聴率のモニター・サンプリング括りについて、若い世代は細かい刻みで調査するのに後は60歳以上に一括りにするのはけしからんと書いてありました。僕も、60歳以上はこれから結構良い市場になるのではと思います。BSとの競争の時代になると、どこで違いを出すかというと、年寄りに向けて違いを出すのも一つの方向ではないかと『天声人語』を読みながら考えたのですが。いかがなものでしょうか。

桑折 専務

 確かに岩手県は15年後には60歳以上が40%を占めるそうですね。これは全国的に見ても率が高いほうです。

増子 委員長

 ですから、高齢者向けに特色のある番組、しかも高齢者は真面目な番組をじっくり見るんですね。これからの方向の一つとして考えてもいいのではないかと思います。

それでは、番組の合評に入りたいと思います。

松本 委員

 ニュースステーションの中で一番関心を持って毎回見るのは『ニュースインデプス』です。楽しみに毎回見るのですが、掘り下げ方がいま一つ足りない、物足りなさを感じて見終わることが多いです。タイトルの割にはあっさりとしている、例えばオウム関連の時もそうでしたし、吉野川の可動堰の場合もそうでしたが、ある程度の事であれば、昼間のワイドショーの社会面での取り上げ方と同程度ではないかと思います。ニュース番組ならではの視点や掘り下げ方があってもいいのでは、と物足りなさを感じます。

 それから、1時間20分という長さが果たして適当なのか、もう少しコンパクトに締まった内容に凝縮されてもいいのではないかと。後半のスポーツの辺りになると、だらけている感じがして、見るのが辛くなってしまうものですから。最近、周りでは渡辺真理さんの髪型や、久米宏さんの衣装が話題になったりしますから、視覚的にそのような事に興味を持って毎回楽しみに見ている視聴者もいるんだなと思いました。

宮野 委員

 ニュースステーションは私が一番好きな番組ですので、良い合評番組だなと思って見ました。今年に入って最初に見て驚いたのが久米さんの出立ちが変わった事ですね。以前はビシッと背広を着こなしていましたが、髭を生やして眼鏡をかけて頭も白髪になっていて。私は良いイメージに取りました。少し砕けた感じを出して、普通のニュースとは違う観点からモノをみるという点からも、非常にラフな感じで見やすいと思っております。

 ご存知のとおり久米さんは早口でして、それは一つのキャラクターとして良いのですが、次にニュースを読む女性キャスターも同じく早口になって、早さについていけなくて最後にとちってしまうのは如何かなと。いずれにしても、個性を出すのは良いと思います。

 中身に関しては、最近はヤフーの株価が1億円を超えた続きで、ソフトバンクの孫正義さんを呼んで久米さんとやり取りをしたとか話題性があって、タイムリーに捕らえる意味では、楽しく見ています。また、大阪府知事選挙の自民党内部の駆け引きの感じが、普通のニュースには無い良さですね。1週間ごとにやる番組はあるのですが、やはり今日昨日のことを捕らえるという意味では、普通のニュースと視点が違うところが良いと思います。

 もう一つは、東海村の選挙を取り上げたのですが、あれは普通の新聞には載りませんので。今までは無風状態の無選挙でやってきたのが、それでは駄目だということで、ポッと出た人が当選してしまったという話なのですが、身近に感じました。岩手県内の村や町でもある話ですので、こういう事を取り上げて放送するのもいいなと思いました。

 また、昨日から始まった、Eメールで来た質問に対して、取材をして答えるコーナーがありますね。大阪府知事選に絡めて、障害者の方が投票するか云々という…。最終的には法律の問題にまで掘り下がる話でしたが、こういった内容のものを週に1~2回でもやってもらえたら、それは私達のデータバンクになると思います。そういう意味では非常に好意的に受け止めております。以上です。

斉藤 委員

 はっきり申し上げますが、ニュース番組というのは、7時のNHK、でなければ9時、11時と。ワイドニュースショーという長時間のものはなかなか。ニュースなんていうものは、義務的に報道して短期決戦でいいと思います。後は切り口を変えて色々な視点から見てという開陳でありますので、勉強にはなりますが。『ああ、久米宏がまたやっている。』と思うだけでチャンネルを変えてしまったり。同時間帯は結構良い番組が他局にもありますから、ニュースステーションだけに執着して見ていないことは、申し訳ないと思います。

 リニューアルしてからの久米宏は遠慮がち、引っ込み思案じゃないかという気がします。週刊誌の情報だと決して自分も気分良くやっていない、抵抗の表れで髭を伸ばしたりしているのかと。もっと快刀乱麻にやって欲しい。弱くなったのではないかと思います。視聴者にはいつでもチャンネルを切り替える権利がありますから。どの局もニュースそのものの報道は同じですが、但し、特集ではいいものがありますね。特集にむしろ力を入れてもらいたいです。ニュース番組をキャラクターでやっているのは、今は珍しいことだと思います。他の番組には感想も色々ありますが、ニュースステーションではその程度でございます。

及川 委員

 今月は久米さんが復帰してどう変化したのか、視聴率はどうなのかというのが一つ、そしてやはりニュース番組としてのニュースステーションとして、どうなのかという二つのポイントがあると思います。

 フォーカス等で叩かれていますが、私は髭やノーネクタイは全く気になりません。ちゃんとスーツ姿にネクタイの時もありますし。1月4日はスタッフの方々がとても生き生きしていたと思います。

 私が問題だと思ったのは、12日の『ニュースインデプス』で野中広務さんをお招きした時、野中氏の出身地である京都の園部町の行きつけの喫茶店のコーヒーカップをわざわざスタジオまで持ってきて、それに久米さんがコーヒーを入れて、コーヒーを飲みながら談義が始まるという趣向をとったわけですが、ちょっと凝り過ぎでないかと思いました。久米さんのコーヒーの入れ方も乱暴でしたし。それに、火鉢の前からいつもの席へ2人が移るのも、スタジオを模様替えしたせいか時間的にもたもたした感じがして。あまり趣向の凝り過ぎにならないようにすべきだと思います。

 一番の問題点は、野中氏が最後に教育に触れる発言をした時に久米さんが『皆が努力しているんだから、そんな事は言わないで欲しい。』と、かなり彼らしい、きつい調子で発言を遮った。その時、野中氏は『ああ、そうですか。』と憮然たる表情をしたわけです。私はその時の久米さんの態度は戴けないと思うんです。野中氏はゲストであって、然るべき社会的、政治的な地位にある人に対する礼儀の問題としても、主旨に外れたとしても言論の自由があるわけです。そもそも、対論ではないので、ジャーナリストとしての批判は冷静に説得力をもって行うべきではないかと思いました。

 私は斎藤委員の意見とは違って、久米さんはかなり肩に力が入っているなと思いました。19日は若手国会議員の控え室を訪れてからスタジオに現れるわけですが、そういうことをあまり繰り返すと鼻につく気がします。若手国会議員も久米さんに合せてラフなスタイルで登場したのですが、ラフなスタイルにすることで人間の薄っぺらさが見えて、威張っている国会議員が急に普通の若者に見えて面白かったです。しかし時間的にも仕組み的にも論が深まらないですね。設問も極端すぎて答えにくいので、スタッフ側もやり方の非を認めざるを得ないような言葉を発しておりましたが。もう少しやり方を工夫するべきだと思いました。

 先程も出ました孫正義氏をゲストに招いたインタビューは、久米さんの持ち味が出でいて良かったです。これは、相手がなかなかの人物だったことも手伝っていると思いますが。また、早稲田商店会では無農薬大豆を使った1丁170円の豆腐、これは事前に4,000円で商店会が農家と契約をして作った大豆で町内のお豆腐屋さんに豆腐を作ってもらい売る、と工夫して商店会の活性化へ取組んでいる。特別のニュースではないのですが、こういう情報を捉えるのは、ニュースステーションのスタッフの取材、目配りがあってこそだと思うわけです。こういったものが有意義な情報提供になっていると私は思います。

 久米さんが復帰してからの新しい試み、意欲を高く評価したいと思います。久米さんは文学でいうところの『文体』、単なる意味伝達の文章ではないものを持っていますが、もう一つ切り口に工夫を凝らして欲しいです。

 それから『ニュースインデプス』は面白い企画ですが『DEPTH』になっていなくて、もう少し深さを追求して欲しいです。昨夜の原子力発電所での子請け孫請け従業員の被爆の問題でも、20年以上も前からの問題で、高賃金問題にも触れないし、訴訟を起こそうとすると潰される事例も沢山あるのに触れない。そういった点まで踏み込んで行かないと問題は解決しないのです。そういう意味でももっと深さを追求して欲しいと思います。

荻野 委員

 ニュースステーションは私のライフスタイルと時間帯も調度良いこともあって見ますが、背景になってしまっていて、集中して見てない気がします。私はニュース番組は、本来マンネリでもいいと感じていまして、従来のニュースステーションも悪いとは感じていませんでした。

 今回の特徴は『ニュースステーションがニュースになった』という事からも、意図的にやっていると思うのは『ざっくばらん』という印象を相当与えようとしていること。それから『問題提起型』になったということ。案外と他局で報道されていないニュースが流れるようになったと思います。先程の東海村の選挙問題であるとか、自民党の中で調整インフレの勉強会が発足したとか。そういった非常に鋭い報道がされるのは大事だと思います。『ニュースインデプス』を見てもニュースステーションとしてはこの位かなと思います。コメントが従来よりも弱くなったとしても、問題提起をきちんとして視聴者に考えさせるということだと思います。以上です。

植本 委員

 どこがリニューアルしたのか、何が変わったのかにポイントを絞って見ました。ニュース番組の在り方が随分変わったというか、本来ニュース番組はこうあってもいいのではという事を投げ掛けていると思いました。一つは、演出されたニュース番組になった。企画色も強いですし、セットの組み方も、ゲストを招く時の雰囲気作りもそうですし。久米さん以外の方々の、自然な雰囲気も実は演出されているものだと思いました。勿論、久米さんの服装も髭も全てニュース番組をこう持って行きたいという要素の一つだと思います。

 私が今まで見てきたニュースというものは、ニュースをそのまま流す、事件などの現場で取材をして流すという一方的な視点だったと思います。また、今までのニュースステーションは久米流の鋭さなり切り口が人気要素の一つでしたが、逆に彼一人の肩にかかり過ぎて負担だろうと感じていました。それを視聴者からの意見や視点を取り入れたものに変えて行くのかなと思いました。ニュース番組として、視聴者の意見を取り入れた番組作りというのは面白いと思います。その一つに、Eメールで視聴者の意見を取り入れて、取材するということがありました。昨日、大阪府知事選挙での障害者の方の投票が云々という件が放送されましたが、放送を見られなかったので、今朝アクセスしてみたのですが、その事は載っていなかったのでどうなったのかは分かりませんでした。視聴者の意見を取り入れるのはいいのですが、ネットでも早く見れるようにして頂きたいと思いました。

 久米さんの髭もよく話題に出ますが、ネット上での意見は7:3で髭は悪いと出ました。髭もラフな格好も若い層にはうけているなと思いますが、高い年齢層の方からはきちんとして欲しいという意見がネット上でも見られました。そういう意味からも、リニューアルしたニュースステーションはニュース番組の在り方を問い掛けているのかなと思います。

増子 委員長

 ありがとうございました。私もひと言。ニュースステーションは、以前の久米と新しい久米の違いが急に出来ないから、ファッションや道具立てでやっているのはよく分かるのですが、何人かの方がおしゃったように、久米さんの持ち味は良くも悪くも歯切れの良さなので、これが無くなったら道具立てに凝ったところで、飽きられてしまうという危険を秘めていると思います。

 この前、大学の同僚と話していたら、『俺はニュースステーションしか見ない。』と言うので何故かと尋ねたら、ニュース23の筑紫さんの言うことは聞かなくてもだいたい分かるが、久米さんは聞かないと分からない、結論をどちらの方向に出すのか予想がつかないところが面白い、魅力だと言ってました。その大事な所が無くなっては、久米さんのいい所が無くなるという事だと思います。

 それからもう一つは、コメンテーターを2人にしたのは良いことだと思います。以前は得意分野と不得意分野があって、政治を分からない人」が座っていても、迫力が無い。事前に取材をして格好をつけた事は喋るけれども、いまひとつ自分の意見になっていなかったのが、2人になってからは以前よりは良くなった気がします。

 『ニュースインデプス』ですが、より一層デプスに迫ろうという気持ちで取材しているとは思いますが、急にはデプスにならない訳です。要するに放送局のレベルの問題であって、これから研鑚を積んでもらわなくてはいけないと思います。余談ですが、私の家内は10時からニュースステーションを見て、11時になるとニュース23を見て、両方を見て安心しているようです。案外と、そういう見方をする人も多いのかなと思います。

他にもどんどんご意見をお願いします。

斉藤 委員

 私はニュースステーションは、ニュース番組ではなくてニュースショー番組、ショーの一種だと思っています。ですので、今おっしゃたようにチャンネルを切り替えて見たりしております。TBSの毎週土曜にやる『ブロードキャスター』を毎日やっているのがニュースステーションだ、という位の認識です。

 先程、髭や服装の話が出ましたが、昔は歌手は勿論、漫才師でさえも人前で喋るからにはきちっとネクタイを締めてやっていました。マナーに反しない限りは良いですが、まずは服装は整えて人前で喋ることがマナーではないかと思います。ニュースショーで、コスチュームまで変えて演出をしなくてはいけないというのは、ちょっと行き過ぎでないかと思います。

蓮見 社長

 横舘局長、リニューアルした主な目的を説明してみて下さい。

横舘報道制作局長

 基本的に、“中学生にでも解るニュース”というのは変わりません。それ以前に、中学生ではなく大人のニュースを目指そうという意見も局内であったようですが、やはりニュースは解り易さだということで目線を落として再スタートしたと聞いております。

 画面的、映像的に変えたというのはあります。例えば、スタジオの感じやニュース項目の出し方をバーチャルスタジオ風に変えた、つまり立体的に四次元的に変えたとは聞いております。

 服装等に関しては髭やノーネクタイはまずいというお話しですが、ニュースステーションの場合、久米宏に髭が似合うか否かということだろうと思います。ご自分がそれで行くというなら特に服装等は構わないし、髭論争も今まで裁判になった事例もありますが、今の時代は服装等に関しては個人に任せる、という状況でスタートしたと感じております。

 スタジオは今まで何回か変えてきましたが、色々な視点でどこから見ても放送が出来る、奥行きのあるスタジオにしたいということで変えたと聞いております。以上でございます。

蓮見 社長

 参考までに、テレビ朝日の広報が発表したニュースステーションのリニューアルの主なポイントを申し上げます。

 まず『視聴者の素朴な疑問に答えるニュースエンターテイメントを目指します』。

 それから『視聴者のニーズに的確に答えるためにインターネットの活用等、視聴者との双方向性を高める』。

 これが番組内に反映されているかは委員の先生方のご判断に任せたいと思いますが、以上のような目的でスタートしたわけです。

桑折 専務

 双方向性は、昨日のメールの活用等から始まると思います。植本委員がおっしゃったように反応は反映していないとまずいですね。

植本 委員

 そうですね。番組予告はありましたが、その予告に対する結果はありませんでしたね。

桑折 専務

 番組の中で答えるということかも知れませんね。

河邊 業務局長

 今日出ましたご意見に補足いたします。松本委員の放送枠をコンパクトにしてはという意見ですが、ゴールデン、プライムの編成構造の強化で、ニュースステーションの編成ゾーンを4月以降は短縮する方向で検討しております。それから植本委員から久米さんの髭人気は7:3の割合という話がありましたが、テレビ朝日に来る視聴者からの意見も7割は批判的ということや、系列各局に来る意見も賛否両論であることをニュースステーションスタッフや久米さんご本人にもデータを渡しております。これからの方向性は久米さんなりに考えているだろうと見ております。

蓮見 社長

 髭も見慣れないだけで、見慣れればいいとは思いますが。

荻野 委員

 私も先程、ニュースはマンネリがいいと言ったのは、ある程度時間が経てばそういった事は定着しますから。まだ意見を言う時ではないと思います。

河邊 業務局長

 1月からリニューアルした服装等や4月からの編成枠等は、それはNHKが4月から10時にニュースを始めることもありまして、色々と検討しているという状況です。

増子 委員長

 これだけ髭に議論が集まるのも成功だと思いますね。

桑折 専務

 リニューアルした結果、論議が髭と服装にだけ集中しているような感じですね。

蓮見 社長

 1月の1ヶ月だけの結果ですが、大阪はもともと中央に対する反発がありますのでNHKのニュースよりはるかに視聴率が良いのですが、関東地方の1月の視聴率の傾向を見てみますと、良い時と悪い時が極端です。今までのニュースステーションの視聴率はある程度安定していたのですが。テレビ朝日の編成の狙いでは15%は取らないといけないのですが、最高が14.5%位で悪いときは8%位になってしまう。

 裏番組にも影響されると思いますし、その日に取り上げるテーマにもよるし、事件の内容にもよるとは思いますが、今まではそのような傾向はあまり見られなかったわけです。これがどういうことかは解りませんが、そういった傾向が1月からは今まで以上に出ております。

植本 委員

 やはり企画で見てしまいますね。

斉藤 委員

 私はどうしても斜目に見てしまいますが、これはシナリオ通りに成功したなと思います。テレビは演出、視覚ですから喋る内容よりもコスチュームとか髭とかに凝る。話題提供という意味では、週刊誌なども書き立ててよくぞ盛り上げてくれたという感じです。ですから、プロデューサーがうまいと思って感心しています。

蓮見 社長

 ニュースステーションも14年続いていますから、それなりに存在感がありますね。その意味でもいろいろな意見も出るかと思います。

斉藤 委員

 『歌のトップテン』の後、ずっと出ていませんからね、彼は。それで急に出てきてエッと思ったんですよ。

桑折 専務

 そうですね。岩手県では『歌のトップテン』以降、『ニュースステーション』まで出演した番組は放送されませんでしたね。

蓮見 社長

 岩手は、ニュースステーションの視聴率は全国平均よりも下です。大阪地区の半分位です。心配なのは4月から夜10時にNHKがニュースを始めると、どうなるのかということです。番組そのものは決して悪くないと思いますので、岩手県の視聴率がもっと上がることを期待しているのですが、残念ながら上がりません。久米さんが問題なのかはわかりませんが。

斉藤 委員

 久米さんの歯切れ良さは、関西方面では受けるでしょうね。東北の古い人たちはあまりテキパキしているのには付いて行けない、どっちつかずのほうがいいんですね。

増子 委員長

 久米さんのファッションもそのうち飽きられるし、やはり中身で、何を取り上げるかで勝負するしかない。当たり前のモノに別の光を当てるとか、そんなセンスの良いものを頭を捻って考えていかないと長持ちしない。どうやって長持ちさせるかを考える時期だという気がします。

及川 委員

 NHKが夜10時台にニュースをやるとなると、競争になりますね。ハッカーの事件の翌日に元ハッカーを番組に出演させることが出来るのは、やはりテレビ朝日なり朝日新聞の今までの取材の蓄積があってこそ可能だと思いました。絶えざる日常的な取材、調査活動が勝負を決めていくのではないでしょうか。あとは歯切れ良さだと思います。特に『ニュースインデプス』はあらかじめ内容が決まっているのだから、個性的な面白さを出して視聴者を惹きつける努力をしたらいいと思います。

松本 委員

 蒸し返すようですが、ニュースステーションといえば農家が一番に閃くのはダイオキシン問題です。狙いは何かは別として、ダイオキシン問題は結果的に農家叩きになって、弱い者虐めのイメージを視聴者に与えてしまって、そこで世論が盛んになり、批判も受けたと思います。それが歯切れ良さのトーンが落ちた理由の一つでもあると思いますが、決して権力に対する歯切れ良さは失って欲しくないと思います。それは視聴者も楽しみだし、痛快に思って興味を持って見る部分なので、歯切れ良さの向け方を考えて久米さんがお話しすれば、もっと目が離せない番組になると思います。

増子 委員長

 いかがですが。なければ以上で合評を終わりたいと思います。

升谷 事務局長

 ありがとうございました。次回は2月25日(金)、合評番組は毎週金曜夜9時からの『ターニングポイント』です。

河邊 業務局長

 視聴者対応につきましては、1月は合計で139件の問合せがありました。内訳は質問が122件で、うち約50件は『ミレニアムクイズ見よう当てよう100万円』に関するものでした。このクイズへの応募ハガキはIATでも5000通程ありました。

 苦情は10件で、1月11日と18日放送の『スーパーモーニング』で“くたばれ専業主婦”という本を取り上げた討論をやりましたところ、「くたばれとは何事だ」という専業主婦の皆様からのお叱りを受けました。それから『ニュースステーション』の髭をやめるべきだという意見や、年始番組で放送した戦車で車を潰しながら行うレースのゲームに対して「やりすぎである」という苦情がありました。また要望は、番組の再放送に対するものが主でした。

 また、次回の合評番組『ターニングポイント』は、2月18日放送分から企画変更しますので、比較して見て頂ければと思います。以上です。

増子 委員長

 ありがとうございました。他に何かございますか。

斉藤 委員

 ローカルニュースを含めた自社制作番組も、合評番組としていつか取り上げて頂きたいと思います。

升谷 事務局長

 分かりました。

増子 委員長

 よろしいでしょうか。では、ありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

    特になし

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

2/2付 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎2月度単発番組編成予定表