なかおにっき 中尾考作

ふるさと

陸前高田市の避難所に歌手のあんべ光俊さんが来られました。

ギターを手に避難所になっている体育館をぐるりとごらんになり、

「横になっている方がいらっしゃるので」と体育館前の廊下に場所を移し、

即興の小さなコンサートがありました。

童謡『故郷(ふるさと)』が胸に染みました。

姿を変えてしまったふるさとを思ってか、涙する方もいらっしゃいました。

写真は震災の2日後、他の記者が大槌町で取材した映像からとりました。

私のふるさとから消防が救助にやってきていました。

もちろんまだ空港も使えないときです。

ひとり心強く、そして誇りに思いました。

今、沿岸の方々にとっての大切なふるさとが大きな危機にさらされています。

それでも、きょうもふるさとを離れず、避難所の硬く冷たい床に横になろうとする人がいます。

「ここの浜が好きだったんだ」

「ここからよく景色を見たんだ。山と海がきれいに見えてさ~」

取材先で多くの人がこう言って私の知らないふるさとの姿を教えてくれます。

そんなみなさんがふるさとを思う気持ちがいつか復興に再生に結びつくと信じています。

いつかもう一度、世界中の人たちに

あなたの自慢の、ふるさとの光景を見せてください。

『故郷(ふるさと)』より

志をはたして

いつの日にか帰らん 

山は青きふるさと

水は清きふるさと

2011 年 4 月 28 日 09 時 30 分 10 秒