放送番組審議会

9月(第71回)

概要

 岩手朝日テレビの第71回番組審議会が平成15年9月25日(木)、盛岡市盛岡駅西通の同社会議室で開かれた。

合評番組は、「夏は生!イッキに東北、夏まつり中継!」。

  • 1時間という限られた放送枠内で東北6県の祭りがコンパクトに紹介されていた。
  • 放送日の関係で、祭りの生中継は3県のみであった。来年は各県の祭りへの誘致を視野に入れた事前PR番組化の検討もしてみてはどうか。
  • 祭りの臨場感をいかにして伝えるか考慮が必要。アナウンサーの起用方法や、カメラアングル、カメラワーク等にもう一工夫必要ではないか。
  • 祭りの案内人としての舞の海、新山千春両者のキャスティングは、コメントに物足りなさを感じつつも、適していた。

という意見が出た。

出席委員は、増子 義孝委員長、石井 三郎委員、小川口 柳太郎委員、笠川 さゆり委員、大坊 忠委員、高橋 真裕委員、松尾 正弘委員、松本 直子委員、宮野 裕子委員、村田 久委員の10名。

議事録

1. 平成 15年 9月 25日(木)午前11時~

2. 岩手朝日テレビ本社・会議室

3.委員の出席

委員総数 10名

出席委員数 10名

委員長 増子 義孝

委員 石井 三郎

委員 小川口 柳太郎

委員 笠川 さゆり

委員 大坊 忠

委員 高橋 真裕

委員 松尾 正弘

委員 松本 直子

委員 宮野 裕子

委員 村田 久

会社側出席者名

代表取締役社長 川崎 道生

代表取締役専務 村上 昇

取締役営業局長 横舘 英雄

常務取締役総務局長 伊東 正義

報道制作局長 星井 孝之

番組審議会事務局長 辻 一成

4.議題

(1)10月の番組編成について

(2)番組合評

「夏は生!イッキに東北、夏まつり中継!」について

(3)次回の審議会

開催日:平成15年10月22日(水)

合評課題:「30人31脚全国大会2003 岩手大会」

(平成15年10月4日 16:30~17:25)

(4)その他

5.概要

○1時間という限られた放送枠内で東北6県の祭りがコンパクトに紹介されていた。

○放送日の関係で、祭りの生中継は3県のみであった。来年は各県の祭りへの誘致を視野に入れた事前PR番組化の検討もしてみてはどうか。

○祭りの臨場感をいかにして伝えるか考慮が必要。アナウンサーの起用方法や、カメラアングル、カメラワーク等にもう一工夫必要ではないか。

○祭りの案内人としての舞の海、新山千春両者のキャスティングは、コメントに物足りなさを感じつつも、適していた。

6.議事の内容

辻事務局長

 第71回放送番組審議会を始めます。今日は第8期の第1回目で、新任の先生がいらっしゃいますのでご紹介します。作家の村田先生と、岩手銀行常務取締役の高橋先生です。一言ご挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。

村田委員

 村田でございます。私はFM岩手で30分番組のパーソナリティを5年ほどしておりまして、審議される側でした。今回、番組審議委員をお引き受けしたことは、私にとっておこがましいという気もしましたが、お役に立てればと思い、お引き受けしました。よろしくお願い致します。

高橋委員

 高橋でございます。私は、岩手朝日テレビが開局当時、銀行の担当として開局のお手伝いをした経緯がございまして、そういった縁が今日のこの席に繋がったかなという思いもございます。微力ではございますが、精一杯、委員としての任務を全うしたいと思いますので、よろしくお願い致します。

辻事務局長

 ありがとうございました。引き続きまして、新期でございますので、新たに委員長の選出を委員の先生方の互選で選んで頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

宮野委員

 引き続き、増子先生にお願いしたいと思いますがいかがでしょうか。(全員一致)

辻事務局長

 それでは皆さんの意見が一致しましたので、増子先生、よろしいでしょうか。

増子委員長

 だんだん、私のついて行けない番組が増えて参りまして、委員長として頃合いかなと思っておりましたが、また務めさせて頂きます。よろしくお願いします。

辻事務局長

 委員の皆様の任期ですが、今期は変則的に9月から平成16年3月末日までとさせて頂きます。これは改編期が4月、10月にありますので、それに合わせて任期を来期から4月から3月に改めさせて頂きたいという事務局側の意向でございます。ご了承頂きたいと思います。それでは、増子委員長、進行をお願い致します。

増子委員長

 はい、それでは川崎社長からご挨拶を頂戴したいと思います。

川崎社長

 川崎でございます。村田先生、高橋先生、どうぞよろしくお願い致します。

 私はIATに来まして1年少々ですが、それ以前もテレビ朝日で番組審議会に関わっておりました。あちらも大変に活発な意見が出る良い審議会でございましたが、こちらに来まして、こちらも大変に良い審議会だなと感じております。これから、IATも確実に成長して行かなくてはならないという時期に、番組審議会は極めて大事な存在ですので、今後とも引き続きお力添え頂きたいと思います。本日もよろしくお願いいたします。

増子委員長

 ありがとうございました。それでは番組編成についてお願いします。

辻事務局長

 それでは10月改編のタイムテーブルをご覧下さい。

 プライムの新番組は、水曜21時から「相棒」、木曜20時から「新・京都迷宮案内」、21時から「トリック」、トリックは以前、金曜ナイトドラマで大ヒットし、DVD・ビデオ販売とも非常に好調で、マルチユースの最たる番組で、ヤングターゲットには高く支持されています。金曜21時からは「世界プチくら!」、土曜の19:30は現行の「釣りバカ日誌」から「ボボボーボ・ボーボボ」というアニメになります。プライムの改編は以上です。プライム外では月~金の早朝「ANNニュースフレッシュ」がやじうまプラスから独立して繰り上がり5:50からの放送になります。また日曜9:30からは「にっぽん再発見 そうだ、自然に帰ろう」、出演は原田知世、ホンジャマカです。また深夜帯では金曜ナイトドラマ「独身3!!」が始まります。詳細はタイムテーブルの解説をご覧下さい。

 この改編によりまして、ゴールデンの改編率は19.5%、プライムでは14.6%です。

 続きまして、10月の単発番組をローカル編成を中心にご説明申し上げます。9月26日16:00~16:30「盛岡市に吹いた風~谷藤市長に聞く~」。今後の市政の展望について谷藤盛岡新市長にお話を頂戴した番組です。

 10月4日16:30~17:25「小学生クラス対抗30人31脚全国大会2003 岩手大会」、次回の合評番組でございます。9月14日に20校36チームが参加しまして、大変に感動的なレースが展開されました。その模様を55分番組で編成いたします。また10月31日14:30~15:25「銀幕のイーハトーヴ~岩手・映画の大地~」の再放送を編成します。この番組を芸術祭に参加させたいと思いまして、10月・11月に放送した作品に限る、という参加条件を満たすために再放送致します。弊社の自社制作番組の中でも自信作でございますので、是非、芸術祭に参加させたいと思います。簡単ではございますが以上です。

増子委員長

 質問やご意見はございますか。それでは「夏は生!イッキに東北、夏まつり中継!」の合評に入ります。笠川さん、お願いします。

笠川委員

 各地の夏祭りを楽しめる番組でした。IATは放送日とさんさ踊りの開催日が合わなかったので、その大変さと、賑わいを伝えられない残念さを感じました。それから、生中継の難しさと、アナウンサーの質が問われた番組だなと思いました。生中継の難しさについては、岩手の中継では、鬼剣舞の笛が響き過ぎて、話が殆ど聞こえない状態で、笛の音が逆に耳障りに思えました。花火中継では、花火の音で音声が聞こえないせいか、アナウンサーが叫ぶように話していました。そうすると女性特有のキンキンとした声になってしまって、聞いている方が疲れてしまいました。

 それからどのアナウンサーも、祭りの由来の説明はとても上手ですね。調べて来たなと思える感じで。でも実況も感想も、前もって準備していたかのようで、その場の臨場感が伝わってきませんでした。それは何故かと考えますと、きっと地元のアナウンサーではないからでしょうか。お祭りは、小さい頃から何年も見てきて感じるものを、自分の言葉で語るからこそ伝わると思います。山形の花笠を踊れなかったアナウンサーさんも地元の方ではないでしょう。「幻想的ですね」とか「立派ですね」といった言葉ではなかなか祭りの良さは伝わりませんね。やはりその祭りをずっと見てきた、地元出身のアナウンサーがこの先必要になってくるのではないでしょうか。そのことが地元に根付くことに繋がるのかなと思いました。

 それから見たものを生中継で伝えることは非常に難しいことだなと思いました。その場の臨場感、テレビを見ている私たちまで生でその祭りを見ているかのように感じるような中継が出来るアナウンサーというのは、やはりプロ中のプロだろうな、そんなことを考えながら見ました。以上です。

松尾委員

 番組が全部中継で、それが全くトラブルなしで放送されたことが大変素晴らしかったと思います。仙台の花火の中継もとてもタイミング良かったですね、祭りの主催者と生中継の息が合って良かったと思います。岩手は意表を突いて鬼剣舞でしたが、これも良かったと思います。というのは、さんさ踊りは我々にとっては少々食傷気味ですし、さんさ踊りの良さは画面ではなかなか伝わらないですから。花笠のように手に何かを持つ華やかさもないし、ねぶたの山車のような派手さもないですから、その場にいないと良さが伝わりにくいなと感じておりましたので。鬼剣舞は、規模は小さいですが趣向が違っていて良かったと思います。

 それから笠川さんと同様にレポーターの声がうるさく感じました。どうしても叫びに近い、大声でのレポートになってしまうのは仕方ないのかも知れません。しかし、番組の最後に各地の中継をつないだ時は、レポートの声なしで映像でつないでいたので、少し救われたかなと思います。畠山みゆきさんが生歌を披露していましたが、その歌もしっとりとしていて、祭りの華々しさだけではなくて、祭りが終わる寂しさも醸し出せたと思います。

 それから、舞の海と新山千春の二人については、コメントには物足りなさを感じましたが、舞の海は老若男女から人気がありますし、新山千春は若者代表という感じで、なかなか良い選出だったと思いました。岩手県も全国に通用するスターを生み出さなくてはいけないなと感じさせられました。

 私が実際に見たことがあるのは青森のねぶただけですが、五所川原の立佞武多と相馬野馬追は、これほど詳しい映像を見たことがなかったので、これは実際に見てみたいと思いました。番組の狙いとして、知っているけれども実際に見たことが無いという人にアピールするというものがあると思いますので、そういった意味では成功しているのではないでしょうか。以上です。

増子委員長

 ありがとうございました。大坊さん、お願いします。

大坊委員

 いろいろな祭りを限られた時間の中で見られますから、視聴者にとっては良い番組じゃないでしょうか。しかし限られた時間内で7つの祭りを紹介するにしては、無駄な映像もあったと思います。それからアナウンサーや新山千春さんの言葉遣いでちょっと気になる部分がありました。相馬野馬追に女性が参加されていましたが、その女性に対して新山さんが「男前ですね」というコメントをしたのが気になりました。「男勝り」といったほうが適当じゃないかなと思いました。

 番組全体としては、お祭りの歴史や発祥も織り交ぜていましたので、とても楽しかったです。以上です。

小川口委員

 「夏は生!イッキに東北、夏まつり中継!」というタイトルの割には生中継が少なかったですね。青森ねぶたと秋田竿燈、山形花笠だけですから。仙台は七夕の前夜祭の花火でしたし、岩手の鬼剣舞は前々夜祭でしたね。北上芸能まつりの模様はVTRでしたね。

 しかし、各お祭りの歴史や謂われは詳しく紹介されていて非常に良かったと思います。

 大坊さんが言葉遣いについてお話されていましたが、私は相馬野馬追に参加した女性にしたインタビューの中で、アナウンサーが「男性に囲まれてどうでしたか?」と聞いたことが気になりました。ここで質問するのであれば「この祭りに出てどうでしたか?」と聞くべきではなかったでしょうか。このアナウンサー自身がこのお祭りを理解していないのではないかと感じました。

 また、青森ねぶたのインタビューは小学生くらいの小さなお子さんにしていました。場面としては面白いかもしれませんが、他のお祭りも知っているもっと年配の方や旅慣れた方にインタビューしたほうが番組にとって意味があったと思います。番組を作る側がもう少し考慮しても良かったと思います。お子さんにインタビューしても「大きかった」「楽しかった」くらいしか話せませんから。

 それから岩手については、鬼剣舞も日程が合わなかったのですから、どうせ生中継できないのであれば、県都盛岡のさんさ踊りを紹介したほうが良かったと思います。参加した人でないと分からない、映像では伝わりにくいという意見には私も賛成ですが、どうせVTRであれば、さんさ踊りでも良かったと思います。

石井委員

 番組の総体としては、50分弱の時間内に7つの祭りを紹介しているので、制作が大変だったと思いますし、勉強にもなって楽しめました。司会は舞の海と新山千春でしたが、この組み合わせが良かったのか否かは別として、舞の海がおっとり型で、彼が何か言おうとすると、新山千春が先に喋ってしまうという。それだけ彼女の元気さが目立っていましたね。舞の海の言葉で印象に残ったのが「舞ってみたい」という語呂合わせの発言。新山千春はいかにも若者代表という感じで喋っていて、それはそれで良かったと思います。総体的に嫌みのない司会で良かったです。

 北上みちのく芸能まつりは勉強になりました。鬼剣舞のほかにも鹿踊りや、様々見られるので、祭りを見逃してしまって残念でした。五所川原の立佞武多は、今年、東京の新丸ビルでの展示など、地元が力を入れてピーアールしていますね。毎年1つずつ製作しているとか、電線を取り払ったとか、地元の力の入れ方の凄さを感じました。

 東北の夏祭りは全体的に凄いなと感じました。私は山口、広島といったあちらの出身ですので、8月は原爆記念日、終戦記念日と鎮魂の時期です。それが東北に来ますと、全県レベルで同時並行に賑やかなお祭りをしているので、東北の元気さを日本全国に広めないと勿体ないという感じがしました。それから、先ほども意見がありましたが、アナウンサーが地元の人で、もっと方言を使って特色を出して貰えたら面白かったなと思います。そういった工夫があると、もっとそれぞれのローカル色が表に出たのかなという気がしました。

 それから岩手は鬼剣舞を選択しましたが、祭りと芸能を別として考えるのならば、他の6つはお祭りでしたが、鬼剣舞はどちらかと言えば芸能でして、ちょっと異色でした。異色だから逆に言えば目立っていたのかも知れません。しかし残念だったのは、盛岡のさんさ踊りに一言も触れなかったこと。それで北上の鬼剣舞だけやるのは如何なものでしょうか。ナレーションや一場面だけでも紹介して欲しかったです。地元の一番の行事に自信がないのかなという気がしました。やはり食傷していてもさんさ踊りには触れるべきだったと思います。それから余談ですが、岩手県内には良いお祭りが沢山ありますので、こういった番組の岩手県内版を制作して頂きたいと思います。それから夏祭りも結構ですが、北東北・冬のお祭り番組も面白いかと思います。

松本委員

 一度にこれほどのお祭りを見る機会は勿論ありませんので、一言で言えば、大変に面白かったです。番組としては良く出来ていたなと思います。それにしても、東北の悪天候を象徴したような番組だな、という変な感動もしながら見ました。

 カメラ位置の工夫がいま一つだったと思います。花笠のパレードも、もっと感動する瞬間があると思うのですが、残念ながらそれは伝わらなかったですし、竿灯もその感動が伝わってこない。勿論、生で見るのには負けますが、もっと綺麗な、豪快な、感動を伝える映し方があるのではないか、と映像を見ながら感じました。アップのしすぎだったり、あまりに遠景だったりで白けてしまう場面があって、勿体ないなと思いながら見ました。番組の最後に紹介したお祭りの日程などの紹介をしていたのは良かったですね。しかし問い合わせ先がなかったので、入っていたほうが親切だったと思います。

 それから先ほどから岩手の鬼剣舞についての意見が出ていますが、あえてさんさ踊りではなくて北上芸能まつりを選んだ意図について、お聞きしたいなと思います。

 以前に他局で相馬野馬追で、初めて総大将をやる少年を追いかけたドキュメントを見た記憶があります。大変に感動をしまして、こんな素晴らしいお祭りがあるのかと思いました。短くても良いので、紹介するお祭りの一部分、人でも物でも、クローズアップした番組を是非作って頂いて、祭りの当日ではなくて、もう少し早い段階で放送して貰えたら、祭りそのものがもっと盛り上がると思いますし、ピーアールになると思います。こんなお祭りがあるなら行ってみよう、という気になると思います。今回、番組を見て「行ってみよう」と思っても、一年先のことですから、気が失せてしまう可能性もありますので、お祭りの直前にタイミングよく放送して貰えたらなと思います。お祭りの裏方さんでも良いでしょうし、電線を地中に埋めてしまう住民の熱意でも良いでしょうし、何かにスポットを当てた番組を作って流してもらえたら、お祭りの盛り上げに一役買えると思いました。以上です。

宮野委員

 似たような番組が昨年もあったので、こういった番組は新人アナウンサーの登竜門かなと思いながら見ました。文筆業と違って、物事をとっさの判断で伝える職業の難しさをつくづく感じました。1時間に6つのお祭りを紹介することは、横滑りと言うか上滑りと言うか、駆け足で駆け抜けてしまったイメージがあります。紹介するお祭りはそれぞれが独自色が強いので、比較するのも難しいですが、その中には引き込まれて見てしまったものもあります。特に五所川原の立佞武多は近年とても注目を浴びていますので、もう少し詳しく紹介してあげたら良かったなと個人的には思います。お祭りを紹介する番組なので騒ぎたい気持ちは分かりますが、もう少し声を抑えた放送をしたほうが、耳障り良く見られたなと思います。

 北上の鬼剣舞はとても良い踊りで味わい深いのですが、その良さを短時間で伝えきれなかったと思います。もし出来るのであれば、鬼剣舞だけを取り上げた番組を制作して、発信して欲しいです。

 地方からの発信という意味でも、良さをひとつづつ伝えられるような番組を作って欲しいなと思います。

高橋委員

 私は3つの観点から番組を見ました。まず独創性があったかという点。それから情報提供力の面でどうか。そして経済的効果という点の3つです。

 まず独創性ですが、今回取り上げたのは東北のポピュラーな祭りばかりですから、これをいかにして新たな切り口、角度から取り上げて、そして新しいものとして紹介するのかということに非常に興味を持って見ました。祭りの由来や歴史性を随所に折り込みながら放送している点で、私は独創性の面は評価できると思います。ただ残念ながら祭りの臨場感が伝わらなかったです。これはカメラアングル等の工夫がやや不足したのかなと感じました。

 情報提供力の面では、今回、中心的なお祭りとして捉えていた五所川原の立佞武多、私は初めて見ましたので、新しいお祭りを紹介して頂いたという面で評価できると思います。

 それから経済的効果の面では、この番組を見た視聴者が実際にお祭りに足を運ぶという誘因が働くかどうかという点だと思いました。少なくとも私は、五所川原の立佞武多については実際に見てみたいと思いましたので、これも評価出来ると思います。以上です。

村田委員

 実はいま一つこの番組のタイトルと主旨がはっきりと伝わって来ないと強く感じました。ただ駆け抜けてしまった感じです。これは何故かと考えますと、放送日の8月5日は、各ブロックのお祭りが終わったところもあれば、祭りの最中のところもある、これからのところもある、とバラバラなんですね。そのことで説明や映像にまとまりがなく、祭りの臨場感に各ブロックで差が出てしまいました。単にドキュメントとして制作するのなら良いですが、「祭りに出かけて下さい」という宣伝なのか、「こんな良い祭りがありますよ」と言っているだけに過ぎないのか、その辺りがはっきりと掴めませんでした。その点で番組の狙いがぼやけてしまったような気がします。この番組は、来年行ってみようという参考にはなりました。恐らく視聴者にもそういう方が多かったと思います。

 本当に「祭りに出かけて下さい」という番組を制作するのであれば、もっと早い時期に放送日を設定して、資料映像をもって構成しないと無理かなと思います。中継は非常に難しいのではないかと思いました。ゲストの舞の海と新山千春さんは、はっきり言って勉強不足でしたね。「豪華だ」「迫力がある」といったコメントばかりで、正直言いましてアナウンサーと3人のおしゃべりはとても耳障りでした。それよりは、お祭りに詳しい土地の人に各ブロックから説明をしてもらったら、祭りの映像ももっと沢山流せたと思います。

 そしてアナウンサーの質とカメラマンの腕が問われた番組でもあったと思います。アップが欲しいのに遠景ばかり撮ったり、アナウンサーもあまり評価出来ないアナウンスばかりだったと思います。それからもっと資料映像を活用したら良かったですね。花笠なら紅花の映像や実際に紅花の口紅をつけてみるとか、仙台七夕も前夜祭の花火よりも昨年度の賞を獲った七夕飾りを見せるとか。タイトルの「夏は生!イッキに……」も何が生なのか、何がイッキなのか、全く伝わってきませんでした。

 それからリポーターには地元の人を起用して、もっと祭り感を出すべきだったと思います。東北の祭りの泥臭い面をもっと出したほうが良かったと思います。

 短時間で7つの祭りを中継するというのはとても難しいということは理解できますが、良い番組を作るにはこういった教育と連携プレーをきちんとやらないと、面白くない番組が仕上がってしまうのではないかなという気がしました。

増子委員長

 ありがとうございました。私もこの番組を見終わって、幕の内弁当を食べたような、7つの祭りの概要を見られて結構でした、それ以上のコメントは難しいなというのが、見終わっての感想でした。つまり、各局の祭りの紹介をただ繋いだだけ、それに舞の海の新山千春さんとアナウンサーが出てきただけで、それ以上の工夫があったのでしょうか。ただならぬ努力が無ければ、魅力のある番組になるはずがないのに、非常に安易な見せ方をしていたと思います。それは皆さんの意見にもあるようにカメラアングルだと思います。もっと大胆不敵なアングルでなくては、単なるオムニバス番組になってしまう。もう一つ芸がなかったような気がします。

 しかし、先ほど石井委員の意見を聞いておりまして、関西地方に岩手を売り込むにはこういった番組も良いのかなとも思いました。

 それからアナウンサーに関しては、やはり出過ぎというか、カメラもアナウンサーを追ってしまいますから、ますます見ちゃおれん、ということになってしまいます。アナウンサー自体がスターのようになってしまい、彼女達自身もそういった意識があることが、最近特に気になります。むしろ一切アナウンサーが画面に登場せずに、じっくりと見れるという番組を考えてみても良いと思います。特に今回のように、短時間で切り替わる中継に次から次へと出てくるのは気になりました。

 先ほど大坊先生から女性に対して「男前」という表現は如何なものかというご意見がありましたが、ほかの表現のほうが良かったのでしょうかね。村田先生はどう思われますか。

村田委員

 そうですね。しかしあの場合は「男前」でも良かったと思いますね。相馬野馬追は勇壮なお祭りですから、女性を男前と言うのは、むしろよくやったと褒めているような感じがして、あれで良かったと思いましたが。

増子委員長

 そうですね。他に女性を褒める適切な表現もあったと思うのですが。

 いずれにせよ、45分ばかり時間内で7つのお祭りを紹介するのは相当大変なことであって、その大変さを本当に自覚していたかどうか、そこがやや甘かったのではないかと私は思います。

 他にご意見はございますか。

松尾委員

 2年ほどまえにも、今回と同じようなお祭り中継番組を審議したことがありましたが、その時はお祭り時期と放送日程がずれていて、再放送を見ているような印象を持ちました。今回は「生」と言いながら半分は生ではなかったという意見がありましたが、2年前よりはだいぶ進歩したなと私は思いました。

宮野委員

 女性アナウンサーの中継を見ていますと、その時間内を持たせなければいけないという使命感と悲壮感がひしひしと伝わってきました。とちっても、持たせなくてはいけない、やらなくてはいけないという。そこに実力が伴わないというか、知識が無いのにやらなくてはいけないというのは大変だろうなと思いました。

川崎社長

 アナウンサーの問題もありますが、それを使う現場ディレクターの力の問題もありますね。未熟であれば未熟なりの使い方があると思うんです。

増子委員長

 ただ一言申し上げると、今の若い人たちは、ああいったアナウンサーを含めて、ああいう有り様が良いんだという、それがベースにある訳ですよね。ディレクターにもそういう感覚がかなりあるような気がします。ですから、アナウンサーを背景に退けよということ自体、年寄りの時代遅れの発言じゃないかと言いつつ、言いたくなる訳ですね。

村田委員

 私も委員長の意見と同じです。年寄りが何喋ってるんだ、今は違うんだぞと言われるのかも知れない。世代のギャップはあるのかも知れませんね。

川崎社長

 でもそこで意見を飲み込んではいけないと思います。女子アナウンサーと数多いる可愛いだけのタレントの差が無くなってきている怖さがありますね。局アナの力は重要です。

増子委員長

 この問題はIATだけの話ではなくて、どの局も有り様は同じだと思います。だからこそ、これは時代ではないか、若者文化なのではないか、我々は遅れているのではないか、という気がするわけです。

石井委員

 敢えて弁護するとすれば、あまりNHK的になっても面白くないと思いますね。皆さんの意見はどちらかと言えばNHKに求めてることを言っているのではないかと思います。やはりそうではなくて、ビールでも飲みながら気楽に見て、あっという間に1時間経ってしまったという、そういう感じでは良く出来た番組だったと思います。私はあまり深く考えずに楽しく見ました。

増子委員長

 そうですね。他にご意見はございますか。

 それでは、次回の開催についてお願いします。

辻事務局長

 次回は10月22日(水)にお願いします。合評番組は10月4日放送の「30人31脚全国大会2003岩手大会」です。よろしくお願いします。

増子委員長

 それでは番組審議会を終了します。ありがとうございました。

7.審議機関の答申または改善意見に対してとった措置

特になし

8.審議機関の答申または意見の概要の公表

9/28付 朝日新聞岩手県版に審議概要を掲載。

系列各局に議事録を送付。

本社受付に議事録を常備、閲覧に供す。

インターネットホームページに掲載。

9.その他の参考事項

特になし

10.配布資料

◎10月度単発番組編成予定表

◎10~12月タイムテーブル

◎8、9月岩手地区視聴率