放送番組審議会

9月(第121回)

概要

 岩手朝日テレビの第121回番組審議会が平成20年7月25日(木)、盛岡市盛岡駅西通の岩手朝日テレビ社内で開かれた。

 合評内容は「放送全般について」

  • 2度の大地震はテレビの報道の特徴を出すあまり、当該地域が全滅したような印象を与えないように、フォローの報道もきっちりとやるべきである。
  • 高齢化社会化している、中であまり高齢者向け番組が少ない。
  • 幅広い年代層から支持される番組を制作してほしい。
  • ショッキングなニュース報道の場合でも過激な表現に注意して伝えてほしい。
  • 全国ネットのニュースは、殺伐とした暗い傾向の素材が多い。そうした中でローカルニュースを見るとホッとする。
  • 社会貢献できる番組作りに精力を傾けてほしい。
  • 生産者が消費者の立場から見るようにテレビも視聴者側からの観点から番組制作を心がけるべきである。
  • じっくり時間をかけた番組もあってもいい。

という意見が出た。

出席委員は、増子義孝委員長、小田島利昭委員、笠川さゆり委員、弭間 俊則委員、松尾正弘委員、松本直子委員、宮野裕子委員、村田久委員、吉田政司委員の9名。

議事録

1.開催日時 平成 20年 9月25日(木)午前11時~

2.開催場所 本社3階 会議室

3.委員の出席

委員総数  9名

出席委員数 9名

委員長 増子 義孝

委員 小田島 利昭

委員 笠川 さゆり

委員 弭間 俊則

委員 松尾 正弘

委員 松本 直子

委員 宮野 裕子

委員 村田 久

委員 吉田 政司

会社側出席者名

代表取締役社長 富永 健治

常務取締役 辻 一成

取締役報道制作局長 小椋 和雄

取締役放送番組審議会事務局長 横山 博文

技術局長 佐々木 正樹

編成業務局長 小林 直紀

報道制作局 波岡 功

放送番組審議会事務局 佐藤 清一

4.議題

(1)社長あいさつ

(2)10月単発番組及び9月視聴率等について

(3)合評課題について

合評課題:「放送全般について」

(4)次回審議会について

開 催 日:平成20年10月30日(木)午前11時~

5.議事の概要

☆ 10月の全国番審代表者会議が開催されるので、今回の合評課題は、番組全般ということになった。

☆ 小林編成業務局長より11月単発番組と10月に視聴率の説明があった。

☆ 2度の大地震はテレビの報道の特徴を出すあまり、当該地域が全滅したような印象を与えないように、フォローの報道もきっちりとやるべきである。

☆ 高齢化社会化している、中であまり高齢者向け番組が少ない。

☆ 幅広い年代層から支持される番組を制作してほしい。

☆ ショッキングなニュース報道の場合でも過激な表現に注意して伝えてほしい。

☆ 全国ネットのニュースは、殺伐とした暗い傾向の素材が多い。そうした中でローカルニュースを見るとホッとする。

☆ 社会貢献できる番組作りに精力を傾けてほしい。

☆ 生産者が消費者の立場から見るようにテレビも視聴者側からの観点から番組制作を心がけるべきである。

☆ じっくり時間をかけた番組もあってもいい。

6.議事の内容

横山事務局長

 ただいまより、第121回放送番組審議会を開催いたします。

 本日は、合評番組の担当として波岡が出席しております。合評の際はよろしくお願いいたします。では、増子委員長議事をよろしくお願いいたします。

増子委員長

 それでは富永社長、一言お願いします。

富永社長

 皆さま、本日も大変お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

 まず、今回より、稲垣委員に代わりまして、弭間委員に、審議委員としてお願いいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。

 また今回の合評として、放送全般という課題とさせていただいております。と申しますのは、来月、23日に、ここ岩手県で、系列26社全国番組審議会委員代表者会議が花巻で行われます。それに伴い、合評課題として、放送全般とさせていただきました。会議では、増子委員長に司会をお願いし、委員として、村田委員に審議していただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

増子委員長

 ありがとうございました。それでは、10月単発番組と9月の視聴率についてお願いします。

小林局長

 それでは10月の単発番組についてお話させていただきます。

 今月は、番組改変期でもあり。10/1~14日までは各局単発同士で戦う週となります。レギュラー重視となりそうです。10月15日以降はスポーツで大きな大会としては女子フィギアの放送があり、数字に期待しております。

 9月の視聴率は4月から6月までの数字に近いところまで戻りつつあります。9月以降の19時台の番組改編に期待しております。また、10月25日には30人31脚岩手大会の放送があります。昨年全国でベスト4に輝き、参加校に期待しましたが、なかなか参加していただける学校の数が少なく、残念に思います。こちらも努力を要することと感じております。

増子委員長

 なにかご質問などございませんか。それでは合評番組に移りたいと思います。

吉田委員

 今回の合評課題は、放送全般ということで、現在、デジタル放送へ移行する中、音声、画像が一体感となり、一つのテレビ局対家庭と複数のテレビ局対家庭、各個人となっている世の中であります。

 また、これが24時間ずっと録画していたらどうなるのかを考えた場合、こうは的なものが好まれると感じます。番組で「ゴンゾウ」がありましたね。一つの事件を解いていく内容にも満足でしたし、主役の内野聖陽さんにとても好感を持てました。家族が黙って集まってきて、ジックリと見ている。そんな番組でした。レッドイベントが、最近では異常が普通の世の中、とても不思議ですね。

村田委員

 今年は岩手に2度の大きな地震があり、リアルタイムの報道、キメ細やかでした。

 ある雑誌では、岩手全滅という記事を出し、知り合いから、心配の電話を頂いたりしてしまいました。まさに、いい加減な報道は人を混乱させる、周りを混乱させる難しい役割を果たしますね。

 テレビの影響力は大きなもので、何かの事件を報道し、その事件についてその後、どうなったのかを報道しない。それは視聴者として、物足りなさを感じます。中国の粉ミルク問題、事故米が出回り、県内の中学校などでも使用していたと報道し、中傷した後の政府のやり方、今後どうしていくのか、フォローを全く報道しない。このような問題を一過性の話題にせず、継続的に追跡調査し、深く掘り下げて欲しいと思います。

 視聴者至上主義というか、ある内容の番組が世の中に出回れば、同じような企画の番組を各局で取り上げる。横並びで見ていてもつまらないと感じます。

 生活にあった時間帯でその時間にどのような番組を放送すべきかをきちんとリサーチして、制作して欲しいですね。寝ている時間に面白い番組を放送してもどうにもなりません。生活の都合に合わせる放送をして欲しいです。

 ワイドショーではインタビューの仕方、アナウンスの仕方、被害者を問い詰める報道のあり方は見ている側にはとても苦痛に感じる場面があります。

 今後、質の良いレポートの仕方は大きな課題となっていることと思います。

 また、高齢化社会の世の中にふさわしい番組をたくさん放送して欲しいと思います。良質な番組を深夜に放送しても高齢な方々は見ることができません。時間帯なども考慮して番組を放送する工夫を心がけて欲しいです。

 自主制作番組も会社で予算の中で制作をしていることと思いますが、急いで作ろうなど考えず、ゆっくり時間をかけて制作して、焦らずに、腰の据えたもので予算を立て、企画をじっくり構築し制作を心がけていただきたいと思います。

宮野委員

 テレビが世の中に誕生した頃に生まれ、テレビと共に生活してきました。今は、DVDやパソコンが世の中に出まわり、人それぞれが情報を仕入れるのに選択する時代にと変わってきましたね。

 私は日中、仕事のため、朝と夜しかテレビを見ることが出来ませんが、最近では、夜もテレビをつけないで生活する時があります。年齢別で考えると、高齢の方々はテレビを楽しみにしている方が多いと思います。また、最近の番組では子供たちが見ていて笑っていても、私には何がそんなに面白いのか、さっぱりわからない番組もあります。番組を作る側は、その番組のターゲットにしている年代などもあるでしょうが、幅広い年代で楽しめる、質の良い番組つくりを心がけて頂けたらと思いますね。

 報道番組では、コメンテーターが自分の意見をお話していることが多々ありますが、それはその人の意見であって、それを電波で放送するのは、どうなのでしょうね。

 また、地域格差の時代が、テレビにも反映されていると思います。今後受信料を民間でも払うようになる時代が来るのでしょうか。

 今後は、良質な番組作りを心がけて欲しいと思いました。

松本委員

 吉田委員から先ほどもお話に出ました、「ゴンゾウ」は、面白かったと思います。刑事ものの番組テレビ朝日さんは強いですね。

 最近、悲惨な事件で心に残った、千葉県で起きた女子児童の殺人事件がありましたね。その話題を朝、子供を車で送りながら、テレビの音声だけを車の中で聞いていましたが、その児童の全裸で見つかったというところばかりを何度も繰り返してコメントするのに、少々違和感を感じました。映像を見ていない分、耳に入ってくる音声だけでその事件の内容を聞き、全裸という言葉だけを何度も繰り返すので、とてもいやな気分になりました。それだけショッキングに伝えたいのかどうかはわかりませんが、被害者の遺族のことを配慮した事件の報道のあり方をもう少し考えて欲しいと思います。

 良質な番組作りとは、映像だけに頼りすぎず、横並びで同じ事件を、相手の気持ちを考えずに各局で放送するのではなく、被害者の気持ちを考慮し丁寧な制作で、視聴者に伝達して欲しいと思います。

松尾委員

 最近、殺伐とした事件、事故が多い世の中ですね。全国ニュースを見ていても、本当にテレビを見たくなくなることがあります。

 そんな中、地元のニュースでスーパーJチャンネルの中の曜日ごとに地元の話題を紹介するコーナーで、岩手の未来図を見ていますが、最初の感想では、狙いは良いのだけど、消化不良な部分があるな。と思ってみていました。しかしだんだんと良くなってきたな。と思います。また映像も、農作物や自然の風景などうまく撮影していると思いますよ。9月23日に放送したリフレッシュパソコンの話題も印象に残っていますが、一つ残念なのは、ナレーションがすらすらと少し早口で、聞いている側には聞きづらく感じました。

 また16日に放送された、女性和紙職人の話題は、映像、ナレーションともに素晴らしかったです。

 地産地消、伝統継承等、地方ならではの産業など、今後の地元のあたらしい方向をしめしていると思います。

弭間委員

 今回初めてコメントさせていただきます。視聴率の資料を見るのも初めてで、視聴者の立場として格段とインフラが変わって番組の見方も変わってきています。

 タイムリーで番組を見たときと録画で同じ番組を見たときの捉われ方は違うものですね。録画で見た場合、コマーシャルをとばしてしまいますしね。

 視聴率はどうやって算定しているのでしょうか。また、視聴者とスポンサーで考えた場合、制作者はどちらの視点で番組を制作しているのでしょうか。

 視聴者の立場で言わせていただきますと、今後期待したい番組として、幼児向けの良質な番組作りと家族みんなで楽しく見れる番組、また、社会に貢献している番組作りに期待したいと思います。

小田島委員

 今の世の中はテレビだけではなく、インターネットが普及していて、中国ではテレビではなく、インターネットの時代のようですね。子供はテレビを見ないようですね。

 最近ではオリンピック、クイズ番組はテレビで得意分野で、バラエティ番組などは一つの局で話題になるとそれを真似た番組を各局で同じ時間帯で放送するというような横並びの番組作りはどうなのでしょうか。

 報道番組でも、報道のあり方、作り手の報道の見方と視聴者の見方では私としてはまだまだ差があるように感じます。

 農業分野から見た場合、消費者からの立場に立った目線で生産者は作っていくというように、テレビの業界でも視聴者の立場からというように、どんな社会でもいろいろな努力をしていかなければなりません。

 松本サリン事件の際に被害者の方が先日亡くなられ、旦那さんが当時犯人扱いをされて報道されていました。その際、報道する立場の人は犯人と決め付けた情報を世間に伝達し、結局犯人ではなく、とてもつらかったのはないでしょうか。そういう報道のあり方を視聴者はもとめているのでしょうか。報道とは難しい、ナイーブな部分を視聴者に伝えていく立場なので、その辺は慎重に制作を心がけて欲しいです。

 無差別殺人事件の報道でも、犯人の意見を聞いて、それを真似する事件などが起きたりしたら大変なので、慎重さを大事に報道してください。

 いやな事件の話題は聞いていて残念に思います。地元の明るい話題を聞くと心が和みます。単に視聴率ばかりに捉われずに、視聴者の立場に立った番組作りを心がけてください。

笠川委員

 先ず、CMについてですが、R指定、暴力、性的、そういったCMは最近なくなってきましたね。

 先日小学一年生の男子児童が母親に殺される事件がありましたが、逮捕されるまで、母親を犯人扱いするような情報はありませんでした。しかし、殺害方法等詳しく説明しすぎな報道のあり方は如何なものでしょう。

 また、広島原爆記念式典の映像はNHKとテレビ朝日さんでしか放送しませんでしたね。もう少し、メディアで取り上げ、原爆の恐ろしさ、当時の悲惨な記憶が忘れられないように、今の若者たちにも受け継がれるように報道して欲しかったと思います。

 今の、中・高生はテレビドラマ、ゲーム等の普及により、血が流れていても案外平気な顔をしています。傷が深くても兵器なんですね。それは、過激なシーンをテレビやゲームで見慣れているせいでしょうか。映像を見慣れるということも悪いことだけではありませんが、考慮すべき部分もあるのではないでしょうか。

増子委員長

 委員の方々からも意見として出ましたが、高齢者向けの番組が本当に少ないですね。21世紀のキーワードで高齢化だけど、イメージが低いのでしょうか。昔は良質な番組がたくさんありました。きちんと制作している番組はやはり良い番組で、心に残りますよね。視聴率を獲得することばかりを考えていては良い番組は作れないと思いますよ。村田委員からも出た、じっくり仕上げる作品を私も制作して欲しいと思いますね。今、全国番組審議会でプログレス賞を決めるのにたくさんの系列局の制作番組を審査のため見ていますが、とても良い作品がたくさんあります。1年を通じて取材して制作した番組や指揮者の岩城氏の番組、本当に素晴らしかったですよ。努力は大事です。チャレンジしてみてください。

 宮野委員からお話が出ていた、視聴者からの視点と制作者からの視点、制作者から考えた場合、もう少し踏み込んで本格的な番組を制作してください。地域格差は現実問題です。地方の苦しさわかって欲しいですね。もっと高齢にも楽しめる番組を制作してください。期待しています。

小林編成業務局長

 それでは、質問に出ました、視聴率はどうやって算定しているのかについてですが、ビデオリサーチという会社があり、岩手県の200世帯に機会を設置し、1分毎に電話回線により数字を出しています。どこの世帯についているのかは全く不明です。

 良質な番組との意見で、10月より、バラエティ、クイズ等一色だった19時台に報道番組「学べるニュースショー」を放送致します。10月の編成により、TBSでもバラエティ路線から報道系へ移行しつつあります。

辻常務取締役

 スポンサーと視聴者のどちらの視点から番組を制作しているかについてですが、私たちテレビ局の立場からは両方お客様です。全て視聴率のためというような制作ではいけないと思っております。企業様も企業のイメージを大事にいていらっしゃるスポンサーもたくさんおられます。

 不景気な世の中で、スポンサーが、先ず削減される第一として広告宣伝費が現状です。

増子委員長

 その他、何かございませんか。

 それでは、次回の審議会についてお願いします。

横山事務局長

 次回の審議会は10月30日木曜日でございます。

 合評課題は「楽茶間plus!」です。

 よろしくお願いいたします。

増子委員長

 それでは終了します。ありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

ご指摘いただいた点を、今後の番組作りの参考とすることとした。

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎ 10月単発番組編成予定表

◎ 9月岩手地区視聴率