放送番組審議会

1月(第44回)

概要

 「みちのく豊漁紀行」は東北ブロック6局共同制作の55分番組。地勢と水と生命の巡りがもたらす自然の恵みを、東北6県の海の幸を訪ね歩くという企画である。

委員からの意見

  • 東北6県の豊かな海の幸が紹介され、全国に東北をPR出来たことは意義深い。
  • 単なる食べ物の紹介番組ではない、新しい視点があって良かった。
  • 「豊漁紀行」という題名の割には、実際に漁をするシーンが乏しかった。
  • 地名や食事内容のテロップや解説が少なかった。
  • 取り上げた素材(魚)が定番過ぎた。
  • レポーターの三上寛さんのキャラクターを、もっと前面に出して欲しかった。

出席委員は、増子義孝委員長、照井章夫副委員長、及川和男委員、斎藤五郎委員、松尾正弘委員、松本直子委員、宮野裕子委員の8名。

欠席委員は、荻野洋委員、山川清委員の2名。

議事録

1. 平成13年1月24日(水)午前11時~

2. 岩手朝日テレビ本社・会議室

3.委員の出席

委員総数 10名

出席委員数 8名

 委員長 増子 義孝

副委員長 照井 章夫

  委員 植本 花子

  委員 及川 和男

  委員 斎藤 五郎

  委員 松尾 正弘

  委員 松本 直子

  委員 宮野 裕子

欠席委員数  2名

  委員 荻野 洋

  委員 山川 清

会社側出席者名

    専務取締役 桑折 勇一

     業務局長 河邊 喬

     技術局長 菊地 一行

   報道制作局長 横舘 英雄

番組審議会事務局長 佐々木 瑞夫

 番組審議会事務局 升谷 正勝

4.議題

(1)2月の番組編成について

(2)番組合評

「みちのく豊漁紀行」

東北ブロック6局共同制作

平成13年1月2日 10:00~10:55放送

(3)次回の審議会

開 催 日:平成13年2月21日(水)

合評番組:山形テレビ開局30周年記念番組

「奥の細道まわり道」

平成13年2月11日(日)

14:00~15:25放送

(4)閉会

5.議事の概要

「みちのく豊漁紀行」は東北ブロック6局共同制作の55分番組。地勢と水と生命の巡りがもたらす自然の恵みを、東北6県の海の幸を訪ね歩くという企画である。

委員からの意見

▽ 東北6県の豊かな海の幸が紹介され、全国に東北をPR出来たことは意義深い。

▽ 単なる食べ物の紹介番組ではない、新しい視点があって良かった。

▽ 「豊漁紀行」という題名の割には、実際に漁をするシーンが乏しかった。

▽ 地名や食事内容のテロップや解説が少なかった。

▽ 取り上げた素材(魚)が定番過ぎた。

▽ レポーターの三上寛さんのキャラクターを、もっと前面に出して欲しかった。

6.議事の内容

升谷前事務局長

 第44回番組審議会を開催いたします。

 年が改まり初めての会でございます。今年も宜しくご審議をお願い致します。それでは、桑折よりご挨拶申し上げます。

桑折専務

 新年おめでとうございます。お忙しい中、お集まり頂きありがとうございます。お蔭様で、IATも開局して4年3ヶ月が経ちました。21世紀に入り、私共も大きく展開していかなくてはなりません。

 さて、テレビ朝日始めとした各キー局の年頭挨拶が出揃いました。これから大変な時代がくるという危機感、それに対する重大な決意が感じられる挨拶ばかりです。ご承知のとおりBSが去年開局し、今年はCSの新しい衛星が打ち上がり、またインターネットの拡充と、地上波にとっては競争相手が多い試練の年になろうかと思います。重要なのは、番組の質の維持と、制作能力の向上だと思います。

 今年も番審委員の皆様に率直な意見を頂戴して、我々も力を付けて行きたいと思います。今年もよろしくお願い致します。

 それから報告ですが、升谷の退職に伴い、番組審議会事務局長が交替となります。後任の佐々木をよろしくお願い致します。

升谷前事務局長

 番組審議委員の皆様とは1年数ヶ月の短いお付き合いでしたが、皆様のお力添えを頂きまして有難うございました。これからも、皆様の忌憚のないご意見やご協力を頂戴しまして、岩手朝日テレビ番組審議会を盛り立てて頂きたいと思います。有難うございました。

佐々木事務局長

 後任の佐々木でございます。番組審議会のスムーズな運営に努めたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

 それでは早速、議事に入りたいと思います。委員長、お願いします。

増子委員長

 それでは、まず2月の番組編成についてのご説明をお願いします。

河邊業務局長

 それでは説明させて頂きます。

2月3日「IATカップ八幡平リゾートスノーボード選手権」。今回で3回目の本大会は、1月17日~21日に開催されました。プロ・アマの選手約700名がPSスラローム戦とハーフパイプ戦に参戦しました。その競技の模様をお送りします。

2月4日「サンデープレゼント 黒船が来た!」。147年前、ペリー率いる黒船船隊が浦賀に現れ日本に開国を迫った際、当時の浦賀奉行で直接交渉にあたった、中島三郎助の半生を紹介します。

2月11日「奥の細道まわり道」。山形テレビ開局30周年記念番組です。松尾芭蕉が旅した「奥の細道」150日の旅程中、約40日を費やした山形で、名句の殆どが生まれおり、芭蕉は一体、山形の何に魅せられたのだろうか。彼の忍者説も囁かれているが、彼が長期間足を留めた理由とは何かに迫ります。出演は山形県出身の女優、渡辺えりこさん、ニュースステーションのコメンテーターを務めておりました、エッセイストの轡田隆史さんです。

2月12日「大原麗子シチリア出会い旅~幸せを呼ぶ黄色い小麦~」。瀬戸内海放送制作です。「幸せの小麦」に支えられたエネルギッシュで愉快な素朴な人々とのふれあいをレポートします。

2月18日「サンデープレゼント 人間ビジョンスペシャル ヒグマの大国」。北海道テレビ制作のシリーズ10作目。知床半島の厳しい自然を四季を通して存分に映し出しながら、半島(しま)の生態系の頂点に立つヒグマの姿を追いながら、ヒグマと人間との共生についても問いかけていく内容です。ナレーションは森繁久彌さんです。

2月24日「TOYOTA BIG AIR 2001」。札幌、真駒内オープンスタジアムで第5回目の開催を迎えます。優勝賞金5万ドルを賭けて、世界のトップボーダーがジャンプパフォーマンスを競います。参加選手のグレードは勿論、若者が楽しめる演出面もよりパワーアップした、新世紀に相応しいイベントになりそうです。

主だった単発は以上です。

増子委員長

 それでは「みちのく豊漁紀行」についての合評に入りたいと思います。それでは、松本委員、お願い致します。

松本委員

 レポーターに三上寛さんを起用した点は良かったと思います。髭面でどうかなと思っていましたが、とても美味しそうに食べていました。この番組は各局が制作した番組をつなげたのでしょうか。

横舘報道制作局長

 いいえ。東北朝日プロダクションという制作会社のスタッフが全てを周りました。

松本 委員

 そうですか。辺りが暗いうちに出漁して、夜が明けた頃に戻るという映像がありましたが、実際の時間が分からなかったり、美味しそうに食べている食材が何かは分かってもどんな料理なのか分からなかったり、地名が読めなかったりした時に、いずれ解説やテロップが流れるだろうと思って見ていましたが、残念ながら流れずに消化不良な感じがしました。

 番組全体としては、可もなく不可もなくといった感じで、スッと見てしまいました。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。それでは宮野委員、お願いします。

宮野委員

 テロップが欲しいという点は松本委員と同じです。三上寛さんが6箇所全てを食べ歩いて、とても美味しそうに食べていましたが、私がお腹一杯になってきました。レポーターは場所毎に替えたら良かったと思います。

 放送時間が正月の午前中で、食べ物番組には不利かなと思いました。また、取り上げている素材が秋田はハタハタ、岩手は鮭、アンコウの吊し切りと、東北人でなくとも一般的過ぎだと思いました。以上です。

松尾委員

 私も取り上げる素材が単純過ぎると思ったのですが、テレビ朝日の全国ネットでも放送されたようですので、それを考慮すると、あまり気を衒うよりも王道を行く内容で良かったのかなとも思います。

 55分間で6県を紹介するので、1県当たり10分にも満たない中で、漁の様子から料理までを紹介するので、「えっ、もう終わり?」というレポートを6回繰り返した感じで、物足りなさを感じました。

 時間に制限があるので仕方ない、とも思いました。先ほど、6県とも同じスタッフが回ったというお話でしたが、冬場で天候も悪く、漁の様子が撮れないといったこともあったようですね。地元の各局に任せていたら、漁のベストな映像が撮れたのでは、という点が心残りでした。また、三上寛さんという同一人物が、同じ評価基準をもって6県を回ることに何らかの番組意図があったのでしょうから、それは評価したいと思います。以上です。

照井副委員長

 「豊漁紀行」というタイトルを見て、かなり釣りのシーンが出るという先入観があって番組を見たので、見終わってから物足りなさを感じました。私は釣りが好きなので、かなり期待をしていただけに個人的にかなりがっかりしました。

 取り上げた素材については、山形の「ノドグロ」は私も知らないのでとても興味深く見ましたが、それ以外については定番な素材だなと思いました。例えば、岩手なら「マツカワ」に力を入れていますし、秋田なら「ボッコ」という有名ではないけれど美味しい魚がありますから、そういった素材を取り上げても面白かったと思います。以上です。

斎藤委員

 この番組は今流行りの食べ物番組ではなくて、非常にドキュメンタリーが実に効いていると思いました。最初に放送を見た時は、レポーターは三上寛でない方がいいと感じましたが、ビデオに録画して二度目に見た時は、彼の泥臭さや線の太さがとても良かった。本来なら見栄えの良い人を出して、対話形式でやったほうがいいと思いましたが、彼一人でやったのも良かったと思います。また、秋田の船川漁協さんのコメントが実に良かったですね。

 ただ、三上寛が最後に弾き語りをしましたが、やはりテロップを流して欲しかったです。肝心なところで何を唄っているか解りませんでした。彼は詩人なので、あの海を見たらもっと言葉が出てくるはずです。なのに、それを撮り切れていない。あの、太平洋の逆巻く怒涛の印象の表現が希薄でした。

 総体的には、線の太いドキュメンタリーで大変良かったと思います。「みちのく豊漁紀行」というタイトルも、番組を言い尽くしている、良いタイトルだと思います。以上です。

増子委員長

 有難うございました。それでは及川さん、お願いします。

及川委員

 撮影・取材はひとつのチームが行ったとのことですが、場所や題材の選定には地元局との連携があったと思います。そういった意味での共同制作の成果を挙げていると思います。レポーターの三上寛さんの起用は良かったと思います。彼の東北人臭さや男っぽさが出ていました。

 反面、1箇所にかける時間が8分にも足らずに、結局スケッチになってしまったという憾みがあります。番組制作の意図として「地勢」を挙げていますが、各々の「地勢」を感じさせる映像はありますが、もっと東北全体として、例えば人工衛星や空撮などを活用して、地勢の特徴が鮮烈に表現されても良かったと思います。

 それから、漁と味の両面から豊かさを表現しようと企図したのは解りますが、悪天候で出漁してもすぐ帰港したりで、やや味の印象が強くて、正月の午前という時間帯には、ちょっと不利な内容だったと思います。

 「豊漁紀行」の豊漁というイメージは宮古の鮭と男鹿のハタハタから感じられましたが、他からは感じませんでした。由良からは網の多彩さと獲れる魚の多彩さを感じました。また、豊漁の陰には不漁・乱獲・地球温暖化といった問題もあるということを、一言でも言及されていたら良かったと思います。そういった厳しい中で漁家は必死でやっているという姿が見えたら、もっと凄かったと思います。

 それから、斎藤委員の意見とは異なりますが「みちのく」というタイトルには安易さを感じます。実際に「みちのく」とは福島・宮城・岩手・青森を指す言葉で、山形・秋田は「出羽の国」であって「みちのく」では無いからです。むしろ、日本の東北地方に突き出した「半島」として捉えたほうが、海を描くという点では良かったろうし、新しさも出たのではという気がしてなりません。

 みちのおくという「街道」に対して「海道」はもっと昔から拓けていたし、海岸線では案外と新しい文化との接点もあったのです。その伝統は猟師が受け継いでいると思います。もう少し東北を新しい視点で捉えても良かったと思います。以上です。

植本委員

 三上寛さんが番組中に「豊穣の海」という言葉を使っておりましたが、響きが美しくて新鮮な言葉に感じましたので、番組の最初から引き込まれました。特に、宮古の映像は鮭が船上でバタバタとしていて圧巻でした。秋田のハタハタは乱獲で禁漁の時期もあったということで、戒めになりました。

 もっと考慮すべきと思った点は、地域名が大きなテロップで出ているのに、ナレーションが全く読んでいないことです。私が不勉強なせいですが、福島県などは読めませんでした。ナレーション自体はとても聞き易かっただけに残念です。

 三上寛さんは、自然や漁師さんと向き合う視線が優しい感じで、外見に似合わずとても良い印象を持ちました。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。私は、最近の料理番組の若いレポーターに比べて、三上寛さんは本当に旨そうに食べる人だなと思いました。旨さの表現は単純ですが、迫力がありました。でも、ひたすらに「食べる」という印象ばかりが残りました。

 悪天候で漁が出来なかった映像がありましたが、これは不漁が1ヶ月も続くというなら意味のある映像ですが、恐らくちょっと日をずらせば、漁の様子が撮れたはずです。様々な都合があることは解りますが、「豊漁紀行」の割には、漁の映像が少なかったですね。三上さんが実際に漁をしたのは宮古だけで、その他は撮りおきの映像ですよね。それではいかんという気がしました。

 この類の番組はよくありますから、もう一工夫して差別化して欲しかったです。皆さんが物足りない印象を受けたのはそこではないかと思います。他に何かご意見ありますか。

斎藤委員

 地元の人が見ると物足りないと思うでしょうが、他県の人から見れば、観光PRとしては良い番組だったと思います。海の映像もとても綺麗でした。

増子委員長

 一県ならともかく、六県共同となれば、全県を満遍なく紹介するという制約があるので、制作は難しかったでしょう。この先、六県共同で番組をまた制作することになれば、テーマの選び方はとても難しいでしょうし、露出は6分の1ですから制作もよっぽど練り上げないといけないでしょうね。観光PRは勿論、プラス何かを強く出した方が良いと思います。

斎藤委員

 三上寛さんは、NHKで東北の山間のあまり知られていない温泉を紹介する番組をやっていますね。あの番組は何気なく見て、行きたいなと思わせますよね。寺山修二の弟子ですから、表現も素晴らしいですし。

増子委員長

 それでしたら、彼のキャラクターをもっと前面に出しても良かったですね。景色の表現にしても月並みでしたから、彼に思いっきり喋らせても良かったですね。他にご意見がないようですので、次回の開催についてお願いします。

佐々木事務局長

 次回は2月21日に開催いたします。合評番組は、山形テレビの開局30周年番組「奥の細道まわり道」です。よろしくお願いいたします。

河邊業務局長

 合評番組につきましては、先ほど単発番組で紹介した通りでございます。渡辺えりこさんは旅籠の女将さんや山賊に扮して登場して、奥の細道ではこういった事があったのではないか、または芭蕉はここでこんな事をしたのではないか、こんな感想を持ったのではないか、と紹介する役割です。轡田さんは足跡を辿っていきます。またナレーションはイルカさんが担当します。企画内容としては非常に面白そうですので、期待して見て頂きたいと思います。

佐々木事務局長

 山形テレビの開局30周年記念番組で全国放送されますので、かなり期待できると思いますので、是非、ご覧頂きたいと思います。

増子委員長

 その他に意見はございますか。

及川委員

 「タイムショック」はずっと見ておりますが、視聴率はその後、どうなっているでしょうか。

河邊業務局長

 テレビ朝日が一番期待する番組としてスタートしました「タイムショック」ですが、当初は目標視聴率に到達しておりませんでした。

 そこで、委員の皆様からのご意見、そして各地区の番組審議会から寄せられたご意見を元にして、若干のリニューアルを致しました。ゲスト解答者チームとしてタレントを起用したり、1千万円獲得のチャンスも以前は番組最後の一度限りでしたのを、5~6回かに増やしました。1月の視聴率はやっと15%に上がって参りました。目標視聴率は21%ですが、良い結果が出てきております。

及川委員

 番組が良くなってきているのが解ります。いろいろと趣向を凝らしていると思います。

斎藤委員

 解答者がタレントだけでは、馴れ合いで番組をやっているのかと勘繰ってしまいます。でも、素人さんばかり出場するよりも面白いですね。この前はやっと1千万を東大OBチームが獲得しましたしね。

増子委員長

 「年中夢中!コンビニ宴ス」の視聴率はいかがですか。

河邊業務局長

 「コンビニ宴ス」は視聴率が低迷しております。この審議会でも、店舗をもっと出店してはどうかという意見がございまして、実際にもう1店、出店いたしました。コンビニの経営的にも悪くはありませんでした。どの地区の番組審議会でも評価は高い番組ですし、出されたご意見も取り入れてはいるのですが、なかなか視聴率に結び付きません。4月には残念ながら枠の改編があります。

増子委員長

 打ち切りということですね。残念ですね。

河邊業務局長

 なお、12月の視聴者応答につきましては、お配りしました応答記録をご覧下さい。

増子委員長

 ありがとうございました。それではこれで審議会を終了いたします。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

特になし

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

1/26 付 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎ 2月度単発番組編成予定表

◎ 視聴者応答記録(12月分)

速報

岩手朝日テレビの第44回番組審議会(委員長 増子義孝県立大学教授)が、1月24日(水)盛岡市盛岡駅西通りの同本社で開かれ、東北ブロック共同制作番組「みちのく豊漁紀行」について審議した。

各委員からは、「東北6県の豊かな海の幸が紹介され、全国にPR出来た事は意義深い」「時間が短かく各県の紹介がもう少し欲しかった」「漁の場面がもっと欲しかった」「単なる食べ物番組でない新しい視点があって良かった」等の意見が出された。