放送番組審議会

3月(第36回)

概要

 冒頭、蓮見社長から、放送と青少年に関する問題について、民間放送連盟では第三者機関の設置を検討していたが、4月1日に番組向上委員会とは別に、教育・メディア研究の有識者7人をメンバーとする「放送と青少年に関する委員会」を発足させ、4月10日に初の委員会を開催し、活動を開始する旨報告された。

 続いて、業務局長から春の番組改編についての基本方針と、新番組について説明。その後、課題の3番組について審議、

  • 「新題名のない音楽会」はクラシック音楽の入門編として使命を果たしている。
  • 「うじきつよしのワンダーポケット」はしっかりしたテーマを面白くとらえ分かり易いが追求が浅く、出来ることなら30分化し、放送時間も多数の人が見られるようにして欲しい。
  • 「素敵な宇宙船地球号」は地球環境問題に真っ直ぐに取組み、国内、海外と幅広く取材していて科学的分析も加えて非常に良い番組である。

などの意見が出された。

 出席委員は、増子 義孝 委員長、植本 花子 委員、及川 和男 委員、荻野 洋 委員、斎藤 五郎 委員、松尾 正弘 委員、宮野 裕子 委員の7名 委員の7名。

 欠席委員は、照井 章夫 副委員長、松本 直子 委員、山川 清 委員の3名

議事録

1. 平成12年3月23日(木)午前11時~

2. 岩手朝日テレビ会議室

3. 委員の出席

委員総数 10名

出席委員数 7名

欠席委員数 3名

出席委員の氏名 

増子 義孝 委員長  植本 花子 委員  及川 和男 委員

荻野    委員   斎藤 五郎 委員  松尾 正弘 委員

宮野 裕子 委員

欠席委員の氏名

照井 章夫 副委員長 松本 直子 委員  山川    委員

岩手朝日テレビ側出席者

蓮見 社長           桑折 専務         村上 常務

河邊 業務局長       佐々木営業局長    横舘 報道制作局長

菊地 技術局長       升谷 事務局長

4.議   事

(1)4月の番組編成について

(2)番組合評

「新・題名のない音楽会」

「素敵な宇宙船地球号」

「うじきつよしのワンダーポケット」について

(3)次回の開催日時および議題について

5. 議事の概要

 冒頭、蓮見社長から、放送と青少年に関する問題について、民間放送連盟では第三者機関の設置を検討していたが、4月1日に番組向上委員会とは別に、教育・メディア研究の有識者7人をメンバーとする「放送と青少年に関する委員会」を発足させ、4月10日に初の委員会を開催し、活動を開始する旨報告された。

 続いて、業務局長から春の番組改編についての基本方針と、新番組について説明。その後、課題の3番組について審議、

・「新題名のない音楽会」はクラシック音楽の入門編として使命を果たしている。

・「うじきつよしのワンダーポケット」はしっかりしたテーマを面白くとらえ分かり易いが追求が浅く、出来ることなら30分化し、放送時間も多数の人が見られるようにして欲しい。

・「素敵な宇宙船地球号」は地球環境問題に真っ直ぐに取組み、国内、海外と幅広く取材していて科学的分析も加えて非常に良い番組である。

などの意見が出された。

6. 議事の内容

升谷事務局長

 定刻となりましたので、第36回番組審議会を開催いたします。

 審議に入ります前に社長から一言、お願い致します。

蓮見社長

 おはようございます。お忙しい中お集まり頂きまして有難うございます。今日は合評も3番組と多うございまして、先生方には大変ご苦労をお掛けしますが宜しくお願いいたします。

 4月の編成が決定しまして、来月から新しい番組がスタートしますのでそちらもご覧頂いてご意見を頂戴したいと思います。

 それから先週の民放連総会で、民間放送連盟に、新しい機関が設置されましたのでご報告致します。

 民放連の中には、「放送番組向上協議会」がございます。これはご存知のように、NHKと民放連が自主的に設置した放送番組の向上を目指した機関でございます。その協議会の中に「放送向上委員会」が設置されておりますが、これと併設して学識経験者7名からなる「放送と青少年に関する委員会」が新しく設置されました。

 最近は、テレビが青少年に与える影響が多大でして、番組に対してのご批判もいろいろと頂きます。この委員会は、一般視聴者からの番組への意見をこの委員会で受けまして、審議した結果を放送局に連絡をします。その審議結果をもとに、放送局は対応策を委員会に返し、その対応策を委員会が視聴者に公表することが主な任務でございます。

 4月10日に第1回目の委員会が開かれまして、一般視聴者からの意見を受けるのは4月3日です。従いまして、我々にもいろいろな意見が出てくるかも知れませんので、その時には放送局としての独自の対応策を公表する義務が生じてきます。

 そういった事態になりましたら、委員の皆様にもお話ししたいと思いますので、宜しくお願い致します。

升谷事務局長

 それでは早速、審議に入りたいと思います。委員長、お願いします。

増子委員長

 それでは、4月の番組編成についてお願いします。

河邊業務局長

 それでは4月編成の説明をさせて頂きます。

 新年度のスタートでして、各系列ともより高い視聴率をということで番組の見直しをしております。テレビ朝日系列は、ゴールデンタイムにつきましては53%と例年よりは高い改編率でございます。

 ゴールデンタイムでは新番組が10番組スタートします。4月編成の基本コンセプトは、

(1)ゾーン別のターゲット編成の明確化

 19時台は子ども・ティーン・主婦をターゲットに、20時台はファミリー全般向けの娯楽番組を中心に、21時台は成人男女を核とした娯楽番組を中心に編成し、22時台はニュースステーションを始めとしたニュースゾーン、23時台は20代男女をターゲットとした娯楽番組を中心に編成します。

(2)テレビ界初の全面的フライング編成の実現

 前回の番組審議会でもご説明しましたが、20時台、21時台、22時台が6分早くスタートします。

(3)23時台の本格的娯楽化

 現行の23時台の30分編成の娯楽番組を45分化してゴールデンタイム・プライムタイム並みの編成に強化しました。ゴールデンタイムの新番組につきましては、後ほどVTRでもご紹介したいと思います。

 19時台の新番組では、

・火曜「いきなり!黄金伝説。」

 司会はココリコで、今まで月曜の23時にココリコの番組を編成しておりましたが、ゴールデンに昇格しました。

・木曜「暴れん坊将軍」

 おなじみシリーズの再登場です。

・土曜「わらいのじかん2」

 タイトルは継続ですが、内容は大幅にリニューアルしました。松本人志、今田耕司、藤井隆が“わらいの家族”に扮し、豪華ゲストをと視聴者を巻き込んで爆笑トークを繰り展げるということで、新番組扱いになっております。

・日曜「週刊ワイドコロシアム」

 司会は三宅裕司、泉谷しげるや黒鉄ヒロシらが出演し、一週間分の情報をワイドショーの話題を中心に60分にまとめてお送りする、ファミリー向けの情報エンターテイメント番組です。

 20時台の新番組は、

・月曜「スポコン!」スポーツを愛する男・南原清隆が“スポコンファンクラブ”を結成し、スポーツが好きになるような企画とトークを展開する内容です。

・水曜「music-enta」

 現在もジャニーズ系の番組を編成しておりますが、さらに松田聖子も初のレギュラー出演をするなど、異色の豪華メンバーたちが送る、新感覚音楽バラエティーとなります。

・木曜「木曜ミステリー 別れる二人の事件簿」

 離婚の危機にある片平なぎさ演じる女弁護士と、布施博演じる調査員夫婦が、様々な“男と女の事件”を解決していくドラマです。

・土曜「ほんパラ!関口堂書店」

 毎回異なるテーマに沿った本を選び出し、本の面白さに迫る知的バラエティー番組です。司会は関口宏です。

 21時台では、

・水曜「はぐれ刑事純情派」

 これもおなじみシリーズです。

・木曜「木曜ドラマ アナザヘヴン」

 今回の改編の目玉の一つでもあります。ドラマ史上初、テレビと映画が同時進行で展開する飯田譲治脚本のドラマです。飯田譲治さんは映画「らせん」やテレビドラマ「ギフト」の演出等もしております。テレビでは謎の連続女性失踪事件を、映画では猟奇殺人を追い、テレビと映画の主人公が同僚刑事で事件を通じて接点を持つという内容です。

ゴールデンタイムの新番組は以上です。

 全日ですと、月曜~木曜の午後帯18:30から「IATスーパーJチャンネル」。ローカルニュースを30分に拡大しておくります。昨年は17時台にネットニュース等の中での一部ローカルニュースとして15分間放送しておりましたが、ネットニュースの中に埋没してしまうという反省にもたちまして、新たな時間帯で挑戦いたします。金曜につきましては「活金情報局(仮)」として、更に地域に密着した、週末のイベント情報等を中心に月~木とは違った色でやって行こうということになりました。

 深夜23時台では、月曜「おネプ!」3月までは土曜の23時台で放送しておりましたが、移動して30分から45分枠になります。

 また、23時台でのドラマのレギュラー編成はテレビ界で初の試みになりますが、「金曜ナイトドラマ YASHA」と「土曜ナイトドラマ 29才の憂うつ・パラダイスサーティ」を編成いたします。これは今まで、月曜の20時台と土曜の20時台に編成しておりましたドラマを23時台へ路線変更しました。

 土曜の午前、7時から「いい旅、夢気分」を編成しました。8時からの「朝だ!生です旅サラダ」が高視聴率番組ですので、土曜のタテの流れを強化しました。

 現行の「テレメンタリ-」は水曜深夜24:54からに移動しております。テレメンタリ-はテレビ朝日系列各局が制作してネットしているドキュメント番組です。

 「朝だ!生です旅サラダ」に続いて、「県政番組(仮)」と「渡辺篤史の建もの探訪」を編成しております。

 夕方17時台「ザ・スクープ」は3月までの土曜の23時台からの移動しての放送です。

 日曜9時「題名のない音楽会21」。急遽、企画変更との連絡がありまして、司会が武田鉄也さんからピアニストの羽田健太郎さんに替ります。武田さんの気楽に楽しみ易くクラシックを伝えてきたコンセプトを踏まえ、更に一貫したテーマを中心により深く、新しい発見にも出会うというコンセプトを持ってのスタートです。

以上が4月の改編のポイントでございます。

4月の2週目位までは、期首編成でスペシャル番組を編成しております。主なものを説明致します。

 4/1(土)13:00~14:55。パ・リーグ開幕戦「ダイエー×ロッテ」特別ゲストとして久米宏さんが始球式を行います。

 4/2(日)18:56~20:54「ドキュメント大救出!奇跡の生還者たち」司会はみのもんたと丸川珠代。予期せぬ大ピンチから奇跡の生還を果たした人々の体験を、貴重な証言や再現VTRなどを交えて紹介する好評ドキュメントスペシャルの第7弾です。

 4/4(火)19:54~21:48「たけしのポリスアカデミー4」ビートたけしの独自の視点で、警察の知られざる捜査の裏側や未解決事件の真相に迫る、クイズ等を取り入れたドキュメントバラエティです。4/5(水)20:00~21:48「はぐれ刑事純情派スタートスペシャル」。

 4/7(金)19:54~21:48「ワールドプロレスリングスペシャル『導夢衝激』」、「ワールドプロレス」は土曜深夜に放送しておりますがそのスペシャルです。特に橋本真也VS小川直也の最終決戦の生中継が売り物です。

 4/9(日)18:56~20:54「衝撃!カメラは見た!!壮絶夫婦ゲンカ!ダメ夫に妻ブチギレ!完全実況中継スペシャル4」司会は渡辺徹、ゲスト予定に橋田壽賀子さん。日本全国の哀しくも滑稽な夫婦ゲンカを実況中継。あくまでも妻側の視点で番組を進行します。ダメ夫に悩む妻たちが日頃のうっぷんをはらす第4弾です。

 4/10(月)19:00~21:42「手に汗握る3時間 激突!史上最強バトル」司会は堺正章、久本雅美、丸川珠代。様々なジャンルの有名人、超人、鉄人いずれ劣らぬギャンブラーたちが、欲望を丸出しにして一攫千金を狙う意地とプライドをかけて激突する一大バトルの第2弾です。

 4/12(水)19:00からはゴールデンナイター「阪神×巨人」があります。

 4/13(木)20:00~21:48ドラマスペシャル「手塚治虫劇場」、手塚治虫さんの数多い名作の中から「るんは風の中」「ふしぎなメルモ」「カノン」の3作をオムニバス形式でドラマ化。

 4/14(金)23:09~0:04「爆笑問題・20世紀の置き土産!」。

 4/15(土)18:58~20:54「芸能界激突デスマッチ ワイドショーの主役7 春乱×乱スペシャル」。ご意見番に美川憲一、リポーターは梨本勝他。芸能界で起きている様々な事件、騒動に迫る芸能スペシャル第3弾。話題の著名人たちに騒動の真実について語ってもらう。

 4/16(日)14:00~15:25サンデープロジェクトスペシャル「新世紀企業列伝 世界制覇ソニーの秘密」司会は島田紳助で、世界的企業・ソニーのパワーの秘密に迫ります。

 同日18:56~20:54「行ってビックリ来て仰天!秘境とニッポン交換生活」オーストラリアの東に位置する島国・バヌアツに住む家族と日本の都会に住む家族とが笑いと感動の交換生活をおくります。

 4/29(土)14:00~14:55「時を越えて~ウィーン・天使の歌声が響く街~」、五百年以上の歴史を誇る“天使の歌声”「ウィーン少年合唱団」が17度目の来日をしまして、4/14東京芸術劇場での初回公演を放送致します。盛岡公演は6月にIAT主催で盛岡市民文化大ホールで行われます。

以上で単発についての説明を終わります。

新番組については今からビデオをご覧頂きます。

(ダイジェスト版VTRを流す)

増子委員長

 ありがとうございます。何か質問はございませんか。

及川委員

 プロ野球は週に何回予定していますか。

河邊業務局長

 週に何回という決まった回数はございません。年間15本です。

及川委員

 その時間帯の番組は潰れる訳ですね。

河邊業務局長

 そうですね。パ・リーグもゴールデンで何本かやりますが、巨人戦ばかりです。

斉藤委員

 プロ野球が始まりますと他局でも中継しますが、視聴率はどうなりますか。我々の年代ですと野球中継優先で見てしまいますから、かなり良いドラマでないと見なくなりますね。

桑折専務

 岩手の人はプロ野球が好きなようですね。

河邊業務局長

 そうですね。ただし、ナイターの視聴率は関東よりも低いですね。

増子委員長

 では番組の合評に移りたいと思います。

松尾委員

 「新・題名のない音楽会」について。先程のお話にもありましたが、クラシック音楽の初心者を対象に非常に分かり易く楽しく伝える番組だと思います。

 内容も深くて好きです。前回も“現代に生きるバッハ”ということで、バッハの音楽を編曲して、例えばオルガンの曲をオーケストラにしたり、チェロをサックスで演奏したりと、6曲程を30分間にまとめていました。バッハの曲はモーツァルトと違ってどのようにアレンジしても骨格が失われないことで不思議なものです。

 時間帯も、日曜の朝にのんびり見るのに良いと思います。

 司会も4月から羽田健太郎さんに替るということで、あの方は話も面白いし楽器も弾けるしで人選も良いと思います。武田鉄也さんも好きですが、彼の個性が強すぎて番組を見ない人もいると危惧しておりましたので良かったと思います。

 「素敵な宇宙船地球号」ですが、今まで133回放送していますが、うち40回余りは日本国内が題材で、後は全世界を隈なく題材として扱っている稀有な番組だと思います。エコロジーも叫ばれている今、とても興味を持って見ました。

 堅苦しくなく、いつも新鮮なポイントを突いていると思います。例えば3/5の琵琶湖の汚染と葦の関係では、外国人画家の視点から見て、更に科学的な分析で裏付けをとっていました。

 「うじきつよしのワンダーポケット」ですが、うじきつよしさんは元ロック歌手で意外な感じでしたが、非常に好感が持てる人でした。

 内容は面白いのですが、15分で終わってしまうのでせめて30分くらいにして欲しいと思います。金曜の午後4時という時間帯も検討して欲しいと思います。以上です。

宮野委員

 「素敵な宇宙船地球号」ですが、課題がマクロ的でなく一点に絞っているので大変良いと思います。特に3/19の香港の回は興味深く見ました。中国の自然環境についての遅れは何十年前の日本と同じなのでしょうが、その問題点をうまく突いていて良いと思います。

 「新・題名のない音楽会」については、音楽にあまり興味が無いことと、時間帯が私には合わないので1回だけ見ました。

 武田鉄也さんは好きな俳優なのですが、この番組の司会には向かないなと思って見ました。それ以後は申し訳ありませんが見ておりません。

 「うじきつよしのワンダーポケット」ですが、時間帯がどうしても合わなくて見ることができませんでした。

 また、3/4の橋田壽賀子さんの土曜ワイド劇場『想いでかくれんぼ』を見ましたが、十年前に見たようなドラマだなと思いました。今の時代にはマッチしないなと個人的には思いました。私は姑と見ましたが、70歳代の人は面白いらしくて、涙を浮かべて見ておりました。配役やストーリーなどは、ちょっと古いのではないか、この人たちの時代は終わったのではないかという気がしました。視聴率もお聞きしたいなと思いました。

増子委員長

 ありがとうございました。後ほど視聴率もお分かりでしたらお願いします。

斉藤委員

 「新・題名のない音楽会」については、随分と様変わりしたなという感想です。羽田健太郎さんに司会が替わるということは非常に良いと思います。せっかくのバッハもあの程度の取り上げ方ですし。私の周囲でも、武田鉄也さんが司会になってからは見ていないという人もいますし、クラシック音楽の扱い方ももっと面白かったはずです。

 ひとつの番組としては、この前放送していたダイジェスト版が丁度良い、と言いますか、以前、黛さんがやっていた頃はクラシックの勉強、入門になってあの位は面白かったと思うんです。日曜の午前9時にクラシック番組をやるからには、よっぽど良いものでないとチャンネルは回さないと思います。

 それから、「素敵な宇宙船地球号」は申し分ないですね。圧巻です。カメラの技術も素晴らしいですね。内容も大変な教養番組で、いつも見せて頂いていて有り難いと思います。

 また「うじきつよしのワンダーポケット」は見損なっています。見よう見ようと思いながらなかなか見られませんでした。

 また、3/4の橋田壽賀子さんのドラマですが、ドラマとしては結構良く出来ていると思いました。ちょっと時代はずれていると思いましたが、どの年代にターゲットを置いたのか分かりませんが、下町人情ものでドラマを見慣れている人には良いと思います。橋田壽賀子さんは台詞が多いことで有名なライターなのですが、割と今回は長台詞が無かった気がします。

及川委員

 「うじきつよしのワンダーポケット」は3/3のエジプトスペシャルを見ましたが、非常に美しい画面で短時間ながら見せるなと思いました。それなりに若干の知識も入って来ますし。

 この回に限ったことなのか、うじきつよしさんの口の回りが良くなかったです。紹介役は自らの驚きや興奮を鮮やかに表現して欲しいと思いました。

 「素敵な宇宙船地球号」は、いつもは寝ている時間帯で、3/3に一度だけ初めて見ましたが、眠気が覚める実に良い番組だと思いました。このような良い番組が深夜帯に置かれるというのは残念なことです。わずか30分の番組の中に、丹念な取材で自然の持つ力、特に回復力の偉大さを描ききっていました。

 この回では更に、葦の増殖や葦による紙作りなど、未来への発展方向も暗示していて素晴らしいと思います。また、大阪で葦で作成した名刺のセールスをする場面がありましたが、単に需要拡大や採算性の問題に留まらずに、私流に言えば、川上と川下を結ぶ理念と行動と言いましょうか、そう捉えることが出来ると思います。

 スタッフの制作態度と達成の高さを評価したいと思います。こういった長い時間をかけての取材の蓄積を30分で終わらせてしまうのはもったいないと思います。特集番組として生かすとか、別に映像化することを考えてもいいと思いました。

 「新・題名のない音楽会」は間にコマーシャルが無いのが私にとっては素晴らしいことです。皆さんがおっしゃったのと同じようなことを感じましたが、バッハの凄さを語るには30分では勿体ないと思います。

 また3/12の加藤登紀子さんの回はどうも加藤さんが乗り切っていない感じがしました。またオーケストラに彼女の声が消されがちなのが気になりました。この頃はどの番組も音楽の音が大きすぎることが共通して言えますね。コンサート風で芸がない企画だったと思います。

 3/19の名場面・珍場面集は、今まで見ていなかったので面白かったです。特に『神田川』では聴衆が大変盛り上がって、拍手の仕方が違いましたね。私は、聴衆の反応をもう少しキャッチして見せて欲しいなというようなことを全体を通じて思いました。

 黛さんが司会の頃は知的遊戯のイメージが強かったと記憶しておりますが、その伝統は生きていて、更に音楽の楽しさ素晴らしさをしみじみと思わせるエンターテイメントとして大変面白いのではないか、企画の勝利だと思います。長期に持続している秘密が分かりました。

 3/4の橋田壽賀子さんのドラマは私はがっかりしました。橋田さんは長編作家タイプでして、連続ドラマで力を発揮するのですが、短編ではちょっとという気がしました。兄の内面葛藤が描かれずに平板だったし、妹は突っ慳貪な言動が多くて人間としての厚みが出てこない。また使用人が多いのに店が小さくて経営が成り立つのかとか、妹が子供に兄と同じ名前を付けるといったように、要はリアリティに乏しいと思いました。

 橋田さん独自の世界なのでしょうが、何か冴えていない。橋田さんのその世界の古さが、現代状況に逆にインパクトを与えるように書いて演出しなくてはいけない点が足りなかったと思います。

荻野委員

 「うじきつよしのワンダーポケット」は大変厳しい時間帯なので、3/17の回だけ見ました。砂漠の緑地化というなかなか面白いテーマでしたが、先ほどご指摘があったように、15分番組なのでこれからというところで次週に持ち越しになってしまう。「素敵な宇宙船地球号」と同様に訴える番組としては良く出来ていると思いますので、もっと時間が長ければと思います。

 「素敵な宇宙船地球号」は、琵琶湖の葦と中国の2本を見ましたが、両方とも採り上げ方が真っ直ぐで良い番組だと思います。トヨタの環境問題に対する関心度の高さを訴える点でも、テレビ局とタイアップして非常に良い番組を作ったと思います。番組を継続するのは大変だと思いますが、継続は力となりますから、是非続けて頂きたいです。

 「新・題名のない音楽会」は見ましたのが総集編でしたのでその感想ですが、やはり素晴らしかったのは、本田美奈子さんの歌の凄さとその時の拍手の違いです。ミュージカルをテレビでやる機会は殆どありませんから、本田美奈子さんのような方はなかなかテレビには出て来ないし、生で歌声を聞くこともあまりないし。ですからこういった方をもっと出すチャンスを4月からの新番組に期待したいなと思います。

 羽田さんにもクラシックの楽しさを伝えて欲しいと思います。私自身もクラシックがとても好きなのですが、問題は、クラシック人口が確実に減っていることです。「新・題名のない音楽会」の観客席もいつも映りますがこれに限ったことではなく、クラシックコンサートの聴衆はお年寄りばかりですね。黛さんの時は若い人を取り込むために、ハ長調とヘ短調の違いとか、随分と色々なことをやりました。クラシックは知的遊戯としての音楽であれば、年配にウケると思いますが、それを若い人にどうやって浸透させるかというと武田鉄也路線かなと思いました。以上です。

植本委員

 「うじきつよしのワンダーポケット」は残念ながら見る機会を失ってしまいました。

 「新・題名のない音楽会」ですが、武田鉄也さんのシリーズになって、武田さんの素人的な視点の切り口があるので、クラシックが幅広い層に聞いてもらえるという意味ではとても良い番組になったと思います。構成も素晴らしい方で、造形の深さとアイデアの面白さとで、内容も毎回とても良いと思っています。

 2/27のピアノの回では、ピアノがメカニック的に変わっていく中で、それに合わせて曲も変わっていく採り上げ方をしていました。ただ最終的にコンピューター音楽まで行ってしまうのはあまりにも難しくて如何なものかなと思いました。

 3/19の総集編では、見ていなかった回もあって楽しかったです。歌謡曲や演歌の歌手の方が出てオペラのアリアを歌っていましたが、訓練された方とは違って大変そうで、これは面白かったです。

 羽田さんに司会が替るということですが、武田鉄也さんの視点も好きだったのでその流れは大切にして欲しいと思います。

 「素敵な宇宙船地球号」は、映像がとても素晴らしくて、特に3/19の回では普段は見られないような灰色ペリカンなどの貴重な映像もあって、時間的な問題が無ければもっと見たいと思いました。変に環境保護、資源保護に偏らずに公平な立場で制作していることにも関心を持ちました。勿論、骨組みもしっかりした良質な番組でずっと続いて欲しいし、時間も出来ればもっと長くして欲しいです。また見ていて面白かったのは、中国から視察に来ていた女性が『魚を食べる鳥を何故保護しなくてはいけないのか』と言っていたことで、制度や法律で環境保護を訴えても、人の意識改革までは当然時間がかかることが分かりました。この女性の言葉がもっとダイレクトに聞こえてくるともっと面白いと思いました。若い世代や子供たちに見せたい番組だと思いますので、23時台ではなくて、もっと子どもが見られる時間帯に在るか、学校で教材として使える時間だといいと思います。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。私からも一言。結論から申し上げますと、まともな番組だと真剣に思いました。この審議会の限られた世代の限られた人間しかいないのに皆が素晴らしいと言っている。それなのに視聴率に反映されないのは何故かと思いました。どれも素晴らしい番組だと思います。この番組はどの位続いていますか。

村上常務

 「題名のない音楽会」は昭和41年からスタートして37年間やっております。

 「素敵な宇宙船地球号」は平成9年からです。

 「うじきつよしのワンダーポケット」は2年以上です。

増子委員長

 こういう番組が大事にされないというのは、大袈裟ですが日本は大丈夫かという気がしてきますね。他にご意見はありませんか。

斉藤委員

 「新・題名のない音楽会」で司会者の武田鉄也さんはステージの一番音の悪い所に座って、音楽について語っていますが、以前からそうだったでしょうか。ステージ上に演奏とは全く関係ない人が座っているのは違和感がありますので、演奏中は立っているかステージの袖に下がるかしたほうが良いと思うのですが。武田さんは音楽を知らないのではないか、指揮者が司会進行をするべきではないかというのが、私の周りの音楽ファンの意見です。あの並び方は嘘です。あれではオーケストラの邪魔になります。羽田さんであればあのようなことはしないと思いますが。

升谷事務局長

 黛さんの時も基本的にはステージ上に座っておりましたね。要するに、ステージと観客席の一体感を演出的には考えなくてはいけないと思うんですよ、音そのものを聞いてというよりも。

蓮見社長

 黛さんは必ずゲストと座っていましたね。

及川委員

 放送は30分ですが、コンサートは定期的に開催しているのですか。

蓮見社長

 基本的に2本撮りをしています。

升谷事務局長

 多少の編集はしていますが、30分番組を2本撮っています。ですから生に近い線での収録にはなっています。

村上常務

 収録が終わってからアンコールで曲だけを演奏しています。

蓮見社長

 荻野委員がおっしゃるように、本当に若い人は余りいませんね。

植本委員

 収録を聴くのは一般募集をして抽選ですか。

蓮見社長

 無料で、整理券ですね。固定客はいるのですが。

及川委員

 『神田川』の世代が多いのかと思いました。

斉藤委員

 クラシックファンは高齢者では無いと思っていました。数は減っていますが老若男女幅が広いと思っておりました。

荻野委員

 私自身、クラシックがとても好きでコンサートによく行きますが、行って会場を見渡すと高齢者が多いと思います。

村上常務

 「新・題名のない音楽会」の担当の大石プロデューサーの話しを聞きますと、カラヤンのCDは松任谷由美のCD並みに売れているそうです。最近はテレビコマーシャルもクラシックのBGMを使うのが多くて、日常生活に溶け込んできてはいますね。題名のない音楽会は確かにもっと若い人を引き込むようにしたら良いと思いますね。

及川委員

 クラシックの音楽会は咳も出来ずにじっとしていなくてはいけないという、私でも億劫なことではありますね。成人式の15分ほどのスピーチでもじっと聞いていられない若い人達であれば、もっとワイワイ騒げるほうへ行ってしまうのも解らなくはないです。

斉藤委員

 そういう壁を破るための題名のない音楽会ですよね。

増子委員長

 「新・題名のない音楽会」の視聴率はどのくらいですか。

蓮見社長

 4%前後です。黛さんの頃も同じくらいでした。人が替わってもそれほど関係は無いようですね。

増子委員長

 「素敵な宇宙船地球号」の視聴率はどのくらいですか。

村上常務

 岩手地区でも6%くらいです。

河邊業務局長

 3月の第1週で6.0%です。大相撲ダイジェストがあって30分遅くなっていますから、視聴率も若干下がっています。普段の時間帯ですと、もう少し視聴率は高いです。

増子委員長

 番組を録画で見ている人の割合の調査というのはありますか。

河邊業務局長

 今の視聴率には入っています。

村上常務

 先ほどの橋田壽賀子さんの『想いでかくれんぼ』は視聴率が20%を超えました。

河邊業務局長

 そうですね。『想いでかくれんぼ』は土曜ワイド劇場でやったのですが、東京の視聴率は20.9%でした。土曜ワイド劇場の枠で99年度では最高の視聴率です。岩手地区はたまたま視聴率調査週間では無かったので、視聴率は出ていません。

増子委員長

 他にごさいませんか。

荻野委員

 今回の番組改編を見ると、視聴率を獲ろうという気迫は感じられますね。

蓮見社長

 先ほど申し上げた、20.9%を獲った橋田壽賀子さんと石井ふく子さんの『想いでかくれんぼ』は、いろいろな個人的な見解があるとは思いますが、テレビ朝日としては、このコンビでドラマを作ったのは初めてのケースでして、単発とレギュラーでは脚本家も作り方が違うものです。渡哲也さんを起用したのは、石原プロとの合同制作だからです。渡さんは台詞を多く喋るような役者さんではありませんから、そういったことを念頭に置いて作っている訳です。テレビ朝日としては新しい分野が開拓できたという意味では評価されています。ですから高視聴率も獲っています。あの枠で20%という視聴率はなかなか出ませんから。

及川委員

 連続ドラマが出来ればいいですね。

蓮見社長

 そうなったら大変ですね。

増子委員長

 では、そろそろよろしいでしょうか。次回の予定に移ります。

升谷事務局長

 次回の審議会は4月27日(木)11時からです。

 合評番組は、月曜~金曜18:30~19:00『IATスーパーJチャンネル』です。簡単に内容を説明願います。

横舘報道制作局長

 スタートは4月3日の月曜日です。今までは全国ニュースの中に3箇所に飛び飛びになっていたものを18:30~19:00に全て集約します。

 内容的には月曜から金曜まで企画コーナーを入れるということで練っております。例えば月曜は『記者の目』ということで、記者クラブのネタを掘り下げていこうと思います。火曜はいわての人や旅する者を『ふるさと2000』というタイトルで採り上げるというように、曜日ごとに採り上げる材料をある程度決めております。

 金曜は原則的に中継を出して中継現場からお送りします。例えば前編は、けんじワールドから放送してニュースだけはスタジオから流すといった感じ。またお花見の時期には北上の展勝地から中継をしたりといった感じにしたいと思います。

 金曜だけは『IATスーパーJチャンネル 活金情報局』、活力のある金曜日という意味での造語を作りまして、月曜から木曜までと差別化をして情報色を強めたいというのが特色でございます。

 キャスターに関しては、新人アナウンサーもリポーターとして登場しますので、若い人材にも注目して頂ければと思います。また、スタジオもようやく一新しますので、そちらも注目して欲しいと思います。過去にニュースステーションのスタジオをデザインした者の作品でございますので、スタジオセットもご覧頂きたいと思います。以上です。

升谷事務局長

 特に活金情報局をご注目して頂きたいと思います。

 では、今回はこれで締めさせて頂きたいと思います。どうもありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

特になし

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

 3/29 付 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎ 4月度単発番組編成予定表

◎ 4月度新番組編成予定表

◎ 4.5.6月タイムテーブル

速報

岩手朝日テレビ第36回放送番組審議会(県立大学教授 増子義孝委員長)は3月23日開かれた。

冒頭、蓮見社長から放送と青少年に関する問題について、民間放送連盟として、第三者機関の設置を検討していたが、番組向上委員会とは別に、4月1日に教育・メディア研究の有識者7人をメンバーとする「放送と青少年」委員会を、発足させ、4月10日の初の委員会を開催し、具体的な活動を開始する旨報告された。

続いて、業務局長から春の番組改編に当り、基本方針と新番組について具体的に説明があり、承認された。

その後、課題の三番組について審議があり

  • 「新題名のない音楽会」はクラシック音楽の入門編として使命を果たしている。
  • 「うじきつよしのワンダーポケット」はしっかりしたテーマを面白くとらえ分かり易いが15分枠では追求が浅く、出来ることなら30分番組化し放送時間も多数の人が見られるようにして欲しい。また
  • 「素敵な宇宙船地球号」は地球環境問題に真っ直ぐに取組み、国内、海外と幅広く取材していて科学的分析も加えて非常に良い番組である。特集化も是非考えて欲しい。

などの意見が出された。