放送番組審議会

3月(第86回)

概要

 岩手朝日テレビの第86回番組審議会が平成17年3月24日(木)、盛岡市盛岡駅西通の岩手朝日テレビ会議室で開かれた。

合評番組は「スーパーモーニング」。

  • 主婦だけでなく、サラリーマンのリタイア組も見ており、硬いテーマも夜のニュースと違う切り口で時間をかけて分かりやすく伝えている点は評価できる。
  • 司会の渡辺、赤江両アナは出しゃばらず、語り口も柔らかで好感が持てる。コメンテーターの人選も幅広く、それぞれの分野の専門家を揃えている。中年リポーターはくたびれた感じではあるが、要所を的確にリポートしている。
  • 大阪市のヤミ手当て問題をじっくり取り上げたり、開かずの踏み切り事故現場からの中継など真面目に取り組んだり、このように時間をたっぷり取った番組は大事にして欲しい。
  • 殺人事件を長々と取り上げるなど、爽やかな朝のふんいきにそぐわない。また、ライブドア問題に見られるように、ひとつのテーマに時間をかけすぎである。
  • 同時間帯の他局の番組と比べて、オープニングはあっさりしすぎである。渡辺アナも本人の見解を話すなど、個性を出してもいいのではないか。
  • 殺人事件のあった店舗の前から、モザイクも入れずに放送していたが、凄惨な事件現場の場所が特定できるようなことをしていいのだろうか。

という意見が出た。

出席委員は、増子 義孝委員長、石井 三郎委員、小田島 利昭委員、笠川 さゆり委員、高橋 真裕委員、松本 直子委員、宮野 裕子委員、村田 久委員の8名。欠席委員は、大坊 忠委員、松尾 正弘委員の2名。

議事録

1.開催日時

平成 17年 3月 24日(木)午前11時~

2.開催場所

岩手朝日テレビ 3階会議室

3.委員の出席

委員総数 10名

出席委員数 8名

委員長 増子 義孝

委員 石井 三郎

委員 小田島 利昭

委員 笠川 さゆり

委員 高橋 真裕

委員 松本 直子

委員 宮野 裕子

委員 村田 久

欠席委員数 2名

委員 大坊 忠

委員 松尾 正弘

会社側出席者名

代表取締役社長 川崎 道生

代表取締役専務 村上 昇

常務取締役総務局長 伊東 正義

取締役営業局長 辻 一成

技術局長 佐々木 正樹

テレビ朝日 青木 吾朗

番組審議会事務局長  小倉 潔

4.議題

(1)4月単発番組について

(2)番組合評

「スーパーモーニング」

(3)次回の審議会

開催日:

平成17年4月21日(木)

合評課題:

「TVイーハトーブ『土曜のてっぺん』」

毎週土曜 12:00~12:55 放送

5.概要

○主婦だけでなく、サラリーマンのリタイア組も見ており、硬いテーマも夜のニュースと違う切り口で時間をかけて分かりやすく伝えている点は評価できる。

○司会の渡辺、赤江両アナは出しゃばらず、語り口も柔らかで好感が持てる。コメンテーターの人選も幅広く、それぞれの分野の専門家を揃えている。中年リポーターはくたびれた感じではあるが、要所を的確にリポートしている。

○大阪市のヤミ手当て問題をじっくり取り上げたり、開かずの踏み切り事故現場からの中継など真面目に取り組んだり、このように時間をたっぷり取った番組は大事にして欲しい。

○殺人事件を長々と取り上げるなど、爽やかな朝のふんいきにそぐわない。また、ライブドア問題に見られるように、ひとつのテーマに時間をかけすぎである。

○同時間帯の他局の番組と比べて、オープニングはあっさりしすぎである。渡辺アナも本人の見解を話すなど、個性を出してもいいのではないか。

○殺人事件のあった店舗の前から、モザイクも入れずに放送していたが、凄惨な事件現場の場所が特定できるようなことをしていいのだろうか。

6.議事の内容

小倉事務局長

 第86回放送番組審議会を始めます。

 今日は、合評番組「スーパーモーニング」のチーフプロデューサー(CP)である青木吾朗さんをお迎えしておりますので、後ほどお話も伺いたいと思います。

増子委員長

 それでは川崎さん、お願いします。

川崎社長

 おはようございます。

 いよいよ来週は4月を迎えます。当社は久々に新人を数名採用いたします。女性アナウンサー1名、ほか数名です。

 昨年11月の新潟中越地震に続き、先週の福岡西方沖地震。まさしく我々もそういった災害に向けての役割が求められております。当社も村上専務を中心として、今暫く時間をかけて、体制づくりを始めております。今後ともご支援頂ければと思います。本日もよろしくお願い致します。

増子委員長

 4月の番組についてお願いします。

辻営業局長

 ご説明します。プライムタイムのキー局の番組に関しては、昨年10月の改編で成功を収めているために、他局と比較しますと改編率は非常に低くなっております。通常ですと23%前後の改編が普通ですが、当社の改編率も12%とかなり低くなっております。

 東北ブロックでは土曜の朝6:45から「週刊ことばマガジン」が東北6県と新潟で開始されます。方言をテーマにした番組です。同じく正午から「TVイーハトーブ土曜のてっぺん」が4月2日からスタートします。この番組は来月の合評番組です。東日本放送発の東北ブロック6県ネットの生番組です。

 その他単発に関しては、4月17日までが期末期首スペシャル週ですので、レギュラー番組のスペシャルが多く編成されています。

 「ドラえもん」は4月15日のスペシャルから新しい声優で始まります。

 「はぐれ刑事」は4月20日からファイナルがスタートします。1988年から18年間継続したシリーズのファイナルです。

 また4月29日14:00?15:55プロ野球「楽天×西武」を東北6県ネットで編成します。

 視聴率、視聴者対応についてはお配りした資料をご覧ください。

 今後の課題としては、「楽茶間」やローカルニュースなど、ローカル制作の番組をいかに地域密着させ、視聴率を頂戴することができるかだと思います。

増子委員長

 それでは「スーパーモーニング」の合評に入ります。

高橋委員

 スーパーモーニングは放送時間が8時から9時55分で、会社に行っておりますので、全く見る機会がない番組でしたので、合評に値するか不安な部分もあります。

 3月14、15日分を見ました。ニュース番組を新聞に例えるのならば、スーパーモーニングは文春や新潮の類いの週刊誌の位置づけになると思います。即効性よりは、興味をひきそうな事件を追跡調査や取材して提供する、という印象が強い。

 この番組を見る層は、大半は主婦中心なのかという印象があります。

 2日間番組を見た印象は、14日は7箇所メッタ刺しの強盗殺人や、女性2人の強盗殺害、連続放火魔。15日は千葉での21歳女性刺殺、福岡の女性3人殺害事件など、非常におどろおどろした内容の報道が多かった感じです。朝の爽やかな時間帯に、そういったものにウェイトを置いた取り上げ方は如何かなと疑問です。主たる視聴者が主婦だとして、主婦がそういうものを求めているのであれば評価しなくてはなりませんが、私自身がこの時間帯に番組を見ると仮定すると、朝の爽やかな気分を逆撫でされる気がします。

 評価したい点は、ライブドアとニッポン放送のM&Aを巡る争いの報道で、コメンテーターの佐山さんを起用している点です。専門的な知識も随所にちりばめながら非常に分かりやすく解説しております。テレビ朝日では、報道ステーションもそうですが、非常に良い人材を解説者に採用していますね。解説者の人材がきちんとしていれば、素晴らしい番組内容になることの見本ではないでしょうか。

 追跡という点で言いますと、大阪市の手厚すぎる手当を諦めずに何度も放送することは、すぐにニュース性が薄れてしまう中で繰り返し取り上げる姿勢は大事であり、評価に値すると思います。

笠川委員

 司会の渡辺アナは、Nステの頃から好印象を持っています。語り口の柔らかさ、分かりづらいことは質問形式で専門家から説明を引き出すのも上手です。赤江アナは出しゃばった感じがなく、コーナーも上手にこなすので、二人ともとても印象が良い。コメンテーターも多岐に渡り、皆さんコメントが上手で飽きることなく見ることができます。

 視聴者は殆どが主婦だと思います。

 一つ一つのテーマが長いので、飽きてしまいます。他のチャンネルに変えてしまう人もいるのではないでしょうか。

 オープニングを他局と比較しますと、日テレはニュース番組のような固い入り方、フジは小倉さんが彼らしい切り口でのトークから入り、TBSはニュース性があまりない、はなまるですね。そういった中でスーパーモーニングは、あまりにもアッサリし過ぎではないか。もっと渡辺アナが自分の見解をストレートに話して、個性を出してもいいのでは。

石井委員

 私もこの時間帯は仕事をしておりますので、高橋委員と同様に3月14、15日分を見ました。第一印象は長すぎて、2時間見続けるのはかなり厳しいものがありました。

 まず、構成を第一部と第二部で分けるような、メリハリが欲しい。

 それから先ほどからありますように、コメンテーターが非常にまともで、変な芸能人が混じっていない。専門的な立場からコメントが出来る、しっかりした方々がその都度出演する点が良かったと思います。リポーターが追及していく番組は、結局、事件・事故ものにどうしてもなっていきますが、朝から暗いニュース、事件、事故を主体に放送するのは如何なものか。2日間しか見ておりませんが、コメンテーターも弁護士が比較的多く登場するのも、いかに事件を中心に取り扱っているかの裏返しでしょう。

 専業主婦が主たる視聴者でしょうが、取り上げる話題としてはスポーツ、芸能、料理、温泉といった食傷気味のものが比較的無い。むしろ政治経済等々をメインにして真面目に取り組んでいる感じがあります。が、事件ばかりでは面白くないので、財政、年金…そこまでやると誰も見ないかも知れませんが。そういった部分にも焦点を当てて欲しい。

 そうは言いながら、番組の終盤にはホッとするニュースも用意されていて、これらは簡単に紹介されますが、もう少し枠を拡充したらどうか。

 また報道ステーションではなかなか突っ込んだ部分まで見られないもの、例えば村上ファンド等、非常に良く教えて頂けました。こういう番組は、朝やるのは勿体ないので、ぜひ夜にもやって欲しい。それから焦土作戦を含めて、専門用語の解説も面白い。新聞の解説だけでは分かりづらいものも、この番組を見ることで目から鱗が落ちたというか、非常に良かった。また、番組の始めと終わりに昔の名曲を日替わりで入れるとか、それなりに工夫をされていると思います。

 この番組に限りませんが、ライブドアの報道は取り上げすぎの感もあります。プロ野球参入の時は、国民的関心事でしたので取り上げることはニーズに合致していましたが、今回は同じマスコミに関わる部分があるから放送しているのか、マスコミの都合でやっているような気がします。この問題は本来は株主と経営者の問題ですので、それを冷静に分析すればいいことで、国民にとってはどうでもいいことだと思います。それを変に煽る必要はないし、マスコミが変に自分の解釈でやっていくとオウム報道ではないけれども、本来報道するべきものを疎かにして特定のニュースだけにこだわってしまう、ということになりかねない。ですので、ライブドア報道もほどほどにされたらどうでしょうか。

松本委員

 3月14、16、18日分を見ました。一部は車で移動しながら音声だけを聞いた日もあります。

 オープニングに季節のヒット曲を使っていますが、知人には、それを楽しみにしている人もいますので、面白い取り組みだと思います。

 レギュラーのコメンテーターの中でも、鳥越さんの存在感はとても大きいなと思いました。華のある男性だと言えます。ただ音だけを聞きますと、鳥越さんの喋りはあまり分かりやすいものではないことに気付きました。

 私も一つの話題が長過ぎると思うことがありました。14日の放火の話題はCMを2つ挟んでまで引っ張っていましたので、ちょっと辛かった。もっと短くまとめるのも一つの方法では。また後半になるほどCMが小刻みに入りますから、視聴者の気が削がれる気がします。

 ライブドアとニッポン放送の報道は食傷気味です。世間とは桁が違うマネーゲームの世界で冷ややかに見てしまいます。ただ、村上ファンドの話では渡辺アナが電卓を使って説明して面白かったのですが、カメラが電卓の数字を映すタイミングがずれていたのは、段取り不足だったのか、残念でした。焦土作戦、ホワイトナイトといった用語の解説は新鮮で分かりやすく、面白かった。

 気になった点は14日の新宿の飲食店同僚殺害の部分。事件があった店舗の前から放送しましたが、通常、あれだけ凄惨な事件があったお店は、場所が特定できないようにモザイクを入れるものではないでしょうか。最近はそうするのが当然なのか、もしやお店側がPRになると思って映したのか。もしお店の意向であのような映し方をしたのであれば世も末、ゾッとするなと思いながら見ました。是非その点をお伺いしたい。

宮野委員

 普段はオープニングの音楽と渡辺アナの顔をチラッと見て仕事に出かけます。3月18、21日分を見ました。

 18日は冒頭に殺人事件に30分、ライブドアに30分。要するに2つの話題で1時間費やして、その後に梨本さんの芸能ニュースでホッとしたような感がありました。これを2時間じっくりは見るのは大変だなという印象です。18日の放送はビデオで夜見たのですが、渡辺アナはNステ時代からイメージがとても良いので、物足りない気がしました。ですが、21日に生放送で見ますと、渡辺アナの少し引いた感じが朝には丁度良い感じがしました。トップニュースも近藤海事の人質解放という明るいニュースで良かったのですが、次はライブドアのニュースにいってしまう。そうすると自分の目も違う所にいってしまうような所があります。

 私は朝、テレビを見る習慣がないので、この番組は誰が見るのかと思いましたら、年金生活者の実家の父が、この番組が大好きで見ておりました。多分、この番組は主婦向けではありません。リタイアした男性向けでもあります。父は普段見る番組が無いようですから。朝の番組は皆が皆、同じパターンじゃなくても良いと思います。個々が選択する権利がありますから。あとはどのようにPRしていくかでしょう。

村田委員

 始めから終わりまで事件を詳細に見せるという、事件簿といっても良い番組ですね。僕も誰が見ているのかと思いましたら、僕みたいなリタイア組がやっぱり見ている。主婦は殆ど見ていない。要するに定年退職した人たちが、実は凄く詳しくて良い番組だと。報道ステーションの時間帯にはもう寝ている、そんなリタイア組にとっては百科事典みたいなもので、非常に良いと言うんです。なるほどそういうものかと。

 今日の名曲から番組は始まりますが、この名曲もなかなか懐かしい曲で、これ爽やかだなと思ったら、事件がどんどん出てくる。

 しかし渡辺アナの進行ぶり、彼の態度は視聴者の目線に合わせた司会をする。だから共感を呼ぶのですが、逆にもう少し出しゃばっても良いのでは。それからコメンテーターが多すぎる。勿論それぞれの分野で活躍している人ですが、コメンテーターを半分くらいに減らして、渡辺アナにウェイトを置いたほうが聞きやすい番組になるのでは、と思います。

 ライブドアの報道は、14日が39分、15日は50分もかけています。これでは食傷気味になって当然です。もう少し時間の使い方を考えてもいいのでは。あまりに突出しすぎです。専門用語の説明は確かに勉強にはなりますが、ある面では一般の人たちには関係のないことですよね。野次馬的には見ますが、構成の面でもっと少なめで良いのでは。

 暗い事件が多いなかで、明るいほっとするニュースも挟んでいたので、それに救われた部分もあります。また15日の大阪市のヤミ手当問題を詳細に報道しました。これはどんどん続報をやってほしい。全体的には、ニュースをあまり見ない人にとってはとても貴重な番組のようです。2時間は長いですが、真面目に見ると非常に良い2時間だと思います。

小田島委員

 3月14、16日分を見ました。いわゆるワイドショーの先入観がありましたが、報道的な要素が多分に含まれていました。また皆さんの話を聞いて、主婦ターゲットというよりは、リタイア組がターゲットになっているのかなと感じました。

 14、16日はライブドア関連に40分割いていましたが、報道ステーションとは違う切り口で分かりやすく解説していましたので、勉強になりました。

 皆さんのご意見にもありましたが、事件や事故の話題が多いので、何か明るい話題、元気が出る話題も盛り込んで欲しい。

 16日は踏切事故の現場から中継していましたが、開かずの踏切であり、頻繁に電車が行き来する様子、危険な様子がわずか10分程度の中継からよく伝わってきました。

 これからも、他局とは違うワイドショーとして頑張って欲しい。

増子委員長

 3月15、16、17日分を見ました。皆さんおっしゃるように、私も朝のワイドショーを侮っておりました。どうせ主婦相手の極端に色あげした番組じゃないかと思ったら、全然違う、凄い番組なんですね。私も主婦ターゲットの番組だと思ったので、これを2時間じっくり見られたら、亭主よりはるかに立派な主婦が出来るなと。確かに長いことは長いが、長いから短くしろとあまり言わないほうがいいのでは。2時間もニュースを延々とやる番組は他にそうないでしょうから、妙に細切れにしないほうが良い。大阪市の問題をじっくり取り上げるとか、踏切の問題を延々と中継するとよく分かるんです。それからライブドアは批判もあるけれども、報道ステーションとは違う角度からよく分かる取り上げ方をしていた。ひょっとして報ステを意識してそういう作りにしたのかと。逆にライブドアの問題が無くなった時に2時間どうするかは作り手にとって難しい問題に迫られますが、短時間でパッと画面が切り替わる番組が多い中で、時間をたっぷり取った番組は大事にして欲しい。ライブドアについては、今や社会現象であるから延々と取り上げていますが、既成の権威に対する反発は世の中に広くあるのだということが、大変によく分かるのですが、同時にライブドア対ニッポン放送という構図ばかりではなく、これは俺たちには関係ないという街の声も取り入れることも大事だと思います。

 皆さん触れてないですが、リポーターが刑事コロンボのような、くたびれた中年男がリポートしていますよね。あれがたまらなく良くて。つまりいい加減なリポートかというと、これが相当の手練だなという感じがします。要所要所をきちんとリポートしている。若いリポーターとは違い安心できる、非常に良い感じがする。くたびれてるなという感じは一方でしますが、味があるリポーターです。

 コメンテーターは、先ほど石井さんもおっしゃいましたが、訳の分からない芸能人が素っ頓狂なコメントをすると白けることがあるけれども、皆さんそれぞれに安心して聞いていられる。それなりにユニークな人が登場するし、人選は非常に良いと思う。これが多いかどうか、僕にはよく分からない。司会者がもっと積極的でもよいという意見もありますが、僕は良い番組だと思いました。

 是非青木さんのお話をお伺いしたいですね。お願いします。

青木CP

 どうもありがとうございます。毎日2時間の番組は、私自身でさえ見るのが嫌になるほどの時間でして、見て頂いたのがよくわかるコメントを頂戴しまして、ありがとうございます。

 いくつか答えさせて頂きますが、実は皆さんのおっしゃる通りなんです。私たちの狙いも実はそこにある、ということをお話いたします。

 私と渡辺、鳥越の3人で新しいものをやろうと始めた番組です。まず鳥越から出たのが、とにかくワイドショーと呼ぶのはやめよう、と。周りが呼ぶ分には全く構わないのですが、我々がワイドショーという呼称はやめよう。というのは、ワイドショーには輝かしい歴史もあるものの、やはりどこかで負の部分も引きずっておりまして、例えば小泉内閣をワイドショー内閣と呼ぶように、ワイドショーは負の形容詞で使われる。その当時のワイドショーに私もディレクターとして関わっておりましたので、ワイドショーの悪い部分がよく分かります。そんな反省も踏まえてワイドショーという言葉はやめよう。そこで「あれこれニュースショー」としました。原則はニュースショーであるが、硬いニュースショーではなく、あれやこれや、国際情勢から芸能情報まで何でも取り込む幅の広いニュースショーをやろうと。キャッチフレーズが「ニュースに貴賤なし」、これで始まった番組です。ですから、これはワイドショーではないと見て頂くのは、我々にとって本当に嬉しいことです。

 ターゲットは主婦だけではないのでは、というのも実は嬉しいことです。この時間帯のターゲットは主婦というのがこれまでの常識だったのですが、マーケティングを入れて調査したところ、男性のリタイア組が見る番組がないことが判明しまして、その人たちにも見て貰える番組を作ろう、ということで始まった番組です。

 我々は遠大な計画を立てています。2007年に団塊の世代の大定年時代を迎え、それ以降は相当、男性の在宅率が高まる。そうなってきた時にスーパーモーニングの一人勝ちの時代が来るかなと。そういうことまで考えています。

 そういったことを前提に、様々な試行錯誤をして参りました。

 一つ一つのニュースが長いのではないか。おっしゃる通りです。私も番組の立ち上げ当初、同じことを思い、小刻みにテンポよくニュースを伝えられないかと「ニュース森羅万象」というコーナーをやってみました。それこそ幅広く小刻みにやったのですが、中高年がメーンターゲットだと、増子さんがおっしゃったように、小刻みに話題が変わっていくとイライラするといった声も多く、分刻み視聴率も上がってこない。巨艦大砲主義でニュースを掘り下げ、それに対して多角的な見解、最後はアンカーマンの意見。この場合のアンカーマンは鳥越俊太郎、水曜が水口さん、金曜が大谷さんです。この形になって視聴率も上がって来ました。番組を見た印象で長すぎるというのはよく分かります。何とかしなくてはとも思います。試行錯誤の上、この形に落ち着いたことを事実として説明申し上げたいと思います。

 高橋さんがおっしゃった、朝の爽やかな時間なのにおどろおどろしい。これもおっしゃる通りです。番組を始める時にどちらの方向に行くか検討しました。サロン風の爽やか番組かニュースショーに行くか。この2つの選択がありました。丁度、はなまるマーケットの全盛期でしたので、はなまる風にいくか、「とくダネ!」をもっとニュース色を強めた感じにするか。我々3人でサロン風をやっても失敗すると思い、ニュース色の強い方向に行きました。

 殺人事件の扱いが多いのも、その通りです。私の方針として、事件に時代の合わせ鏡的な意味を持つもの、つまりこれを報じることで、公共性、公益性があるものに限ろうというのが基本方針です。が、そればかりではないものが出た、ということだと思います。素直に反省しなくてはなりません。

 笠川さんからの、オープニングがあっさりしすぎてはというご意見、これもその通りです。「とくダネ!」の一番の売りは冒頭の小倉キャスターのトークですね。そこで著しく視聴率が上がらないとしても、それがあることで番組に色気のようなものが出る。それが実は一番大事なんです。そこで我々はどうしたかと言うと、今日の名曲も色気の部分です。「とくダネ!」で小倉キャスターが話をしているうちに、こちらはネタに行こう、というのが戦略なんです。

 ライブドアを取り上げすぎである、本当にそうです。私もついていけない部分がありますが、これは公共性、公益性に適っていると申しますか、日本の資本主義とは何なのか、メディアとは何なのか、非常に大きな問題を含んでおります。バトルの決着よりも、この問題が含む様々な本質的なものを見過ごす訳にはいきません。当初はバトルを伝えることに終始しておりましたが、本質的な報道にシフトしております。昨日は「株主って何だろう」という特集、今週月曜は「メディアとは何か」といった本質的な問題を放送しております。今後もそういった方向に行き、やがて終息していくと思います。

 松本さんの電卓のお話ですが、渡辺はただの司会者ではなく、演出を考えることが出来る司会者でして。本番中に渡辺が電卓を持って来てくれと言いまして、急遽決まったのです。つまりカメラと打ち合わせが出来ておらず、カメラが追いつくことが出来なかったのです。

 また、新宿同僚殺人事件の報道については、映像メディアならではのジレンマのひとつだと思います。事件の現場はここであると伝える時、例えばマンションのベランダで事件があった場合、マンションの全景を取り上げたら、そのマンションの居住者からは当然イメージが悪い、価格が下がるとクレームが来ます。それでも避けて通れない事件の現場、という考え方があると思います。お店にとってみれば配慮するべきだという意見も当然分かります。ですが配慮が何を招くかというと、モザイクオンリーの画面になってしまう。モザイクは人権への配慮など、ある意味で必要なのですが、この場合はモザイクをかけるべきではないという判断です。様々な判断があってしかるべきです。モザイクだらけの報道にならないためにはどうするか、より事実に近づくためにはどうするか。

 コメンテーターが多すぎるという意見。先ほど触れましたが鳥越さん、大谷さんといったアンカーマンは番組としての見解を、この人になら託せるという信頼のもとに決めた人です。ですがそういう人ばかりではつまらないので、暴論を吐く人、女性の目線、そういった様々な意見を取り込んで行きたいと思っております。アンカーひとりのニュースショーもありますが、それは混乱もしないし、それはそれでありだと思いますが、言論の多様性の意味では、様々な意見を言う人がいたほうが良い。コメンテーターの人選はシビアにしており、あまり一方向に意見が偏ることを避けるために、様々な考え方の人を入れているつもりです。

 事件などニュースが暗いというご意見に関しては、9時30分以降の「スパモニあれこれ」でなるべく明るい話題、なかなか大きくは取り上げないニュース、今でしたらイラク派遣や憲法問題、そういったものをこの枠で押さえております。番組の前半が堅いので、こういった柔らかい部分は少ないですし、伝わりにくいのは確かにあります。

 増子先生がおっしゃった、リポーターが中年男で刑事コロンボのようでたまらなく良いということ。これもとても嬉しい。私共のリポーターは様々な経緯で各局の中年のエースリポーターを引き受けた形になっております。ですから彼らのニュースに対するスタンスを、非常に安心して見ています。番審でリポーターが褒められるのは初めてなので有り難い。スーパーモーニングのリポーターは客観的に見て、実はかなりレベルが高い。これは番組をよく見て頂けていると感謝いたします。ありがとうございます。

増子委員長

 渡辺さんをもっと前面に出してはという意見は強いですか。

青木CP

 これも考え方だと思いますが、この番組では役割論を明確にしております。リポーターは事実を司会者に伝える。司会者はリポーターからの事実を受けてコメンテーターにふる。コメンテーターは意見を言う。最後に司会者はアンカーマンにふって着地する、というのが基本的な役割です。これは原則であり、壊れても構いませんが。この原則に従って、渡辺は自分の意見を言うよりも専門家にふる、リポーターは私見を混じえずに事実を伝える、という役割の中での位置を、彼はきちんと認識しているということだと思います。たまに役割を超えて意見を言うことはありますが。

増子委員長

 鳥越さんがいて両方で言い出したら、ということですね。

青木CP

 そういう事です。被ってしまいますから。

増子委員長

 だけど、渡辺さん自身もタレントだから、もう一歩前に出て欲しいと思うファンが結構いるでしょうね。それでは次回の予定をお願いします。

小倉事務局長

 次回は4月21日(木)です。

 合評番組は「TVイーハトーブ『土曜のてっぺん』」です。

増子委員長

 それでは終了します。ありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

特になし

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

3/27付 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎ 4月度単発番組編成予定表

◎ 3月岩手地区視聴率

◎ 2月視聴者応答記録