放送番組審議会

5月(第68回)

概要

 岩手朝日テレビの第68回番組審議会が平成15年5月21日(木)、盛岡市盛岡駅西通の同社会議室で開かれた。

合評番組は、「ビートたけしの!こんなはずでは!!」。

  • 切り口が面白いし、ゲストの持ち味も出している。
  • こんな面白いテーマをよく探し出してくるなと思う。
  • 家族そろって見られる番組だ。
  • 有力なゲスト陣をそろえて、たけしもいろいろコメントしたりして、なかなかいい。
  • まともなテーマをふざけているようで、まとめている。ほー、あれまーという要素があるのは、いい番組だ。
  • まあ知的とはいえないまでも、題材も多彩で面白いと感じた。
  • 殺人事件など生々しい場面は、子供も見ていることを意識してほしい。
  • 意外性はあるが、それがちょっと伝わってこない気がする。
  • おちは、おちでいいが、行き過ぎると好感が持てなくなってしまう。

という意見が出た。

また、今回は6月に東京で開催予定の系列番審代表者会議のテーマに関して

  1. 戦争・外交問題の報道について
    • イラク戦争反対の立場をとっていたのに、なぜ協力しないといけないのか。その理由がほとんど報じられなかったのではないか。見落としの部分もあるかも知れないが。
    • イラク戦争。そのイラクがいまどうなっているのか。そのいまが伝わってこない。
  2. これからの地方の役割と地方制作番組のあり方について
    • 市町村合併が問題になっている。また、道州制も話題になっている。県境を越えた番組をつくればいいなあ。
    • 制作番組で、現在への目配りはすごいが、縦軸への目配りももっと必要。歴史を大事にしてほしい。
    • 全国ニュースはあまりにも殺伐としている。ローカルニュースを見ると、ほっとする。
    • キー局が少し変わらないといけない。地方の時代といわれて久しいが、そういう番組が少ないのではないか。
    • 味のある作品が地方で増えている。そうしたものを、実は都会の人に見せたい。全国的に取り上げていくべきだと思う。

といった意見が出た。

出席委員は、増子 義孝委員長、及川 和男副委員長、笠川 さゆり委員、松尾 正弘委員、宮野 祐子委員、松本 直子委員の6名、欠席委員は、石井 三郎委員、大坊 忠委員、小川口 柳太郎委員、植本 花子委員(レポート提出)の4名。

議事録

1. 平成15年5月21日(水)午前11時~

2. 岩手朝日テレビ本社・会議室

3.委員の出席

委員総数  10名

出席委員数 6名

委員長 増子 義孝

  副委員長 及川 和男

  委員 笠川 さゆり

委員 松尾 正弘

委員 松本 直子

委員 宮野 裕子

欠席委員数 4名

  委員 石井 三郎

  委員 植本 花子(レポート提出)

  委員 小川口 柳太郎

委員 大坊 忠

会社側出席者名

  代表取締役社長 川崎 道生

  代表取締役専務 村上 昇

取締役業務局長 河邊 喬

報道制作局長 星井 孝之

技術局部長待遇 杉本 務

番組審議会事務局長 末吉 正憲

4.議題

(1)6月の番組編成について

(2)番組合評

「ビートたけしのこんなはずでは!」について

(3)次回の審議会

開 催 日:平成15年6月26日(木)

合評課題:「サムズアップ」

(4)系列番審代表者会議(6月に東京で開催)のテーマについて

(5)その他

5.概要

<合評番組「ビートたけしの!こんなはずでは!!」について>

*切り口が面白いし、ゲストの持ち味も出している。

*こんな面白いテーマをよく探し出してくるなと思う。

*家族そろって見られる番組だ。

*有力なゲスト陣をそろえて、たけしもいろいろコメントしたりして、なかなかいい。

*まともなテーマをふざけているようで、まとめている。ほー、あれまーという要素があるのは、いい番組だ。

*まあ知的とはいえないまでも、題材も多彩で面白いと感じた。

*殺人事件など生々しい場面は、子供も見ていることを意識してほしい。

*意外性はあるが、それがちょっと伝わってこない気がする。

*おちは、おちでいいが、行き過ぎると好感が持てなくなってしまう。

<系列番組審議会代表者会議のテーマについて>

(1)戦争・外交問題の報道について

*イラク戦争反対の立場をとっていたのに、なぜ協力しないといけないのか。その理由がほとんど報じられなかったのではないか。見落としの部分もあるかも知れないが。

*イラク戦争。そのイラクがいまどうなっているのか。そのいまが伝わってこない。

(2)これからの地方の役割と地方制作番組のあり方について

*市町村合併が問題になっている。また、道州制も話題になっている。県境を越えた番組をつくればいいなあ。

*制作番組で、現在への目配りはすごいが、縦軸への目配りももっと必要。歴史を大事にしてほしい。

*全国ニュースはあまりにも殺伐としている。ローカルニュースを見ると、ほっとする。

*キー局が少し変わらないといけない。地方の時代といわれて久しいが、そういう番組が少ないのではないか。

*味のある作品が地方で増えている。そうしたものを、実は都会の人に見せたい。全国的に取り上げていくべきだと思う。

6.議事の内容

末吉事務局長

 それでは第68回岩手朝日テレビ放送番組審議会を始めます。

 増子委員長、お願いします。

増子委員長

 はい、それでは川崎社長、一言お願い致します。

川崎社長

 お忙しい中、御出席を賜りまして有難うございます。

 本日もよろしくお願い致します。前回も申し上げたかも知れませんが、弊社の平成14年度の営業実績がほぼ固まりました。非常に厳しい経済情勢ですので苦戦を強いられましたが、結論から申し上げますと、平成13年度に対し96.5%程度にとどまりました。減収ではございますが、増益の数字は出せました。社員全員で協力をしてもらいましたが、圧倒的な経費圧縮によるものだと考えております。依然、厳しさは続いておりますが、営業の新たな戦略等を立てて、新年度もやっていこうと考えております。いよいよ暑くなってまいりますと、当社のソフトの一つであります高校野球等が夏場には予定されております。県大会が始まる前に当社では「純情応援歌」と題して、生徒が作る学校紹介ビデオを夕方のIATスーパーJチャンネル内でコーナー化して放送しております。昨年は69校が紹介されましたが、今年は現段階で75校が手を挙げてくれています。地域の様々な話題を発掘して発信して行くことが我々の役目だと思っておりますので、去年に引き続きこの「純情応援歌」が始まります。そういうことで地域への密着度を強めて、何としても岩手で存在感の示せるテレビ局を目指してまいろうと思いますので、様々な意味でのご指摘やご指導をお願いしたいと思います。本日もよろしくお願い致します。

増子委員長

 ありがとうございました。引き続きまして6月の番組編成についてお願いします。

河邊業務局長

 それではご説明致します。今日は視聴率について少し触れさせて頂きたいと思います。弊社の視聴率ですが、だいぶ好調に推移しておりまして、単月の前年同期比で比較しますと、全日ではプラス0.3、ゴールデンでプラス1.1、プライムではプラス0.8ポイント、それぞれアップしております。しかもプライムタイムではトップとの差が1.9%ということで、この2%以内に拮抗してきたということで、非常に視聴率が上がってきておるという状況です。

 6月の番組編成についてですが、レギュラー番組については特に変更はございません。単発についてはお配りした資料をご覧下さい。6月はスポーツ番組が目白押しです。特に全米オープンゴルフが、6月13日から16日にかけて早朝に生中継が編成されております。また14、15日の深夜にはル・マンの自動車耐久レースが生中継で編成されております。また6月16日から7月11日まで先ほど川崎より説明がありました「純情応援歌2003~生徒たちがつくった学校紹介~」がIATスーパーJチャンネル内で編成されております。今年は過去最高のエントリー数で、89校中の75校が参加します。

 6月21日には「第21回金ヶ崎マラソン大会特番(仮)」が16時から30分編成されております。6月1日に行われる同大会の模様をお送りします。

増子委員長

 番組についてご質問その他、ございませんか。

川崎社長

 視聴率が良くなってきているということだけど、その牽引となっている番組はどのあたりなの。

河邊業務局長

 去年と比較しますと、視聴率がひと桁の番組が大変少なくなったことが一つ上げられます。昨年ですと、ゴールデンで視聴率がひと桁の番組が7枠あったのに対してこの4月では3枠に減りました。また「ビフォーアフター」「旅の香り」「スイスペ」といった新しいジャンルの鉱脈を見つけた番組が好調で、視聴率アップに貢献しております。そういったわけで、全体的に視聴率の底上げが出来たということがあります。また他局を見ますと、日テレ系がナイターの不調によりポイントを落としております。

増子委員長

 視聴率がひと桁の3番組とは何ですか。

河邊業務局長

 まずは金曜21時の「サムズアップ」です。みのもんたを起用した番組なのですが、予想外に不調です。これにつきましては来月の合評番組とさせて頂いております。どういった点が悪いのか、皆様の意見を聞かせて頂きたいと思います。それから月曜19時台の時代劇と20時台の「TVのチカラ」です。「TVのチカラ」は視聴者層や裏番組等々を考慮して土曜から月曜に移動したのですが、その効果が現れておりません。そういった状況です。

増子委員長

 他に何かございますか。それでは番組合評に入ります。「ビートたけしのこんなはずでは!」ですね、笠川さんからお願いします。

笠川委員

 5月10日と17日の回を見ました。内容的には、人物を紹介するような他の番組でも取り上げた方を扱っているような感じで、どこかで見たことがあるような内容でした。ただ、切り口が面白いなと思います。こういうものをこういうつもりで作ったのに、本当にこんなはずでは……というタイトル通りの番組作りで、私は結構楽しんで見ました。内容の割にはちょっと軽いのかなと思いながらも見ておりました。

 たけしさんの出演する「TVタックル」では、社会問題を取り上げますが、ゲストの政治家の方々の派閥的な考え方や個人的な考えをたけしさんが上手く引き出していますね。ですから「こんなはずでは!」にも沢山のゲストが出ますので、それをたけしさんが上手に引き出してやるとか、もっと面白みが出てくるのではと思って、番組のこれからに期待しております。

 それからこの番組のポスターは衝撃的ですね、ドーランも塗らないたけしさん本来の皮膚感が出ていて。目を惹くという意味では良いのではないでしょうか。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。松尾さんお願いします。

松尾委員

 まず面白い番組だと思いました。テーマも幅広く様々なところから探していますね。よく探して来たなと感心するものもあります。やはり切り口が違っていまして、ちょっと知っている事についても違う角度から見ていて、そうなのかと感心させられるものもありました。番組の予告も時々見ますが、それも非常に興味をひくものでして、私は気に入っている番組です。

 ビートたけしの出番については、彼は様々な番組に出ていますが、本人そのものの出番や発言はあまり無いですね。明石家さんまや島田紳助などに比べるとしゃべる量は非常に少ないですね。あの二人は取り上げているテーマからどんどん脱線していって、自分のフィールドに持ってきて話しをする。ただそれが面白いのでまあ良いだろうということで、別の意味で番組が成立していますが、ビートたけしの場合、あの二人に比べると、それ程でも無いですね。凄く古典的でバカバカしいギャグをポロポロと言うのですが、分かっていてもちょっと笑ってしまうという不思議な魅力がこの番組でもありました。

 いつも出ることですが、ゲストが沢山いる割にはその成果が出ていないということは、今回も思いました。

 それから、妻が夫を殺害しそれを自殺と見せかける完全犯罪というのがありました。これが番組が始まってすぐのテーマだったのですが、20時からにしては生々し過ぎたのではないかなと思います。撃って殺したり、こめかみから血が流れたり、血だらけの手とか、映像的にも内容的にもちょっとショッキングでした。そのシーンを私は家内と二人で見ていて、子どもは別室で別の番組を見ていたのですが、家内はこういうのは嫌だ、見たくないということでした。よく日本のテレビは暴力シーンや裸のシーンが多くて、欧米などに比べるとけしからんと言われますが、僕も20代くらいまではあまり気にしたことがありませんでした。恐らく10代後半から30代前半くらいまでの人は案外そうなんじゃないかと思います。それが子どもが小学生くらいになってきますと、子どもに見せたくないなという気持ちが芽生えてきて、例えそこに子どもがいなくても、ちょっとこういうものは嫌だなと思うようになってきました。ですからこういったものは番組の最後21時近くに持って来るとか、或は生々しいものは遠慮して貰って、22時以降の番組で取り上げて貰ったほうがいいなと思いました。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。それでは及川先生お願いします。

及川副委員長

 IATのタイムテーブルの番組紹介には「新しい知的ミステリーバラエティー」という謳い文句がありますが、どういうものかと思って5月3日のアイデア詐欺師と人工ダイヤ、10日の偽札作りと風船爆弾の回を見まして、それに基づいての意見でございます。

 ビートたけしは「またか。」という気がしますが、アシスタントの江口さんとの司会で、十朱幸代や原千晶といった有力なゲスト陣を揃えて、他の番組ではビートたけしは遊んでいるみたいなのですが、それに比べればこの番組ではコメントをしたり実践の部分をかって出たりと、ただの飾りではないし、ゲスト陣もある程度働いているという点では生きていると思いました。

 導入部は紙芝居とか手品をやって見せて引き付けて、そこでもビートたけしが働いている、なかなか見せるなというふうに思いました。それからドラマ仕立てで事実を伝授していきますが、その中には大変に貴重なフィルムもドキュメントに入っていて、上手くこしらえていると思います。

 またスタジオでの見せ場作りがなかなかだなと思いました。ひとつは名水の飲み比べということでゲスト二人をペテンに引っ掛けるのですが、トイレの水を飲ませる場面がありましたね、ああいうところとか、世界最大の620カラットのダイヤの現物を展示してみたり、ドーピングのところではパワーアシッドスーツを江口さんが着用して30キロのものを持ち上げたり、ビートたけしを抱っこしてみたりですね。風船爆弾のところでは、風船爆弾をスタジオに引きずり込んで広げてみたり、偽札鑑定機を実演したり。なかなか見せ場作りを一生懸命しているのではないかなと思いました。意外性という点では、亡くなった夫の位牌を含んだもので加工した人工ダイヤ、あれは驚きました。

 総じて言いますと、取り上げる題材が多彩、幅広いということで、全体としては面白い番組になっているなと思いましたが、「知的ミステリーバラエティー」という「知的」という点での突っ込み不足やコメンテーターの突っ込み不足、もう少しゲストのコメントも欲しいなと思います。例えばドーピングについても、最後のところを見ますと、これからも繰り返されることが予感される訳です。何故そういうことが繰り返されるのかという点についてもう少し突っ込んだら良いと思います。

 古代オリンピックは神様の前で男だけが参加して全裸でやったんですよね、神に捧げるという。ところが、やはり都市国家間の競争とか部族の競争ということで、そこにご褒美、お金などをくれるようになって堕落して潰れたんですよ。そして近代オリンピックが始まって、アマチュアリズムということで本当に国境を越えたものとして皆に愛されてきたのに、だんだん国家間競争や商業主義がはびこるというような形で、メダルを獲るとご褒美が付いたり年金が付いたりという形で、近代オリンピックも、今もう限界に来ていると思いますね、魅力を失いつつあるという。そういう時にドーピングでメダルを獲れば得するというような原因がある訳です。そこらあたりを突っ込まないと欲求不満に終わるんじゃないかなと思うんです。

 あと気になった点では、紙風船爆弾で、女子挺身隊で動員された女学生たちが一生懸命作るわけですが、それを「戦時中の女子高生」というコメントが付くんです。これは間違いであって当時は「女学生」という呼び方をしていたので、「女学校生」とか言うべきであって、ちょっとそういったところが、歴史的に無知なのではないかと思うところがありました。

 それからトルーマンの原爆、広島に次いでの小倉投下決定というのも、ただそれだけ出しているのですが、ちょっとそれも説明不足で如何なものかなと気になった点もありましたが。

 総じて、私が見た2回に関しては、家族揃って見られる内容の娯楽番組になっているとは思います。ただ、格別の新しさは感じられなかったです。それから視聴者が謎解きに心理的に参加していくという余地が無いという点では、一考を要するのではないでしょうか。そして土曜の20時というゴールデンタイムという、大変高価な枠ですよね、その価値に応えているかどうかという点では、合格点は付けられないのではないか、そのように感じました。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。松本さんお願いします。

松本委員

 取り上げる題材も面白くて、新たな発見も自分なりにはありまして、なかなかためになると思って見ましたが、その反面、ちょっと遊び過ぎなんじゃないかなと思う場面がありました。

 特に5月17日の回では、ここまで余計な事を盛り沢山にする必要はあるのかと思いまして、さっきまでためになると思って見ていたのが白けてしまいました。気持ちがすっかりそれてしまいました。プロ野球選手の偽物が登場しますね、時間を割いてあれをやる必要があるのかということ。それから覚醒剤のところでも大学と中継を結んで実験をする、けれども実際に中継は結ばれていなかったんですね、というオチがあるんですね。オチをオチと思えれば良いのですが、真剣に見ている人にとっては、どこまでが本当でどこからがお遊びだったのかの区別がややこしくなってしまって、混乱しているうちに番組からバカにされた気分になってしまいました。

 5月10日の回はなかなかためになったなという気分で見終わったのですが、17日の回を見終わった時、私は不愉快でした。番組自体が安っぽく嘘っぽく白けてしまって、遊び心とかビートたけしさん独特な茶々の入れ方ですとか、面白く感じているうちはまだ良いのですが、お遊びもやり過ぎてしまうとあまり好感を持てなくなって、逆効果になるんじゃないかなと思いました。

 それから紙風船爆弾のところを家族で見ていまして、アメリカ本土が直接攻撃を受けたのは9月11日のテロが初めてだったという報道を聞いた記憶が私にはありましたので、紙風船爆弾でアメリカ本土まで攻撃をしていたという歴史があったのか、じゃあ9月11日が初めて……という報道は間違いじゃないかな、とそこはどちらが本当なのかなと気になりました。祖父母に聞いてみましたが、そこはちょっと分からないという答えだったので、その真実をちょっと教えて欲しいなと思います。

 また、1回の番組で3つの話が放送されますが、あれは3本とも担当する人が違うのでしょうか。随分、出来、不出来が見えるような気がします。そういう印象を持ちました。

増子委員長

 ありがとうございました。宮野さん、どうぞ。

宮野委員

 5月10日と17日を見ました。私のような真面目な人間は、これは本当のことなのだろうかと、疑うところから入りまして、この番組で紹介されたことは本当のことなのかなというのが一番に感じたことです。ですが、一つの物事を違う視点から見ているという意味でしょうから。風船爆弾は、一緒に見ていた高校生の息子がこれに非常に興味を持ちまして、調べなくちゃいけないと真剣に思ったみたいです。貴重なフィルムを沢山使った非常に良い映像ではあったのですが、本当にこれがあったとしたら、少し調べたほうが……と思う内容でした。違う視点から物事を見るというのが番組のテーマのようですが、これほど高いレベルのテーマを今後も集められるのかが心配です。

 土曜の夜8時というくつろぎながらテレビを見たいという時間帯なので、あまり真面目なものばかりですと、目が離せない分、疲れるかなと。バラエティならバラエティ、報道なら報道と、見る方が区別出来るようなレベルで番組を作って貰えたら、もっと見やすいと思います。題材は豊富で多彩なので面白いのかもしれませんが、私には難しかったかな。世界中の出来事を集める、似たような番組も数多くありまして、その中でも意外性があるのですが、その意外性があまり伝わってこないというか、手間ひまかけた分のものが伝わってきていないなという部分がありました。私はビートたけしが好きですので、彼のキャラクターは良く出ていると思います。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。確かに論評が難しい番組だった気がします。皆さんとても真面目に見ていたようで僕はびっくりしました。私はたけしの番組ということで楽しめるかどうかという観点で見ました。完全犯罪の夫殺しを見た時に、こんなのが次から次へと出て来るのかと思って何となくうんざりしたのだけれど、意外や意外、全く違う展開になって、結構楽しんでしまったというのが僕の結論です。

 それで何が面白かったのか考えてみると、及川先生のように何でも知っている方は別として、普通の人は、どこかで聞いたことはあるけれども、ビタミンと森鴎外がくっついたり、ヤギアンテナとレーダーがくっついたり、その組み合わせの面白さ、僕も知識が無いのかも知れないけれども、結構楽しめるんですね。相当オーバーに描いていることは間違いないのだけれども、それなりに楽しめて。ロペスの偽物も僕はかなり楽しんで、腹を抱えて笑ってしまって。最初から楽しもうと思って番組を見ているから、ああいうものも許せてしまってですね。僕はそういう意味ではかなり良く出来た番組じゃないかと思うんです。

 あまり真面目に見ちゃいかんので、細かな点を見て行くと問題もあるけれども、しかし非常にまともなテーマを取り上げて、ふざけているようで、きちんと描いていますね。僕が完全に知っていた話はチューリップの話で、これは経済学に出てきますから意外だとは思わなかったけれども、あとはそれなりに思うことはありました。やはり「ほう」とか「あれまあ」と思うところがある番組というのは、僕は昔からどういう番組でも良い番組であるという信念を持っておりますので。裏返すと私の知識の無さということにもなりますけれども、とにかく、普通の人間は楽しめる番組じゃないか、あまり真面目に見ちゃいかんけれども。そういうふうに感じました。

松尾委員

 たけしがパロディーにしているから、これからやることは話半分に見ろよ、というビートたけし流のカラーだと思いますね。確かにどこまで信じて良いのか分からない、これはビートたけしの全てに言えることだと思います。そのキャラクターが好きか嫌いかということですよね。ですから僕は話半分に、バラエティ番組として見て面白かったですね。

増子委員長

 確かにあまり真面目に見るなよ、というのは感じられましたね。ただ、描いていることは基本的に間違いは無いですよね。

宮野委員

 あれはバラエティ番組ですか。テレビ朝日のホームページのバラエティ欄には載ってないし、報道かなと思ってもそちらにも載っていないし。

河邊局長

 教養ですね。

宮野委員

 そうですか。

及川副委員長

 こういうのを合評番組にされると、嫌でも真面目に見てしまいますから。ああ面白かったでは駄目ですからね。視聴率はどうなんでしょうか。時間帯も良いですしね。

河邊局長

 二桁いっていますね。

及川副委員長

 風船爆弾の動く映像は初めて見ましたね。

増子委員長

 及川先生、風船爆弾は攻撃というよりもアメリカ本土まで届いたってことでしょうか。

及川副委員長

 実際に山火事は起きたんです。だんだんに目撃者も出てきて。

 アメリカ合衆国は建国以来、外的から本土攻撃を受けたのは日本の風船爆弾が初めてなんですね。飛行機での爆撃ではありませんがね。

川崎社長

 記憶が確かではありませんが、コロラドの山中で山火事が起きたんですよね確か。そして30年以上前ですが、福島のいわきあたりの海岸から風船爆弾を実際に飛ばしたという方に実際にお会いしたことがあります。

増子委員長

 山火事になったとして、死人が出たという話はありませんね。

及川副委員長

 5千発も飛ばして、殆どは太平洋に落ちたんでしょうね。実際に届いたのは何発くらいだったんでしょうかね。

 若い世代に向けては、コメンテーターが少しでも歴史的事実ですとか、そういったことをやれば良いのでしょうがね。

増子委員長

 全くそうですよね。私も宮野さんの話を聞いていて、風船爆弾も知らないのかと思いましたから。やっぱり知らない人のほうが圧倒的に多いんでしょうから、大変なのだけれどもコメントをきちんと付けていかなくてはいけない、それが本当の勉強になるんだと思いますね。他にご意見はございませんか。

 それではまことに恐縮ですが、番審の委員代表者会議に持って行きたいと思いますので、テーマに沿って自由に発言して頂きたいと思います。よろしくお願いします。それではまず「戦争・外交問題の報道について~イラク戦争・北朝鮮問題に関する報道のあり方を中心に」についてのご意見がある方、発言をお願いします。及川先生、いかがでしょうか。

及川副委員長

 はい。北朝鮮という言い方に対しても問題はあるのかと思いますが。

 脱北者、いわば亡命者ですが、そういった人たちが繰り返し出てきたり、「喜び組」にいたという美人さんは唇だけ映るような、それだけを見ていると、かなりエロティックな感じになるのですが、そういう人を使って様々なことを証言させて、そしてコメントをしていますよね。そういう証言の吟味といいましょうか、これはまた実際に行って取材が出来ないという取材不足ということで、画像も繰り返し同じようなものをやっていることに関わるのですが、「……と言えないであろうか」とか「……と思われる」や「……ということはないだろうか」といった仮定、推論のようなものの繰り返しで、しかも扱い方はセンセーショナリズムというか、そういった傾向が見受けられますね。

 これはテレビ朝日に限ったことではありませんが。これはちょっと考えものだと思います。昨晩のNHKの「クローズアップ現代」で、在日朝鮮人の朝鮮総連のどこかの支部長が拉致問題について謝罪をし、また総連内部で改革の動きがあったりしている中で、在日朝鮮人学校でいわゆる偶像崇拝の写真を引っ込めたことや、その校長の話や保護者たちの話が出ておりましたが、石を投げられたりされていながら、在日という条件下で一生懸命生きようとしている朝鮮人の人たちが、韓国系も北朝鮮系もなく同じ学校でいろいろな努力をしているという状況があるわけですよね。そういったことを一方に考えますと、何か反北朝鮮、反金正日という一面的な取り上げ様というのは、ジャーナリズムとして考え直す必要があるのではないかということを、常々感じております。

増子委員長

 はい。他にございませんか。

松尾委員

 イラク戦争についてですが、テレビも新聞もどの報道機関も、戦争反対で協力すべきではないという立場を取っていたと思うのですが、それとは別に、戦争に協力せざるを得ない日本の理由についての報道が殆ど無かったと思います。戦争に賛成か反対かという意志表示とは別に、それについてもっと紙面や時間を割いても良かったのではないかと思います。その辺が全く分からないままに、また無いことが小泉総理の説明不足のせいだけにして、恐らく皆さん、その理由が分かっていながら報道がなかったことが、私は物足りなく感じました。

笠川委員

 戦争・外交問題に関しては、全て相手側が非であるかのような報道、北朝鮮の問題も根底には日本が過去から現在までしてきたことなど沢山の問題があるのにも関わらず、拉致問題だけを取り上げた、一方方向の報道をしていますね。またイラク戦争報道では、人が撃たれたり子どもが怪我をしたといったセンセーショナルな映像はあっても、その後の復興の様子が特番や特集でもない限り伝わって来ないですね。現状を伝えるニュースを、是非子どもたちがテレビを見ている時間帯に放送して欲しいですね。戦争後の様子、特に劣化ウラン弾の問題や戦争することによって、こんな問題が生まれてしまうんだといったことを、センセーショナルな映像だけではなくて見せて欲しいです。そんな報道があっても良いのではないかと、子どもを持つ親だからこそ思います。

宮野委員

 イラク戦争中のアメリカのメディアの報道の仕方が非常に偏っているという報道がありました。もちろん自分たち中心の戦争ですから良いことしか報道をしない、それは太平洋戦争時代の日本とあまり変わらないかな、と思ったところもありましたが。第三者が見ると偏った報道をしているという指摘はアメリカにでさえもあるのですから、日本のメディアにも言えることだと思います。例えばニュースは事実を事実として放送して欲しいのですが、コメンテーターや知識人の主観が入ってしまうと、どうしてもそこになびいてしまう、ある程度の知識を持った人が見れば違うのかもしれませんが、一般人はそういった人たちの解説を聞いてそういうものかと思えば、その方向に走ってしまう恐ろしさがあるということを、ある程度考えて報道に関しては主観を交えずに伝えて欲しいと思っています。

 イラク戦争も北朝鮮問題もそうですが、ニュースと言えども、その中に出て来る第三者の証言などには結構偏っていると思われるものもあります。そういったものを報道して、それが当たり前のようにまかり通っていくのが怖いと思います。視聴者は千差万別ですから、ある程度基準を下げてと言いますか、知識人を対象とした報道ではなくて、万人が分かるような報道をして欲しいと思います。ニュースに主観が入り過ぎている気がするのですが、どうでしょうか。

増子委員長

 私はイラク戦争については、日本のテレビ、少なくても久米さんや筑紫さんの番組はとてもバランスの取れた報道をしていると思います。宮野さんが「アメリカでさえも」と言ってましたが、アメリカという国がおかしくなってきた、変わってしまったんですね。テロは絶対悪だから、絶対悪を懲らしめるためには、なんでもありだという。それに対抗できる人は世界中に誰もいなくなってしまって、国連は無視するし、アメリカの意思を他に押し付ける。ドイツやフランスがイラク戦争に反対しましたが、それは当然のことであって、日本には日本の事情があるわけですが、それでも「アメリカはおかしい」という事をきちんと言っていたような気がします。戦争で被害を受けた一般の人たちの映像も取り入れて報道していましたね、少なくともNステとニュース23ではやっていた。ですから大変バランスが取れていたと思うのですが、如何でしょうか。

及川副委員長

 CNNは今回、アメリカにべったりというところがあって、CNNの報道に対する注意は働いていると思います。それにNステの場合、はっきりと報道する立場を彼のキャラクターを通して明かにしているという点で、とても良いと思います。単なるNHK的客観報道も困りもので、これに対してどうなのかというところを、全ての報道番組でやる必要は無いと思いますが、そのテレビ局の姿勢を示すことは大事ではないでしょうか。

 ただ、以前の代表者会議で、9.11のテロ報道を巡っての論議の時に、最後に三浦朱門さんが、日本のマスコミは当事者意識が殆どないとおっしゃいました。どういう当事者意識なのか、その瞬間は皆分からなかったようなところがありましたが。海の向こうの出来事は、何か遠くの出来事を見てものを言ってるようなところがあるけれども、グローバル化した中では、地球上のあらゆる出来事が自分にとっての出来事であるということを、日本のマスコミは見失っているのではないか、つまり国際問題に関して日本は地方区だということをおっしゃっていたのですが。その言葉から、やはり全国区どころか、グローバルにものを見る必要があるのではないか。逆に今、北朝鮮で核を持っているのではないか、といざ近くの事となるとさあ大変だと、パッと有事法制のほうへ行ってしまうところがあるわけです。絶えず地球上の様々な出来事を、日本なり日本人なりの当事者意識を持って見つめるところが問われている、それは私たち一人ひとりの問題ではないかなと思います。特にマスコミはその点、重要な責任を持っているのではないかなというのは、一般論のようですがそう思います。

増子委員長

 はい。次に「これからの地方の役割と地方制作番組のあり方について」、ご意見をお願いします。

宮野委員

 地方番組を作るときは、郡や市を超えた番組を作りますから、そういった意味ではローカルニュースは非常に大切な部分を占めてくるのではないかと常日頃思っています。首長の皆さんは自分たちの考えを話す機会がなかなかありませんから、テレビでその場を提供してもらえたら良いなと感じることがあります。

松本委員

 岩手朝日テレビは日曜にニュースがありませんね。日曜日は県内各地で様々な催しものがありますし、様々な動きがある曜日ですよね。その日を取材に動けないというのは、非常に勿体ないのではないでしょうか。地域に根差すということを謳うのであれば、日曜日を空白にしないほうが良いのではないかと思います。

及川副委員長

 「銀幕のイーハトーブ」という映画についてのドキュメントを制作しましたよね。その時に中央映画劇場が盛岡で最初の映画館だというコメントについて、それ以前にトーキーではないが、活動写真の映画館がいくつもあったという指摘をしました。また「がんばらない宣言」では、西和賀地方のがんばってきた歴史の上に、がんばらないというゆとりが出たとするならば、そういった過去も捉えるべきだと。また小岩井農場の番組「緑の大地に夢馳せて」では、木一本ない……というのは事実に反すると指摘したことがあるのですが。ですから私は、現代のテレビ作りをしている人たちは、現在への目配りは非常に凄いし情報も沢山持っているわけですが、現在という横軸は良いのですが、縦軸についてもう少し力を蓄える必要があるのではないかと感じます。若いスタッフがそれを全てというわけにはいかないので、知恵袋になるような人を見つけてこの問題については誰に聞く、これは図書館で調べるといったようにやれば、カバー出来ると思いますので、この地に生きる人々の縦の歴史を深く認識できるように努力すれば、もっと優れた番組が生まれるような気がします。

 それから本当は地方局だけの問題ではないはずです。地方の問題を取り上げるという点で、キー局についてもやはり意見を出していく必要があるのではないかと思います。IATが開局当時のタイムテーブルと現在のタイムテーブルを比較しますと、大まかな部分はあまり変わっていませんね。それは視聴者に支持されて一定の視聴率をもって存在しているし、他局との関連でもあろうかと思いますが、総体の番組編成という点で、もう一つ何か、飛躍するような取り組みをする余地があるのではないでしょか。そういう時に、地方との関わりのようなことも取り込んだ番組編成も考えられるのではないかという、半分夢のようなことですが、そんなことも思います。

松尾委員

 地方の時代と言われて久しいですが、今は不況ということもあって、故郷に職を見つけるのも不可能な状況です。大学進学で首都圏に出てしまうと、そのまま就職して帰って来ないというような状況がずっと続いていて寂しいですね。じゃあ首都圏はどうなのかと言えば、電気も水も自分のところでは供給しきれないし、ゴミを捨てる場所も自分のところには無いという、実質、崩壊状態にあると思います。そういったことを解決するのは国会をはじめとする政治でしょうが、多大な影響力を持つメディアも、何らかの力を発揮してくれないかと非常に期待するところです。

 それからローカルニュースの話題が出ましたが、全国ニュースはあまりにも殺伐としていて見たくないんです。18時になってもニュースを見ないで、18時20分ころのローカルニュースになったあたりから見たりといったことをしております。ローカルニュースは非常に楽しみにしておりますので、是非、力を入れて貰いたいと思います。また「がんばらない宣言」のような素晴らしい番組をどんどん制作して発信していって欲しいという願望があります。

笠川委員

 地方の問題は国の問題でもあると思います。疑問や問題点を、報道を通して県にどんどんぶつけてくれると、県民もそれについて考えますし、またそれが大きな力となって、国にも届くと思いますので、是非そういった役割を報道には果たして欲しいと思います。また地方制作番組のあり方についてですが、制作会社の方々は取材される側の私たちとはコミュニケーションを取り易いですが、テレビ局の報道の方たちは、接する時間が短い、また忙しいのもあるのでしょうが、番組になった時に間違った情報を流されることが多々あります。私たちは「報道」と聞けば、間違いなくやって下さるという思いでいますので、もう少ししっかりして頂きたいと思います。

増子委員長

 ありがとうございます。私も及川先生がおっしゃったように、キー局が変わらないといかんのではと思います。地方のテーマは大事だという意識が大変に薄いのだと思います。つまり「地方の時代」と言われながら、それに見合うような番組が殆ど出てこないのだから、相当意識していかなくてはなりませんね。地方から見て初めて中央のことが見えるというテーマが沢山ありますね、それから知事たちが色々な試みをしている。次の首相は知事から選んだらどうかという時代に、それに対するキー局の対応はきちんと出来ているのかどうかというと、意識の上でやや足りないところがあると思います。

 それからキー局にいると、視聴率やら何やらと大変だと思います。毎日毎日、競争をしているような状態では、じっくりと番組を作れないという状況があるのだと思います。実はじっくりとした味わいのある作品というのは、いくつかIATでも出来ていましたし、地方局全体的にもそういった作品が増えていて、都会の人にとっても、心にしみるような作品であって、奇をてらったものでなくても、良いものは良いのであって、そういった作品を積極的に全国ものとして取り上げていくという姿勢が必要であると、僕はそんな気がします。

 それでは最後に「その他~いまこの機会に注意すべき問題に関する報告・意見交換」についてお願いします。

及川副委員長

 サラ金のコマーシャルについて以前発言したことがありましたが、民放連のどこかのセクションで、民放全体の問題として対応を討議中であるというお話でしたね。このコマーシャルを見ていますと、「借り過ぎに注意」という画面が出ますし、それを出していることが一つの言い訳になっているわけですが、1秒か2秒の長さですね。テレビに関わる人でも、あの画面に出ている3行くらいの文字を出ている間に読める人がいたら教えて頂きたいくらいです。あれでは出したことにならないわけでして、それは視聴者からの批判も受けるのは当然だと思います。そうした形式的なことではなく、注意呼びかけのところをもう少しきちっと、時間を3秒、4秒にするとか、そういうことも論議の場で取り上げて頂きたいと思います。

増子委員長

 本当の意味で地域に密着した番組を作れたら、それは中央に通じると思います。ですから、中央がそういったものを作るようにさせる姿勢を取るべきだと思うし、作る側も常に「本当のローカルじゃないぞ、どこにでも通用するんだ」というような一種の野心、誇りを持ちながら番組を作って頂きたいと思いますね。他にご意見はございませんか。それでは皆さんのご意見をうまくとりまとめまして、代表者会議に持って行きたいと思います。

 それでは次回の開催についてお願いします。

末吉事務局長

 次回は6月26日に開催いたします。

 合評番組は「サムズアップ」です。

増子委員長

 それでは終了いたします。ありがとうございました。

(編注:風船爆弾による攻撃が原因と考えられる死者は実際には6名いますが、議事録の性質上そのままで掲載しています。)

<レポート提出・植本花子氏>

合評番組『ビートたけしの!こんなはずでは!!』

5月10日(土)放送を拝見しました。

(1)こんにゃくと和紙で作った風船爆弾(2)ニセ札(3)アイヒマンにまつわる「こんなはずでは!」ストーリーを、ビートたけしが進行していく内容でした。ゲストのコメント、事のてん末、スパイグッズをスタジオで体験するなど、飽きさせない展開だったと思います。特に、風船爆弾がハンフォードに落ちたことを、初めて知り、少しショッキングでした。

 二つ目のニセ札の話も、三つ目の逃亡者ナチのアイヒマンと妻の話も、おもしろく見ることができました。

 ただし、よく作られた番組であるにもかかわらず、あまり好感がもてないのが正直な印象です。三つのストーリーともに、ネガティブな結論が待っている。風船爆弾という発明と発明者にも、ニセ札を作った印刷屋さんにも、アイヒマンと妻にも、結局はうまくいかないという皮肉があるからです。

5月17日(日)放送を拝見しました。

 前の週に見たせいか、結論が読めて、期待感を持って見ることが出来ませんでした。

 科学者が研究過程で覚せい剤を偶然に作ってしまい、「ヒロポン」を開発したという話でした。結果、世のため人のために役立つことはなく、不遇な話に終わりました。

 最後になりますが、番組のタイトルが「こんなはずでは!」ですが、このテーマにこだわりすぎるのは、どうかと思います。内容によっては、このオチにこだわらないストーリーでもいいのではないでしょうか?ビートたけしさんがうまくまとめて下さるように思います。

番組審議会代表者会議議題について

(1) 戦争・外交問題の報道について

~イラク戦争・北朝鮮問題に関する報道のあり方~

 イラク戦争については、報道がアメリカ中心の内容だと思います。ジャーナリストがアメリカ軍に随行していて、広報活動がしっかりしていると聞いており、そうであれば当然、アメリカ中心にならざるを得ないのでしょうか。

 私自身は、イラクの人たち、現地の状況をもっと報道してほしかったと思います。

一つ記憶に残っていることは、パレスチナホテルの銃撃で、報道関係者に死傷者が出たことです。直後の生々しい報道が写り、女性の悲鳴や、ややヒステリックなリポートなど、戦争の怖さと愚かさを、あらためて考えさせられました。

 また、毎日新聞社のカメラマンが爆弾を所持して事故を起こしたことは、これはもっと説明をすべきです。

 北朝鮮については、報道が控えめすぎるという印象があります。

 今横浜に住んでおり、近くに日本一大きいと言われる朝鮮学校があります。拉致問題が取り沙汰されてから、通学路を警察が警護しているのが目につきます。

拉致問題の報道により、学校に嫌がらせや抗議の電話があり、生徒の安全のためだときいております。報道の影響力を肌で感じますが、事態は深刻です。今以上に、北朝鮮の問題と事実を報道していくことを期待します。

(2)これからの地方の役割と地方制作番組のあり方について

 デジタル化については、過去の審議会で何度か話題になっていたと思いますが、デジタル化が大きく関わっていると思います。多チャンネル化し、チャンネル数が多くなることによって、視聴者が分散され、今より少ない視聴者が相手になります。そうなると、今あらゆる分野で言われていることですが、専門性、独自性が有効だと思います。例えば、他局ですが「APPIスキー王国」という番組は、神奈川のケーブルテレビで放送されています。スキーファンには人気の番組です。

 地方局は、地元にこだわった番組作り、地元の人が必要とする情報とCMを提供すること、専門・独自性などが、今以上に重要な役割になると思います。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

特になし

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎ 6月度単発番組編成予定表

◎ 4~6月タイムテーブル