放送番組審議会

3月(第116回)

概要

 岩手朝日テレビの第116回番組審議会が平成20年3月27日(木)、盛岡市盛岡駅西通の岩手朝日テレビ社内で開かれた。

 合評内容は「野球の神様が教えてくれたこと~夢かなう!憧れのユニフォーム~」

  • 200日におよぶ長期密着取材と丁寧な番組作りに好感を持った。
  • タイトルと違和感があり、亡くなった監督の人物像が伝わってこなかった。
  • 練習や試合の映像が多く、人間ドラマを描ききれていなかった。
  • もっと少年野球の現状・問題点など掘り下げつつ、子供たちの触れ合いなども採り上げてほしかった。

という意見が出た。

出席委員は、増子義孝委員長、稲垣義孝委員、笠川さゆり委員、宮野裕子委員、村田久委員、吉田政司委員の6名。欠席委員は、小田島利昭委員、松尾正弘委員、松本直子委員の3名。

議事録

1.開催日時 平成 20年 3月 27日(木)午前11時~

2.開催場所 本社3階 会議室

3.委員の出席

委員総数 9名

出席委員数 6名

委員長 増子 義孝

委員 稲垣  義孝

委員 笠川 さゆり

委員 宮野 裕子

委員 村田 久

委員 吉田 政司

欠席委員数 3名

委員 小田島 利昭

委員 松尾 正弘

委員 松本 直子

会社側出席者名

代表取締役社長 川崎 道生

常務取締役営業局長 幾度 恭嘉

取締役報道制作局長 小椋 和雄

取締役番組審議会事務局長 横山 博文

技術局長 佐々木 正樹

編成業務局長 小林 直紀

報道制作部長 波岡 功

番組審議会事務局 佐藤 祐介

番組審議会事務局 川村 茂

4.議題

(1)社長あいさつ

(2)前回審議会のご意見を受けて(報告)

(3)4月単発番組及び3月視聴率等について

(4)合評課題について

「野球の神様が教えてくれたこと~夢かなう!憧れのユニフォーム~」

放送日:3月1日(土)午後2時~午後2時55分

(5)次回審議会について

開 催 日:平成20年4月24日(木)午前11時~

合評課題:IATスーパーJチャンネル(毎週水曜日番組内企画)

「おしえて!おらほのまち自慢」

放送日時 4月9日(水)午後6時29分~など。

5.概要

※ 200日におよぶ長期密着取材と丁寧な番組作りに好感を持った。

※ タイトルと違和感があり、亡くなった監督の人物像が伝わってこなかった。

※ 練習や試合の映像が多く、人間ドラマを描ききれていなかった。

※ もっと少年野球の現状・問題点など掘り下げつつ、子供たちの触れ合いなども採り上げてほしかった。

6.議事の内容

横山事務局長

 ただいまより、第116回放送番組審議会を開催いたします。

 増子委員長議事をよろしくお願いいたします。

増子委員長

 それでは川崎社長、ひとことお願いします。

川崎社長

 皆さま、本日も年度末の大変お忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。

 今期の業績については、現在作業を詰めている状況でして、来月にはご報告できることと思います。

 振り返ればこの一年、地方格差の問題というのが、わたくしたち民放に確実に影響を及ぼしております。民放の糧であります広告宣伝費の大都市集中が一層強まり、その他のローカル局と同様岩手県もまた地区投下量の減少の影響をモロに受ける状況にあります。そうした状況の中で、デジタル問題は採算性とは関係なくクリアしていかなくてはならないわけで、こうした状況は今後さらに続くことになります。

 そうした中での今期の明るい話題としては、「30人31脚全国大会」で奥州市の胆沢第一小学校が、岩手では初めて決勝トーナメント(8チーム)の中に残り、全国3位という活躍を示してくれた姿を放送できたことです。そうした一方で、「30人31脚」に出場していただける小学校の数はまだまだ少ない状況であり、どう増やしていくべきかが課題となっています。

 「ふるさとCM大賞」へ参加してもらう市町村を昨年の30市町村からどうやって増やしていくのかも今後の課題として残されています。

 デジタル放送になり、地方局の一つとして、困難な時代をどうやって生き残っていくかということも今後一層真剣に考えていかなければいけない問題だと思っております。

増子委員長

 ありがとうございました。何かご質問ありますか。

 それでは、「前回の審議を受けて」についてお願いいたします。

小椋報道局長

 前回の審議では、厳しいご意見をいただき深く反省をしております。今後は企画立案の段階から十分に内容を検討・議論しながら、番組の方向性を明確にしていきます。

 また、視聴者の立場・目線というものをより意識していきたいと思います。

 さらに、放送終了後には局内でも番組の内容を協議し、次回の制作に生かしてまいります。

増子委員長

 ありがとうございました。それでは、4月単発番組と3月の視聴率についてお願いします。

小林編成業務局長

 それでは4月の単発番組についてお話させていただきます。

 第1、2、3週は多くのスペシャル番組が入っておりますが、スポーツ系を中心にご説明いたします。

 ゴルフはヤマハレディースオープンが久しぶりに復活します。野球は、巨人戦の放送予定がありますが、先日テレビ岩手で放送された大リーグ・レッドソックス戦でも、松坂投手が投げて12.8%と振るわず、少々心配しております。

 また、3月の視聴率ですが、第1週、第2週は、ほとんどレギュラー編成でしたので、視聴率もいつも通りの数字でした。

 1月から始まった土曜19時からの「ガリベン!」、日曜19時からの「大胆マップ」、20時からの「ジキル&ハイド」が期待したほど数字が取れなかったところと、金曜21時からの「4姉妹探偵団」は苦戦しました。

 「愛のエプロン」は永い間放送したことで数字が下降しはじめていたため、4月から新番組に変更になります。

 火曜日の19時からもクイズ番組に変更になります。

 テレビ朝日から聞くところによりますと、1週間で19時台にクイズ番組を入れていないのが火曜日だけということでこの時間帯でカウンター的に入れたようです。

 ドラマ枠は過去に良い数字をとった番組を新番組として放送する予定です。

 視聴率はお配りしました資料に年度ごとに記してあります。

増子委員長

 なにかご質問などございませんか。それでは合評番組に移りたいと思います。

吉田委員

 3月1日の放送と、ビデオでもう一度見ました。タイトルに「神様」とあり、山火監督のことを例えたのが本意なのか、または不本意なのか考えました。神様という言葉を使うのには気を使わなければいけないところですね。

 内容について3点ほど感想を述べたいと思います。まず、取材・撮影については丁寧で好感が持てました。2点目は、最初の15分間に番組全体のエキスが濃縮されているのですが、中間以降が結局間延びしてしまっているように思いました。3点目は中盤以降は楽天ジュニアの阿部監督が存在感や視聴者を引きつける要素が大きかったように感じました。

 番組全体が2つに分かれてしまっていたように思えたのが非常に残念です。

村田委員

 「野球の神さまが教えてくれたこと、それは……」とナレーションが入って始まりましたが、タイトルと内容の間で違和感を感じました。

 導入部分では、星野監督の北京出場というシーンがあり、星野監督の言葉を引用して野球をやる子供たちに夢を与えることができた、と言っていました。これでずーと引っ張っていましたが、最後まで見ていても、どこに山火監督の意思があるのか伝わってきませんでした。野球を教えてくれた意思がまったく伝わらず、監督のイメージも薄かったと思います。監督と子供たち、または父兄との絆、思い出などのコメントも一切ないというのはどうでしょう。

 なぜここで楽天ジュニアが出てくるかが疑問でした。いわゆる楽天という球団の宣伝みたいです。監督が残してくれたものを出すのなら、スポーツ少年団の現状や地域における野球少年団の問題点等をもう少し掘り下げて入れるべきだったと思います。また、子供たちのコメントがなく、つくりはこれでも通用するでしょうけど、タイトルが神さまが教えてくれたことと銘打ってあるのだから、もっと子供たちとの触れ合いを入れるべきだと思いました。何を伝えたいのか、理解できずに終わってしまったように思います。

宮野委員

 監督の意思を受け継いで猪久保君が一生懸命野球をしている姿が見てよく分かりました。

 私自身スポーツ少年団が大好きなのですが、一戸町の少年団が優勝するということはすごいと思いました。5000人の中から18名が選ばれ、監督の教えた少年団の中の一人がその中にいたということは、監督の意思が通じ、受け継がれたのだと思いました。猪久保君の今後がどうなるのかが楽しみですね。

 県北地域の方言も聞いていて面白かったです。ジュニアトーナメントがあるのを初めて知りました。野球だけでなく他のスポーツももっと採り上げてほしいですね。子供を持つ親としては良い番組だったと思います。

笠川委員

 いただいた単発一覧の番組説明の中に「監督の死を乗り越えた少年たちのドキュメンタリー番組」とありました。そのような番組だと思いながら見ていました。子供がスポーツ少年団に入っていましたので、私自身興味を持ち、星野監督の北京出場の内容など興味をそそられながら見ていました。だんだん見ていくうちに説明の内容とかけ離れていき、番組の概要とは少し違うように感じました。

 一少年のドキュメンタリーな内容で、少年団というチームワークの様子などはまったく入ってなく、その少年団のエースにだけスポットが当たっていましたね。監督が亡くなってしまって、子供たちや父兄がどのように感じているのかがどこかへいってしまっていたと思います。神さまって一体何なのか、猪久保君は神さまなどとひと言も言っていなかったように思います。監督が亡くなってしまったから神さまなのでしょうか。

 内容の流れとして、親として見ればそれなりに思いも伝わってきましたが、最後まで見ていて何を言いたかったのかよく理解できませんでした。

稲垣委員

 私も概要を読んでから見ましたが、番組のキーとなる監督のエピソードはどこにも入ってなかったと思います。またもう一人の主人公である猪久保君は最後まで冷静で、番組の山場はどこにあったのか、野球の神さまって誰だったのか、最後まで伝わってきませんでした。番組の中で一番熱血さを感じたのは楽天の栄養士さんが出たときですね。

 一戸町に住んでいる方々は、昔のいろいろな場面を見て、思い出がよみがえると思います。

 監督が26年間チームを引っ張ってきて、その間にはいろいろなことがあったと思います。その辺のところをもっと詳しく入れればよかったと思います。タイトルを見ても内容が分からず、監督が神さまなのか、抽象的なイメージだったと思います。違うタイトルのほうがよかったのではないでしょうか。

増子委員長

 皆さんから出ていたように、内容は無難な作品だったと思います。

 野球の神様というのは星野監督だったのか、山火監督の26年間にわたる監督生活の中にはいろいろな思い出があると思います。その監督のことをもっと詳しく内容に盛り込むべきではないでしょうか。

 監督の存在が薄くなっていましたね。

 また、スポーツ少年団とはこういうことをするといったような説明を入れてほしかったですね。

 後半は猪久保君が中心となった構成でしたが、子供たちのあり様やチームワークなどを伝えるシーンはどこにもなく、言葉だけが先走っていたように思います。前半と後半で番組が分裂してしまい、最後まで整理されていませんでした。

 200日密着していたのなら、いろいろなことがあったと思います。その中で何かを追いかけた内容で構成していたらもっとよかったと思います。最後まで山火さんという監督の素顔がわかりませんでした。

波岡報道制作部長

 貴重なご意見をありがとうございました。まず最初に少年野球の県大会には4つの大きな大会があり、一戸スポーツ少年団と出会ったのは年1回行われる「いわての牛乳カップ」という大会でした。前の大会の後で監督が急死したのを受けて、少年たちが喪章をつけて入場行進したのを見たのが取材のきっかけでした。

 撮影に入り、猪久保君の活躍を期待していたが、緊張のせいか守備ミスや三振などが続きなかなか良いアングルが撮れず、結果あのような内容になってしまいました。

 監督のご家族にも出演交渉をしましたが、なかなか受けてもらえず、一年たってまたお願いをしたのですが、出演には至りませんでした。

 岩手県ではまだまだ楽天という球団のなじみも薄く、東北唯一のプロ野球団として、少年たちにもっと関心を持ってほしいという気持ちがありました。

 撮影の過程で主役が変わってしまい、監督の人物像も写真一枚だけで、家族のインタビューも取れませんでした。もう少し努力をして、周りの方々から監督のイメージや思い出を聞くなどの工夫に欠けていました。今後その辺りをきちんと踏まえ制作していきたいと思います。

増子委員長

 その他、何かございませんか。

 それでは、次回の審議会についてお願いします。

横山事務局長

 次回の審議会は4月24日木曜日でございます。

 合評課題はIATスーパーJチャンネル内番組企画「おしえて!おらほの町自慢」です。

 よろしくお願いいたします。

増子委員長

 それでは終了します。ありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

ご指摘いただいた点を、今後の番組作りの参考とすることとした。

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

4/4 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎ 4月単発番組編成予定表

◎ 3月岩手地区視聴率

◎ 2月視聴者応答記録

◎ 前回審議会のご意見を受けて