なかおにっき 中尾考作

沖縄キャンプ取材後記②

取材に行ったキャンプ初日。

昼間のきつそうな練習を終えても、大谷くんにはもうひとつ大きな仕事がありました。

それはファンの方々のサインや写真撮影に応じること。

訪れたファンの数はおよそ300人と発表がありましたが、多くの方のお目当ては大谷くんのようで、大谷くんが練習を終えた午後5時ころには自然と長い長い列が出来ていました。

あまりの人数に大変そうに見えましたが、大谷くんは全くつらそうなそぶりを見せず、丁寧に接していました。

 

そうして午後7時過ぎには球場近くの室内練習場に姿を見せました。

「新人ゆえに誘われたりしたら断れない雰囲気があるのではないだろうか」などと心配になります。

2人ひと組でマシンのボールを打ち込むのですが、大谷くんとペアを組んだのは大嶋匠選手。早稲田大学のソフトボール部出身の注目の選手です。

私たちは窓一枚隔てた外でひたすら視線を送っていました。

外から見れば単調な練習に、3,4台いたテレビカメラがちょうどいなくなった時でした。

「お久しぶりです」大谷くんの方から声をかけてくれたのです。

「この日のバッティングに全く納得がいかなかった。コーチには『もう(やらなくて)いい』と言われたそうですが、この日のうちに何とかしたくて来た」とのことでした。

およそ1時間の練習は大嶋選手が先に切り上げました。

そこから「最後、ホームラン行きます!」と大谷選手。

「今のはセンターフライだな(笑)」などと声をかけてもらいながら5球,6球と、

ここでも大谷くんは自分が納得がいくまで打ち込んでいました。

そして、翌日、大谷君のバッティングが各スポーツ紙の1面を飾るのです。

フリーバッティングで7本の柵越え。そのとき球場から自然とわき起こった拍手とどよめきは「プロ野球選手」大谷くんへのエールに聞こえました。

そして私は彼の「意地」を見せてもらったと思いました。

 

たった2日間の取材でしたが、見ているだけで心配になるような「投・打」両面にわたる過酷な練習。そこには誰も味わったことのない疲労もついてくると思います。それでも彼の真摯な姿勢と意地があれば、「二刀流」という大きな「目標」も決して「夢」じゃない。

いや、大谷くんなら出来そうな気がする。そんな気がしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

ファンにサインする大谷選手

 

 

 

 

 

 

 

 

夜間練習でボールを打ち込む大谷選手

2013 年 2 月 14 日 18 時 26 分 54 秒