9月(第111回)
概要
岩手朝日テレビの第110回番組審議会が平成19年9月27日(木)、盛岡市盛岡駅西通の岩手朝日テレビ社内で開かれた。
合評内容はテレメンタリー「小沢王国に生きた12年~改革派知事の選択~」
- 長期間にわたる密着取材と中立的な立場での番組構成に好感を持った
- 県民の声や、関係者の意見などを入れるべきである
- 想像力を喚起させられる内容だった
- タイトルと内容がかみ合わない部分があった
- あえて難しいテーマに取り組んだ姿勢を評価したい
- もう少し踏み込んだ取材が必要。表面をなぞるだけで終わったような気がする
という意見が出た。
出席委員は、増子義孝委員長、小田島利昭委員、松尾正弘委員、松本直子委員、宮野裕子委員、村田久委員の6名。欠席委員は、稲垣義孝委員、笠川さゆり委員、吉田政司委員の3名
議事録
1.開催日時 平成 19年 9月 27日(木)午前11時~
2.開催場所 本社3階会議室
3.委員の出席
委員総数 9名
出席委員数6名
委員長 増子 義孝
委員 小田島 利昭
委員 松尾 正弘
委員 松本 直子
委員 宮野 裕子
委員 村田 久
欠席委員数3名
委員 稲垣 義孝
委員 笠川 さゆり
委員 吉田 政司
会社側出席者名
代表取締役社長 川崎 道生
常務取締役営業局長 幾度 恭嘉
取締役番組審議会事務局長 横山 博文
技術局長 佐々木 正樹
編成業務局長 小林 直紀
報道制作部長 波岡 功
番組審議会事務局 佐藤 祐介
4.議題
(1)社長あいさつ
(2)放送番組審議会規定の改正について
(3)前回審議会のご意見を受けて(報告)
(4)10月単発番組および2007年度上期視聴率報告
(5)合評課題について
テレメンタリー
「小沢王国に生きた12年~改革派知事の選択~」
放送日8月26日(日)午前4時50分~5時20分
(6)次回審議会について
開催日:平成19年10月18日(木)11時~
合評課題:「放送全般について」
※第73回テレビ朝日系列24社放送番組審議会委員代表会議テーマ
5.概要
* 長期間にわたる密着取材と中立的な立場での番組構成に好感を持った
* 県民の声や、関係者の意見などを入れるべきである
* 想像力を喚起させられる内容だった
* タイトルと内容がかみ合わない部分があった
* あえて難しいテーマに取り組んだ姿勢を評価したい
* もう少し踏み込んだ取材が必要。表面をなぞるだけで終わったような気がする
6.議事の内容
横山事務局長
第111回放送番組審議会を始めます。
それでは、増子委員長、議事を宜しくお願いします。
増子委員長
それでは、川崎社長、一言お願いします。
川崎社長
本日も大変お忙しい中ご出席賜りまして、ありがとうございます。
先ず弊社の最近の動きについてですが、2011年以降のデジタル化の一環として、スタジオのハイビジョン化工事を行なっておりますが、これが今週いっぱいで終了し、来週以降対応できる状況であります。
また、デジタル中継局の建設計画についても、今年度中、建設を予定しております6局について、NHKと民放4社が協力し進めているところであります。
それから審議会でもよく話題に出されておりました、アナウンサーの矢田君と矢部君が、先月8月いっぱいで退社致しましたので併せてご報告いたします。
本日は以上です。
増子委員長
ありがとうございました。
何かご質問はございませんか?なければ、放送番組審議会規定の改正について。お願いいたします。
横山事務局長
はい、それでは先般9月11日に一部改正した審議会規程についてご説明いたします。
弊社放送番組審議会規定は1996年9月に制定され、これまで一度も改正されず、現在までこれを基に審議会が運営されてきたわけですが、中でも審議会規定第6条第1項に定められております委員構成につきまして、規定上では「委員12名」とされておりますが、平成11年6月以約8年間に亘り欠員状態が続いている状況であります。
今後、番組審議会運営にあたり、規定に基づいた安定的な委員構成の維持を図るため、今回、「委員7名以上」に改正致しました。
また、委員の委嘱に係る事務手続きの迅速化・軽減化を図るため、テレビ朝日番組審議会規程を参考とし、これまでは「委員は学識経験者のなかから常務会の議を経て社長が委嘱する」とされたものを、「委員は学識経験者のなかから常務会への報告を経て社長が委嘱する」という内容に改正いたしました。
詳細につきましては、お手元に資料をお配りしておりますのでご確認下さい。
以上です。
増子委員長
現在は9名でしたか。
人数が多いと、一人ひとりが話す時間も限られてしまいますので、これぐらいの人数がちょうど良いと思います。
その他、何かご質問などございますか。
なければ、「前回の審議会の意見を受けて」報告をお願いします。
波岡報道制作部長
前回「夏の高校野球岩手大会」についてご審議いただき、その際、委員の皆様方から出されました意見につきまして、局内に持ち帰り意見交換した結果につきまして、ご報告申し上げます。
先ず反省すべき点といたしましては、ご指摘のとおり報道制作スタッフをはじめ、実況アナ、解説者、記者など、相互のコミュニケーション不足、そして、今年の高校野球中継は「何をテーマに臨むのか」という、番組を制作する上で最も重要な部分が、浸透していなかったということです。
その他細かい点も多々ありますが、今後は、来年の大会に向け、秋季大会、春季大会の現場にも積極的に出向き、それぞれが自分の役割を再認識し、また関係スタッフ相互の動きなども意識しながら、技術向上に努めてまいりたいと思います。
意見交換で出された発言等につきましては、お配りしております資料のとおりです。
以上です。
増子委員長
ありがとうございます。
何かご質問などございますか。
なければ10月の単発番組と2007年度上期視聴率についてお願いします。
小林編成業務局長
はい、それではお配りしております資料を基にご説明いたします。
先ずは単発番組についてですが、資料には、ゴルフ、サッカー、スケートなどスポーツ番組が中心に紹介されておりますが、実はこの時期、10月の番組改編の時期と、これを前に9月の第3週から10月の第3週までの約5週間に亘り殆どが特番で構成されているため、ここに書ききれないほどの単発番組が組まれております。
中でも、第3週に予定されておりますプロ野球クライマックスシリーズは、試合の経過、チームの勝ち負けによりテレビ朝日が放送権利を取れるかどうかが決まってまいります。レギュラーまたは単発番組となるかクライマックスシリーズ放送となるか、今現在、どちらで編成されるのか全く分からない、非常に混沌としている状況であります。
一方、07年上期の視聴率ですが、残念ながらゴールデン、プライムは、少しずつ数字を落としている状況であります。
落ちてきた要因としましては、8月の後半、世界競泳やサッカーなどの中継が入り、レギュラー番組の休みが続いたこと、また朝帯に限っては、スーパーモーニングの真裏で放送されている、NHKの「どんど晴れ」が徐々に数字を伸ばし、平均視聴率27%という強大な数字を取り、IATを含め各局の視聴率を下げていることが考えられます。
NHKの連ドラは、これまでの平均視聴率が約20%、これが、岩手県を舞台とした番組でもあることから、視聴率を7%もアップさせたようです。
「どんど晴れ」はもうすぐ最終回という事で、これを機会に、数字を元に戻す対策として、スーパーモーニングのレギュラー人にお願いして、岩手版の番組宣伝PR映像を作り、既に放送を開始している状況であります。
後半に向け、全力で頑張っていきたいと思います。
なお、視聴者対応記録は、深刻な問い合わせは特にございませんでした。詳しくは資料をご覧下さい。
以上です。
増子委員長
ありがとうございました。何かご質問などございますか。
無いようですので、合評課題に移ります。
小田島委員
先ずは、放送された日がちょうど組閣の前日と当日となり、タイミングのよさに感心させられました。
番組を見た感想としては、全般的に知事時代の12年間の功績を称えるような内容となり、4選目に出馬しなかった理由や、その時の小沢氏との関係、そしてどうして離れていったのかというところが物足りなく、「小沢王国」というタイトルから、少々不満が残る内容でした。
しかし、増田さんもあのような場面で、なかなか本音の部分は言えないのかも知れませんね。
一方、奥さんと二人で引越し作業をする姿など、リラックスした場面も紹介され、増田氏の人柄にとても好感がもてる内容もありました。
最後の方の場面で、増田さんが自己主張をするようになり、結果的に小沢氏との復縁が難しくなったような事を紹介しておりましたが、私はそれを聞いて「自己主張が苦手な岩手県人に、もうちょっと自己主張しても良いのではないか」というメッセージが伝わってまいりました。
以上です。
松尾委員
全般的に、「増田知事12年間ご苦労様」という好意的な番組だったように思えました。
小沢さんと離れた原因が、2回目の選挙の時に民主党以外からの推薦を受けた事を小沢さんが不満に思っている。というような紹介の仕方でしたが、それだけだったのでしょうか?
他に理由、要因があったとも考えられます。そこのところは、もう少し聞いてみたかったですし、踏み込んだ取材ができなかったのか少々残念です。
最後にチラッと触れておりましたが、1兆4千億の負債をかかえてしまった事、岩手競馬に課題を残した事について、例えば、小沢氏とタックを組んでいればどのようになっていたのか、またそうでなかったとしても、どうすれば良かったのか。など、もう少し踏み込んだ質問をぶつけた場合の、増田さんのコメントが聞きたかったですね。
以上です。
松本委員
この番組が今回の合評課題ということで、番組の存在を知った時点から非常に関心を持ち、特に、お2人の関係を知っているようで知らない部分も多く、もっと知りたいのだけど、真相はどうなの?となかなか踏み込めない部分も紹介されるのだろうと、期待込めて放送日を楽しみにしておりました。
いざ見始めて、これを制作した方の狙いはどこにあるのか、意図は何なのか、結局最後まで分かりませんでした。
表面をなぞるだけで終わり、内容が薄っぺらく、期待が大きかった分、少々残念に感じました。
小沢王国とタイトルをつけるのであれば、小沢さんに関してもっと研究し、それを基に2人の関係についてもっと突っ込んだ取材をするとか、小沢さんの熱烈な支持者からインタビューを取り、それを増田さんに聞かせた時の反応やコメントを取るとか、ドキュメンタリーならではの、真相に迫る報道が見たかったです。
以上です。
宮野委員
番組内容としては、可もなく、不可もなくといったところでしょうか。
「小沢王国」というタイトルにしたことについては、視聴者の興味を引き付ける部分では効果的だったと思います。
細かい事を言えば、何点か思いつきますが、でもあれ以上、お2人とも言えないのではないでしょうか。映像を通じて話せるギリギリの線だったと思います。
私は、あえてこのような難しいテーマにチャレンジした制作者に「よくぞやってくれた」と敬意を表したいです。
「岩手は民主が強い」と全国的にそういわれる中で、増田さんは知事として12年間、本当に頑張ってくれたと思います。番組後半部分、少し増田さんの広報的な内容で構成されておりましたが、その功績や人柄等よく伝わってきました。
最後に、全般的な感想として、長期間にわたる密着取材と中立的な立場での番組構成に好感を持ちました。
以上です。
村田委員
テーマが「小沢王国に生きた12年」、何に対してもテーマは大切です。物を書く上、映像を作る上、人をひきつける、物をひきつけるため、テーマは重要な役割があります。このテーマに惹かれて、見た方は多いのではないでしょうか。
内容に関しては、少々テーマから離れ、全般的に「増田知事12年間ありがとう」的な内容だったと思いますが、私も宮野さん同様、これ以上のものは作れなかったと思います。
公平なテレビ側の立場で、これ以上突っ込むとすれば、どちらかにつかない限り、無理だと思います。
小沢さんを好きな人もいれば、増田さんを好きな人もいる。どうして離れていったかという理由も、建設関係に従事している方の意見と、農林水産業の方との意見は異なり、真相は二人の心の中、それを聞き出すことは困難だと思います。
先程、どなたか話されておりました「支持者のインタビューを入れては」の意見につきましては、当然、制作側は当初の企画段階で、小沢派の県民、増田派の県民と両方の意見、あるいは県議会議員、市議会議員の意見、さらに県庁で働く方のインタビューも入れようかと検討したと思いますが、結果入れなかったことは、私は正解だと思います。
やってやれない事だとは思いますが、これは危険ですね。
最後に、奥さんとの会話、引越し作業をする姿を見て、増田さんの人柄と、陰で支える奥様の優しさが、よく伝わってきました。
以上です。
増子委員長
皆さん論評が難しかったようですね。
私自身、結論から言いますと、大変おもしろく見せていただきました。
一番印象に残ったことは、今まで見たことのない増田さんの素顔を見れたところです。宮崎県知事のような方とは、対極的で、これまであまりそういった部分を出さず、12年間知事を務めてきたんですね。
小沢さんと増田さんの関係について、これ以上のつくりを望む事は無理だったかと思います。小沢さんと離れた原因は、増田さん側に具体的理由があったのでは?と私は思いますが、当初小沢チルドレンと呼ばれた方でもありますし、本音の部分を引き出すのはなかなか難しいことだと思います。
はっきりした真相に迫れないも、想像力が膨らむ、大変おもしろい番組だと私は思いました。
一つ不満だったのは、「増田さんが岩手に残したもの」という部分が、なんとなくあっさりと流されて放送されていましたが、そこのところはもう少し踏み込んでも良かったと思いますよ。
最後に、今回のテーマは、苦労しても取り組んでよかったと思います。このような番組を重ねることで岩手朝日テレビの制作力が向上されていくと思います。
以上です。
増子委員長
その他、ありませんか?
村田委員
ある程度、中身を知っている人と知らない人では見方が違うと思いますが、全般的にオーソドックスな作り方でよかったかと思います。
宮野委員
初めて知事選に出馬した時は、IAT開局前だと思いますが、その映像は何処から入手したのですか。
波岡報道制作部長
当時、テレビ朝日の盛岡支局的な仕事をしていた、テレビ朝日ライブラリーというところから映像をお借りしました。
増子委員長
その他ございますか?
それでは、委員からの意見を受けて、波岡さんご発言ありますか?
波岡報道制作部長
はい、それでは、私の方から一言お話させていただきます。
今回、制作を担当した者は、報道制作局の片岡という者で、普段はJチャンネルなどニュース番組のデスクを担当し、現在は記者活動には関わっておりませんが、政治には大変興味を持っている者です。
昨年、10月30日に増田知事が退任するという記者会見があり、それを受けて「是非増田知事の番組を制作したい」との要望があり、企画に取り掛かりました。
この番組は、テレメンタリーというタイトルが付く番組で、これはテレビ朝日系列各社からそれぞれ提案がなされ、その中から選ばれた企画のみが制作される番組で、放送も時間のズレはありながらも、岩手だけではなく、全国で放送される番組となっております。
岩手県内だけの放送であれば、増田知事の名前だけでよかったのですが、24局をネットするという事を意識して、先ほど皆さんからのご指摘でもありましたが、かなり思い切ったタイトルになってしまいました。
放送日が非常にタイムリーだったとの事ですが、当初の放送予定は6月の中旬から末の予定でした。しかし、7月初旬に選挙の告示があり、テレビ局の番組で、選挙の一ヶ月前は、政治ネタの放送は出来ないルールがあり、どうしても参院選挙が終わってからの放送となりました。また、参院選の結果を受けて一部編集作業が発生するなど、当初予定していた時期から2ケ月も遅い放送となったわけです。
結果、作為的にその日を選んだわけではなく、安倍内閣に増田知事が入閣する日とうまく重なり、題材としては少々旬を過ぎた感じでしたが、タイミングとして救われたというのが本音です。
最後に、今回、政治色の強い番組を初めて制作し、如何に難しいかを改めて感じた一方、今回の番組制作を通じ沢山のことも学びました。これからの番組作りに活かしていけたらと感じております。
本日も、貴重なご意見大変ありがとうございました。
以上です。
松本委員
この番組は24局で放送されたのですよね。
反応は如何でしたか?
波岡報道制作部長
明日、テレビ朝日で8月に放送された何点かの番組について、制作者会議があり、その会議で意見が交わされることとなっております。
結果につきまして、次回の審議会でご報告させていただきます。
松本委員
テレメンタリー番組は、各局持ち回りで制作されるのですか?
横山事務局長
いいえ、この番組は、系列各局の制作能力を高めることを目的とし、企画コンペで決定されるもので、制作費も各局からの基金で賄われております。
増子委員長
あえて難しいテーマに、手を上げて、取組んだ姿勢を大変評価したいと思います。今後もチャレンジ精神で頑張って下さい
他に何かございませんか?
それでは、次回開催についてお願いします。
横山事務局長
次回の審議会は10月18日木曜日でございます。合評課題は、来月、系列24社放送番組審議会委員代表者会議がおこなわれますので、その会議テーマであります「放送全般について」意見を頂戴したいと思います。宜しくお願いいたします。
増子委員長
それでは終了します。ありがとうございました。
7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置
ご指摘頂いた点を、今後の番組作りの参考とすることとした。
8.審議機関の答申または意見の概要の公表
朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。
系列各局に議事録を送付。
本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。
インターネットホームページに掲載。
9.その他の参考事項
特になし
10.配布資料
◎ 放送番組審議会規定・新旧対比表
◎ 10月単発番組編成予定表
◎ 2007年度上期視聴率総括表
◎ 7・8月視聴者応答記録
◎ 前回番組審議会のご意見を受けて(報告書)